サクソフォーンを採り入れた作曲家
この新しく誕生したサクソフォーンは、アドルフ・サックスが、当時フランスに
住んでいたということもあって、フランスの多くの作曲家に気に入られました。
特にベルリオーズは、「高音域は柔らかく浸透力があり、中音域は深遠で印象的、
低音域は、充実した豊かな音を持っている」と絶賛しています。
しかし、ドイツ系の作曲家からは、まるで無視されてしまいました。
と、いうのも、サクソフォーンの音色が非常に情緒的で、作風に会わないのと
この楽器の性質が、良く伝わっていなかったようです。
一方フランスでは、イベール、ビゼー、ラベルといった作曲家がこの楽器を用いた曲を作曲しました。特にイベールは、多くの曲を残しています。
他にも、東欧、ロシアにおいて、グラズノフをはじめとする作曲家が好んで使っています。
Jazzの影響
1870年にパリ国立音楽院のサクソフォーン科が閉鎖され、この楽器の運命が風前の灯火となったころ、
この楽器の運命を大きく変えたのは、Jazzでした。1920年ころアメリカで、
サクソフォーンがJazzにさかんに使用されるようになり、
その道の権威ポール・ホワイトマンに
「サクソフォーンは、Jazz音楽の王様である」と言わしめたのでした。
Jazzでサクソフォーンが使われるようになり、Jazz用の楽器として一般に
知れ渡るようになりました。
クラシック音楽でのサクソフォーン
一方、クラシック界でのサクソフォーンは、その間もフランスの軍楽隊を中心にして、発展していきました。Jazzでは、早くからこの楽器に地位が
認められていましたが、クラシックでは楽曲の少なさ、クラシック演奏者の
少なさで、なかなか認められませんでした。
しかし、1930年頃(サクソフォーンが誕生して、90年近く経過している)から、フランスの軍楽隊にいたマルセール・ミュールが
意欲的に活動を始めました。1942年には、パリ音楽院にサクソフォーン科が再び開設
され、その教授も努めました。(初代はアドルフ・サックスその人です)マルセール・ミュールは、演奏活動と共に
多くの楽曲をサクソフォーン、サクソフォーン四重奏用に編曲し、多くの教則本
も残しています。さらに、数多くの作曲家がミュールとその四重奏団のために
曲を書いています。
このマルセール・ミュールが居なければ、現在ほどクラシックサクソフォーンが
発展していなかったと言っても過言では無いでしょう。
今でも、その演奏は高く評価されており、最近残っている音源からCDがいくつか作られています。
現在では、フランス、日本、アメリカ等で数多くのクラシックサクソフォーン奏者がいます。特に最近は、クラシックサクソフォーンのCDも数多く出ており、
日本でも、数多くの奏者が活動しています。
サクソフォーンの種類
サクソフォーンで、現在製造されている楽器は、