辻清治さんの <関東修行日誌−4> 2001.3

 

< はじめに... >

 大変ご無沙汰しました。
正月明けに書く予定が延び延びになってしまい、申し訳ありません。
当初は新年のご挨拶から始めるつもりでしたが、今はすでに春は弥生。
ひと季節遅れてしまいました。

まずは遅れたことの言い訳から…。
「もう○月に入り、話題が時期遅れになってしまいましたので、内容は
一部省略しますが、まず前回のクイズの答えから…彼は○○○○さんで
した。」と書き出し、送付したところ、有能な査閲者兼鬼の編集長であ
る野山さんより待ったがかかった。

「それは何かの勘違いでしょ?。私もクイズの答えを考え
 たけど、誰だか判らなかったんですよ。
 書き直−−し!(^o^)(^o^)(^o^)」との言。
えっ、えー(^^;;;;;???)」と私。



そこからひとしきり(メールで)私の記憶内容を話題にしたところ「出る
わ出るわ、続々と私の記憶誤りが!」。

結論として、私の頭脳レベル(記憶力)は相当低下しており、単なる加齢
による影響だけではなく、病的レベルに達しているのではないかと自己診
断するに至った。(他の指摘のない分野でも、知らない間に同じ様な誤り
をいっぱい犯しているのだろうな…)

そういう訳で前回のクイズに正しい答えはありません。不詰めの詰将棋の
様で、真剣に考えられた方々には申し訳なし。お許しを…。
さて、謝罪はこれ位にして(と気を取り直して…)、修行の話に戻します。


1)正月:都名人戦 正月は兵庫の自宅に帰り、ゆっくり休養。正棋会の新年会と王将戦には 当然参加。神奈川に戻った後の、最初の大会は1/21、28の都名人戦。 東京都庁の1階ホールが会場。この場所を使うには関係者のご努力や気遣い があっての結果だと感じる。(参加者全員で大事にしたい) この大会も歴史があり、関東に来れば、是非出てみたい大会だった。 関西でも同様の趣旨の大会をやって欲しいですね。なにわ名人戦等如何でし ょうか、磯村市長、大阪市将棋部の皆様方。(又は、大田房江知事と大阪府 将棋部の皆様方に依頼すべきか?) 都名人戦1日目は200名ほどの参加者で、2敗失格方式。私は4勝1敗で 通過(1敗は、チ−ムメイトである林隆弘に完敗)。 他の大会(埼玉の彩の国名人戦等)と日程がぶつかっていたらしく、強豪が やや少なく感じた。
2)都名人戦:二日目  二日目に残ったのは30人弱。2日目は新宿将棋センターが会場。  私は1回戦まず少年(小学校高学年か、中学生)と。  お名前は、仲澤宏史君。強い少年だった。将棋は私が  負けていたが、即詰みを逃れる順があり、最後の最後で  逆転勝ち。申し訳なかった。しかしこちらも正棋会の  プライドがあり、上位に行きたかったので、勝ててほっと一息が本音。  二日目の2回戦は、古土井さんと。これも熱戦となる。棋譜を残して いないので、お見せ出来ないのが残念。際どく辛勝し、これでBEST8 に残った。
3)ベスト8 ここで昼食休憩。相手がだんだん厳しくなって来る。次は予選でも負けて いる職団戦のチームメイトでもある林隆弘。調子が戻って来ている以上、 少しでも上位に…という気持ちがあり、頭を冴えさせておくために昼食も 軽くケーキとコーヒーですませた。 気合十分の3回戦だったが、結果はこれも完敗。実力差を見せ付けられた。 戦形は「居飛車穴熊模様に対し、3二銀型から△4五歩〜△3五歩といく形。 その後、▲3八飛と牽制してくるのに対し、定跡(プロの実戦譜?)と違う 順に出たのだが、これがない手だった。 的確に咎められ、その差を除々に拡大されての完敗。 彼は手が本筋しか行かないタイプの切れ味の良い攻め将棋かと思っていたが、 受けも(何より読みが)しっかりしている。中盤以降、こちらが苦しんで出す 勝負手をすべて読み切りで動きを封じられた。 これで彼には3連敗だが、実力差と言う以外に言葉がない。
4)BEST4(観戦) BEST4には秋山太郎・横山公望・渡辺憲司・林隆弘の諸氏。 さすがに、ここまで来ると実力者ばかりだ。この中で全国優勝の経験がないの は渡辺憲司さんのみ。また彼はその分、関西での知名度もやや低いが、私は非 常に買っている若手のひとりだ。近い将来何かの棋戦で全国優勝すると思って いる。結果と棋譜は主催者でもある近代将棋の誌上でご覧下さい。 準決勝の2局は、私から見て悪いと思っていた方がいずれも勝ちとなり驚いた。 (自分より棋力が上の将棋を評価するのは難しいが、いずれも逆転と思っている) 結局、都名人の栄誉と20万円の優勝賞金は、秋山太郎さんの下へ…。私も BEST8の成績で満足は出来ないが、ノルマは果たした気分。ある程度の達成感 を胸に、帰途についた。
5)鎌倉王座戦 1週おいて、2月11日(日)は特別予定もなく、前日に「アマレン」の会報で 大会を探したところ、唯一「鎌倉王座戦」の案内が…。 「ローカルの大会(失礼)かも」と思ったが、大船まで40分位で着けそうなのと、 知らない人と指すのが好きなのでその大会に出ることにした。  だが、当日会場に着き、知った顔が多数いるのに驚いた。横山公望  さんを筆頭に神奈川県の有力メンバーが結構集まっていた。  さらに、会場に貼り出された歴代鎌倉王座のリストを見てビックリ。  今回が22回目だが、過去21回の優勝者の一部を記載すると  「鈴木英春さん×4回、横山公望さん×2回、鈴木純一さん×2回、  西山実さん×2回」  ここまででも十分『うん?!』という感じなのに、さらに、 「宮原康一さん、渡辺健弥さん、小泉有明さん、柿沼昭治さん」 とビッグネームが続く。 取りこぼしさえなければ、少なくとも上位には行けるだろうとの来る前の軽い気持ちは 吹き飛び、対戦相手の呼び出しから緊張感を持って聞き耳を立てていた。
6)準決勝〜決勝〜優勝! 負け将棋もあったが何とか幸いに3連勝でき、BEST4に残れた。あとの3人は 横山公望、小林悟、小林秀雄の諸氏。 よく考えると、この3人には勝った覚えがない。各々1〜2局ずつだが、すべて負 かされている。 準決勝は抽選で横山×小林悟、小林秀雄×辻の組み合わせとなる。 この準決勝も際どい将棋だった。中盤の終りころには難しいものの少しこちらが良 い状態で終盤戦へ。そこで悪手が出て一挙に差を詰められる。 最後は全く判らない状態となったが、勝ちが残っていた。 決勝は小林悟さんと。彼は懐の深い将棋である。まさに得意戦法(と思われる) である玉頭位取りと彼の棋風がよくマッチしている。こちらが良くなってもそこから 負かすまでが大変で、一苦労もふた苦労もせざるを得ないタイプ。 彼とは昨年関東に来て以来、武相名人戦、東京チャンピオン戦と立て続けに負かされ ており、3連敗は避けたいと燃えるものがあった。 将棋は序盤の終りころに小林さんに見落としがあり、私が優勢に。勝勢に近いところ までは持ってこれたが、ここからが相手は強かった。(見方によれば、私の終盤が とろいだけかも…) ふらふらして、独楽が止まりそうになりながら、なんとかゴールに到達出来た。  嬉しい優勝である。昨年、関東に来てから格上のメンバーがいる中で  ははじめて の優勝。  前述の歴代鎌倉王座と同列に名前が残ることに誇りを感じる。さらに  3万円の副賞(賞金)も頂き、喜びと実益の両方を手にした満足  の一日であった。                                   以 上