OLYMPUS OM-1

 with G.ZUIKO 28mm F3.5

 あまりにも語り尽くされているので、あえて避けてきたのですが、やっぱりお
気に入りカメラとしては、紹介せねばなるまい。

 このカメラは、私が初めて持ったカメラである。そして、私に写真を撮る楽しみ
を教えてくれたカメラでもある。買ったのはもう20年以上も前の1978年11
月だったと記憶している。
 この年は、F−1でロータス79に乗るアメリカ人のマリオ・アンドレッティが
チャンピオンになった年である。その時に、彼が乗っていたマシンのボディサイド
に書かれていたロゴがOLYMPUSであった。ただし、メインスポンサーは、英
国のたばこ会社のJPSだったのだが、予想外に大きなロゴはインパクトがあった。
 日本のカメラメーカーはおろか、日本の企業の名前がこれほど大きく出たこと自
体初めてのことだったのである。
 ホンダのカムバックを期にバブル日本のスポンサーが乱舞するのはさらに10年
近く後の話である。
 F−1というと当時はテレビ中継なんてものはなく、レース結果を知る手だては
月2回発行されるオートスポーツ紙を見るか、ラジオ関東(現:ラジオニッポン)
で放送されていた深夜番組を消え入りそうな電波の中聞くのが精一杯の時代でした。
 日本では、旭ペンタックスのスポンサーで星野一義が国内4タイトル(全日本F
2、鈴鹿F2、GC、FP)を制した時期です。
 モータースポーツファンであった私がカメラを選択するに当たって最終的に候補
に残したのが、OM−1とペンタックスのMXというカメラでした。
 どちらもメカニカルシャッターのフルマニュアル機という点でライバル機であり、
今でも良く比較される2台である。
 結果的には、世界チャンピオンのオリンパスを選択したわけですが、カメラのコ
ンセプトも他社にないことを真っ先にやったということで、当時独創的なことでレー
ス界を賑わせていたロータスとよく似ていると思うのは私だけだろうか。
 サイズ的には後から出たMXがOM−1を意識して小さくしたため小型軽量とい
う点ではMXの方が抜きんでているわけですが、手の大きさから割り出されたOM
の方が使いやすさではMXより勝っており、デザインもまとまっているように思う。
 OM−1以降出た2,3,4や最新(最終)?モデルのOM−4TiB、OM−
3Tiにおいて同じサイズを踏襲しているところに設計者のポリシーが感じられる。
 最近のAF一眼レフの大柄なボディを持った後にOMを持つと小型の標準レンズ
と共に両手に包み込めてしまうような大きさは、何となくホッとするのである。そ
れと同時に、カメラに写真を撮らされるのではなく、このカメラで写真を撮るのだ
という、人間と機械の正しい主従関係を改めて認識させられる。
 しかし、デジタルカメラで世界シェアトップを行くオリンパスにとってOMは、
すでにお荷物であったのだろう。ついに、OMシステム生産中止のアナウンスが今
年初めに(’02年1月)発表されてしまった。
 メーカーとしても苦渋の決断だったのでは無かろうか。一ユーザーとしても、残
念な反面、むしろ30年に渡り、OMシステムを存続させ続けたメーカーに敬意を
表したい。
 デジタル一眼が次々と発表される中、今後も私は、OMー1を使い続けていくだ
ろうか? 答えはイエス。電子部品が壊れると使い物にならない電子シャッター機
とは違い。メカニカルシャッター機(特に横走りの布幕シャッター)の場合、修理
が可能な確率が高いのは昔も今も変わらないし、今後もそうであろう。銀塩フィル
ムが無くなるまできっとOM−1は生きていることであろう。
・・・その前に人間がくたばるかも。

 この間、80年代のF−1のビデオを見ていたら、あのセナが初優勝したときに
も、彼の乗るロータスのマシンにOLYMPUSの文字があって、昔、セナに似て
いる(石を投げないでね、私が言ったんじゃないから)といわれたことがある私と
しては、なんだか嬉しくなってしまいました。

 02.05.31
   寒川地区(水俣市)の棚田で出会った猫
     
OM-1 + TAMORON 70-150/3.5