「きみのリストが予想外に反響を呼んでいるが」
「それについては僕も驚いている。ミステリ系ネット界有数の紳士である成田さんの頁に
祝辞が集まるのは慶賀の至りにしても、あのリスト自体がそれに価するだろうか。木々の
項目に懸賞クイズがひとつだけという姿勢がフェアといえるものかどうか。連載期間が不
明なものを調べる努力も必要だろうというのが僕の持論だ」
「しかし君のように批判したのでは、何も始まらないだろう。不完全にせよ資料を公開す
ることで、不備の指摘が集まり、完璧に近づくという考え方もある」
「僕は書誌というものを厳密に考えているのだ。現に島田一男の項目に関して、黒白さん
が疑念を呈しておられる。あのリストにはそういった穴がいくつもあるはずだ」
「そういえば成田さんからもフォローの要請があったようだが」
「その件については黒白さんの掲示板に書かせていただいた。
……いつもは俺、成田さんと話す時も目一杯背伸びしてるんだけどね」
「な、なんだよ。いきなり口調変えるなよ。なんの話だよ」
「疲れるから最近はシークレットブーツを履いてる。ふふ、気づいてない、気づいてない
わ」
「吉田戦車かよ! ネタが古いよ」
「黒白さんのところを訪れるからには鎧兜に身を固めて、竹馬に乗って行ったんだけどね」
「普通の人は引くぞ、その格好」
「一書き込み完全燃焼」
「アストロ球団かよ!」
「しかしまあ、黒白さんみたいな鉄人が「私はただのサラリーマンです」とか謙遜なさる
風潮は困ったもんだね。おかげで俺みたいな薄い人間が魔人呼ばわりされて、言訳したっ
て「ああまたか」って信じてもらえない。俺なんか単分子繊維で織った布みたいに薄いの
に」
「訳がわかんないよそのたとえ」
「お見せできないのが残念です」
「もういいよ!」
ううむ。大井廣介はむつかしい。
(黒白さんもごめんなさい)
[2000年12月6日 23時50分28秒]