推奨ガンダム図書



近年発行されるアニメムックというのは非常につまらなくなった気がします.
レイアウトのセンスは向上しカラーページも多いのですが、読み応えは貧弱なものが多いようです.

以下に紹介するガンダム本の中には「設定並べておざなりな文章加えただけ」みたいな本は一冊もありません.
イラスト、図解、引用など駆使して、採算を度外視しているかのような手間のかかった本ばかりです.
制作者の根性と執着が転写されたようなこれらの作品を機会があればぜひ読んでみて下さい.


基本編

GUNDAM CENTURY      発行:みのり書房

1981.9.22発行

今は亡き「OUT」のガンダム本.河森正司美樹本晴彦といった「ぬえ」メンバーが参加していた同人誌サークル「Gun Sight」が全面協力しています.かなりコアなユーザーを狙った本ですね.
宮武一貴松崎健一加藤直之といった「ぬえ」の主力スタッフが参加しており、ガンダムをSFチック、ミリタリチックに構成しています.
ANBAC、エネルギーCAP等のガンダム用語はここから誕生しています.ラグランジュポイントやHLVといった専門用語を初めて掲載したのも本誌ですね(Gun Sightのファンジンよりの流れですが).
つまり現在のガンダム考証は「ぬえ」の設定の上に立脚している訳ですな.
図解や書き下ろしのイラストは説得力があったが、これらのオリジナル解釈は当時のガンダムファンには敷居が高かったようです.

入手困難らしいですね.








ロマンアルバムEXTRA  35 42 44 50 発行:徳間書店

35).1980.7.30発行  42).1981.5.30発行  44).1981.9.1発行

50).1982.5.25発行   

それぞれTV版/劇場版T/U/Vを特集した内容です.
設定集や解説、ストーリーガイド、スタッフインタビューなど基本的な部分は押さえられており、これさえあればガンダムの資料で困ることはないでしょう.
本編の考証も担当した松崎健一氏によるメカ考証は「GUNDAM CENTURIES」に対する補完的な記事で、併せて読めばカンペキです.
またMS・MAの三面図や戦闘状況の略図など執拗な図解がスタッフのハマリ具合を如実に証明しています.

古本屋等で比較的簡単に入手できると思います.








ガンダムSFワールド            発行:講談社

1981.8.14発行 
 
講談社によって作られたガンダム研究本.
業界初のガンダム分解メカ図解(パーツ説明)をやった本です.
早稲田大学の「ワボット」の記事があったりと、意欲的な製作姿勢が伺えます
「CENTURY」がやたらともてはやされるのに対して、この本の評価が殆ど聞かれないのは不思議です。
毒舌家の高千穂遙が例によってガンダムをボロクソにけなしていますが、これに激怒した当時のファンがずいぶん抗議の手紙を送ったらしいです(笑).

あまり古本屋でも見かけませんね.








ガンダム大辞典                 発行:ラポート

1981.3.1発行

ガンダム哲学派の精神的支柱ともいえたアニメックによるTV版ガンダム本.
内容的にはアニメック誌の記事の総集編的なものです.
特筆すべきは53Pにわたる人名・用語辞典.ホワイトベースの「ゴミ箱」やキッカが盗み出した「トマト」の項目まで網羅してあるのは病的とすら言えます.
また、インタビューも充実しており、「ザビ家の三男は死亡」「一年戦争終了は0080.1.1」などの設定は、このインタビュー中で初めてあきらかにされたものです.
前の年に記録全集の編集をやったアニメックのワンマン編集長小牧氏のパワーによるところが大きい本です.
「続ガンダム大辞典」も存在しますが、本作に比べると内容はいまいちですね.

増補復刻版?が最近発行されているので入手は容易でしょう.








ガンダム記録全集1〜5      発行:日本サンライズ

1).1979.12.10発行  2).1980.3.10発行  3).1980.6.10発行
4).1980.8.10発行   5).1980.10.24発行

日本サンライズが作ったTV版公式ガンダム設定資料集.
この頃、サンライズは独自(と言っても実際の編集作業は外注なのだが)の設定本を発行しており、他にもイデオン、ザブングルの記録全集が存在しました.
内容はカラーページによるストーリー紹介と豊富な設定資料集、スタッフ座談会、コメントなどが収録されています.
設定資料集は一話限りの細かな小物から美術設定まで網羅しており、製作プロダクションならではの充実した資料集といえるでしょう.中途より外注先が銀英社(=ラポート)へと変更され、取材や記事の製作はアニメック編集長の小牧氏が行っています.そのためか後半の本は、スタッフ座談会、トミノメモの公開など貴重な記事が多いのも特徴です.特にトミノメモは52話版ガンダムのストーリーシナプスや未登場MS(一部は後にMSXとなる)の記載もあり興味深い内容となっています


値段は張りますが古本屋等で入手は容易です.




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