Saxophone 質問集
この質問集は、Saxophoneに関する疑問に関する回答です。
レッスンを受けたり、書籍を読んだり、経験したことから書いています。
直接教えてくださいとか、いちゃもんは、ご勘弁ください。
もちろんこの文章の著作権はわたしにあります。引用や、転載する場合は、必ず引用がここからであることを但し書きしてください。
追加、修正は、随時行っていきます。
初心者編
SAXを始めたいけれど、どうしたらいいですか?
楽器を買いたいのですけど、どういう楽器を買ったら良いですか?
楽器を買うとき、注意しなくてはいけないことは?
マウスピースは、どのメーカ・タイプが良いですか?
経験者編
上手くなるためのコツを教えてください。1998/6/30 updated
なにか独学での練習方法はありますか
基礎練習はどういうことをすれば良いですか
音を良くするにはどうしたら良いですか
良いアンブッシャーとは?
指を早く正確に動かすには、どういう練習をすれば良いですか1998/9/3 updated
マウスピースの種類について
上手になるためには(その2)
リガチャーなどの小物を変えることは意味があるのですか?
[初心者編]
[Q]SAXを始めたいけれど、どうしたらいいですか?
[A]須川さんのようなクラシックのサックスを始
めるか、JazzやPOPSのサックスを始めるかによります。しかしいずれにしろ、基礎は一緒です。
もし、あなたが中、高、大の生徒、学生で、とにかくSAXを始めたいなら
吹奏楽部、吹奏楽団に入ることをお勧めします。
社会人等であれば、楽器屋さんで開催しているSaxophone教室に入ることをお勧めします(
楽器店で相談してみましょう。)
音楽にしろ、スポーツにしろ、最初が肝心です。
変な癖がついてしまう前に、指導できるサックス奏者に学ぶべきです。
サックス教室が無い場合は、一般の吹奏楽団を探しましょう。
初心者の場合は、ちょっと辛いかもしれませんが、どこかに、教えてくれる人がいるはず
です。
[Q]楽器を買いたいのですけど、どういう楽器を買ったら良いですか?
[A]初心者で特に目標の楽器が無ければ、アルト
サックスを買いましょう。
テナー、ソプラノなどであれば、それを最初に買っても良いですけど、
価格的には、アルトが、一番低価格です。
メーカーは、信頼出来るメーカーを選びましょう。
日本で、今手に入る楽器では、Selmer、YAMAHA、Crampon、YANAGISAWA等があります
。
お金に余裕があるなら、上記のメーカをお勧めします。
他にも安いメーカは存在します。
しかし、予算がある程度(40万円程度)あるなら、上記メーカをお勧めします。
[Q]楽器を買うとき、注意しなくてはいけないことは?
[A]できるだけ、プロ、または、かなりの経験者
に選定してもらいましょう。
楽器本体、マウスピースとも、個々に良し、悪しがあります。
せっかく高いお金を出して買うのですから、良い道具を選びましょう。
[Q] マウスピースは、どのメーカ・タイプが良いですか?
[A] 一般的に最も多く使われているのは、クラ
シックではSelmerやVandorenのマウスピースです。
しかし、他のメーカにも良い物があります。
一般的なものでは、アルトサックスに限ると、Selmerでは、
[S80 C*(Cのワンスター)]、[S90 180]です。Vandorenでは、 A15、A27、A28等です。
これは、あくまでも、アルトサックスでの標準です。
ソプラノ、テナー、バリトンでも同じ型のものを使えますが、標準から外れたもののほう
が、吹きやすかったり、良かったりします。最初は標準的なもので練習しましょう。
[経験者編]
[Q]上手くなるためのコツを教えてください。
[A]結果を言ってしまえば、上達するための早道は、練習する以外にありません。ただ、これでは、しょうがないので、いくつか心がけるべき点を上げます。
- 良い音楽、良い音をたくさん聴きましょう。個人練習するときは、自分の耳が先生です。良い音楽、良い音を聞き分けられるように、良い音楽をたくさん聴いて、耳を鍛えましょう。
- できるだけ、吹ける人に習いましょう。
- たまには、自分の演奏を録音して、客観的に聴いてみましょう。
- 上手く吹こうと、意識しましょう。
- 暇があればサックスの歴史や知識を調べてみましょう。
[Q]なにか独学での練習方法はありますか
[A]
私の役にたったと思う練習方法の一つを教えましょう。
ほとんどのアマチュアがそうだと思うのですが、特定のプロのレッスンを継続して受けている方は少ないと思います。
では、そういうとき、どういう練習をしたら良いのでしょう?
現在出ているCDを参考にするのです。私の場合、CDを手に入れたら、演奏できそうな曲があれば、楽譜を探しました。また、逆もありです。できるなら、複数の演奏家の演奏を参考にできると良いでしょう。
そして、その曲を演奏してください。曲が自分なりに通せるようになったら、それを録音してみましょう。まずは、自分の気になる部分をチェックしましょう。気になる部分がわからなかったら、プロの演奏を聴いてみましょう。(なにか自分の演奏との違いを見つけてください)
ただ、注意しなくてはいけないのは、こういう練習ばかりしていると悪い癖がつきやすいことです。すべて、これに頼るのではなく、あくまで、曲作り&表現の勉強と割り切ってください。たまには、レッスンを受けたり、上級者に見てもらったりして、変な癖がつかないように
十分気をつけてください。
癖は、つきやすく、直りにくいですから。
それからたまには自分の姿を鏡に映したり、ビデオで撮影したりしてみるのも一つの手です。姿勢の悪さ、指使いなど、いろんな面で気がつくでしょう。
もちろん、プロのレッスンを受けるのが、一番良いですが....
[Q]基礎練習はどういうことをすれば良いですか
[A]基礎練習ではなるべく次のことをしましょう
- ロングトーンをしましょう
- 吹いている最中は、音色に常に注意を払いましょう。吹く音の順番は、一番出しやすい「シ」の音から始めると良いでしょう。音を変える時は、できるだけ音色が変わらないように注意を払いましょう。
- ppからff、ffからppのクレッシェンド、デクレッシェンドをつけてロングトーンをしてみましょう。そのとき、音色があまり変化しないこと、音程が変わらないこと、滑らかなクレッシェンド、デクレッシェンドができるように注意しましょう。
- 音階練習をしましょう。なるべくすべての調について音階練習をしましょう。
- 余裕があれば、分散和音等も練習しましょう。
いずれも、基礎として大事なことですが、時間が無く音だし程度にとどめるときも、常に音色に注意を払いましょう。
[Q]音を良くするにはどうしたら良いですか
[A]音を良くするためには、いくつか練習方法がありますが、それをすれば、黙っていても良くなるわけでは、ありません。
- 常に音色に注意を払い練習すること
- 良い音を聴き、良い音のイメージを持つこと
- アタックは汚くなっていないか注意すること
- これが、一番難しいでしょうが、自分の音色が良いか悪いか聞き分けられること
が大切です。もちろん、良いアンブッシャーが無ければ、良い音は望めません。良いアンブッシャーを身につけましょう。
他にも、良い楽器、良いマウスピース、良いリードを選ぶことも大切ですが、自分の吹き方が一番重要です。
[Q]良いアンブッシャーとは?
[A]良いアンブッシャーとは、私自身まだ見つけられていません。
ただ確実に言えるのは、当たり前ですが、良い音が出せるのが良いアンブッシャーではないかと思います。
一般的に良く言われるのは、
- 安定した状態であり、かつ柔軟に動けること
- 言い方は汚いですが、適度に締まった肛門のように
- 自然な口の状態を保ったまま、適度に締まっている状態
唇の巻き具合、マウスピースの噛む深さ、は、個人の体の状態や、マウスピースの種類によって多小変わるでしょう。一つ絶対的な条件としては、リードの振動が抑制されすぎず、自由になりすぎず、適度に抑制された状態です。抑制の条件としては、
- 噛む強さ
- 唇のリードにあたる面積、角度、形
- 唇の当たる位置
抑制のコントロールの練習として、Jazzの奏法にあるように、アンブッシャーだけで、半音くらい下げてみたり、
下げた状態から、上げてみたり、いろいろやってみると良いでしょう。
注意してほしいのは、ある程度アンブッシャーが固まっている状態からこの練習は試みるべきで、初心者が行うべきではありません。
[Q]指を早く正確に動かすには、どういう練習をすれば良いですか
[A]指を早く動かすためには、訓練が必要です。
まず、自分の指を左右一本づつ動かしてみてください。薬指や小指は他の指にくらべ力も弱いし、
動かしにくいですね。
このように、指には動かしやすい・動かしにくい指使いがあります。
これを、克服するには、テクニックのための教則を用いるのが一番早いでしょう。
教則本を練習する際、気を付けることは、
- 指を跳ね上げないこと
- 楽器をつかむつもりでキーを押さえること
- 必要最小限だけキーから指を離すこと
- 音が均等に出ているか、間に別な音が混じっていないか
- リズムが転んでいないか
- せっかくですから、下の音から上の音まで、音色にも気を使いましょう
- かならず、メトロノームを用い、上記のことを守れるテンポから始めること
また、次のことを参考にしてみてください。
テクニックの基本は、時間を競うスポーツに似ています。
ある目的地から、別の目的地へ最短距離を少ない力で行くことができれば、
早く、スタミナも使いません。
これと同じで、あるキーを押さえている状態から、別のキーへ移るための
最短距離、少ない動作を心がけると、驚くほど早く静かに動けるはずです。
他に、リズムが均等にならず、転んでしまうときは、最低次の4つのリズム替えの練習をしてみてください。
これは、曲の練習でも、指が回りにくいフレーズを正確に吹く練習になります。
[Q]マウスピースの種類について
[A]同じメーカのマウスピースでも種類がたくさんあります。では、どういった種類のマウスピースを選んだらよいのでしょう?
この問題は、個人の音の趣味にもよります。私は比較的標準的(Selmer S90 180)なマウスピースを使っていますが、人によっては、同じメーカでも、170や、190を使っている人がいます。では、この番号に何の意味が在るのでしょう?
Selmerのマウスピースの場合、番号が大きくなるにつれて開きが大きくなります。
まずマウスピースを特徴付けるものとしては、マウスピースとリードの開き具合(ディップオープニング)。
(図の1)
マウスピースとリードの離れている長さ(フェイシング)があります。(図の2)この違いがマウスピースの番号の違いになる場合が多いです。
Selmerでは、番号が大きくなるにつれて、開きが大きくなり、フェイシングが長くなります。
この組み合わせだけでも、数多くのものができます。
Selmerの場合、型番だけで、ある程度この傾向が判別できますが、
Vandorenの場合、この判別に当てまりません。A15、A20、A27、A28と開きとフェイシングが広くなるのか、というとそうではありません。
中には、開きが大きく、フェイシングが短いものもあります。
これは、その開発に携わった奏者の好みにも大きく左右されていると思います。
特にVandorenでは、A27はディファイエが、A17はデュラングルが開発に携わって
います。
この他にも、マウスピース内の形状(チェンバーの形状)も大きく影響します。
一般に、チェンバーが狭ければ、Jazzのような鋭い音になります。
現在もチェンバーを削る作業は、職人が手作業でやっているんですよねー。
マウスピースに善し悪しができるはずです。
少々、本題からずれました。では、どういったタイプのものを選ぶと良いのでしょう。
自分の求める音色、吹奏感、コントロールのしやすさで千差万別でしょう。
一般に、開きが大きくなるほど、音量は増し、音色も荒くなります。しかし、リードの
選択も影響します。厚めのリードを使い、開きが小さいものが、自分の
求める音色に会い、コントロールしやすい場合もありますし、開きが大き目で薄目の
リードを使用したほうが良い人もいます
私の場合を例に挙げると、アルトの場合は、ほぼ中庸のもの(S90 180)で状態の良いものがあったのでそれを使用しています。他の楽器については、アルトから離れるにしたがって、開きが大きくなるほうが合う気がします。バリトンなどは、かなり開きが広いものでも
良いようです(S80 Eなど)
Jazz用といわれているマウスピースを使っているプロの奏者もいます。
私はソプラノについては、S90 180で良いものが合ったので、それを使用していますが、もうすこし開きの大きいもので良いものがあれば、試してみたいと思っています。
マウスピースを選ぶとき、楽器店で様々なマウスピースを吹けるなら、
いろいろなタイプのものを試してみるのも新しい発見が在るでしょう。
[Q]上手になるためには?(その2)
[A]
前からよくわたし自身が指摘されることで、「まっすぐ吹く」ということがあります。クラリネットと違いサクソフォーンは、アンブッシャーに自由が効き、音も出しやすい。そのため、表現したいと思うあまり、必要以上にアンブッシャーや息まで動いてしまうことがありました。
そうすると、音色や音程が必要の無いところで変化してしまい、音楽を邪魔してしまいます。理想的なのは、必要なところでの好ましい変化であって、必要以上に変化していては、良い音楽とはいえないでしょう。(もちろん変化が無さ過ぎるのも問題ですが)
これを直すにはどのようにしたら良いでしょう?
私が、今、練習時に気をつけているのが、
できるだけ自分の音がダイレクトに聞こえてくる環境で吹き、自分の音を聞くこと。(例:壁に向かって吹く。)その際に、それほど難しくない教則本や、自分の好きな曲で、
- まっすぐ吹くこと(一つの音の中で音程の変化や、無駄な音量の変化が無いように)に気をつけて吹く。
- アンブッシャーが曲を吹いている途中で変化しないように。
- 出す息が、常に腹筋で支えられている状態で吹くこと。(ただし、肩やのどにまで力が入っては、台無しです)
これらのことを、過去に練習した教則本を再度使って練習しています。
でもやっぱり難点なのは、自分の耳が先生となるので、耳を鍛えなくてはいけないということでしょうね。これにこだわりすぎて、面白くない演奏になってもいけないですから。
[Q]リガチャーなどの小物を変えることは意味があるのですか?
[A]
楽器の基本原則として、「体に近くなるほど、重要になる」ということを聞きました。
楽器<ネック<マウスピース<リード<人ですね。
リガチャーについては、マウスピースほどではありませんが、影響されます。
私はアルトではハリソンハーツを使用していましたが、
このリガチャーは、とても音の抜けが良いのが特徴です。
始めて使用したときは、衝撃的でした。
しかし、選ばないと、なかなか良いものが見つからないのが難点です。
今は、Vandoren Optimumを使っていますが、良くまとまります。しかし、抜けという面では、ハリソンに軍配ですかね。
型からの打ち抜きでできているようなものは、
それほどばらつきはないのですが、どうせ買うなら、選んでみる価値はあります。
あと、結構違うなーと思うのは、フックですね。YANAGISAWAの「魔法のフック」は
低音の鳴りとまとまりが良くなります。
良い音を求めるのに貪欲になるのは、良いのですが、私を含め「自分を棚にあげて」
は、良くないです。
少なくとも、それぞれの差異がわかるようになってから、リガチャーに凝り始めても
遅くありません。まずは、「人」をグレードアップさせねば。
Copyright Masanobu Kimura