PENTAX superA

  50mm/F1.4付きだとレンズが大きく見える

 デビューが83年ということは、79年に出たA−1とは直接ライバル関係に
はなく、どちらかというとAE−1+Pや、ミノルタのX−700等の対抗馬と
して開発されたものと思われる。ただし、マルチモード機として世に出すにあた
り、自動露出のモード数だけは他社に負けたくないという意地からかA−1の5
モードを上回る6モードとしている。この辺はいかにもペンタックスらしい。さ
らに、4年の間があることからシャッターのスペックも1段上がっていて、最高
速(1/2000)、ストロボ同調(1/125)ともにA−1(1/1000
、1/60)を上回る。

 サイズ的には、ペンタックスの小型オートモデルの初代MEからの正当進化(
ME→MEsuper→superA)モデルらしく小型である。同じペンタッ
クスのKXや、キャノンのA−1と比較すると如何に小さいかが判る。よくぞこ
のサイズにこれだけの機能を当時としては詰め込んだ物である。小型機のライバ
ルであるオリンパスのOM−2S/Pと比較しても、高さはほとんど一緒だが、
横幅が数o小さい。ただし持った感触は、ほとんど差がない。しかし、セルフタ
イマーのレバーが中指に干渉するためちょっと窮屈な感じがする。小型の中にい
っぱい詰め込んだせいかどうか判らないがシャッターのメカ作動は省略されて、
BおよびXも電子制御となってしまった。よって、電池が切れると全く動かない
のは、現代のカメラと同様である。残念だが、使用頻度を考えれば特に困ること
はないだろう。予備の電池を持っておけばよいだけだ。しかも高いSR44では
なくLR44でもいいし、低温に強いCR1/3というリチウム電池もメーカー
認知されているのは心強い。

 シャッターの感触は、カシャンッ!といった、乾いた音とともにキレの良さが
感じられる。オリンパスのウエット系の音とは対照的であるが、これはシャッタ
ーの構造が布幕横走りのオリンパスに対し金属縦走りのためであろう。

 各モードの切替は、私が理想としているものに近く、絞りをAして任意のシャ
ッタースピードを選べばシャッター優先。モードダイヤルをAにして絞りを任意
にすれば、絞り優先。両方ともAにすればプログラムオートになるというものだ。
理想に近いというのは、唯一理想ではない点がシャッタースピードのセット方法
で、ダイヤルが好きな私としては、UP/DOWNボタンによるセット方法とい
うのはちょっと気になる。ただし、慣れればそんなに不便ではないし、プログラ
ムや絞り優先で使う分にはなんの問題もない。

 このカメラの特徴でもあるプログラムオートや、シャッター優先オートが使え
るのは、superAと同時に発売されたAタイプ以降のレンズに限定される。
よって、それ以前のMタイプや、Kタイプのレンズでは、絞り優先と、マニュア
ルのみ可能。つまり、先代のMEsuperと同じになるのだ。これでも私の使
用頻度から考えると十分とも言えるが、機能があると使ってみたくなるもの。手
持ちでAタイプのレンズというと50mmとコシナ製24mmしかないが、おい
おい揃えるとしよう。そもそもペンタックスの望遠系レンズを1本も持っていな
いのだから。

 もう一つ気になるのはファインダー内情報が液晶で表示されるのだけれど、そ
のための明かり取り窓がペンタプリズム上部に斜め上向きに着いているのである。
昼間であれば、光が良く入るので表示がよく見えるはずなのに、見えないのだ。
私の場合、普段はファインダーからの逆入光を防止する(眼鏡をかけているため
入りやすい)ために、帽子をかぶっているのだが、帽子のツバで明かり取り窓を
隠してしまったことが原因のようだ。同じ様な位置に明かり窓を持つOM−4で
はこんな経験はなかったのだけど、こちらは窓が前を向いているからであろう。

 とにかく、小さいながらもなかなか充実感のあるカメラである。トップカバー
がプラスチックではあっても、ミノルタのライバル機のXー700よりも個人的
には好きである。マウントアダプターによるM42レンズを使うのも面白そうだ
し、OMの座を脅かしそうな危険な1台である。

 う〜む、ペンタックスあなどりがたし・・・

作例
山口県長府・興山寺の紅葉
50mm/F1.4 P auto

猫のハナキン
50mm/F1.4 F1.4 auto
p.s. コシナの24mmは、プログラムモードにしたとき、明らかに露出がアン
ダー(1段くらい)になることが判明。レンズの個体差なのか、仕様上の問題な
のか判らないけれど、ちょっと残念。絞り優先や、マニュアルで使うには問題な
い。