707がもう一台増殖。といってもミノルタではなくオリンパス

 OLYMPUS OM707

 with 35-70mm/F3.5-4.5


                                            '04.01入手

 オリンパスにとって、最初のAF一眼レフということで歴史的カメラではあるも
のの、ハネウェル社との日米特許戦争の末、AF一眼から撤退を決めたため最後の
AF一眼レフともなった。こんなことさえ今では忘却の彼方に忘れ去られようとし
ている。後にレンズ交換のできないLシリーズで、細々と技術だけは継承されて
いたものの、デジタル一眼のE−1が出るまで、オリンパスのレンズ交換式AF
一眼レフは存在しなかったのである。
 まあ歴史のお勉強はこれくらいにしておいて、さっそくこのカメラについて紹
介しよう。
 入手先:オークション、入手金額:6000円(標準ズームレンズ付)という
ことで、基本的にはジャンクに近い存在。このカメラ特有の電池蓋の爪割れがあ
るため、固定はできるが、はずれやすそう。テープででも固定すればいいだろう。
それ以外は特に問題なしというより結構綺麗。左右のグリップ部が汚れていたの
でクリーナーで拭いたらピカピカになった。よくここが変色している物を見かけ
るためラバー製だと思ったら、ウレタンだった。はたしてこんなにツルツルでい
いのだろうか。もしかして表面にあったラバー層を剥離してしまったのではない
かと思ってしまう。ボディ自体は写真の印象より小型。一眼レフというより、当
時のコンパクトカメラにレンズ交換機能を付けたって感じで、高級感は乏しい。
そしてこのカメラの特徴でもあるストロボ内蔵グリップが付いていると妙に横長
になる。このグリップの場合、レリーズボタンが全面にあるため右手小指の行き
場がなくなってしまう。普通に構えるとついついフラッシュの頭をシャッターボ
タンと間違えて押してしまう。
 動作確認をしようと思ったら当たり前だが電池が入っていない。よく見ると単
4電池4本である。グリップが大きいので単3タイプだと思っていた。なんだか
すぐに電池がなくなりそうな予感。
 機能に関してだが、露出はプログラムオンリーなんですね。つまり私のよく使
う絞り優先AEやマニュアル露出なんてものは付いていない。すごい機能の割り
切り方である。まるで昔のキャノンT50みたい。ただし、よく見るとプログラ
ムシフトが付いている。これにより絞りもしくはシャッタースピードを好みの値
にずらすことができる。簡易的な絞り優先やシャッター優先的な使い方ができる。
これなら問題ない。
 ピント調節は基本的にAFなので、手動でピントを合わせるには、パワーフォー
カスを使わねばならない。プログラムシフトのスイッチと兼用になっており決し
て使いやすくはない。それでもスイッチをこまめに動かすことで寸動ができるの
で車のパワーウインドウよりは使いやすい。それにフォーカシングスクリーンが
明るく割とピントの山が掴みやすいのでMFでもなんとかなりそう。肝心のAF
自体はこの時代にしてはいい方ではないだろうか。同じセンサーが付いているニ
コンのF−501より早いし精度がいい。
 F−501というとOM707と同期のカメラであるが、両者の考え方の違い
が如実に表れていて面白い。マニュアルの呪縛から離れられないF−501と、
思いっきり自動化に特化したOM707。最終的に時代はどちらも選ばなかった。
結局両者を足した物が今のAF一眼レフとなっている。そんな感じがする。そし
て最後に笑ったのはキャノンか・・・
 一緒に付いてきたレンズは、MF時代の同一スペックのモノと同じ様だ。レン
ズだけ見るとそっくりである。コーティングは違うみたいだが、写りもまんまと
いった感じ。決して悪くはない。充分シャープだし、色載りも悪くない。ただ、
さすがにAF用となるとオリジナルのコンパクト性は大分そがれてしまったのが
残念。そして、ズイコーの名前が消えたのも・・・