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東海道貨物線の想い出 (2004.09.10)

 9月9日付の東京新聞朝刊によると、2010年を目処に、JR東日本と相模鉄道が相互乗り入れを計画しているとか。具体的には、東海道貨物線の横浜羽沢(貨物駅)と相鉄の西谷を約2キロの新線で結び、相鉄と湘南新宿ラインを直通運転するというものです。一応、ライバルと目されるのは、小田急小田原線・江ノ島線と、東急田玉線(田園都市線〜新玉川線)でしょうか。

 相鉄は鶴ヶ峰への通勤に利用していた時期があり、今でも親近感を覚えるのですが、何と言っても嬉しいのは、乗りにくい湘南ライナーでなくとも東海道貨物線を通れるようになるという点です。計画では、乗り入れ列車が通るのは横浜羽沢・鶴見間だけで、鶴見〜塩浜〜東京貨物ターミナル間は浜川崎線との共用部分を除いて貨物専用のままですが、それでも大変興味深いものがあります。

 私が東海道貨物線を初めて通ったのは、横須賀線が品鶴線経由に切り替えられた日の未明、工事に伴う経路変更で、上り大垣夜行の藤沢・品川間が貨物線経由で運転された時のことでした。当時の東海道貨物線は旅客に縁のない謎の鉄道でしたから、そこを通れるとは、まさに夢のようなイベントです。これを逃したら一生後悔すると思い、学校のある平日にもかかわらず、張り切って出掛けたものでした。

 だいぶ以前のことで記憶が一部曖昧ですが、この時は横須賀線と東海道本線の終列車を乗り継ぎ、数十人はいたと思われる同好の士と共に、藤沢の駅前で待機。「(シャッターを)開ける気、無かったんだけど」という駅員さんのぼやきを耳にしつつ、この日だけの臨時停車だった大垣夜行に乗り込みました。列車は切り替え工事を横目に、すぐ東海道貨物線へ渡って大船を過ぎ、初めて見る横浜羽沢貨物駅を通過。架線近くまですっぽり覆った防音壁と、断続する長いトンネルが印象に残っています。

 生麦付近で地上に出た列車は、鶴見から品鶴線の上り線に入りました。新生・横須賀線の上り一番列車みたいな気分で、その下り一番列車とすれ違い。品川で東海道本線へ戻る時も、複雑な配線を渡っていく感触が新鮮でした。それから新規開業の新川崎まで戻り、記念に入場券など買っていたところ、同じ学校の鉄道友達とバッタリ。互いに物好きさ加減を笑い合った後、いったん帰宅し、あらためて登校しました。前夜から一睡もしなかったので、その日の授業は眠くて参ったものです。

 そんなわけで、地元・神奈川県に住む鉄道ファンとしては待望の計画なのですが、問題はやはり資金。ご多分に漏れず、横浜市も財政面では相当辛い状況でしょうし、もともと鉄道というものは、構想から実現までに長い年月を要するインフラです。海老名・湘南台発、横浜羽沢・新川崎・大崎経由、渋谷・新宿方面行きが走り出すのは、早くて6年後。それまではあれこれ夢見ながら、待つことにしましょう。

サハロフ(佐藤純一)