DUMKA

ゆのはな (2005.02.19)

 PULLTOPの次回作「ゆのはな」の体験版をプレイしてみました。数時間分のボリュームがあり(私は進行が遅いけど)、楽しく読ませてもらったので、以下、プレイ中に記したメモなど。

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 死にかけた人を助けて、全壊したバイクまで修復できるんだから、祠を直すぐらいちょちょいのちょいだと思うのだけど。
 ゆのはの声があんまり可愛くないのは、わざとなのかな。台詞が多いだけに、耳にキツい。もうちょっとソフトに出来なかったものか。
 さすがPULLTOP、毎度ながら快適な操作性だ。「はるのあしおと」(minori)の直後だから、目パチ口パクが無いのが淋しく感じるけど、システムも十分に優れている。
 とらかぷ程ではないけれど、テキストのテンポもまずまず良いと思う。
 主人公は人が良さそうだし、ゆのははリアリストだけど嫌みは感じない。最初に出会った女の子は、銭湯「湯の華」の娘、伊東わかば。素直で可愛い。早速籠絡にかかるゆのはが何とも。わかばの声、TH2のこのみと同じっぽい?
 おばあさんが出てきて、伊東家の居候として迎えてくれる。何となく訳知りのような気がする。ゆのはもおばあさんを知ってるような感じだ。
 しょうもない言い合いに時間を使っているのが気になりだした。これはテンポを崩している。PULLTOPの作品には、もっと小気味よい遣り取りを期待しているのだが。
 わかばは天然キャラゆえか、街のみんなから愛されている。
 ゆのはは言動こそ子供っぽいけど、神を自認するだけあって要所は締めてくるようだ。ツッコミもボケも適切。素寒貧が意地を張るなとか、人って優しいんだねとか。
 ブラックジョークが散りばめられているのも良い感じ。
 ゆのはが姿を現すのは数十年ぶりだという。つまり、相手からは分からないけど、この街のお年寄りに知った顔が多いというわけだ。だからなのか、今のところヒロインクラスより年配のサブキャラのほうが紹介されている。
 喫茶店の桂沢榛名・穂波母娘と出会う。穂波にはゆのはの力が及ばないようだ。無口で、結構黒い。東西のオカルトに凝っているらしい。
 電器店の若旦那・春日尚樹と出会う。人が良さそうだけど軍オタ。店に軍艦の模型を飾ってる。20世紀前半の海戦に詳しいようだ。MARUって、丸のことだよな。子供の頃だったか、近所の書店で見掛けたものだが、まだ存在してるんだろうか。わかばとは仲が良さそうだけど、何かにつけて話題を軍事方面へ引っ張るところが嫌がられてる模様。あからさまに話を遮ってるわかばが笑える。
 午後7時閉店で「さすが田舎」って。それだと秋葉原も同じですよ。夏なんか、まだ日があるのに店が次々閉まってくんだから。
 百合っぽいところが散見されるのも今風か。
 というわけで体験版終了。面白かった。発売が待ち遠しい。(2005.02.19)

 3月25日(発売日)購入、即日開始。
 2種類あるパッケージのうち、買ったのは大吉パックのほう。秋葉原の古川で7400円。
 導入部は体験版で2度読んだから、これで3度目になるけど、面白いので普通に読み進める。(2005.03.25)

 4月14日、全篇読了。わかば、穂波、椿、ゆのはの順。
 穂波のエロ小悪魔ぶりが凄かった…。穂波とゆのはがエロ担当というのは、付きまとう死の影と対比させるためでしょうか。その辺りは悪くないのですが、ゆのは篇はメインヒロインの話でありながら短く、ラストを飾るには物足りませんでした。
 わかば篇は自立をテーマにした良い話。でも、特殊浴場かと思うような濡れ場は頂けません。椿篇はウジウジしすぎで論外。見境無く横槍を入れてくる由真も鬱陶しかったです。軍オタ君は笑わせてくれましたが、個人的にはプラモデルを作りまくった旧日本海軍に思い入れがあるものの、外国の艦船には馴染みがありませんので。
 全体として、お年寄りのキャラたちが良い味出してます。渋蔵ナイスガイ。みつ枝さんの台詞には印象的なものが多く、笛おばあさんのエピソードもジンときました。年長者が深く絡んでくる展開は好きです。ただ、脇役が光る作品というと、ヒロインたちとママさんズが一対一で対応している「夏少女」に軍配が上がるでしょうね。(2005.04.16)

サハロフ(佐藤純一)