DUMKA

処女はお姉さまに恋してる(おとめはボクにこいしてる) (2005.07.30)

 2005年5月19日購入、即日開始。

 エロゲー批評空間と2ちゃんねるのエロゲー板などで評判を知り、興味を持ちました。貴子、まりや、一子、由佳里、奏(かな)、紫苑の順で、おまけシナリオを含め、7月22日に読了。2ヶ月に及ぶプレイ期間中、取ったメモは88KB(約4万4000文字)に上ります。ツンデレスキーなもので、お気に入りキャラは貴子ですが、まりや、貴子、紫苑の三篇を総合するに、紫苑篇がこの作品の本筋かなと思いました。

 全校生徒の敬愛を集めつつ、様々な想いに決着を付け、将来の伴侶と盟友を得る物語。確か「真夏の夜の夢」だったか、「星は夜空へ上がったら、光り輝かねばならない」という台詞がシェークスピアの戯曲にあったと記憶していますが、それを地でいく瑞穂にすっかり脱帽です。

 一方、まりやや貴子をはじめとする登場人物は、嫉妬、敵意、迷妄、逃避といった心の影がよく描かれていて、これもまた好印象。作品内時間が6月から翌年3月までと長丁場ですが、行事を絡めた出来事とその伏線が数多くあり、人々の横の繋がりも面白くて、読み返しは苦にはなりませんでした。読後感の爽やかな、とても良い作品だと思います。

 ところで、紫苑が奏を抱きしめるのを見るたび、「アトラク・ナクア」の初音と奏子が思い出され、何だか暖かいような微笑ましいような気持ちになりました。ひょっとして狙ってた?(2005.07.30)

 本篇と前後して、キャラメルBOXのファンディスクである「やるきばこ」を6月25日に購入。7月22日から8月3日にかけて「おとボク」の追加シナリオをプレイしました。本篇のイベントの間を埋めるエピソードが中心で、お話しや登場人物の印象を守りつつ、その補強をするものです。

 例えば、奏篇にあった(はずの)瑞穂の実家でのお泊まりが、「宮小路家のお正月」として実現。本篇を読んだとき、「どうして書かないんだろう」と物足りなく感じた部分だったので、とても嬉しかったですね。卒業旅行の話は貴子や一子が突っ走っていて、こういうドタバタ喜劇も大好きです。

 それにしても、貴子の声をあてている声優の佐本二厘(さもとふうり)さん、美声に加えて感情表現が実に上手い! 本篇でも感嘆することしきりでしたし、作品の魅力の何割かを担っていると言っても過言ではありますまい。今後、より一層のご活躍を望んでおりますよ。(2005.08.04)

サハロフ(佐藤純一)