Saxophoneよもやま話
サクソフォーンに関する雑学的なこと、その他私的意見などです。
サックスのCDの解説や、文献、人から聴いたことなどまとめています。
間違い、新しいネタなどあればお知らせ下さい。
サクソフォーンのメーカ
サクソフォーンを製造している・していたメーカを私の知る限り上げてみましょう。
- Henri Selmer(France、America)
- Buffet Crampon (France)
- YAMAHA(Japan)
- YANAGISAWA(Japan)
- J.カイルベルス (Germany)
- Jupitor
- marcato
- B&S
- ボガーニ(Italy)
- SPLENDOR
- STECH
- ROXY
- KAWAI(Japan)
- COON
- Alexander
- KING
- ORSI(Italy)
- オリエント(ミベモルの陣内さんに教えていただきました)
- L.A. Sax(America)
まだ、あったら教えてください。
ところで、YANAGISAWAに発売元が2つあるのはご存知ですか?
製造元は、柳澤管楽器株式会社なのですが、発売元が、ゼンオンとプリマの
2つあるのです。
それから、最初のサックスメーカーは、もちろんAdolphe Sax社です。
サックスの死後、息子が楽器の製造を続けましたが、最終的には、Selmer社に
引き継がれました。
特許が切れてからは、各社(クランポン社等)が楽器の改良を積極的に始め、
管径を広げたり、キーシステムを改良したり、現在でも様々な改良がなされています。
サクソフォーン発明当時の音質
サクソフォーン発明当時は、木製のマウスピースが使用されており、キーホールも
現在のものに比べ、広かったようです。当然リードもカットが異なる物が
使用されていました。
そのため、サックスの音色は今よりもっとこもった音色だったと思われます。
どちらかというと、かなりクラリネットに近かったのでないかと考えられます。
また、奏法がクラリネットに類似しているため、クラリネット奏者がサクソフォーンを吹いていた場合が多かったと思われます。
そのためかどうかわかりませんが、
ミュール以前は、ほとんどビブラートを使用していなかったと思われます。
実際の演奏が残っているわけではないので、推測するしか無いのですが、
ミュールがビブラートを使い出して、非常に絶賛されたという話が残っていますので、
それまでは、ビブラートは意識的にはかけられていなかったと考えられます。
アドルフサックス自身がビブラートをかけていたか、同時代の演奏家などがかけていたか知りたいところです。
サクソフォーン発明当時の曲
サクソフォーンの歴史をひも解いてみると、現存しているほとんどの楽曲が
マルセールミュール以降のものです。
では、なぜ、ミュール登場までの間の楽曲があまり演奏されないのでしょう?
サクソフォーン発表当時、サクソフォーンの楽曲の出版はアドルフサックス社がやっていました。当然、アドルフサックスも友人の作曲家にいくつか曲を依頼しています。アドルフサックスの死後、息子が楽器の製造を受け継ぎ、後にセルマー社へ受け継がれるわけなのですが、その間に出版社が売られてしまい、出版されなくなるなど多くの曲が埋もれてしまったようです。
有名なサンジョレーの四重奏第一番も、最初の出版は、サックス社からでした。
パリ国立音楽院にこのオリジナル譜があるそうです。
現代になり、ジャン=マリー・ロンデックスがこの楽譜に手直しを施して、
再出版されています。
アドルフサックスの他に、初期のレパートリーの拡大に一躍買ったのが、Elisa Hall(1853-1924)です。彼女は、資産家でありボストンの「オーケストラル・クラブ」という音楽サークルの会長をしていました。彼女は夫でもある医者の勧めにしたがってサックスを吹いていました。彼女の生年からもわかる通り、まだミュール以前だったので、それほど楽曲は多くなかったはずです。そこで、彼女は当時フランスで著名だった作曲家に作品を委嘱しました。
ドビュッシーのラプソディ
現在演奏される初期の作品の多くは、このホール婦人の委嘱によるものが少なくありません。その中でも、ドビュッシーのラプソディは、ちょっといわく付きの作品です。
この曲が依頼され着手されたのは、1901年のことでした。正式には、1903年に完成されたことになっています。
実は、ちょうどこの曲が作曲されていたころ、ドビュッシー自身は、2度目の妻であるロザリーとの破局、銀行家の妻エンマとの駆け落ち、と、非常にごたごたしていました。さらに追い討ちをかけるようにちょうどドビュッシーの制作意欲が、かの有名な交響詩「海」の作曲へ向かっていたのでした。
この曲の依頼を受けたドビュッシーは、友人宛ての手紙で、次のように書いています。「このラプソディは、委嘱作品であり、すでに報酬も支払われ、すでに一年以上経過しているのですから、どうやら作品の完成はだいぶ遅れています。サクソフォンは、リード楽器で、私はその奏法をまったく知りません」
これから見てもわかるとおり、かなり嫌々作曲していたようです。
ドビュッシーは、一時、「海」の作曲にとらわれてしまい、完全にこの曲の作曲を放棄してしまいました。しかし、ホール婦人の再三にわたる督促で、1911年(依頼から10年)ようやく、作曲を再開(クラリネットのためのラプソディの作曲の影響かと思われます)したのですが、とうとう未完成のままスコアをホール婦人へ送ったようです。
現在演奏される「ラプソディ」は、ドビュッシーの死後(1918没)1919年に、弟子のロジェ・デュカスが書き直し、完成させたものです。
なんとも、サクソフォーン奏者としては悲しい話です。
トレバーワイの教則本について
いろんな先生にレッスンを受けたり、教則本を練習していて思うのですが.....
今、世の中に出ている教則本って、練習曲だけなんですよね。
どういうところに注意して練習したら良いか、「こういう部分を直すには、
こういう練習をここに注意して練習しなさい」、というのは詳しくは書いていないですよね。
教則本を練習して、ここは、こういうことを練習するための曲だと理解できるのは、
何回かレッスンを受けたり、その曲がある程度吹けるようになってからの場合が多い気がします。
実は、それにすごく不満を感じていました。
勉強の参考書や教科書を考えてみても、解説があって、練習問題があります。
ところが、音楽の教則本には、練習問題ばっかり。
なんで、もっと練習内容を解説したものと曲が対応した教則本がないのかなと感じていました。
これにかなり近い教則本は、ラリーテール氏が書き、故 大室勇一氏が翻訳した
「サクソフォーン演奏技法」があります。
ものすごく詳しくサクソフォーンの演奏技術が解説されています。
作者が中高校生のころは、この本をバイブルのように読んでいました。
しかし、実際の細かい練習方法については、もうひとつもの足りません。
で、ここからが本題なのですが、この不満をある程度解消してくれる教則本があるのです。
これは、雲井雅人先生から教えていただいたのですが、フルートの「トレバー・ワイ」の教則本シリーズです。
フルートのための教則本なのですが、練習課題、解説と練習内容が
対応していて、とてもためになります。
特に、第一巻「音作り」では、調による音色の使い分けの練習など、音色を考え、
音楽を作る上でプラスになることが盛りだくさんです。
なにごとも、問題意識をもって望むことが大切ですが、この本はそれに答えてくれます。
音域や、楽器の性質上、できなかったり、食い違う部分もありますが、
運指が似ているおかげで、かなり共通する部分があります。
初心者がそのまま使うには、ちょっと無理があるかもしれませんが、楽器店で立ち読みしてみて、気に入ったら、買って実践してみてください。
なんらかあなたの音楽作りにプラスになるでしょう。
もちろん、レッスンから学ぶことのほうが圧倒的に多いです。プロの音、吹き方を直接耳にし、教えてもらうというのは、本やCDから学ぶよりも何十倍もためになります
Copyright Masanobu Kimura