メールコーナー

■このコーナーは、いただいたお便りで構成するコーナーです。
     ミステリや山風、当HPに関してなど、なんでも、お寄せください。


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4/28 ハンニバル from マーヴ湊さん

 『ガラスの鍵』の件ではただの思い付きの割に、過分な褒め言葉を頂戴してしまいました。私は余り評論を読まない口ですので、既に何らかの定説があったとしたらお恥ずかしい限りです。
 先週は話題の『ハンニバル』にかかりっきりでした。ハリスも『羊たちの沈黙』で大儲けしただろうし、出版社にせっつかれて書いた気の抜けた続編になっているのではと警戒しつつ読み始めたところ、前作のテンションをしっかり保っていたのは見事でした。途中までは先が読めてしまうので冗長な感はありますが、ディテールへのこだわりで飽きさせません。クライマックスがかなり悪趣味と聞いていたので身構えていたら、想像を上回る強烈かつエレガントな残酷描写だったのには参りました(このシーンの映画化はまず無理でしょう)。行くところまで行ってしまった結末にも唖然。
 週末は口直しに泡坂妻夫『からくり東海道』を選びました。泡坂独特のぶっきらぼうなユーモアで味付けしてしかるべきプロットなのに、ですます調の語り口がおとなしすぎてどうも乗れずじまい。ひょっとして『ハンニバル』の濃厚な世界に浸った後遺症でしょうか?
 蛇足ながら、21日付け「翻訳ミステリ・アワー」のレオ・ブルース=レニー・ブルース突っ込みって、成田さん一度使用済みですよ。 それでは又。

 「行くところまで行ってしまった結末」。大いに食欲をそそられます。どんなんでしょう。その行為をもって、ハンニバリズムとか言う言葉ができたらいやだなあ。
 レオ・ブルース、レニー・ブルース、お恥ずかしい。どっかで使ったような気がしていたのですが。最近、とみにメモリー回線が切れてきています。でも、そこまで読みこんで下さって、ページ制作者としては有りがたいです。このネタ自体は、もとワセミスの某氏のものだったと思います。




4/7 Re恩知らずの秘書へ from mushitaro さん
>パラサイト関の翻訳ミステリ・アワー >3/30 恩知らずの秘書へ
>メールコーナーを見て、びっくり!社長秘書にサイン入りの「匣の中の失楽」を譲ったのは俺じゃねえか!この、恩知らず!売ったか、麻雀のカタ >で取られたかは忘れたが、あれは俺!それを成田さんまで「あひ!そうだっけ」とは。集団呆け老人か。

 うーん、確かにそうだった。言いわけになりますが、成田さんにメールを送った後、「あれ、もしかすると入手先は、P氏だったかも。」と考えないわけではなかったのです。「でも、善行を施したことはあっても受けたことはないわな。」などと勝手に思い込んでおりました。そう言えば、遠い記憶を逆上ると、ハヤカワの文庫本(カー?)と交換したような...。(それも妄想?)
 **年前のあの日、ツモ上がりしたP氏が、本当はハネ満なのに三暗刻を数え忘れて満貫と言ってトップを取り損ねたようなことまで、その時食べたエビ丼の味とともに鮮明に覚えているというのに...。
 この有様では、全国秘書百選にノミネートされた私も社長秘書廃業です。サンノゼにでも行って、某課長の秘書にでも雇ってもらいましょうか。
 週末は、古いものばかりですが、買い置きしてた本を読んで過ごしてました。
◆「僕を殺した女」(北川歩実)[★★★]
 本当は、破綻しているような気がしますが、手袋をひっくり返して、また裏返しにして、また裏返すような過程を楽しめました。ただ、「昨日まで男だったはずが、朝目覚めると若い女に変貌していた。私は一体誰でしょう..。」という派手な設定の割に意外と展開が地味。遠い昔、S.ジャプリゾの「シンデレラの罠」を読んだ時のような酩酊感まではちょっと。一回英語かフランス語に翻訳して、もう一度日本語にするともっとスマートな小説に仕上がったかも。
◆「麦酒の家の冒険」(西澤保彦)[★]
 ケメルマンの「9マイルは遠すぎる」を長編でやりたかったとのことですが、絶対失敗作です。推理合戦自体もその果ての結論を聞いても、「ああ、そうなの」程度としか思えません。この作者の文章やタッチが好みではない、というこれまでの思いを再度確認できたのが唯一の収穫でしょうか。◆「鳥玄坊先生と根源の謎」[★★1/2]、
◆「鳥玄坊・時間の裏側」[★★](明石散人)
 教養小説、哲学・思索的な要素が詰まった作品かと思って読みましたが、良くも悪くもエンターテインメント小説でした。2冊読んで、もう何でもありなのが分かりましたので、全長2650フィート、484万トンのウルトラモササウルスが暴れようが、UFOがγレーザーを振りまきながら飛ぼうが驚きません。「天下の奇書」だの「めくるめく知の饗宴」とかのコピーはおおげさでしょうが、「地下洞窟内で発見された17の神殿」だの「信貴山縁起絵巻の怪」とかの言葉に敏感に反応する人なら、読むのが楽しくて仕方ないかもしれませんね。
◆「瓶詰めの街」(いしかわじゅん)[★★1/2]
 ハードボイルドのパロディなんでしょうが、私は好きです。(ちなみにコミックでは「ちゃんどら」もかなり好きです。)でも、いしかわじゅんについて、今の10代、20代の読者はどのように感じるのでしょうか。なんだか、面白がっていると、ナツメロを聞いて涙している中年みたいに思われるような。笑いのセンスがもしかするとずっと古いのかも..。それでも面白いと思うんですがねえ。

 関氏も俺も、フが数えられなかった。んで、mushitaro氏がハネマン挙がれば逆転だというときに、なぜか役が足りないのに、いつもハネマンコールをされて、歯ぎしりしてたんだよね。世の中は、惜しみなく奪う人と奪われる人でできてることを学びました。
 読んだのは「瓶詰め街」だけ。キャラもすっかり立ち上がって、これで終わってしまったのは、惜しいです。まあ、今の若い衆には、いしかわじゅんは、マンカBS夜話に出てくるえらそうなおじさんなのでは。見たことないけど。
 教養小説ってのは、主人公が成長していく過程を描いた小説のことをいうんだぜ。

 


3/28 入神 by musitaro
 今となっては話題が古いかも知れませんが...。
 先日送った牧野修の「偏執の芳香」の感想で、ラスト処理に関して私が不満の意を申し述べたところ、成田さんがあれはあれでいいのではとのレスがありましたので、もう少し書き足します。確かに、作品としての完成度の点であれ以外のラストが考えられるのかと問われれば、なかなか返す言葉がありません。
 ただ、あの作品を読んでいて、知らず知らずの内に「何か既存の作品のジャンルを超えるもの」を期待していたこともあり、ラストで「あれ、これじゃホラーじゃん。あ、そうか今まで読んでいたのはホラーだったんだ。」と感じたことが、若干口惜しかったということです。その後、「忌まわしい匣」も手に入れ堪能しました。
 そうですか、あの(*1)パラサイト関氏が課長ですか。感慨深いですね。それはおめでとうございます。弊社においでの際は、役員用の応接室で最上級のおもてなしいたしましょう。
*1: **のショックで、3ヶ月間、私のブックバンド(時代が偲ばれる)を首に巻き、汚れた白衣を身にまとって幽鬼のように学内外を彷徨っていた、または、友人の結婚式に黒いネクタイをしめて出席していた の意。

◆「入神」竹本健治(南雲堂99/9)[★★]  
 文壇有数の囲碁の打ち手、竹本健治自身が書いた本格囲碁コミック。牧場智久ものです。次のカテゴリの方にはお薦めできます。
1)IQ208の若き天才棋士・牧場智久シリーズのファン・少ないだろうなあこんな人(私はトランプ殺人事件までは評価してますが、その後の牧場智久ものはいけません。ほとんど★×1、「風刃迷宮」にいたっては★半分です) ただし、これはミステリでもミステロイドでもない囲碁漫画ですので読んでがっかりしないように。
・武藤類子ファンは読まない方がいいかも(本人も認めるとおり女性は全然可愛く描けてませんので) 2)あの「匣の中の失楽」の竹本健治の作品は、何度裏切られても、どんなに酷くてもとにかく読まなくては気がすまないという宿あを持つ者(わたしか)
・そういえば、私が持っている「匣の中の失楽」(幻影城版サイン入り初版)は、確か成田さんから貰ったか、何かと交換したかでした。
3)囲碁ファン・それも、囲碁の歴史や壮絶なプロの世界のエピソードに興味を持つ人ならかなり楽しめるはず・宿命のライバル桃井が牧場との一戦でみせる神が授けたと評される一手(作者はこの手を考えるのに何百時間もかけたらしい自信作)については、囲碁のルールを知ってる程度の私では鑑賞しようがなかったですね。
 小説家になるよりも漫画家を目指していたらしいですが、上手い下手というより、画のセンスが20年前でストップしてますから、漫画だけで評価したら一寸きついですが、これはご愛嬌でしょう。ただ、綾辻行人、京極夏彦、島田荘司ほか130人もの豪華アシスタントの画がちりばめられているらしいですからある意味では豪華版です。

 あひ、「匣の中の失楽」サイン本なんて譲ったっけ。今となっては、お値打ちかも。
 「入神」。漫画に関しては、当方、センスゼロだけど、盤上に脳しょうをまき散らすような死闘の雰囲気は、よく出ていたと思う。



3/20 Re もう一冊カー by マーヴ・湊さん 
 前回のメールでは性的ニュアンスと書きましたが、セックスに関する直接的な言及とした方が適切でした。成田さんの指摘された初期作品での性的ニュアンスとは恐らく秘密クラブの描写や殺人行為のエロティシズムを指してだと思うのですが、『血に飢えた悪鬼』でのベッド・テクニックが云々という会話や、『仮面劇場の殺人』で主人公が”お得意の水平姿勢”だの”(別居した妻が)15歳から60歳までの男のズボンを脱がせている”だの言い放つ露骨さはやはり晩年のカー独特のものなのでは。 大まかに性的ニュアンスと言えばカー作品には全般的にありますね。『読者よ欺かるるなかれ』でH・M卿が犯人の性格を評するくだりにも、性的なほのめかしを感じた記憶があります。
 昨日、山風の『幻燈辻馬車』読了しました。幽霊がギミックとしては上手く機能せず、主人公の窮地を救う切り札として使われているだけの感があり、山風作品としてはう〜む並。明治物の個人的な順位は一に『警視庁草紙』二に『明治断頭台』で変わらず、です(『明治十手架』は未読)。では又。

 続報ありがとうこざいます。「セックスに関する直接的な言及」の面では、確かに晩年ほど露骨になってるかもしれませんね。EQMMのレヴュアーとして、同時代の作品をよく読んでいた影響かも。どっちかというと、全作品に通底する「大まかな性的ニュアンス」の方が気になるかも。伝記など読むと、本人は相当の発展家(死語)だったようで、その影響もあるのかもしれません。
 『幻燈辻馬車』いま一つでしたか。ロマンという意味では、非常によくまとまっているとは思うのですが。『明治十手架』はちょっと落ちるかも。




3/14  もう1冊カー from マーヴ・湊

 アメリカの叔父さん」興味深く読ませて頂きました。オペラ版『ヴァリス』とは想像を絶しますが。
 『魔女が笑う夜』が後を引いたのでカーの遺作『血に飢えた悪鬼』を読みました。評判の芳しくない作品だけに、期待しないで接したのが却って良かったのか、そう悪くもないじゃないかという印象。
 密室での犯人消失トリックは、犯人の意図した単純な計画が予想外の事態で複雑化するというカーお得意のパターンで、私は仕掛けられた錯覚にまんまと引っ掛かりました。この作品には、久しぶりに再会した妻のベッドでの反応が以前と違う!果たして別の男の影響なのか?あるいは瓜二つの別人なのか?という艶笑譚めいた謎もあり、(濡れ場などは出てきませんが)登場人物たちの会話がカーにしてはかなり露骨なのが驚きです。
 これは『仮面劇場の殺人』でも感じたことだったので、試しに残り少ない未訳の一冊『Papa la-bas』をAmazon.comでチェックしてみると読者レビューに"There is passion and even discreet references to sex"とありました。晩年のカーは性的ニュアンスについてある程度大らかになったということでしょうか。あるいは時代がそうさせたのか・・・。それでは又。

 ありがとうこざいます。『血に飢えた悪鬼』も実は未読。辞書引きました(笑)。「性に対する控えめな言及さえある。」ということでしょうか。「夜歩く」や「蝋人形館の殺人」といった初期にも、無論描写はないけど、かなり性的ニュアンスがあったような気もします(勘違いか)。カーと性的ニュアンスなかなか面白いテーマですね。

3/14 ジャンキー? from mushitaro 
 3月8日付けのパラサイト関氏の翻訳ミステリアワーに一部事実誤認があります。訂正をされたほうがよろしいかと。

>だって、ブラック・ジャックもルーレットもディーラーが強過ぎるっての。
>被害を最小に抑える事で何とか大事には至らなかった俺だが、腕に憶えの有る勘違いギャンブル野郎(どこかの社長秘書とか)はどつぼに嵌るのだろうな。

社長秘書が誰を指しているのかわかりませんが、もしこれが私のことだとすると
1)P.関氏と学生時代たびたび卓を囲み、毎回こてんぱんにしていたのは事実
2)月刊「**」原稿料、家教の謝礼その他有り金全部を失い、まとわりつくP氏を憐れみ、いつも、飯をおごっていたのも事実(パラサイトの名前はここから取った由)
 しかし、100回やって100回勝つようなものは、ギャンブルでもなんでもありません。自慢ではありませんが、私は勝つことが好きなだけでギャンブルは嫌いです。
 よって、ギャンブル野郎の例示に「どこかの社長秘書」を使用するのは甚だ不適切を言わざるを得ません。(本当は、1回か2回は負けたことがあったかも知れない..)

>翌朝もカジノの前を通ったら、朝からいるわいるわ憑かれたギャンブラーどもが。
>その中に蒼い顔をした荻島真一似の社長秘書を見た気がしたが、ネバダ砂漠の幻か。

当時、蒼い顔をしていたのではなく、P氏他が熱くなって真っ赤になっていた中で、一人冷静だっただけです。それにしても、荻島真一とは、**年前と言うことが全く進歩していません。せめて "朱雀十五似の社長秘書" とか書けないものか。
◆「どすこい(仮)」京極夏彦(集英社/2000.2)[★★★]
 「四十七人の力士」は文句無く傑作。しんしんと雪が降り積もる深夜の町を、湯気に包まれながら行進する47人の力士たち..。なんとシュールな世界。他の作品に比べ、押さえた笑いなのも好みです。
 しかし「パラサイトデブ」「すべてがデブになる」あたりまでは楽しめたものの、「脂鬼」「理油」あたりになると、もうついていけません。笑いが倦んでます。作者もこのシリーズ(?)に飽きてきたのでは。巧みなのは、最後に書き下ろしの「ウロボロス」を持ってきて幕引きをしたところで、これやられると読者は納得するしかないですもの。ああ、竹本健治がもとならラストがいくらひどくても、収拾がつなかくても仕方がない、彼の作風なのだもの、と。 S.成田氏の「いしかわじゅんならもっとうまくやるかも」はさすが慧眼。確かに、冗談の上にまじを積み重ねていく手法は氏の得意とするところ。
◆「偏執の芳香(アロマパラノイド)」牧野修(ASPECT/99.6[★★★1/2]
S.成田氏がべた誉めしていた「牧野修」が近所の本屋にあったので買ってしまいました。

>2000.1.10(月・祝) 『忌まわしい匣』
> 奔放なイマジネーションと独自の言語感覚でジャンルの新たな地平を切り開く俊英の短編集、とい>うより、もはや90年代の新しき古典と呼ぶのが妥当な作品集である。
> 牧野修が「現代の廃物」と「イマジネーション」を武器に、紡ぎ出す「新しい冒険」と「新しい恐
>怖」。「新しい文明批評」と「新しい思考実験」。この新しさがSFでなくてなんだろう。

 本書も出色。早速、未読本全部インターネットで注文してしまいました。「読む麻薬だ」というコピーはありふれてますが、神秘、幻想、妄想といった世界と、本書のモチーフの"アロマ"と相性が悪いわけありません。特に、クライマックスにいたるまでのゆるやかな狂気、見えない恐怖の扱いは素晴らしいですね。ただ、ラストは大いに不満。あの数行で、本書が凡百のホラーと同じレベルに堕してしまい、★半分減点です。

 隔離戦線みたくなってきた。まあ、じゃれあってください。
 『偏執の芳香』ラストまずいすか。あれはあれで、期待に応えているというか。最後は、サキだし(ほんとか)。




2000.2.23 from マーヴ・湊
 譲って戴いた『魔女が笑う夜』を読了しました。
  後期の作品とあって筋立てはシンプルですが、スラップスティックの中に手がかりを忍ばせる手際はさすがカーですし、H.M卿がなにか重要なことを言いかけると必ず邪魔が入るお馴染みのパターンも健在で楽しい限り。肝心の密室トリックについてはもうなんというか(笑)。無理だってば(笑)。
 このトリック自体はまあ珍重に価するとしても、十中八九失敗しそうなきわどいトリックを仕掛けておきながら、犯人が何のリカヴァリー策も講じなかったように読めるのが、ミステリとしては最大の欠点ではないでしょうか。密室内のヒロインがうまい具合に気絶してくれなかったら、誰の仕業かたちどころにバレてその場でお縄を頂戴する羽目になるのでは。失敗した場合に犯人はどうするつもりだったのか、カーほどの名人であれば納得のいく説明を用意できるはずなのに残念。
 「後家」がヒロインに触れたというくだりの処理もカーにしては雑なので、全体的にはかなり苦しい出来という印象です。
 蛇足ですが、H.M卿がロシアの文豪の人形を投げ捨て、ディケンズやドイルを読めと叫ぶシーンには感じ入りました。エンターテイナー精神ここに在り。噂の怪作をようやく読めてほっとしました。

 掲載遅くなってすみません。私も、湊さんのおかげで『魔女が笑う夜』をやっと読みました(笑)。バカトリックとして有名な作品ですが、これはなかなか強烈。リカバリー策や「触れた」といった辺り処理も、湊さんのお書きになっているとおりだと思います。スラプスティックなヴィレッジ・ミステリとして価値ありということでしょうか。
 カーのトルストイやドストエフスキー嫌いは、一貫してますね。他の作品でも、何度か言及があったような。ディケンズよりも、ドストエフスキーの方が面白い場合もあると思いますが、まあそれは、別の話。



2000.2.20 from musitaro
 先日の東京出張の折り、ホテル近くの本屋で購入・読了した本のなかから新しめのものを2冊。
 京極夏彦の「どすこい(仮)」については、地方都市でも購入できること、分厚すぎること、読んでしまうと後の楽しみが少なくなること等から、まだ未読のままです。
 出張して遊んでいるようですが、待つのも秘書の仕事のうちと。
◆「耳すます部屋」(折原一)[★★1/2]
 10作掲載された短編集で、叙述ミステリといわゆる恐怖小説・ホラーがバランス良く配置されています。ただし、ホラー3作「のぞいた顔」「肝だめし」「鬼」は掲載誌の「怪談特集」か何かの為に書かれたのでしょうが、正直言って面白くありません [★]。 ミステリ作家らしく一捻りしてますが、この程度で「うーん」と唸るような素直な読者はそもそもこの本を買わないのでは?
  おそらく自信作は、劈頭におかれた「耳すます部屋」」[★★1/2]ととう掉尾を飾る「目撃者」[★★]なのでしょう。双方ともこの作家の本領発揮といった仕上がりですが、どうもこの人は文章が饒舌すぎる気がします。いかにも「ここで技をかけますよ」いいたげでかつそのポイントで技が入るものですから、本来であれば「1本!」のところが「効果」程度で終わってしまうというか何というか...。
凄いなと思うのは、この「耳すます部屋」は今年の1月に雑誌に掲載されたもので、モデルが「お受験殺人」とか世間を騒がせた例の事件をどうしても想起させる形をとっていることでしょう。傍目には仲良く交際する2組の母娘ですが、実は一人の母親の心の中で相手の娘への殺意が..という作品です。読者に勝手に実際の殺人事件を思わせておいて..となるところが作者の計算なのでしょうが、作品の出来不出来はともかく、世間の関心さめやらないこの時期に、こういう作品を発表するというミステリ作家の性に感心して1/2プラスよけいに付けてしまいます。
  「真夏の誘拐者」[★★1/2]は、母親がパチンコに夢中の合間に、駐車場の車が盗まれる。そこには彼女の子供を乗せてあったことから誘拐事件に発展し、犯人は 1,000万円を要求、母親はその指示に従い行動するが..という作品です。これは、作者の仕掛けが上手くかかったかなと思います。
◆「名探偵水乃サトルの大冒険」(二階堂黎人)[★1/2]
 成田さんの好きな密室物が2つあるぞと思ったら(「『本陣殺人事件』の殺人」「空より来たる怪物」)、既にリストアップ済でした。
 「吸血の家」「悪霊の館」等の二階堂蘭子シリーズがこってりしたフレンチのフルコースだとしたら、こちらは軽いスナック菓子のようなものです。どちらを選ぶかは人好き好きでしょうが、個人的にはこのシリーズの長編をぜひ読みたいとは思いません。水乃サトルは作者がトラベルミステリのパロディのために作ったキャラクターと解説されていましたが、トラベルミステリなるものを読んだことが殆どないので評価しようがありません。(西村京太郎や山村美紗の作品が該当するのでしょうか)
 「ビールの家の冒険」「ヘルマフロディトス」については、ああミステリ作家というのは、缶ビールを見ても、丸文字のフォントを見ても、ミステリに使えないかみたいなことばかり考えてるんだなあと、変に感心した次第。
 「『本陣殺人事件』の殺人」は、テーマパーク「横溝正史村」の本陣殺人事件の密室をリアルに再現したセットで、その経営者がモデルそのままの状況で死体で発見され、サトルがあざやかにそのトリックを見破るというもの。要するに「本陣..」をよく読むとそのトリックは成立不可能で、別の殺害トリックが使われたのではないかということを、実際の殺人事件を通じて解説したというもの。作者が実際に本陣を読んだときに考えたことを、いつか作品として利用してやろうと狙っていたふしがあります。もちろん、そのトリックは横溝正史の作品ほど美しくも戦慄するものではなく平凡。パロディ仕立ての面白さでしかありません。
 「空より来たる怪物」は、宇宙人やUFOの目撃される村のログハウスで、その調査にきた男が密室状態で黒焦げの死体で発見される。一緒に調査に来ていた男は、宇宙人の仕業と主張するが..という作品。密室の謎と宇宙人の謎、2つの謎があるのですが、宇宙人はちょっとひどいです。
 「A先生の名推理」(津島誠司)の「叫ぶ夜光怪人」(私これ[★★★★])の解決の方が素人っぽいですがよほど鮮やか。

 社長秘書というのも優雅なものなり。「『本陣殺人事件』の殺人」「空より来たる怪物」リストには、入っているがまだ未読なんですう。「叫ぶ夜光怪人」みたいのをあんまり褒めるのもどうかと思うけど。


2000.2.15
 自分の文章をインターネットで読むというのも不思議な感じがしますね。
  残念ながら、「バベル消滅」、「N.Aの扉」ともに密室や不可能犯罪は出てこないです。
 「バベル..」にはダイイングメッセージもどきが出てくるのですが、これはちょっと凄い(もちろん誉めているのではありません)です。目が回りました。
  でも下記の「どんどん橋、落ちた」は、不可能犯罪に入れていいと思います。後ろは垂直に切り立った崖、前は高さ30メートルの谷で川が流れている。唯一のルートのつり橋は壊れかけて1本のロープだけで繋がっており、子供の体重でも支えきれない。この状況の中で、被害者は崖から突き落とされたのだが...。手を下したのはさて? という作品です。
◆「どんどん橋、落ちた」(綾辻行人)[★★★★]
 短編集ですが、作者のいうとおり、最初から順番に読んだほうがいいですね。表題作「どんどん橋、落ちた」については、「アンフェアだ」とかいう読者もいるでしょうが、私は買いますね。フェアかどうかはともかくとして、思わずポイントとなる部分を読み直しました。「確かに今時○○○で××なんて△△じゃないとおかしいよな。」と納得できます。綾辻というと「館シリーズ」や「囁きシリーズ」で長編作家としての評価が高いですが、私はあまりたまげたor感心した経験がないです。むしろ、「409号室の患者」、「フリークス」やホラーの「再生」など中・短編の方が面白いと思うのですが。
  「ぼうぼう森、燃えた」は「どんどん..」とセット物ですが、これ、眉につばを付けて読んだにもかかわらず、見事にころっと騙されました。これまた「あんまりだ」という読者もいるでしょうが、少なくともこれくらい力技じゃないとマニアはうならないのでは。
  「伊園家の崩壊」については登場人物のリストを見れば(声をだして読めばもっと)お分かりいただけるでしょう。「福田笹枝」「伊園和夫・若菜」「福田樽夫」等、ある意味でおなじみのキャラクターをモデルにした家庭が、突然無差別殺人はするわ、薬中毒だわ、知恵遅れだわで見事に一家崩壊する様を描いた作品です。本編の魅力の中心はもちろん、この日本の象徴ともいえる平和な家庭と本編に登場するかくも無残な滅亡の物語とのギャップにあるのでしょうが、きちんと本格はしています。
 前2作ほどの離れ業ではないですが...。それにしても、このキャラクターをこのようにしてみたいという欲求は万人が持つようで、最近発見した、さるホームページにも、同様の趣向が使われていて結構楽しめます。ご参考までに<http://www.atnet.ne.jp/~toshit/vsazae.html>
 「意外な犯人」については、あとがきにも触れてありますが、さるTVで有栖川の「切り裂きジャックを待ちながら」、法水の「黒のマリア」と推理ドラマ3本立てで放映された作品のノベライズ物です。地方にいるもので、残念ながらテレビは見れませんでしたが、「ジャック」は「ペルシャ猫の謎」で、「マリア」は「パズル崩壊」で読みました。映像的にはおそらく一番成功した作品だと思います。文字にすると途中でわかってしまうかなとも思いますし、犯人がわかった時のインパクトも小さいですが、テレビであれば理屈抜きに楽しめたのではないしょうか。 .

 どもどもです。「どんどん橋」は、不可能ものと聞いていたので、読まなくては。「磯野家の崩壊」の方は、今時、こんな偶像破壊に意味があるのかとか、HMMでの笠井潔の絶賛に首をかしげたりしているので、いずれまとめて感想を書くかもしれません。


2000.2.7 from mshitaro
 最近読んだ本はあんまりなのばかりです。
◆「バベル消滅」(飛鳥部勝則)[★]、「N.Aの扉」(飛鳥部勝則)[★1/2]
 (もちろん★5つが最高点です)
 鮎川賞受賞作の「殉教カテリナ車輪」には、やれ「図像解釈学」だの袋とじの2枚の絵だの怪しげな趣向があり、この手の作品には非常に弱いものですから、もうそれだけで十分楽しむことができたのですが...。
 この作者の場合、次が難しいのではないかというか、もっと言うと次はないのではないかと危惧しておりましたが、やっぱりという感じです。まさか同じ手は使えないだろうと思ってましたが、なんと今回の2作にも、堂々と作者自作の絵が掲載されてます。ただ、絵の処理についてだけ見ても「殉教..」に及ばないですね。「殉教..」においては、絵が主役であり、それもこの絵でないと作品が成立しないという必然性があったのですが、「バベル..」では、絵が重要なモチーフにはなってはいるものの、それが作者の「バベル消滅」(タブロー)である必要はなく、「N.A..」にいたっては添え物程度の役割りしか与えられていません。
 この作品が鮎川賞の応募作だったら、受賞は難しかったでしょう。 また、「殉教..」と「バベル..」はプロット自体が同工異曲で、この点もどうかなと。一種の叙述トリックを利用しており、本来は好きなタイプの作品なのですが、続けてやられると..。
 あと、3作通じていえることは、それぞれにエキセントリックな女性(少女)が出てくるのですが、話言葉があまりといえばあまりにも異様。これ、わざとの部分もあるのでしょうが、この作者は普通の女性との自然な会話文が書けないのだと思います。
 もしかすると、実生活でも女性と普通のコンタクトが出来ないのではないかなどといういらぬ疑いを持ってしまうくらい凄い会話です。
  ただ、相前後して読んだのが、北村薫の「朝霧」でしたので、比較するのが酷かもしれません。
 「朝霧」に関しては、パラサイト関氏の書評に賛同するところ大です。(すなわち、「山眠る」:★★★★ 「朝霧」:★★)
  「N.A..」の方は、ミステリというよりも、作者の昔の読書&執筆経験を小説の形に変えて書き綴った本です。発刊した新潟日報事業社も原稿をもらって困ったのではないかと思いますが、地元の作家ということで「エイヤ!」と出してしまった、そんな感じです。作中作への評論という形で名探偵N.Aが登場しますが、その秘密については結構面白かったですね。(前例が無いと思いますが)
◆「幻想運河」(ありすがわ)も、イマイチでした。(ノベルズになったのでさっそく購入しました)密室系でもやりだまにあげられていた「ペルシャ猫」を読んだときと同じようなあまり後味の良くない本でしたね。(全編薔薇のイメージ?単に薔薇という文字とバラバラという文字が沢山でてくるだけじゃないか)[★1/2]

 相変わらず、辛口ですなあ。最近、当方は人間が丸くなってきているので、こういうのは歓迎。続投を期待します。「殉教カテリナ車輪」は、確かに会話がつらかったっす。飛鳥部勝則の2作は、密室物なんでショッカー。
 

99.5.31

「ペルシャ猫」続報  from あけみさん

成田さま こんにちは。
先日は気持ちが先走ってしまいました。
あの後、新刊を書店で買い求め読みましたが、ペルシャ猫以外は概ねまともという印象を受けました。(いやしかし、ペルシャ猫がひどすぎるんで、何読んでもこれよりOKかもしれません)
有栖川氏、まだ大丈夫かも、というのが正直な感想です。
私は「孤島パズル」が大好きです。暗号が解かれていくさまなどルパンの奇巖城を思いだし(タイトルあっているでしょうか?)わくわくいたしました。
あと国名シリーズの短編にはいっていたジャパウォッキー(?綴りがあやふやです)の話も好みです。もう一度、孤島パズルのようなのを読みたいものです。
ペルシャ猫のついでに法月くんの新冒険も読みました。短編では彼は悩む暇がないらしく、安心して読めますね。さて、ホックの短編集が出るという噂を耳にしました。本当でしょうか??
うー、うれしい。うれしすぎる。もし詳細をご存じでしたらぜひぜひお教えください。それではまた。

 続報どうもです。「悲劇的」というのを読んだけど、これも私的にはキツかったです。そのうち、辛口の感想を書きます。「ジャバウォッキー」も読んでいるのに、本が出て来ない。
 ノリリン(私がいうとコワいか)も読みました、こっちは、大拍手。「新冒険」なだけに、ポーラ・パリス物的なテイストも、もうちょっとだけ、欲しかったような気も。
 えー、ホックの短編集については、EQ終刊号の総解説に木村仁良氏が「多くのシリーズキャラクターが勢揃いする個人短編集が今年じゅうに光文社文庫から刊行される」とありますね。「怪盗ニックの事件簿」以来だから、16年ぶり?いや、慶賀。
では、また。




99.5.22
  近況報告(すこしだけ) from あけみさん

成田さま

ずいぶんご無沙汰しておりました。まだ覚えていただけているでしょうか。
拝見するに、メールコーナにはいっこうに投稿者がいないようで
(それとも許可がでないだけ?)
なんだか、自分のメールがとてもとてもかわいそうです。くぅ〜。

さて、本日メールするのは他でもありません。
3月ごろ発売になったメフィストにて
有栖川有栖:ペルシャ猫の謎
を読んだかつ我孫子竹丸氏のホームページで、
これについての感想を読んだからであります。

成田さまはペルシャ猫をもうお読みになられたでしょうか。
私はこの作品は、超駄作だと思いました。
こんなのが日の目を見るなんて、信じられないです。

「鏡に自分の姿が映らないことがある」というせりふが
妙に思わせぶりなんで、きっとこれにからんだ解決がでてくるんだろうとは
思っていましたが、まさかこんなことって・・。
ミステリファン(あえて言わせてもらいます)には許し難い作品だと思います。
しかーし、我孫子さんが誉めてるんですよこれを。
ミステリ至上屈指の禁じ手!なんて、帯に書いてあるそうですが、
私には苦し紛れのコピーにしか読めないです。
うぅ・・。

さて、今は人が無理やり貸してくれた(?)高見広春:バトルロワイヤルを
読んでいます。すごくえぐいです。
こわいです。気持ち悪いです。
でも最後にどうなってしまうのか、それが気になって気になって、
先を読ませるのです。
明日は、予定していた仕事がキャンセルになったので、
休みをとってこれを読んでしまおうかと本気で悩んでいるところです。

追伸、山田風太郎の警察庁草紙(上)を読みました!
ここにでてくるお上は、人格者なんだか理不尽なんだかわかりませんね。
江戸末期から明治にかけて、有名どころがちょくちょく顔を
だすところも面白かったです。

ではまた。失礼いたしました。

>メールコーナにはいっこうに投稿者がいないようで
 くくう。そのとおり。メール・コーナーってのは、なかなか難しいですね。自分も他の方のHPを見て、メールを出したってのは、1回しかないし。(見ず知らずの方には、なかなか出しにくいものですよね)
ほんとは、掲示板の方がいいんでしょうけど、それについては、いろいろ思案中。かわいそうな思いをさせて、恐縮です。
「ペルシャ猫」については、とりあえず、当該作品だけ読みました。うーむ。
有栖川有栖は、ミステリ作家としては、ちょっとヤバイ時期に来てるかも。この種のネタは、ミステリ作家なら誰でも、一度はやってみたいと思うのでしょうが、これを成功させるのには、多重解決の果ての解決というような、それなりの周到な手続きが必要でしょう。作家同志のバカ話(それもさほど面白くない)をそのまま使ってしまったような、無精さというか粗雑さを感じて、怒るより暗い気持ちになりました。
バトル・ロワイヤルは、ネット上で結構話題になってますね。
「警視庁草紙(上)」読了ありがとうございました。(下)も他の明治物もよろしく。




1999年3月
ひゃあっ!   from あけみさん

読んだら出ててががががーん。
(はくしょん大魔王のつもり。古いなあ。)
ああびっくりした。

なるほどこういうふうになるのですね。

さて、天藤真と、鷹見緋沙子はもう図書館にあるのを
読み尽くしてしまったので、
(品揃えが悪い!鈍い球音が読みたーい。)
今週は肩の凝らないものを再読しています。

黒崎緑「しゃべくり探偵の四季」と泡坂「泡坂妻夫の恐い話」
を読みました。楽、ですよお。
しゃべくりのほうは、関西弁とつっこみの駄洒落に
食傷気味になりながらもなんか読んでしまう・・。
これって、やっぱり好きだってことでしょうかね。

しゃべりだけで構成する似た感じの作品に、
若竹七海の短編があったのですが、
こっちのはちょっとすっきりしません。
(女性同士の泥棒コンビ)
リーダを気取ってる女の子が仲間のドジ(?)のせいで、
最後にひどい目にあってしまうのですが、
その「ひどい目」が、全然笑う気分になれないのです。
作者はユーモアのつもりで挿入してるのでしょうが、
ちょっとはずしてると思う。

しかし、黒崎緑、
しゃべくり探偵ファンの私としては、
「闇のギニョール(人形:スペル違うかも)」というタイトルと
表書きを見ただけで、ひいてしまいます。
あんまりギャップありすぎるので。


ではでは、今日はこのへんで。
いつまでも天下のままだとちょっと淋しいですね。

 結構メールがHPに載ると驚いてしまうみたいですね。関も初めは、驚いていました。大丈夫、大丈夫。世界中の人なんて見てませんから。 
 泡坂の方は、読みました。年代順に並べられたショートショート集で、作家としての変遷がわかって、その意味でも興味深かったですね。
 黒崎緑は、短編を1本読んだだけかな。面白いのがあったら教えてくださいね。



1999年2月

○鷹見緋沙子を読んでみました。 from あけみさん


HPがすごく盛り上がっているので、私も天藤真と鷹見女史を何冊か借りてきました。

図書館の品揃えがあまりよくないので、1作目はgetできず、、。
「死体は2度消えた」「悪女志願」「最優秀犯罪賞」を読みました。

「悪女志願」は、佐知子の恋人のふりをしていた青年が、
真利子に対してあんまり暴君になっているのがとても奇異な感じです。
前半と後半で作者が違うのではないかと思ったりして、、。

最優秀犯罪賞では、古賀を操っていたのは誰かというところで、
夫人だけでなく専務の可能性も高いと容易に類推できるにも
かかわらず、古賀に疑われた夫人自身が、義理の弟に
助けをもとめるというのがさっぱり納得いきません。
さっきまで、社長の椅子を狙って、戦っていたのではなかったのか?

都合よくふたりとも死んじゃうしー。
専務のほうは、悪いことを企んでいたのだから、あのようなひどい
最後をとげるのも仕方ないかもしれません。しかし、
夫人は考えてみると、特に何もしてないんですよねー。
ここであっさり殺すかー、ふつう。
天藤真らしくないのでは、と思います。

ああ、お粗末。ではまた。
--
 こんなに読んで貰ってなんか申し訳ないです。鷹見女史も喜んでいることでしょう。


○京極および山田風太郎f Fromあけみさん

「魍魎の筺」はマイベストなのですがしかし、
密室トリック(?)はすぐにあたりがついてしまいました。
でも京極作品は、トリックがどーのこーの言うより、
その人物像や、広げに広げたみょうちきりんな事実(?)が、
ラストにむかってひとつに収束していくあの過程が魅力なのだと
思います。
そういう点で、もうりょうの次には塗仏が気に入っています。

さて、「十三角形」と「妖異金屏梅(一発で漢字変換できない!)」読みました。
十三角形のほう、犯人らしき人が何人も登場するところで、
なんとなく殺人者と細工をした人は違うという思いはいだきましたが、
最後に至るまで犯人はさっぱり、でした。
あまりにも奇矯な登場人物が多いので、「端正な、、」と言う表現は、
ちょっと当てはまらないのではないかと思いながら、読みすすめていったのですが、
ことさら奇矯に書いてある文を削り取って、
各々の役割を冷めた目でおっていけば、「端正」というのも
うなづけます。
しかし、どちらかというと、「金屏梅」のほうが、好みですー。
やってることはめちゃくちゃなんだけど、
自分の嫉妬とプライドのみというその動機が潔くて可愛くさえある。
でも、身近にいらしたらちょっと避けますけど、、、。

ではまた。
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 「十三角関係」なかなかでしょう。
 昔、応伯爵に憧れました。