■このコーナーは、ページ制作者(ストラングル・成田)の後輩にして、
ヤキのまわったミステリ・ファン、関氏(米国サンノゼ在住)のメールを基に
構成したものです。苦情等は、本人に転送いたします。
色違いは、成田氏のチャチャ入れ。
2001/5/8 ヤマフー熱、冷め遣らず
◆珍しく、拙書き込みに長文の解説をどうも。「夜より〜」はヴェルレーヌの詩でしたか。そして、母屋で話題の永井荷風訳とは何たる因縁。ううむ、山田風太郎、無性に読みたいぞ。出版芸術社の第二巻「忍法創世記」はもう出たのですか?某
HPの新刊情報見たら4月下旬刊となっていましたが・・。それと、同じく5月には角川よりラスト・インタビュー集として「ぜんぶ余禄」と言うのが出るそうじゃないですか。スカスカ本だろうけど、読みたいなあ。
◆「掲示板」に映画「拳銃対拳銃」のこと、書いておいてけど、俺の心の荊木歓喜は(また、成田さんの「やめてくれ」の声が聞こえる)「見ごろ食べごろ笑いごろ」のベンジャミン伊東なんだけどなあ。
◆創元からニコラス・ブレイク「死の殻」、レオ・ブルース「死の扉」も年内に出るのですね。良いなあ。ブレイクはまたいぢめたいなあ。
◆今日の昼休みに紀伊国屋を覗いたら、「模倣犯」の上巻が一冊だけになっていた。推定4冊は先週末に売れた事になる。ところが、下巻は未だ手付かず。皆苦労しているのか?誰か一人くらい上下一緒に買う奴はいなかったのか?
◆日曜日、The Mummy(邦題「ハムナプトラ」)の続編"The Mummy returnes"を観に出かけたら、すげえ行列で二時間先の回までソールド・アウト。ラジオによると、スター・ウォーズを抜いて歴代2位の滑り出しだったらしい。どうりで。仕方ないので、Spy
Kidsと言うSFXモノを観る。悪役でお懐かしやピーウィー・ハーマンが出演!しかし、最新のSFXに掛かるとホントにもう何でもアリで、絵に出来ないシーンなんてないのね。
◆この夏の超大作にスピルバーグ監督の「パール・ハーバー」と言うのがあるのだけど、何となくアメリカ人に混じって観るのに恐怖を覚える。
ベンジャミン伊東...。
やめてくれええ。山風自身は、モデルは黒澤明「酔いどれ天使」の志村喬といっている。
「忍法創世紀」は、今月中には本屋に並ぶ(はず)、インタヴュー集は、ノーマークでした。
ブレイクいぢめもやめてくれ。宮部みゆき定点観測ですな。上下本は、同じ数だけ刷っているのだろうかとふと思う。「パールハーバー」どはは。体験記を是非期待したい。
2001/5/7 古本屋再び
母屋の掲示板に、やすさんと言う方からご教授頂き、ロスやトーランスに古本屋がある事を知る。掲示板でも書いたけど、無知は恐ろしいと自戒す。インターネットの「YYコミュニティ」で検索したら、どうもリトル・トーキョーにあるShojikiyaのことらしいが・・。いやあ、カリフォルニアあちこちにも色々とあるようです。そう言えば、近場でも思い出した(笑)。古本屋というか貸し本屋。レンタルビデオショップで三軒、文庫本や漫画本のレンタルもありました。それと中国系のベーカリー(ここの小倉あんぱんはうまい)にも、一冊$1くらいで古本文庫・新書が売ってましたわ。
でも、いずれも掲示板にあったような夢のラインナップにほど遠く、ついつい記憶の笊からこぼれておりました。
近くベイエリアの古本屋リストを片手に、探求ツアーを企画しましょう。重ねて、ご教授有難う御座いました。
サンノゼ紀伊国屋で何気に文庫コーナーを眺めていたら、横溝正史(20冊くらい在り)の在庫の中に93年刊(7年前の新刊!)「金田一耕助のモノローグ」が!こんな本(とうに絶版っすよね)が新刊で置いてあるなんて。あと、創元の日本探偵小説全集(全12巻)も、10巻だけ欠けて11冊が在庫。早川HM文庫でも、エリザベス・ジョージが全冊揃い、と買い逃し派には嬉しいものがあった。
今年の1月に報告した飯野文彦「アルコォル・ノヰズ」は未だ4冊そのまま新刊コーナーの隅に・・・。霞流一の「スティーム・タイガー」2冊は見かけないから売れたらしい。入り口正面にどぉーん、と積まれた宮部みゆき「模倣犯」は上巻が一冊のみ売れている。
米国古本屋紀行、刮目して待つ。「金田一〜」、エリザベス・ジョージ、日本探偵小説全集、皆生きているのではないかと思って、bk1で検索してみたら、出てこなかったのは全集の3(角田・大下)、11(名作集1)だけですぜ。「アルコォル・ノヰズ」と、「スティーム・タイガー」は、そうですか。「模倣犯」は、もっと売れそうだけどなあ。
2001/5/2 ヤマフー
ヤフー!と山風をかけて、「ヤマフー!」と言うのを考えましたが、もうどこかで使われてますか?
無性に山田風太郎を読みたくなり、クロゼットの棚から積読の一冊を手に取る。
「夜よりほかに聴くものもなし」山田風太郎(廣済堂文庫)96.8
同文庫の『山田風太郎傑作大全G』で、オリジナルは62年作。全十篇の短めの連作短編集で、いずれも法に救われない事件やら、それでも私を裁きますか的な絶望と悲哀が横溢している。これらを老齢の八坂刑事が時に人間味溢れる慈愛を寄せ、時に同情の涙を流しながら、しかし必ず最後にはどこまでも忠実な法の番人として「それでも、私はあんたに手錠をかけなければならん」と、毎度泣いてバショクヲキルのだ。この全編のラストで印籠の如くに用いられる決めのセリフ、少々ウザイんだけど、まあ良し。十篇の中では無責任な大衆こそ一番罪深いとする第六話「黒幕」、マスコミに扇動されるその一般大衆の皮肉を描いた第九話「敵討ち」の二編に共通のテーマが、まんま現代も続くマスヒステリー批判になっていて、良い。ベストは絶望的な妻への愛を描いた第十話「安楽死」かな。★★★
各編、ちょっと短すぎて食い足らず。しかし、このタイトルの由来は何なのですか?味のある良いタイトルだけど、その題意を知りたい。
この文庫の底本にもなっている現代教養文庫版のシリーズは高校時代に刊行されたもので、当時札幌旭屋書店で初お目見えした時の事を今も憶えている。角川「バラエティ」誌で後日賞賛されていたものだが、夢野久作に忙しくて(笑)、手に取らなかったのだよな。
で、話しは唐突に梶原一騎に飛ぶ。「梶原一騎伝」斎藤貴男(新潮文庫)01.3
いったい、ある年代の日本の少年で梶原一騎のお世話にならなかった者が一人としているだろうか。俺はもう「巨人の星」への思い入れと言ったら、今でもそらで語れるエピソードが十や二十はあるくらいだ。これは、その「巨人の星」「あしたのジョー」で天下を取り、当時ノーベル賞作家の川端康成よりも原稿料が高かった劇画原作一代の栄光とその後のダーティな転落の詩集を克明に描いた物。いやあ、前半部の上り調子の頃のキラメク才能、各名作の誕生秘話にはゾクゾクさせられる。そして一転、頂点に立った奢りから一気に凋落する後半部の何と悲しい人間の二面性よ。つのだじろうを恐喝した事件とか、枯れた才能で無理やり書きつなぐエログロ駄作の乱発とか、狂気が枯野を駆け巡る感がある。そして最後に辿り着いた彼岸の境地で、万感の思いで書かれた自伝劇画「男の星座」。劇画界の佐藤紅緑たらんとした男の数奇な人生を、何とも暗い気持ちで読了した。
>もうどこかで使われてますか?
使われてます!ここ。 3年近く前の「謎宮会」の企画で、高橋まきさんがYAHOO!をそっくりパロッたスグレもの。陽の下に新しきものなしですな。当サイトもリンクが貼られており、「コンメーディア」が褒められているのが、今となっては痛い。
「夜より〜」は、社会派色が濃く、私的にもちょっと他より評価落ちるかもしれない。
タイトルの元ネタは、教養文庫版の平岡正明解説によると、ヴェルレーヌの詩ということ。でも、手元の堀口大学訳によると、
「かくて影、燕麦(からす麦)茂るが中を分けて消え
その言葉ききたるは唯に夜のみ。」
となっていて、異なっている。
訳者は、誰かと「人間臨終図鑑」のヴェルレーヌの項を見ると、出てきました。ちょっと前の方から引用すると、
「昔の空は青かった、昔の望みは大きかった
けれど、その望みは流れて、暗い空にと消えました
からす麦、しげった中の立ちばなし
夜よりほかにきくものもなし」(わびしい対話」永井荷風訳)。
2人の老いた恋人が昔を懐かしむという詩のようです。引用部分は、小説のタイトルとしては、絶妙だよね。永井荷風訳というところが、WHAT'S
NEW?の話題と微妙にシンクロしています。
ヴェルレーヌは、風太郎の好きな詩人で、『明治波濤歌』所収の「巴里に雪のふるごとく」には、なんとヴェルレーヌ本人が登場します。(ほかに、ルコック探偵まで出てくる)
一時の日本人には、荷風訳ヴェルレーヌが基礎教養だったんだろうけど、今では梶原一騎マンガがそうかも(無理矢理)。「梶原一騎伝」は、文庫で出たときに、気になって購入済み。そんな暗い話になるのか。
2001/5/2 五月連休の皆さまへ
所に依っては九連休?くーっ。当地では1/1の次は5/28のメモリアル・デイまで祭日は無いのにぃ。で、「ゴールデン・ウィークには大作を」とかで、宮部みゆきの「模倣犯」やら話題の本を読めや唄えの舞踊りで満喫されているのですね。東京出張ご苦労様です。何だか往年の「ミステリ大会」レポートを遠く根室から指を咥えて見ていた新前社会人になった気分です。当地での古本事情(勿論日本の)について。「ブックオフ」がハワイについでニューヨークにも出店したのは周知(うっかり、前回クリスマスに行った時には忘れていた)の事ですが、それ以外で日本の古本屋はありません(当たり前田)。狙い目は日本人が引越・帰国の際に行う「ガレージ・セール」「ムービング・セール」の類で、当然引越しに邪魔な本が大抵$1くらいで売り出される。まあ、あまりヒットは無かったけど。ミーハー書や超ベストセラー本の中からコアなミステリ物を探すこと自体、えらい制限で。先日は「ハサミ男」の人の本が数冊まとめて出ていましたが「こんな厚い本買ったら、待機中の翻訳ものをいつ読むのか?」と自問して、堪えました。古本屋も久しく行っていないなあ。
WEB「本の雑誌」の「今月の文庫本」で土屋隆夫の「天狗の面・天国には遠すぎる」が取り上げられており、いつもはAAAからDまで最低評もあれば最高評もあるのに、見事に低レベルの層で評価が固まっていた。この二作、すっかり内容も忘れており反論らしい反論も出来ないのだけど、もうちょっと面白かった筈・・・のような気も。でも、土屋隆夫って正直少し苦手だった。お気に入りは「危険な童話」なのだけど、「小説」そのものに対する真摯過ぎる取り組み方が妙に息苦しかったり、読み易さの中に一種異様な「文学臭」のバリアーが張られていたり、素直にのめり込めなかったな。往時の角川文庫で全作網羅に向けて好調にリリースされたけど、どこかで失速して以後一気に絶版道へまっしぐらだったのも、俺には頷けた。でも、今は読みたいねえ。
個人情報の部分を修正させていただきました(笑)。米国では、前半は、祝日はあまりないのか。中2日いくと、あまりありがたみを感じないなあ。
リトル・トーキョーとかに日本の古本屋はないのかな。あれば、なかなか凄そう。
土屋隆夫は、俺も、苦手で数もあんまり読んでない。その文学臭が、埃っぽい「文学」のような気がして。
2001/4/27 74歳と77歳
ここカリフォルニアは相変わらずの電力危機が続いており、遂にこの水曜日、夜間停電が。丁度TVを見ていた10時半頃に突然の暗闇に。夜の停電なんてガキの頃に経験して以来だ。30分経っても一向に復旧する様子も無い。懐中電灯の明かりで風呂に入り、寝静まった3時頃に復旧。一晩中だと、冷蔵庫が心配だったのよね。電力不足の影響でガソリン代もあがると言うし。
エド・マクベインは26年生まれの今年74歳!そして、翻訳の井上一夫は23年生まれの77歳!!とても、そんな年齢を感じさせないのが87分署シリーズなのである。
「ノクターン」エド・マクベイン(HPB1679)00.5
97年作のシリーズ第48作。銃殺された老女はかつて世界的に有名だったピアニスト。捜査に乗り出したキャレラとホース。同じ頃、同姓の三人組み(皆リチャード)高校生が、麻薬の売人と売春婦に出遭い、衝動的に二人を殺してしまう。老ピアニストの孫娘プリシラは届けられた手紙から、祖母が彼女に大金を遺したらしい事を知るが、手下の用心棒二人に横取りされて・・・。いやあ、相変わらず殺伐とした大都会の片隅で起こる事件を読ませること。無関連な二つの事件が微妙に交錯し合いながら、織り成される人物往来。深夜シフトのキャレラとホースのハードな業務、昼勤組のマイヤーとバーンズとの対比、そして88分署の一匹でぶ狼オリー・ウィークス。本筋のピアニスト殺しの真相は(早くから犯人の目星はつく)かなり切ない。そして綺麗事では無い、救いの無い所が、アイロニカルで良い。脇筋の三人組の衝動殺人(これが吐き気を催す無軌道な殺人)の方は、やや曖昧に終わるのだが、こちらはその方が良い味付けと思う。久し振りに読んだ87分署の面々のツライ捜査と、微笑ましい家庭のエピソードと、コントラストが絶妙で、そのパワーの持続力は驚異的だわ。イアン・ランキンに
全然負けていない、本家の意地を見せ付けられた。★★★1/2
最近は韓国「豆腐チゲ」にはまっております。その名も「Tofu House」と言うレストランですが、石鍋で出てくる豆腐チゲは地獄の釜もかくやと思わせる怒涛の沸騰振り。無料サービスのキムチ他6種類の前菜を突つきつつ、ご飯を鍋に入れたり、掛けたりして超アツアツのところを食べると、身体中がポッポしてくる。店の親父がまた元気が良くて、活気がある。何でアメリカで、いっつもアジア料理やねん、と言われても困る(笑)。でもうまいんだ。
TVをぼーっと見ていたら、"Nero Wolfe Mystery"と言うのが・・・。第1話の冒頭を見るが、アーチ-をティモシー・ハットンが演じておりました。時代を再現した丁寧な作りで、タイトルバックも30年代風?ただ、ネロ・ウルフの役者が俺のイメージより50%は痩せていて、小でぶウルフと言った感じ。いくない。科白を追いかけていたら疲れた。それよりビデオで借りた日本の4月新番組「新・お水の花道」の方が良いです。
カリフォルニア電力危機、直撃ですか。当地では、行きすぎた規制緩和の失敗例のように報道されているけど、住民にはたまらんなあ。井上一夫77歳というのは、ちょっとした驚き。
たまに、おいしいアメリカ料理?の紹介もよろしく。
2001/4/18 ボストンとテキサス
4/5〜6でボストン郊外のグロースター(映画「パーフェクト・ストーム」の舞台になった漁港町)に出張した。サンフランシスコ〜ボストンは飛行機で片道6時間。これは分厚い本が読めるわいと、レジナルド・ヒルを持参した。この季節のボストンは最低気温2℃と聞いており、コート持参で行ったけど、さほど寒くも無く。同行のデニスにロブスターとクラム(はまぐり)の茹でたのをたらふくご馳走になる。茹ではまぐりは日本人向け。ペロリと30個は食った。一泊の移動は時差3時間もあり思いのほかキツイ。帰りの飛行機は小学生の団体と同便でうるせえの何の!だった為にひたすら読書に集中する。
「ベウラの頂」レジナルド・ヒル(HPB1690)00.6
シリーズ第15作。1998年作品。十五年前、ダム工事により湖底に沈んだデンデイルの村で、その直前に三人の少女が連続して失踪。当時村に住んでいた頭の弱い青年ベニーが容疑者として疑われるが、事件は迷宮入りのままに。そして十五年後、村人達が移り住んだダンビーの町で再び少女が失踪!町には「ベニーが帰って来た」と言う謎の落書きが氾濫。過去の事件を担当したダルジールは汚名挽回に乗り出す。山里の村を舞台にキングの「イット」を彷彿とさせるが如き魅惑の設定。パスコーの娘ロージーが友達共々細菌性の髄膜炎に罹り、生死の境をさ迷う。捜査途中で、病院に詰めるパスコーの苦悩は、四組の失踪した娘の両親達のそれとシンクロし、本作のテーマを成す。前作(「幻の森」)、前々作(「完璧な絵画」)の登場人物達がゲスト出演し、ウィールド部長刑事や前作よりレギュラー入りの女刑事ノヴェロの活躍に厚みを持たせる。作中童話の「ニーナとニックス」を現実の少女失踪に様々な形で絡め、マーラーの「亡き子を偲ぶ歌」に事件の真相を語らせる演出の冴え。正に「横溝正史の法則」通りの失踪者と少女達の行方、十五年前の事件の真相の痛ましさ・・。常に悠々とそこに聳
え立つベウラの山の如く、文字通り読者の眼前に示されていた十五年前の真実(ああ、何と大胆、何と巧妙な!)。これは「完璧な絵画」の雄大なトリックを上回る完璧な仕掛けで、脳天直下の老練な技のキレは見事の一語。常に倍満以上の出来で、近作三作は正に「倍満スリー」です。ダルジールの毒舌(パスコーも御大の影響を受けて近年毒舌ツッコミが冴える)快調で、これにウィールドを加えた”聖三位一体”トリオの強力なチームによる多角的な推理法は魅力的。全く齢を経るに従ってどこまで面白くなるのかこのシリーズ。ポケミス547ページはあの「黒と青」530ページを抜く最長記録なのですね。どうりで読みでがあった。★★★★
引き続き、4/10〜11とテキサスはサンアントニオに出張す。アラモ砦近くのリバー・ウォークでメキシカン。翌日の昼はケージャン料理(ルイジアナのスパイシーな料理)レストランでジャンバラヤ。同行の同僚は鯰のフライ。時差でまたややヘロヘロ。
「首吊りの庭」イアン・ランキン(HPB1685)99.12 ジョン・リーバス警部シリーズ第10作(邦訳三冊目)。エジンバラ新興のギャング・テルフォードが、服役中のカファティの縄張りを脅かし、一触即発の小競り合いが続く中、英語も話せないボスニアの売春婦キャンディスを匿ったことに関係してか、リーバスの娘サミーが轢き逃げ事故に遭う。第二次大戦中にフランスで大虐殺を指示した戦争犯罪人の容疑者リンツを捜査していたリーバスは、行方を眩ませたキャンディスを追い、轢き逃げ事故の犯人を追及する内に、チェチェンのギャング・タラヴィッチや日本のヤクザ・マツモトらが絡む大掛かりなギャング一味との対決に巻き込まれていく。どうしようもなく事件に感情移入し、のめり込んでいくリーバス。片時も仕事の事から開放されない筋金入りのワーカー・ホリック。前作より継続中の禁酒の誓いをかろうじて守りつつ、殆ど不眠不休で走り続ける。特捜班のクレイヴァハウス、リーバスシンパのシボーン、ジル、禁酒のお目付けジャック、上司ワトソン警視とお馴染みのセント・レナーズ署他の面々と、戦争犯罪人を追うロンドンのアバネシー警部。二つの無関係な事件は容疑者リンツの
殺人を契機に、徐々に繋がりを見せてくる・・・・。あの手この手のギャング達の違法ビジネスの実態が解明され、クライマックスの襲撃シーンでは思いもよらぬ悲劇が起こる。こちらもポケミスで440ページと厚手だが、くいくい読める。快調。ただもうリーバスの独善的だけど信念に長けた捜査に一喜一憂して身を委ねるのみ。邦訳一作目の「黒と青」から本作までポケミスNo.で10番刻みなのね。最近にしては積極的な紹介ペースで、因みに
1665「黒と青」 98/7/24
1675「血の流れるままに」
99/4/23 1685「首吊りの庭」
99/12/8 1693「死せる魂」
00/9/20 1700「蹲る骨」 01/4/19 と言うペース。
次は「死せる魂」を読んで、キリ番に備えるのだ。★★★1/2
いいなあ、ヒルとランキン読めて。(全然厚いのが読めなくなってきた奴)現在の翻訳ミステリ本流
ですな。ヒルを追っかけているサイ君も、ここ数作は、深みが増すばかりといっておりました。
2001/4/10 回顧モード
60年回顧、70年回顧は既に定着し、今後は80年代さらに90年代まで回顧の輪は広がるのだろうな、などと待っている俺。1980年ももう二十年前の話しか。80年の4月って、何をしていたかと言うと札幌予備学院二年生(笑)で、丁度出たばかりのフランシス・ネヴィンズ「エラリイ・クイーンの世界」を読みつつ、絶望の二浪生活に思いを馳せていた時だあ。漫才ブーム、ビニ本、ノーパン喫茶、ルービックキューブ・・・。
「現代<死語>ノートU」小林信彦(岩波新書)00.1
出版さえ知らず、買い逃していた本を先日ロスで入手。77年から99年までを網羅しており、「死語」=「流行語」=「トレンド」を鳥瞰するノートの趣で、前述の
80年を始め、この二十年の流行り廃りを一気にレビュー出来る。まだまだ記憶に生々しい言葉ばかりで、「死語」と言う括りがピンと来なかったり。しかし、ここには確実にこの二十年の歴史(如何に軽くても)があり、同時代を生きた者から見ると、虚しさと懐かしさが混同した複雑な気分になる。と、青年期の回顧熱に浸っていたら、次はぐっと誕生期の時代にタイムトリップした。
「リセット」北村薫(新潮社)01.1
サンノゼ紀伊国屋で$27(泣)。第一部は戦中の神戸・芦屋を舞台に女学生・水原真澄の日常が克明なディティルと共に描かれる。いや、もうその圧倒的な少女世界は読んでいて面映いやら、照れるやら。咽るようなフェミニン臭。誰かがネットの書評で「過剰な演技」と書いていたけど、「覆面作家」にもあるこの少女世界にはただ脱帽する。第二部は一転して現代。入院中の村上和彦が小学生時代を日記を元に回想して行くのだけど、この時代が昭和36年くらいの話しで、記憶にある俺の幼少時の時代風俗がラップして行く。克明な細部への拘りが知る筈も無い第一部の時代まで懐かしく思わせるこの不思議。獅子座流星群、東京オリンピックと言ったキーワードや啄木かるたなどの小道具の巧妙な使い方で、隔たる時代・時間が連続する時、不思議な奇跡が二人を結ぶ。
グレシャム「リプレイ」他先行する同テーマの作品は数在れど、「時代」をこれほど華麗に再構築した例はあるまい。ただ、読後感は「ああ、落ち着く所に落ち着いたな」と言った感慨はあるものの、衝撃的な印象は弱いかも(事実、チト期待外れ)。★★★
毒が欲しくなり、続いてポケミスのレジナルド・ヒルに挑む。
80年が20年も前というのは、どうにも感慨がわかない。こちらの頭は、80年代初頭で止まっているかも。バブルの恩恵というのもなかったしなあ。
「リセット」は、そうですか。(まだ、「ターン」を読んでいないだよね(涙))
2001/4/3 ロスの旭屋書店
先週末、金曜日年休を取り二泊三日でロスに行って来た。サンディエゴ、サンタバーバラも廻り最終日の朝にリトル・トーキョーの旭屋書店に行く。おお、この店の品揃えはNYの紀伊国屋以上!特に文庫の充実が嬉しい。創元推理などは八重洲ブックセンターと比べても結構イイのでは?嬉しいのは各社の文庫とも返品が難しいからか旧めの新刊までキチンと揃っている所。日本だと買い逃した新刊って地方書店でしか買えないけど、さながらここでのラインナップは準図書館並み。嬉しくて創元「他言は無用」「人魚とビスケット」を買う。ポケミスは残念ながら、ハードカバー・コーナーの一角にランキン「首吊りの庭」が二冊あったのみ。国書、新樹社系はゼロ。むむむ。
日本で話題の春陽文庫もなし。ちくま文庫は充実しており、小林信彦の既刊はほぼ全てあった!ついでに買い逃していた同氏の「現代<死語>ノートU」(岩波新書)00.1刊を入手。これで、この作家の新刊はほぼコンプリートが続いている。
ロスには他に紀伊国屋ともう一軒日本の本屋があるらしいが、旭屋の駐車場から車を出して通りを走ると、日曜の朝だと言うのにやたらと物騒で怖い!ガイド本にもリトル・トーキョー周辺のダウンタウンは「決して夕方以降の外出は控えるように」とあったが、納得の雰囲気。車で走っているのに怖くて泣きそうになる。こんな所地元の日本人はどうやって買い物に来るのだ。
新刊を出れば買い続けて来た日本の作家、まあ主にエンタテインメント系ですが、前述の小林信彦の他には今も続いているのって北村薫くらいだなあ、と思い愕然とする。随分減ったものだ。最近の人では京極夏彦のは講談社NVのシリーズは買っているけど、単行本はオチているし。泡坂妻夫もかなり前に脱落。ところで栄光のポケミス1700番って何?既にウエッブ上では有名なのかしら?まさか「魔の淵」?それはそうと、グリーンリーフの「憎悪の果実」には驚いた。タナーが帰ってくるとは。
>車で走っているのに怖くて泣きそうになる。
こら怖い。ロスの旭屋、八重洲ブックセンターと比較できるなんて結構いいのでは。ほんと文庫本は、逃すと苦労する。1年ごとに棚を凍結して、どんどん増殖していく本屋があってもいいのに。
>栄光のポケミス1700番
早川書房のHPでみると、イアン・ランキン『蹲(うずくま)る骨』とのことです。4月上旬には、『魔の淵』が。タナーには、サイ君が喜んでおりました。
2001/3/29 2000年ベスト・ミステリ?
ミステリ関係のHPをあれこれ見ていたら、ひとつご機嫌なのを見つけた。「横溝正史クロニクル」がそれ。書影写真満載、懇切丁寧なデータの収集ぶりで、正にオレが夢見ていたようなHPである。角川文庫(異装版含む)、春陽文庫新版の表紙図鑑はさながら夢のお花畑のようで圧巻。「熱中時代」の水谷豊ではないが、「あったわ、あった。なっかしいなあ〜」である。
やはり字だけのHPよりコレクター心をくすぐるこう言うビジュアルな構成は華やかで良いなあ。成田さんも直ちに全山風の本の書影を撮ってアップされては?レビューする新刊もね(ついでにオレの取り上げた本も)。封印していた横溝心が燃え上がって困る。ううう。
いささか古いが、HMM3月号「2000年ベスト・ミステリ」特集から三編の収録作をレビューす。元本はO・ペンズラー、D・ウエストレイク共編The
Best American Mystery Stories 2000からで、99年度の20編が収録されている由。さて・・・
「奇跡は起きる!」ダグ・アリン
私立探偵R・B・アクストン物。今は奇跡伝道師の妻として裕福に暮らすかつての友人クリスタルから、彼女がバンド時代にボビーとの間に成した娘の行方調査を依頼される。札付きのロクデナシ、ボビー・ペンは薬に溺れとうに消息不明で、アクストンは彼が所属していたレコード会社、元マネージャー、養子縁組を仲介した悪徳弁護士など、ボビーの消息を求めて捜査を進める。何と言うか淡々としたこの捜査行の描写及びインタビューの積み重ねが各様の人生を垣間見せてイイのだなあ。ボビーの消息と娘の現在が判明した後の、取り立ててドラマチックでも無い結末が、それでも妙に心に残る。★★★
「春の儀式」トム・バーディン
人里離れた山の中に暮らす不遇な兄弟、クラマーとゴーウェン。越して来た謎の隣人フィッシャーはオオカミを飼い、14歳の愛人と暮らし、どうやら怪しげな麻薬を密造しているようで・・。怠け者のウェスと寡黙で無骨な兄クラマー、噂好きで素行不良の弟ゴーウェンの対照的な二人が、奇妙な隣人の登場で静かに変貌する様をじっくりと描く。田舎のアウトロー達のざわめく日常、と言う点で「祭の準備」を彷彿とさせる。映画のワンシーンのようなラスト・シーンが良い。でも、解説に「15年構想を暖めて完成させた執念の作」とあるけど、それ程の物?★★★
「コンパス・ローズ」デイヴィッド・エジャリー・ゲイツ
時代は第一次大戦前後。賞金稼ぎのプラシド・ガイストとスペングラーは、嘗て自分達が捕らえて刑務所送りにした「オランダ人」ことオットー・マースがでぶっちょサリーと呼ばれる娼婦との間に成した娘ローズに残した金を渡す為に、獄中死した彼に代わって里子に出されたローズを探す旅に出る。二人の捜索行の先回りをするかのように、ローズがいた孤児院の女主人、母親のでぶっちょサリーは何者かによって殺されていた。娼婦の娘として不幸な生い立ちを背負いながら、才気ひとつで富豪夫人となったローズ。ラストの判事とガイストとの罪と罰を巡る論議は、ちょっと良い。★★★
三篇とも実にじっくり書き込まれた大人の作ではあるけれども、「2000年ベスト・ミステリ」と銘打つとちょっと肩透かしかも。夫々カテゴリーを付けると、「奇跡は起きる!」・・・90年代ハードボイルド「春の儀式」・・・奇妙な味「コンパス・ローズ」・・・歴史クライムノベル(クラーク・ハワードに近い味)となろうか。読み込ませるが、インパクトにやや欠ける。
「横溝正史クロニクル」に今頃お気づきとは、ミステリ系徘徊は、まだ初心者の域とお見受けした。ヴィジュアルが充実しているページは、うらやましいっす。前にも書いたけど、スキャナーは買ってはあるのだが、いまだに接続していない。IT月間でもつくって、やらねばできないなあ。しかし、うちがヴィジュアルに凝るのは、フォーク歌手が厚化粧するようなものか。当面は、ギター1本でということで。
2001/3/26 ホック補遺
朝日新聞3月19日記事で松田優作が日韓ハーフだった事を知る。一昨年のファンクラブ会報で夫人の熊谷美由紀が始めて明かしていたらしい。ビックリしたのは本人がその事をいたくひた隠しにしていたこと。少し衝撃を受ける。こう言う無意味な差別って理解できない。高校時代、クラスに在日の友達がいた。親友と言えるほど仲が良かった。どちらかと言うと、リーダー的存在であった。競うようにミステリを読み、小栗虫太郎を教わったりした。だから、少しも松田優作の事が気にならない。ただ、彼の隠された心情を知り寂しい気持ちになったのである。
先に4編のみレビューしていた「サム・ホーソーンの事件簿T」の補遺。不可能犯罪の設定と一言ツッコミでまとめました。
5.「乗務員車の謎」(初出「密室への招待」)−密室状況の乗務員車両内での殺人。「小人」を示すダイイング・メッセージと、小人で無いと通れない小さな会計用の小窓・・・。巧妙なレッドへリング。一種の盲点を突く密室トリックと消失した宝石の隠し場所。★★★
6.「赤い校舎の謎」−衆人監視の前で突如ブランコから空中にかき消えたかのように消失する子供!最高の不可能状況の設定と、何とヌケヌケトした大胆なその真相。これぞ短編パズラーの見本!★★★★
7.「そびえ立つ尖塔の謎」−密室状況の鐘楼で発見された牧師の死体。だが居合せたジプシーの男は犯人ではないという謎。トリックを成立させる細かな伏線の気配りが嬉しい。真相及び真犯人は及第。★★★
8.「十六号独房の謎」(これは「これが密室だ!」で既読)−脱獄名人の詐欺師が予告通りに二重密室の独房から脱獄する。良く考え抜かれた脱獄のアイデアも良いが、小道具の使い方、ラストで明かされる意外な隠れ場所のスパイスが効いている。★★★1/2
9.「古い田舎宿の謎」−ホテルを襲った強盗が鍵の掛かった裏口へ通じる廊下から消失!それも二回も。関係者全ての可能性をひとつひとつ否定し、その上で意外な犯人と意表を突く真相が示される。実に考え抜かれている。★★★★
10.「投票ブースの謎」(初出「密室への招待」既読?)−レンズ保安官の対立候補が八人の関係者の見守るカーテンで仕切られた投票ブースの中で刺殺される。そして凶器のナイフは消失・・・。これまた関係者全ての可能性を論じた上で、意外な真犯人が提示される。凶器の隠し場所、動機の伏線、ミスディレクション、どれも巧妙。★★★1/2
11.「農産物祭の謎」−衆人監視の前で埋められたタイムカプセルを掘り起こしてみると中には死体が。地中に埋められた金属カプセルの中にどうやって死体が入れられたか?盲点を突く動機と真犯人。不可能状況設定は飛び切りだが、トリックはやや手品的。★★★
12.「古い樫の木の謎」(初出「密室への招待」既読?)−映画撮影中、飛行機からパラシュートで落下した男が空中で絞殺されたという謎。操縦中の俳優には不可能。意表を突く大胆な犯人のトリックとそれを解明する小道具の使い方が巧い。★★★1/2
13.「長い墜落」(ノン・シリーズ)−21階の会議室に飛び込み、窓ガラスを割って飛び降りた男の死体はしかし地上で発見されず、その4時間後に地上に落下して来た・・・。基本的なトリックの組み合わせで演出された巧緻な不可能状況。オチも気が利いている。★★★1/2
絢爛たる不可能状況のオンパレード。収録13編の私的ベスト3は「水車小屋」「赤い校舎」「古い田舎宿」か。よくもまあこれだけのバリエーションを考案し、うまいトリック、意外な犯人、周到な伏線で楽しませてくれるものである。去年の段階で
57編あるホーソーン医師シリーズ、是非「U」「V」と出版して欲しい。
松田優作、趣味を問われて、確か「詰将棋とたき火」といっていたような記憶あり。その心は、一人でできるから。ただ、恰好いいと思っていたが、なにがしかの意味があったのか。考えすぎか。
2001/3/23 イノチガケ
相当な無精者である。会社から通勤用に支給されている車は前任者から受け継いで四年は経つ。日本では年に一度の車検が義務付けられているけど、こちらはDMV(陸運局)に車両登録の更新義務のみで、車体本体の維持管理は自主的なもの。「費用請求手続きが面倒」との理由で、カーブの度にタイヤが「キキッ!」と鳴るのも、相当前輪が磨耗しているのも、70マイルを超しただけでハンドルがビリビリするのも「そのうちに」と放っておいた。事件は先週の金曜日の朝、起きた・・・。
高速を降りて一般道に入った途端、違和感を得る。先日会社の同僚から「この前輪早く変えないとやばいよ」と言われていたばかりで、嫌な胸騒ぎはあったのだが。どうやら、右前輪のタイヤがバーストしたらしく、明らかに右前方に車が傾いでいる。路肩に寄って止まるのがスジだろうが、一人でタイヤ交換出来ないし、「ええい!」と三輪走行のままで会社までヨタヨタ走り続ける。その内にタイヤのゴムは焼けちぎれ、白煙は生じ、ホイールを路面にこすりながら、必死で会社の駐車場に辿り着く。同僚に手伝って貰ってタイヤ交換し、修理屋に持って行くと、焼け焦げぼろぼろのタイヤを見て、Well
cookと言われてしまった。60,000マイル近くも一度もメンテに出していない事に呆れられ、他にも色々交換して貰って無事昨日月曜日に戻って来た。
日本では車検があるから、必然的にオーバーホールを行われるけど、無精するとアメリカでは死んでしまいます。ホントにこれが高速運転中でなくて良かったあ。ファイヤーストーンタイヤのバースト事故では多数の死者も出ていたのだ。
で、映画の話。この事故の前日、胸騒ぎを抱えて家で「パーフェクト・ストーム」をビデオで観た。91年に実際にあった遭難の話しを映画にしたもので、ボストン近郊の漁港町グロースターが舞台。実はこのグロースターって、我が社の工場がある所で出張でも良く行くのだ。主演のジョージ・クルーニーより、すげえ久々に見たダイアン・レイン(「ストリート・オブ・ファイヤー」)とカレン・アレン(「レイダース」「スターマン」)の二大女優に郷愁をそそられる。この映画の中でも出港前に皆一様に胸騒ぎと悪い予感を感じていたのだ。そして事故は起きた、俺のように・・・。
先月劇場で都筑道夫がHMM(3月号)でも触れていたトム・ハンクスの「キャスト・アウェイ」(ロバート・ゼメキス監督)を俺も観た。フェデックスの社員であるハンクスが飛行機事故で無人島に四年間漂流する話しなので、多分科白も少なくて字幕無しでも良いだろう、と思ったもの。恐ろしいほどストレートな話しで、捻りも何も無い。イーノック・アーデン的寓話の味付けも全然新しくないし。これには肩透かしを食ったなあと、昨日は織田祐二主演「ホワイトアウト」をビデオで借りた。真保裕一の原作は96年このミス1位だったもので、この映画自体昨年の邦画
No.1ヒットの配収25億円したものとあっては期待する所だけど、好意的に見ても「それほどのもの?」と言う感想。これって(原作は読んでないけど)西村寿行を現代風にアレンジしたものじゃないの?もっともっと映画的アイデアが一杯詰まった作品を期待していただけに、この程度の仕掛けでは食いつけない。きっと原作は違うのだろうけどなあ。それにしても西村寿行(笑)。最近の出版事情はどうなのだろう。久々に読みたいな。
「Well cook」さすがに、彼の地の人は、冗句がうまい。やはり、自己責任の国であるなあ、と思った次第。無事でなによりでございました。
西村寿行。リストを見ると、去年は1冊だけ(「月を嫌う男」)もう70歳ですか。親父が一時期、寿行ばかり買ってて、何冊か読んだけど、凄かったなあ。「わが魂、久遠の闇に」とか。
2001/3/21 カー問答2001
『第三の銃弾[完全版]』カーター・ディクスン HMM01.4
宇野利泰訳のアブリッジ版は創元短編集2で広く知られているが、今回の[完全版]
330枚は二割増しになっているオリジナル。1937年作。警視監マーキス大佐(不可能犯罪課のマーチ大佐とは別人なのですね。誤解してた)が取り組む飛び切りの不可能犯罪。自宅離れの書斎に復讐を公言する男と二人で閉じ込められた判事は、駆け付けた刑事の前で射殺される。出入り可能な窓とドア(旋錠)は刑事の監視下。ところが件の男の放った38口径の銃弾は逸れて壁から発見され、書斎の壷の中から別に32口径の拳銃が・・・。しかも判事の死体からは22口径の銃弾が!密室から完全に姿を消した犯人と第三の拳銃は・・・。間然として、実に巧緻なプロット。書斎の密室に仕掛けられた二重三重のトリック。この作品もそうだけど、カーは「密室トリック」の創出よりむしろ「意外な犯人」の創出の方により情熱を傾けていませんかね。犯人の緻密な計画が数々のアクシデントを介して、アクロバティックに演じられる点、読んでてゾクゾクします。田口俊樹訳も読み易い。★★★★
本家カー御大久々の登場に水を指すのが、大学ミステリ・サークルの昨今の所感。特に某大言う所の「物語の面白さに欠ける」「登場人物に魅力が無い」との情けない読み方には怒りも沸いて来ない。勘弁してよ、である。逆に新発見と言うか、多くのエッセイ中で取り沙汰されているが今や「囁く影」って傑作の一つに数えられる高評価が定着しているのですね。知らなかった。タイトルの「カー問答」を再び開陳しようかと思ったけど、また「しょぼい」と突っ込まれるので辞めました。いつか、その内、真面目に書くぞ。
「間然として」は「間然とするところのない」では。
カーが「意外な犯人」の方に情熱を傾けているというのは、確かにそうかもしれない。昔読んだのは、大方忘れてしまったが、近年読んだのでも、ほとんど犯人の意外性に関しては、高度な技を使っている感じがする。カー問答、期待してますぜ。すぐに終電が出てしまうのは、なしでお願いします。
2001/3/18 これはアテネの執政官!
ミステリマガジン01年4月号特別増大号「ジョン・ディクスン・カーを読もう!」より。
先ずは4本のパロディ、パスティーシュのレビュー(★五つ満点)
「最終章−メリマン謎を解く」アレックス・アトキンスン-1951 『チャーリー退場』の作者による「パンチ」誌掲載のコント。本格物の最終章を皮肉った掌編。それだけ。★
「ドラミス・トゥリー毒殺事件」ハンダン・C・ジョリックス-1966
題名のレストランで起きたシャンパンによる毒殺事件をマーヴィン・ライアリー卿なるHMのパロディが即座に謎を解く。全登場人物の名前がアナグラムになっているのがミソ。小味だが謎解きも悪くないのでは。★★★
「ステイトリー・ホームズの冒険 (彼女の)最後の挨拶」アーサー・ポージス-
1957 ホームズの所にヘンリー・メリヴェールが持ち込んだ事件は、密閉された地下室で縫い合わされたバラバラ死体で発見されたミス・マープル!現場は五インチの穴を除くとコンクリートで堅牢に固められた密室!三人の容疑者からホームズが下した推理は?これまた「ピアノ盗難事件」(M・カンター)を彷彿とさせる味の上質の奇妙なユーモアが良い。★★★★
「開かれた部屋」ジョン・F・スーター -1964 推理作家ジョン・ディケンズ・カーボン邸を訪れた警官ウィトマーはそこで当主が不可解な状況で殺されている現場に遭遇する。当主カーボンは足跡一つ無い塗られたばかりのワニスの床の上で発見された。屋敷に居合せたペリヴェール大佐は次々と容疑者を挙げては可能性を否定して行く。ツイストの効いた結末、意外な真犯人と殺害方法、本格物の結構が一番顕れた好編。★★★1/2
「死者は真夜中に踊る」ポール・アルテ-1988 フランスのカー、との誉れ高い本邦初紹介、今回の目玉作品。車のエンストで立ち往生したアラン・ツイスト博士が立ち寄ったシモンズ邸では幽霊が出ると言う地下納骨堂を封印していたが、毒殺された叔父の遺体を納棺した直後、不気味な声に納骨堂を再び開けてみると、死者が不埒なダンスを踊っていたかのように棺は乱れ荒らされていた・・・。「火刑法定」を彷彿とさせるシチュエーションに、意外な犯人、伏線を配したトリックの正体と短い紙数の中でよくまとまった佳編に仕上がっているではないか。「カー短編集」にありそうな作風。怪奇ムードの中に真相の隠し方がうまい。★★★1/2
次は日本人作家の二編。
「最高にして最良の密室」二階堂黎人周りに足跡の無い砂浜上でドアロックされた車(内外両側からドア・トランク全てがガムテープで厳重に目張りされている)と言う曰く「三重の密室」の中でSM嬢の恰好で殺されていた男の謎。これを加々美光一なる主人公を中心にした大学サークルの面々が名探偵増加博士と共に作中登場人物として、メタ・ミステリ風に推理を展開して行く。・・・俺はこれは駄目だ。リアリティとかの問題以前に、おたく・コミケ・やおい・アニメ的軽佻浮薄の登場人物たちにはアレルギーにも近い拒否反応しか沸かない。いちいち揚げ足も取らない。やだ。それだけ。あと、洒落のつもりだろうけど、作中で自作やHPの宣伝まがいの記述やら、パロディの傘に隠れて動機などかなりおざなりに扱っているのも釈然としない。でもこの密室トリックのネタはさすがに秀逸。ネタの出来は別にして★1/2
「フレンチ警部と雷鳴の城」芦辺拓
休暇中のフレンチ警部夫妻が勘違いから「雷鳴の城」ことキャロウェイ邸に招かれる。十八になったハリエット嬢が無事財産権を獲得出来るよう亡き当主から依頼されていたギデオン・フェル博士共々屋敷に逗留したフレンチは、翌朝件の財産を狙う後見人のマナリングが密閉された納骨堂の中で殺されているのを発見。納骨堂の廻りは昨夜からの雪で足跡ひとつ無い・・・。深夜に掛かって来た蘇生者用の電話、屋敷に伝わる「白き鶴」の伝説・・・これらオカルティズムのスパイスが悉く巧妙な事件解明のヒントであり、周到に張られた丁寧な伏線、ミスディレクションと言い、本格物の教科書のような出来だ。圧巻は実に大胆なラストの衝撃。カー、クロフツの諸作を根底に上質なセルフ・パロディに仕立てる一方で(密室トリックは本家オマージュにして巧みな換骨奪回)、カー愛読者ほどその結末に酔える「さもありなん」と言う満足感。実に、実に溜飲の下がる傑作だ。本誌掲載の7編の中で、パロディとしても、一本格物としても最上級の出来である。感動!★★★★1/2
おお、日本作家の密室モノ新作二編、早速俺も遅れて来た密室調査員として進呈せねば。芦辺拓は必読です。さて本家カーの<完全版>「第三の銃弾」330枚を読み始めるか。文庫の簡約版初読から22年ぶりの再読。全然忘れています。
タイトルはいつか使おうと思っていたのに、やられてしまった。
まだ、アトキンスンとジョリックスしか読めてません。ジョリックスのはカーの作品の雰囲気があって、トリックも気が利いていてなかなかいいのでは。他も楽しみだ。
>遅れて来た密室調査員
まじすか。ちょっと、貢献度は低いような気もするが、では、密室調査員に入れておきましょう。
2001/3/15 夜がまた来る
汲めども尽きぬ成田さんの八面六臂の活躍振りには頭の下がる思い。バッタモノ(違っていたら失礼)作家の密室から、女王陛下の騎士になる話しまで、最近スゴイじゃないですか。こちらもサンノゼの日本食レストランで先日「春髷丼」と言うメニューを見つけました(嘘)。嗚呼、それにしても千里眼猛(笑)。ウエッブ検索したら「アプリケーションエラーが発生」して、インターネットがダウンしてしまいました。と言うわけで、
『2001年映画の旅』小林信彦(文芸春秋)00.12
十九世紀は小説の世紀で、二十世紀は映画の世紀なのだそうだ。「週刊文春」に掲載された「20世紀の洋画100」「20世紀の邦画100」を中心に映画に関する著者の未収録エッセイ(大半が70年代初期のもの!)から構成されたスカスカ本だった。見ずテンで買うとこれが怖い。書店で手に取っていたら絶対買わなかったぞ。メインの「洋画・邦画100」は夫々に著者の一言コメントが付されており、寸評芸として本書唯一の読みどころか。未収録エッセイの中には高校生時代の映画ノートまで収録されており、これはチトつらい・・・。その他、ここで語られるのはマルクス、ウッディ・アレン、エルビス、小林旭・・・・と言った所で、巻末にイーストウッドに関する書下ろしが一編ある以外は前述の如く72〜73年のエッセイだからなあ。「夜がまた来る」は小林旭の唄う「さすらい」の歌詞の一部。♪夜がまた来る 思い出つれて・・・と言う歌詞に何故か?感銘を受ける。
話しは唐突にHMM連載の北上次郎エッセイ「記憶の放物線」に飛ぶ。3月号の話しで女子大生から「でも男の人って、そういうこと、してもらいたいんでしょ?」と言われて相当にたじろぐ、と言うエピソードなのだけど、余程この科白がショックだったのか、その後文中で三回もこの科白が繰り返し記述される。これを読んだ時何故だか北上次郎が突如青木雨彦化してしまったような感じがして、ショックを受けた。北村薫のエッセイもともすれば青木雨彦になりそうな危うさが気になっており、青木まりこ現象(古い「本の雑誌」読者ならご存知の本屋に入ると便意を催す現象を指す)ならぬ業界青木雨彦現象が気になったのであった。
うーむ、パソコンをダウンさせてしまう千里眼猛の威力、おそるべし。小林信彦は、昔から小林旭のかん高い歌声は、評価してたよね。「夜がまた来る」は、エド・ゴーマンだったか。
青木雨彦現象。青木雨彦の衣鉢を継ぐ人が最近見あたらないから、北上次郎が立候補したんでししょうか。「情痴小説の研究」といい。年齢的なものなのかな。よくわからぬ。年をとるに従い、若い女性の言葉をなにか深遠な意味があるかのように受け取る傾向は、いくないと思います。
2001/3/10 さまよえる評価
御贔屓筋のE・フェラーズだが、今度の作品はHMM評とは少しばかり感想が違うのだ。
『さまよえる未亡人たち』 エリザベス・フェラーズ(創元推理文庫)00.10 1962年作。
長編第25作、非シリーズ物。休暇でスコットランドを訪れた青年ロビン・ニコルが四人の有閑マダム自称<未亡人>たちと、一人旅の気になる女性シャーロット共々同宿した先の島のホテルで、件の<未亡人>の一人が毒殺される・・・。殺されたマクフィー夫人は過去幾度か旅先で詐欺に遭っており、今回の事件の背景にも同様の詐欺を手引く者や夫々の夫の思惑も複雑に絡んで来て、事件に巻き込まれたロビンの推理は二転三転する。誠に頼りなげで危ういこの素人探偵は恋するシャーロットの身を重んじて、たびたび度を喪い、うろたえるがやがて心に引っ掛かった些細な一言から、真相に辿り着く。わずか250頁足らずの中でラスト、事件の全容は実にさり気なく語られるのが少々肩透かしを食った感はあるが、巧妙に仕組まれたプロットは先ずは及第。翻訳(中村有希)もますます快調で◎(特にウォータストン検察官の特徴ある喋り方)。ただ、かなり綿密な構成の割りに真相(計画の全容と真犯人)のインパクトが今一つなのは、例えば「猿来たりなば」の冒頭に仕掛けられたエピソードや「細工は流々」でのジョージの耳が聞こえなくなった本当の理由のような思いも寄らぬ意外性に欠けるか
らで、ロジックが二転三転するのみの「自殺の殺人」と同じ不満がこちらには残る。
そう言う眼でHMM00年12月号の川出正樹評を読むと、当方俄かには首肯しかねるのである。曰く「それまで無関係に思えていた、さまざまな言動が、すべて一本の線上にきれいに並ぶ手際も見事」−うーむ、そう言う快感をこそ常にこちらも期待して(ましてやフェラーズゆえに)いるのだから、ストーリー上でもっと畳み掛ける演出が無いと、テクニックだけではここまで絶賛していいものか。また「事実だと信じ込んでいた事が、がらりと一変する箇所があるのだが、そこを読んだ時の快感は、まるで騙し絵を見るかのようで、謎解き小説の魅力を十二分に堪能させてくれる一冊だった」−どの箇所のことだ?生憎当方はそう言う嬉しい衝撃にぶち当たったシーンに記憶が無い。限られた紙数でネタを隠しながらの評はこう言う時もどかしい。この俺の読み方が間違っているのか?そうなのか?未だに頭の中では釈然としない。★★★で、創元で紹介されたフェラーズの四冊では、「猿来たりなば」>「細工は流々」>「さまよえる未亡人たち」>「自殺の殺人」と言った順番かしら。
先日、「猟奇の鉄人」を見ていたら、WEB上に翻訳ミステリ雑誌やアンソロジーのリストがあると知り、早速見てみるとこれが凄い。この「翻訳アンソロジー/雑誌リスト目次」(HMMがほぼ完全収録)、「怪の会HomePage」のWEB版EQ総目録の二つで殆ど完璧に雑誌掲載された作家の作品を容易にチェックする事が出来る。色々ジャンプする事も可能だから、とにかく便利。わがフローレンス・メイヴェリの作品目録書誌(HMM・EQ・アンソロジー)も簡単に把握できる!便利な世の中だなあ。
最近、快調、快調。フェラーズは、まだ2作しか読んでないなり。
リスト、特に「翻訳アンソロジー/雑誌リスト目次」は、凄いよね。ミステリ、SF両方を網羅しているから、両方をまたにかけた作家の全貌も容易に知ることができる。青の洞門を掘るようなウェブマスターの労苦に、ひたすら敬礼。
2001/3/8 作家の呼称
◆「本の雑誌」で三橋暁が「本格ファン感涙の『騙し絵の檻』に文句なしの五つ星!」と絶賛で当方の記憶では確か始めての五つ星ではないだろうか?(記憶力に自信無し)でも、その割には本文の方はそれ程の熱気が感じられず。
◆WEB「本の雑誌」の「今月の新刊採点」のコーナーは七人の採点員によるA〜Eの五段階評価付きなのだけど、必ず評価がちぐはぐなのだ。正に「町の声」を無造作に拾い集めた感があるが、各人の採点評がどうにも読む指標になり難い。必ずと言って良いほど、「A」もあれば「E」もある。中には「容易には誉めるものか」と、わざと辛口に切る人もいる。だから、未読の本だとどう期待して良いのかいつも困る。採点員個々人に馴染みが無いので、誰か寄りに読む事もままならぬ。今月の一冊に戸川昌子「火の接吻」があるが、もうそのコメントには首肯しかねるものも多々あり。「好み」は仕方ないとしても、だ。所詮俺なんてのもいち一般読者だけど、こう大挙して異なる価値観の読後評を目の当たりにすると戸惑うのです。この感覚はその昔「読書会」などで体験したトンチンカンな感想や読み方に密かに「けっ!」と憤慨していた時のものと同じですね。まあ、結局は「自分」の好みだもんなあ。
◆ついでにファン又は読者の作家の呼称について。例えば、小林信彦という作家がいる。俺の知り合いで、この作家を呼ぶ時に「ああ、今度の『信彦さん』の本ね」とか、ファースト・ネームを「さん」付けで呼ぶ人がいる。これがその作家の親戚とか個人的な友人とかなら良い。しかし、一面識も無いただの読者が人前でその作家の話しをするのに「信彦さん」とは何だ!例え国土交通省が許しても、この俺は許さない。あと、姓を呼び捨てで「小林が」とか言うのもいや。エラソーだし、橋田スガ子のドラマに出てくる主婦が「うちの小林も自分の所の親には甘くて」とか亭主の呼称に使うスカシタ呼び方を連想させて駄目。「小林先生」とか「先生」を付けるのもヤダ。俺はずっと敬称略のフルネーム呼称、「小林信彦」と呼び、書く。これが一番礼儀にも則ってスマートだと信じる。
◆HMM「カー特集」、じっくり読んでレビューします。しかし、七つ掲載されたエッセイの内、「ディクスン・カー王国」は何だ!笑えぬ駄洒落と百年前のコメントの繰り返しのみで、全然良くない。信じられぬ原稿だ。豪華なパーティに紛れ込んだホームレスの如き違和感。即刻、出て行け!
・作家の呼称は、俺もビッグネーム以外(乱歩、正史、風太郎等)以外は、フルネーム派ですね。
・「ディクスン・カー王国」、激烈ですな。田中啓文は最近新刊が出たばかり。横ジュン風のダジャレが売り物らしいんですが。通といえばカーが出てきた当たりでアウト。
2001/3/1 私のベスト3
手慰みにHMM恒例の「私のベスト3」2000年をExcelで集計してみました。ただ、まあここで挙げられた@〜Bの序列が正しく1位〜3位とも限らないし、中には番号を付けずに同列に列挙している人もいるので、あくまでHMMアンケートに応えた人々の傾向を見るものです。集計時期のズレもあるので、「このミス」などとの違いも顕著。@=3点、A=2点、B=1点で集計。
1.わが心臓の痛み マイクル・コナリー(27点)
2.ハンニバル トマス・ハリス(26点)
3.ポップ1280 ジム・トンプスン(21点)
4.悔恨の日 コリン・デクスター(18点)
5.悪党共のお楽しみ パーシバル・ワイルド(16点)
コフィン・ダンサー ジェフリー・ディーヴァー(16点)
7.ジョン・ランプリエールの辞書 ローレンス・ノーフォーク(13点)
キル・ミー・アゲイン テレンス・ファハティ(13点)
9.ベウラの頂 レジナルド・ヒル(12点)
10.サム・ホーソーンの事件簿T エドワード・D・ホック(11点)
謎の蔵書票 ロス・キング(11点)
以下、次点でクック「夜の記憶」、ゴダード「一瞬の光の中で」が9点で続く。「わが心臓〜」(このミス6位)の高評価と、ポケミスの健闘が特徴か。P・ワイルドの
5位もビックリ。
ところで、成田さんHPにあった「狂気の密室」早速読んだ。レオ・ブルースばりの高度な推理合戦、「光りと影」の笑い、誠にツボを得た作品です。
あー、全然読んどらん。今後の読書の指針といたします。
「狂気の密室」は、でしょ。