辻清治さんの <関東修行日誌−5> 2001.12
<社会人団体リーグでの戦い>
我々のNECチーム(1)は、今期新たに美馬和夫・瀬川晶司の
両名が加わった新編成のチームだが、日を追うごとにチームとして
の一体感が出来上がり、自分たちの中ても充実感を味わいつつあった。
前記2名に長岡俊勝・林隆弘を加えたアマトップクラスの4名を
中核に、加藤徹・山本圭一・伊藤雅明・辻清治の県代表クラス4名が
続く計8名をワンセットとしたチームである。
正直なところ我々も今期は上位に行けるとは思っていたが、ここまで
やれるとは…が本音である。
開幕前、他チームのメンバーと比較しての我がチームの実力は「少なく
とも3位以下。翔風館・スーパーゴールドの2強は抜けている…」であった。
ただ「2強には劣るとは言え、強力チームは他にも多数揃っている。い
くら2強と言えど全勝や1敗で4日間を駆け抜けるのは至難の技。4ヶ月
の中での4日間15戦という長期戦故、メンバーの中にはきっと参加出来
ない日も出て来るだろう。その時、メンバーを8人揃えている我々のチーム
の強みがきっと生きてくるはずだ」とも思っていた。これを頼りに長い戦い
に入った。
第1日目にスーパーゴールドに2−5と実力差を見せつけられたが、翔風
館に4−3勝ち。優勝候補の一角を切り崩し、混戦の予感。上位チーム相手
に3勝1敗と上々の滑り出し。
2日目、オール東大やリコー相手に望外の4連続6−1。スーパーゴール
ドが破れた為、我々が勝ち点で並ぶ翔風館を勝数でおさえ首位に立った。
1、2日目共、予想以上の出来。優勝の望みが出てきた。3日目、危機を
感じた翔風館が実力を見せ付ける。強豪相手の4試合を6−1で揃え、勝ち
点は並んだままだが、逆に勝数で3差をつけられる。「敵ながら、さすがだ!」
そうして今日の最終日が来た。第1、2試合共、7−0と突っ走る翔風館。
5−2、5−2のNECは勝数で大差をつけられ、並んでいる勝ち点で上回る
しか優勝のチャンスはない。我々は光OKACHIと、翔風館は最大の強敵スー
パーゴールドとの最終戦となった。他力頼みだが、その他力が鈴木純一、秋山太
郎、渡辺健弥を中心に据えるスーパーゴールドだけに我々にもまだまだ優勝の
チャンスは残されていると感じていた。最終戦前、虫のいい話だが、スーパー
ゴールドさんに是非翔風館を破ってくれる様、健闘をお願いに行く。瀬川はスー
パーゴールドさんの対翔風館戦用のオーダーを見てアトバイスしている。
13勝1敗での最終戦。これに勝って14勝1敗なら、チームとして満点に近
い誇れる成績。「しかし欲張りだが2位では満足出来ない。なんとしても優勝し
たい」。私も、またチームの誰もが複雑な気持ちで最終戦に臨んだ。
下4試合は3将から順に林・美馬・山本勝ち、辻負けの3−1で、残るは大将
戦から、瀬川×塩津さん、加藤×宮崎博文さん、長岡×池田(将)さんの3試合。
これは普通、NECの勝ちパターン。瀬川・長岡の2人が揃って負けることは通常
ありえないからだ。私も自分が早々と負けて申し訳ないという気持ちはあったが、
まさかチームが勝ち点を落とす瀬戸際に立つとは全く思わず、スーパーゴールドさ
んの応援に行っていた。
今年のアマ名人且つ朝日アマ挑戦者の長岡。他の大会でも殆んど勝ちまくってい
る。優勝率が5割を超えているのでは!一方、本戦で先崎八段に敗れたものの、銀
河戦でプロに7連勝してBEST8に残った瀬川。社団戦もここまで14連勝と15
戦全勝の快記録を手中に収めようとしていた。
このふたりが敗れようとは…!一瞬自分の敗戦の重さに気づき、真っ青になりか
けたが、このチームの危機を救ったのがこの日2連敗と不振の加藤であった。4年
前の朝日アマ挑戦者である宮崎氏を見事な内容で破り、貴重な1勝をもたらした。
その将棋をお届けする。
―――――――――――――以下は加藤の棋譜とコメント――――――――――−
自分では▲74歩と▲43成銀が印象に残ってます。
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