釣り人にとって最大の関心事は、ターゲットの魚がたくさん釣れることでしょう。投げ釣り人にとっては、それは少々違います。そう、遠くにオモリが飛ぶこと、飛ばすことができることです。もちろん、魚が釣れることは大事なことですが、一部の投げ釣りフリークにとっては飛距離の方が大切なのです。魚を釣ること自体にテクニックが必要なことは認めるところですが、投げたところ、仕掛けのあるところに偶然に魚がとおり、釣れてしまうこともあり得ることです。
 「そんなことでは納得できない。客観的に評価できる・される指標が欲しい」「自分の飛距離は本当のところどのくらいなのか」「飛ぶのは誰だ」。こんな声なき声が投げ釣り人の間には存在するのです。
 単純明快。まぐれ・偶然を許さない。主観ではなく客観的な飛距離。投げ釣りから生まれた独自のスポーツ 。スポーツキャスティング。
 ここでは、魚を釣ることよりも飛距離アップを第一に考える人たちのそのテクニック等をご披露したいと思います。
 なお、このインストラクションシートは既にある程度投げ釣りの技量のある人を対象にしています。スポーツキャスティングを始めようとする人はもちろん 、投げ釣りの釣果アップを図ろうとする人たちの参考になれば幸いです。
 6色の垣根、7色の壁、そして8色の要塞突破は夢ではない。200m全部 糸が出ると気持ちいいものですよ!

どこからどこから手をつければ?

 具体的な競技種目は別のページで説明してありますが、とにかくやってみた い人へ少々説明したいと思います。

 実釣にダイレクトに活かせるものとしては、第5種目(スピニングリール、 道糸2号、力糸有り、オモリ25号、フィッシングスタイル)がベストでしょう。投げ釣りクラブが行うキャスティング大会はこの種目のみで行われることもあります 。しかし、一定のケージ内で制約された投げ方を行うST種目と距離的には大き な差はでてきません。より安全に遠くへ投げる技術という点ではST種目の方が 得るものは多いと思います。
 キャスティング入門者に対しては、「とりあえずSTから始めたら」という 表現がよくなされます。釣りにも活かせるし、キャスティングの基本をマスター することができるからです。ただし、基本といっても奥は深い。無風で170m を越えていくのですから。

 キャスティングの花形といえばやはりスウィング系でしょう。このうち、スピニングを使うものに人気があります。スウィング投法がパワフルかつ豪快なのは皆さんもご存じでしょう。スウィング系をマスターすれば、オモリの展開を多少変える必要はありますが、投げるときにオモリを地面に置くことができないよ うなゴロタ石の状況下等で実釣にも使うことができます。

 両軸リールを使った種目は極めてマニアックです。投げる技術に加え、リー ルのメンテナンス、コントロールが重要な要素となってきます。ベアリングの状態に注意を払ったり、スプールの回転にロスがないようにする一方パーマしない ようにブレーキをかける、などなど。一度ハマったらやめられないなんて人もい ます。遠くへ飛ばすための秘訣にも書いてありますが、投げの最重要ポイントは 右手の押し出しです。両軸系は押し出しがなければ、右手親指でスプールを押さえる関係から投げることができません。この種目は実釣には不向きなところがあ りますが(ラインが濡れると投げる際に滑ってしまう)、右手の重要性を再認識 する上で、実釣に最も有益なものとして評価されるべきものと考えます。

あなたはどの種目に興味を持ちましたか?