DUMKA

左利き・右利き (2005.11.11)

 11月9日のNHK「視点・論点」に永六輔さんが出演、「左利き右利き」という題で、少数派への配慮の必要性や、少数派に学ぶことの大切さを説いておられました。

 その冒頭で気になったのが、胸の前で両手を組んだとき、親指が上(手前)に来たほうが利き手であるという話。例えば右手の親指が一番上なら、その人は右利きということになるわけですが、それって本当なのでしょうか? というのも、私は右利きですが、組んだ手の一番上は左手の親指なのです。自我の生まれる前に、親によって矯正されたという話も聞きませんから、ずっとそうだったのでしょう。

 もっとも、私の右手は全ての用事を担っているわけではなく、箸はどちらの手でも使うことができます。元来右利きの私が左手での箸使いを覚えたのは、小学生の頃、自転車の事故で「左腕」を骨折し、ギプス装着を余儀なくされたことがきっかけでした。その時は「利き手の右手でなくて不幸中の幸い」くらいにしか思いませんでしたが、中学に上がってから「もしあれが右腕だったらどんなに不便なことか」と再認識。せめて食事くらいはという危機管理(?)のつもりで特訓に臨み、ひと月ほどで習得しました。

 さらに事を進め、左手による筆記にも挑んだものの、こちらは箸使いとは比較にならない困難さ。授業の小テストで隣の女子と答合わせをした際、「それ、左手で○×を付けたんだよ」と言ったら、変な顔をされたのを覚えています。その後、友人の家で誕生間もないパソコン(当時はマイコンと呼んだ)に触れ、いずれ筆記は重要でなくなると理解して、諦めがつきました。

 番組でもうひとつ面白かったのが、左手の積極的な活用についてです。例えば、私の友人にも右利きながら左手でマウスを使う人がいるので、こちらはすぐに納得がいきました。大半のマウスは左右対称に作られているので、すぐにでも実践できそうです。ただ、Microsoft IntelliMouse系の高機能マウスは左右非対称・右利き向けのスタイルを取る傾向があり、世の中、なかなか上手くは行きません。

 キーボードやマウス、ゲームコントローラなど、優れた周辺機器を作ることで定評のあるMicrosoft。以前テレビで、サインをするビル・ゲイツ氏を見たときは左利きだったと記憶していますが、その彼は左手用のマウスが欲しいと思わなかったのでしょうか。あるいは右利きの私たちと逆の発想で、利き手でない右手でマウスを便利に使っているのかも。

サハロフ(佐藤純一)