Message # 8 is from: SYSOP YAMAMOTOS
Time: 99/04/28 1:13:54 Section 2: ◎清らかな川への思い
Subj: 佐賀市内の河川の現況と対策(佐賀市河川課に訊く)
佐賀市内の河川の現況と対策(佐賀市河川課に訊く)
佐賀市内の河川の浄化をテーマとする我が SAQL は、佐賀市内の河川は、佐賀市民にとってどんな意味があるのか? 行政当局はどのような施策を行っているか? 等を明らかにするために、佐賀市河川課に次のような質問を発して、以下のような回答を頂きました。回答を執筆していただきました関係者の皆様に感謝申しあげます。(シスオペ記)
<質問1>
佐賀市内を歩いてみると、至る所に河川ありますね。佐賀の河川の密度は、全国的にみてもトップを争うほどではないかと思いますが、佐賀市には河川がはどのくらいありますか?
<回答1>
佐賀市は、九州最大の筑紫平野の西部をしめる佐賀平野のほぼ中央部に位置し、先史時代には有明海の干満が市域の大半を満たしていたと言われている。
北部にある背振山地は花崗岩から成り、筑後川lや嘉瀬川等が運ぶ風化した土砂の流出が著しく、洪水ごとに有明海に堆積を繰り返し、100年間に1km程度づつ広がるデルタ地帯を形成ししてきた。佐賀平野は長きにわたる堆積とその都度行われてきた干拓が作り出した平野で勾配が非常に少ない低平地となっている。
筑後川が下流平野の一番低いところを流れている一方で、嘉瀬川等の中小河川は扇状地を流れる天井河川であるため、洪水ごとに氾濫を繰り返し自由に流路を変えて、現在の低平地を綱の目状に流れる河川・クリーク等ができた。
このため、佐賀市の面積はたかだか103.76km2しかないが、昭和55年度の調査結果では、河川やクリーク等の延長は約1,958km、水面の面積510haにもおよび、河川・クリーク等の密度が高い地域となっている。柳や「くど造り」の民家などと共に、網の日のように流れている河川・クリーク等の風情が佐賀平野特有の由園風景を形成している。この様な地形は日本国内では珍しく、干満の差が日本一の有明海周辺特有の地形となっている。
九州各都市の面積、河川延長を比較すると、河川法の指定を受けていない水路やクリーク等の延長が不明な都市が多いが、判明している河川延長を比較しても、佐賀市は河川・クリーク等の密度が高い「水の町」であることが明らかです。
佐賀市 柳川市 大川市 長崎市 熊本市 鹿児島市 宮崎市
市面積 km2 103 37 33.6 241 266 289 287
河川総延長km 約2000 約490 約330
法河川km lO5 18.7 20.6 88.5 311.7 163 190
その他km 1900 約470 約310
しかしながら、優良農地を作るほ場整備等の進展に伴い、網の日のようなクリーク・水路等が直線的に付け替えられ延長が減少しているため、細かいものを含めた正確な総延長は不明ですが、主要な河川・クリーク等でも1200〜1300kmあります。その他に、字図に記載されている溝や用排水路等の小さな公用水面が多数ありますが、詳細は不明であるため、今後これらを含めた正確な河川等の延長を再度調査したいと考えています。
このうち、河川法で指定される基幹的な河川(建設省管理、佐賀県管理、佐賀市管理のうち準用河川の合計)の延長は約105kmで、残りは市内を流れる都市下水路、水路、クリーク等です。
これら河川は国、県、市役所、土地改良区などで管理しています。
建設省直轄管理;1級河川嘉瀬川、城原川の2河川 15km
佐賀県管理;1級河川佐賀江川、多布施川、本庄江川等19河川 74km
佐賀市管理;新川、城東川、赤井手川等の準用河川19河川 15km
大溝川、十間堀川、裏十間川等の都市下水路 83km
(内、雨水排水の幹線 54km)
その他に普通河川(名前が付くもので126河川)や水路が多数
土地改良区管理;市の江幹線、大井手幹線、南里線、嘉瀬線等 53km
の基幹国営水路
(シスオペ注:100km2の面積の中に、河川が2,000kmある。即ち北から南へ一方向に流れる場合を想定すると、佐賀の河川は50m間隔で流れている)
<質問2>
佐賀の都市イメージ造りの一環として、これらの河川を生かそうとする政策が策定されていますか?
<回答2>
佐賀市では、21世紀に向けた都市づくりを進めるために、平成12年を目標とした佐賀市総合計画を平成3年3月に策定しております。
この中では、将来の都市像を「豊かな水に代表される恵まれた自然と田園都市、由緒ある歴史・伝統と風土、県都としてのと市の活力など、本市が持つ特性を十分発揮する中で個性と風格造りを重視」して、
【風格と躍動の人間都市】
を基本理念とした6つの都市像を掲げています。河川や水に関しては、都市像の一つとして
@水と歴史をテーマとする個性と風格のある「文化都市」
を位置づけております。
また、平成6年度に策定した佐賀市総合計画の第2期実施計画においては、「個性と潤いにあふれた魅力的なまちづくり」(総合計画第1章)を進めるため「水と緑豊かな親水都市を創る」(第1章第1節)こととしています。
具体の施策としては、
(1)水と緑のネットワーク
(2)河川浄化の推進
(3)排水対策の推進
(4) 下水道事業の推進
(5)公園・緑地の整備の推進
を掲げ、水と歴史をテーマとする個性と風格のある文化都市づくりを進めることとしています。
<質問3>
建設省が推進してきた佐賀導水事業により、佐賀市内の浄化に利用できる浄化用水1.2m3/Sはどうなっていますか? また、その浄化用水の受け入れ準備は進んでいますか?
<回答3>
佐賀市街地の河川水質については、十間堀川流域以外では下水道も整備され、家庭からの汚水流入の無く、かつ多布施川からきれいな水が入ってきているため比較的水質は良好です。一方、中心商店街を貫流する十間堀川の流域では他から流入する河川水も少なく、また下水道も整備途中で家庭排水も流れて込むため他地域と比較して水質はあまり良くありません。
佐賀市内の河川浄化を図るため、佐賀導水事業で新たに最大1.2m3/sの浄化用水を多布施川上流地点で確保する計画となっています。この浄化用水を多布施川から市内各所へ配分するルートを全般的に見ると下記のことがいえます。
(1)十間堀川流域以外では現況水路を活用して水が配分可能。ただし、今でも面積が広く各水路を流れる量が少ない場所もある。
(2)十間堀川を流れる水量が全般的に少なく、上流端である多布施川の城井樋から注水する必要がある。水路が狭い場所がある。
しかしながら、実際の浄化用水を流すには詰めなければならない問題点が多くあります。浄化用水最大1.2m3/sはかなりの量ですが、市域全体からすると少量であり、どの水路にいくら流したら効果的か?。水路によれば1.2m3/sで家屋が浸水する場所もあるので場所によっては水路改修が必要。各水路に分派する堰の能力・操作性。流量管理を誰がどのようにするのか?。などの課題が多く継続して検討しているところです。
浄化用水を確保する佐賀導水事業は建設工事の真っ最中ですが、当初の計画からは遅れ気味で、佐賀市の浄化用水を含む利水関係は平成12年度に完成し13年度から通水を開始する予定です。一方、治水関係は14年度完成予定と聞いています。佐賀市にとって佐賀導水事業は浄化用水と共に治水上非常に重要な施設ですので、公共事業の7%削減等国の財政も厳しい中でも早期完成出来るよう関係機関にお願いしている所です。
<質問4>
佐賀市内の河川をきれいにするには、市民としてどのような協力ができるでしょうか?
<回答4>
昭和56年度より佐賀市民が主体となって佐賀市水対策市民会議が発足し、春と秋の2回「川を愛する週間」を設け、延べ5万人の市民が河川の一斉清掃を行っていただいております。この成果から市内の河川は昔の清流を取り戻しつつあります。今後も多くの人達がこの行事に参加していただくと共に、自分たちの手で佐賀の河川をきれいにする意識を持っていただきたいと思っています。
その他にも、家庭では油やゴミなどの汚濁物質を少なくして、排水を河川に流さないこと。下水道が供用されたら家庭の排水と出来るだけ早く接続し河川に汚水を流さないこと。浄化槽は合併浄化槽とすること。空き缶やゴミを河川に捨てないこと等、市民が出来ることはたくさんあると思います。
添付資料
資料ー1、市内一級河川及び準用河川調査表
資料ー2、佐賀市内普通河川(旧市内)
資料ー3、(参考)昭和53年〜54年実施の公有水面実態調査結果について
資料ー4、各都市における河川延長及び公有水面調査