SAQLと私


 46才になるまで、札幌、仙台、秋田、東京と主として北国で働いていたのですが、最後の10年間は福岡市内勤務となりました。そして定年退職後は佐賀市内の会社に再就職をしています。
 佐賀市は佐賀県の県庁所在地で人口約17万人、元鍋島藩の城下町です。これが私の出身地です。有明海に面した広大で、平坦な佐賀平野の中心にあるこの佐賀市の市街地の特徴は、藩政時代に人工的に造られ、今も残る大中小の多数の水路です。しかし残念ながら今は、地元の市役所による浄化対策工事がなされた二つの基幹水路を除いては、水質が悪い、水量が足りない状態にあります。つまり先人の遺産が十分に生かされていないのです。

 これらの水路は、景観上、環境上、衛生上市民生活に重大な影響を及ぼす基本的な施設であるだけに、当然多くの市民の方々が町内会やボランティア団体の活動として色々な方法で浄化運動に参加しておられます。私はこれらの人々に心から敬意と感謝を表明するものです。

 私はこれらのボランティアのお役に立ちたい目的で、平成8年の11月から、私の古いノ−トパソコンを利用して、佐賀市周辺の河川浄化をテ−マとするパソコン通信のホスト局(0952-28-5240、電話2回線)を自宅に開いています。もう半年以上、この小さなホスト局は一般市民のアクセスを受け止めるため24時間、電源が入ったまま常時待機しています。ホスト局の名称はSAQL(サークル)(Saga AQua Library)です。この「図書館」は、開館時間の制限がなく、しかも読み・書きが電話回線を通して出来るので足を運ぶ必要がありません。もちろん一切無料です。

 ホスト局の内容は、主として「掲示板」です。(これは駅の伝言板のように、電話回線を通して、言いたいことや知りたいことを書き込んだり、他人が書いた情報を読むことができます)。私はいま佐賀市内の次の4つの団体に注目し、これらの団体の行動予定と行動実績を出来る限り掲示しています。それは、

(1)佐賀市水対策市民会議(町内会が主体、佐賀市がバックアップ)、
(2)低平地研究会(佐賀大学+県・市+民間)、
(3)森と海を結ぶ会(昨年の佐賀大学公開講座で生活環境を学んだ市民が主体
(4)水辺環境研究センタ−(佐賀県佐賀土木事務所長富永祐三氏、個人)です。

 また、「掲示板」には佐賀市内の情報だけでなく「河川再生、他都市の試み」や「水の性質、川の生態、地球を知る」など一般情報も掲示する予定です。

 最近売れているパソコンは、インタ−ネットの普及を反映して初めから通信機能がついていますので(古いパソコンでもモデム(約1〜2万円)を購入して外付けすると通信ができます。)、将来は一般市民が自宅からパソコン通信を日常的に実行する時代になると確信じていますが、残念ながら現在はまだまだ、ボランティアの方が自宅から私のホスト局に河川浄化に係わる情報を自発的に書き込んでくれるほど普及していません。
 そのため、掲示内容の大部分は(佐賀大学からの情報を除き)私の自宅に送って頂く文書を見て、私が打ち込んでいます。だから、出来れば私が若い弟子(のような人)に恵まれ、その人が仕事を手伝ってくれる(自分の自宅から電話回線を通して私のパソコンを覗いて、ホスト局管理の仕事をしてくれる)ことを願っています。そして、最後はその人に私のパソコン通信施設一式を渡し、継続してこの「図書館」を運営してもらえたらと思っています。(sysop 山本茂樹記)


「月報とうほく」(東北建設協会発行)平成8年5月号より一部抜粋、転載