辻清治さんの <関東修行日誌−3> 2000.12

 

< 蒲田チャンピオン戦 >

 日付から言えば、12/10の東京チャンピオン戦から書くのが順序
ですが、紹介したい棋譜に一部不明なところがあるので、先に
12/23の蒲田チャンピオン戦から報告。

 参加選手は56名で、関東のアマトップクラスのほぼ2/3が
集まっていると言えるこの大会。後で主な参加者を記載するが、
どこを見ても強豪だらけ。たぶん参加者の半数が何らかの全国大
会優勝者、7割程度が県代表経験者と思う。


 初参加なので遅れない様、集合時刻(9時半)の少し前に行く
と、席主の海老沢さんと奥村さんが各々の奥様を手伝わせて料理
材料を運び込む途中(もう何度かお会いしているが、2組共、感
じのいいカップル。独身者は、東京出張の折には、是非蒲田将棋
クラブへ来て、どういう伴侶を見つければ良いのか、参考にすべ
し)。
この運び込んだ材料が昼のトン汁と夜のしゃぶしゃぶ他に化ける。
昨年はトン汁を8杯お代りした人もいたという。

 さて参加費は昼食込みで5千円。それに見合う優勝20万円、
準優勝10万円、他の賞金。敗退者には優勝1万円の慰安戦も…。
さすがにこの20万円は取れる気がしない。自己評価では、15
位以下35位以内と推定。私の力ではBEST8に入れれば上出
来。まずは2勝通過の予選突破を目指す。


< 1局目:伊藤さん >  1局目は職団戦のチームメイトである伊藤雅明さん(朝日アマ 名人戦、南関東代表他)。初対局である。 職団戦・社団戦で、同じ方向から伊藤さんの将棋は何十局も見て いるが、反対方向から見るのは初めて(練習では1局)。団体戦 で、鈴木純一さん・青柳敏郎さんに連勝してくれる人がメンバー に居ると、どれだけ有り難いことか…。これは団体戦をやったこ とのある人には、良く理解して貰える感情だろう。  棋風は良く判っているつもり。一言で言うと、私と正反対の、 切れ味の良い将棋。  将棋(棋譜添付←1月になる見込み)は、私の変則立石流を真 っ向からつぶしに来られた内容で、仕掛け前後が面白いと思う。 互いに見落としがあったが、どちらも致命傷にはならず中盤へ…。 ただこの双方の見落としは私に有利に働いた。又、棋風からも一 旦受け止めることが出来た私がペースを掴み、そのまま終局へ。 予選通過が大変だけに、勝ててホット一息。
< 2局目:滝さん >  2局目はつい先日のまぐろ名人戦で当ったばかりの滝源太さん。 これも序中盤が面白い将棋。仕掛けを許してもカウンターで際ど く有利と思っていた局面が、実は判断誤り。以下、完敗で、先日 のお返しを早速頂いた。(こういうところで義理堅い人が多くて 困る毎日。私に将棋でのお返しは不要です!)  ここまでの2局は(わずかですが)年長者が相手。最近、こう いった公式戦で年長者や同年代の方と当るのはまれ。殆どが10 〜30歳下の方との対戦が多く、私も歳とったことをひしひしと 感じる。又、年長者や同世代の方々に連帯感を覚える様になった。 (21世紀になっても頑張りましょう!)  2局終わって昼食。前述のトン汁は美味しく、お代りも頂いた。 選手から「毎年、将棋は負けるが、このトン汁を食べる為に来て いる」との声も聞かれた名物。私も満喫した。
< 3局目:石橋さん(予選通過) >  3局目は石橋薫さん。初対局で棋風も知らない。私の方が強い つもりで早指しで飛ばしたが仕掛けで早速不利に。もっと慎重に 指すべきだった。予選敗退かと悔やみながら指していた。 ところが、思いがけない悪手が相手に出て、急にこちらの駒が全 て働き出し、一挙勝勢に…。ラッキーな予選通過だった。
< 馬券の趣向 >  この蒲田チャンピオン戦は対局以外に全員を8枠(8名/枠) に分けた馬券?の趣向があり、楽しませてくれる。 メンバー表からどの枠が本命・対抗か予想して下さい。不謹慎と 思う人も居るとは思うが、低額のまさにお楽しみレベルなので、 まあ許して下さい。 これだけのメンバーが揃うとアマ将棋通でも読めないだろう。オ ッズも作られており、参加者兼投票者が十分楽しんでいる。  各枠から主なメンバーを4名ずつ記載しておく。 <1枠> 石井豊/広瀬章人(奨励会初段)/藤森保/美馬和夫 <2枠> 西山実/山内一馬(麻布高校)/滝源太/瀬良司 <3枠> 瀬川晶司/小泉有明/重田真人/愛達治(準棋士) <4枠> 秋山太郎/長岡俊勝/松本誠/渡辺憲司 <5枠> 山田敦幹/吉沢大樹/樋田栄正/渡辺久記 <6枠> 桐山隆/林隆弘/菊田裕司/山田洋次 <7枠> 遠藤正樹/古賀一郎/金子タカシ/星裕二 <8枠> 渡辺健弥/青柳敏郎/嘉野満/山田慎治  実際、お祭りにはこういった趣向が大事で、わいわい言いなが ら盛り上れる。私も3−4、3−5、4−5の3点買いを各3枚。 7−8を1枚投票。 実は、当初6枠を含めた3点買いの予定だった。桐山さん・林さ ん・菊田さん・山田洋次さんと揃ったところが魅力的。だだ後者 3名が急遽欠席となり鞍替え。しかし、この判断が正しかったか どうか?「決勝に進むには一人居れば十分」との海老沢さんの言 葉が桐山さんの進撃と共に、急に現実味を帯びて来る。さすがに 永年鍛えた?勝負感。(見識?)
< ト−ナメント:小泉さん >  予選通過者で再抽選。 私のトーナメント1回戦の相手は、小泉有明さん。 荷が重い相手だが、ここまで来ては文句は言えぬ。残ったメンバ ーでは、このクラス以外の相手を探す方が難しい。 小泉さんの居飛車穴熊模様に私の三間飛車。相手の▲7七角に呼 応して、△5四銀〜△6五銀と出て揺さぶりをかける。手損では あるが△7六銀と一歩得した後、おさまったところでは少しこち らが有利だったが、その後は実力差が出て惨敗。
< 慰安戦。。。以下、観戦記 >  この後、慰安戦トーナメントを指すが、2局目にまたも惨敗。 (筋の悪い手を重ね、自分でも嫌になった) ついに観戦者となり、BEST8以降の戦いを観戦。これが又、 素晴らしい将棋の連続だった。どの将棋を見ても、私ならどちら を持ってもたぶん負けると思える見事な終盤ばかり。(謙遜では なく本音。棋譜をとっていたので、アマレンか近代将棋3月号に 載るのでは…)県代表〜アマトップを狙う人は是非並べて、将来 の自分のライバル達が、どのレベルに居るのか確認することをお 勧めする。自分にどれだけの努力を課せば良いのか…、励みにな ることは請け合います。 (もし棋譜が載らなければ、後日私が借りてきて、掲示します)  準決勝は、長岡×渡辺健弥、吉沢×桐山戦。決勝は、長岡×吉 沢戦。勝者は???。近代将棋3月号でお楽しみ下さい。
< 打ち上げ > さて、この後、夜の表彰式と打ち上げに移るが、なんと選手の 中にバースデイケーキを貰って、声楽家?(ピアニスト?)にハ ッピバースデイまで歌ってもらうという破格の扱いを受けながら、 且つ馬券も5枚当てるという強欲非道な?強運の持ち主がいた。 また彼はケーキを配りながら「おい吉沢、これはお前にはやらん。 これ以上太ると椅子に座れないぞ…」とかの憎まれ口をたたきな がらも、周りの人を和やかにする才能の持ち主。結婚前後に全国 優勝する(全国大会に奥さんを連れて来ていた??)という伝統 を作った一人。さて、彼は誰でしょう。 (ヒント:北海道の方でも、奈良の方でもありません)  この答えと、夜の打ち上げの模様は、次回(来年)に…。  今年一年、色々な方に大変お世話になり、ありがとうございま した。21正棋?(21世紀)も宜しくお願いします。 では、良いお年を…。 (了)