海外でモバイルしてみたら

先日、仕事で海外に出たとき、NECのmobio NXを鞄に入れていきました。インターネットが普及していなかったころは、海外から電子メールを出すときにはパソコン通信を使ったりしたわけですが、プロトコルが7bitパリティ有りだったり、8bitパリティ無しだったりして、なーんか面倒くさかったのでした。でも、今ではインターネットが使えるから、海外のホテルから漢字コードもプロトコルも気にせずに、国内で使っているのと同様にWebや電子メールが使えるようになりました。これは、モバイル好きの人間にとっては大きなメリットであります。

今月(98年12月)の始めに、アメリカの某所に出張してきました。いままでにも海外出張はありましたが、パソコンを持っていこうとは思ったことはありませんでした。重い鞄は嫌いだし。でも、今回は、ここのBBSを監視するために(^o^)、海外からのモバイルアクセスをチャレンジしてみることにしました。海外から日本のサーバーにアクセスするには、プロバイダーのローミングサービスを使うのがお手軽です。ローミングというのは、国内のプロバイダと同じIDとパスワードで海外のプロバイダのアクセスポイントからインターネットに接続できるサービスです。それぞれ、プロバイダーによって、接続できる国とか都市とかがまちまちですから、まずは自分の加入しているプロバイダーが、そういうサービスを提供しているかどうかをチェックする必要が有ります。大手のプロバイダーであれば、たいていの欧米の都市をカバーしていますが、料金制度はすこしずつ違っています。例えば、biglobeの「業者仲介方式」というのを使うと、登録手続きは無料ですが通常の使用料に加えて毎分60円かかります。OCNの場合は、登録料金2000円で、これも使用料の他に毎分30円かかります。私の回りには、マイクロソフトのMSNを使って、ヨーロッパからアクセスしている人もいましたが、あれだと追加料金はいらないのでしょうかね。MSNの情報を見に行こうとしたら、Windowsで動作するインターネット・イクスプローラでしか入れないWebサイトだったので、Macintoshでこれを書いている私には、実際どうなんだか分かりませんでした(^_^)。私の場合、今回のモバイルアクセスでは、インフォスフィアを使うことにしました。これだと、登録料もいらないし、特別な追加料金もないので、安心して使うことができると思ったからです。このプロバイダはセカンドプロバイダとして、以前から使っていますが、これを選んだ理由の一つはローミングの手軽さでありました。

滞在先の町でローミングが使えることを確認しても、さて現地でインターネットに接続するぞというとき、意外と有りがちなのが、パスワードが分からなくてアクセスできない事態ですね。特に、普段、ダイヤルアップネットワークにパスワードを記憶させて、楽している人は要注意です。海外に行って、ダイヤルアップネットワークの新規をクリックして、現地のアクセスポイント用のネットワークを作成しようとしたら、なんとパスワードがわからないってことになります。実際、それで諦めた人もいました。でも、実は、わざわざ海外のアクセスポイント用に、新規のネットワークを登録する必要はないのです。国内で使っているアクセスポイントのダイヤルアップ・ネットワークを使えば、そこに記憶させているパスワードを利用できます。この場合、現地のアクセスポイントの電話番号や、もし国内と違うならIDをあらかじめメモしておきます。テキストファイルにしておけばベターですね。そして、アクセスするときに、電話番号のところに海外のアクセスポイントの番号を書き込んで、接続するのです。この方法の弱点は、次に開いたときには、もとの番号に戻ってしまうので、毎回書き込む必要が有ることですが、どうせ、数回しか使わないのですからこれで十分です。もっとも、パスワードまで違うローミングの場合は、メモして持っていくしか無いですね。また、海外の場合、電源電圧やコンセントや電話線のプラグの形状もチェックしないと、ホテルの電話機の前で途方に暮れる可能性が有ります。電源電圧については、モバイルパソコンのアダプターは240Vまでカバーしているのであまり問題にならないと思います。アメリカの場合は、電話のプラグも電気のプラグも日本と同じなので、アダプタをじゃらじゃら持っていく必要は有りません。これがヨーロッパだと、国によってプラグの規格が違ったりするので、あらかじめ調べないといけないから、ちょっと面倒くさいですね。

私は、モデムカードを忘れずに鞄に入れて(これが無くちゃ始まらない)、空港にでかけました。ここで、意外や問題になったのが、セキュリティチェックのX線。別に、X線でパソコン壊れるという話ではなくて、どうもmobio NXをX線で透視すると凶器に見えるらしいのだな(^_^)。長さ20cmくらいで幅が3cmくらいのものは入っていませんか、と聞かれてしまった。そんなもの思い当たりませんから、どうぞ、見てくださいとおじさんに預けましたが、分からない様子。でも、パソコンを出したらあっさり通りましたから、こいつが原因ですね。どうやら、細長いものの正体は、mobio NXのバッテリーの映像だったようです。これは、たまたま、ここのチェックが厳しいからだろうと思っていましたが、アメリカのローカル線の入り口でも、セキュリティのおばさんに、中身を見せろと言われてしまった。彼女は、鞄の中をごそごそ引っかき回しただけでしたが、ドスでも入ってると思ったんでしょうかね。それとも、プラスチック爆弾と思ったかな。明らかにmobio NXは空港のX線でみると凶器に見えるのですね。まったく、パソコンメーカーはバッテリーの形を考えて欲しいです。細長いのはだめなのよね。同僚には、アップルのノートパソコンを海外に持ち歩いている人がいますが、こんな経験はないそうです。きっと、あれのバッテリーは、長方形でも幅が広いから問題ないのですね。

さて、現地のホテルについて、早速つないでみることにしました。その前に、一応、ホテルの案内を読んで電話料金を調べてみます。私の泊まったホテルの場合、市内電話と長距離電話の外線番号が違っていて、市内電話は無料で使えることになっていました。もっとも、これは、別のサービス料金に含まれているというだけですが。それはともかく、ホテルの電話用コンセントは二つあって、ひとつは電話機がつながっていて、もう一つがモデム用になっています。説明では、フロントに電話して、これを有効にしてもらえと書いてある。電話機の方につなぐと「モデムが壊れる恐れが有る」のだとか。ほんとかなぁ。で、電話してみたら、フロントのおねえさんがでてきて、もう使える状態になってマースなどという。ふーん、そんなもんかと、そこにモデムをつないでアクセスしてみると、ダイヤルトーンがないぞとパソコンが言うのです。ほー、いきなりトラブルモードだぜ。ところが、試しに電話機をモデム用のコンセントに差してみたら、たしかにダイヤルトーンが無いのですね。おい、これって、アメリカ製のモデムをつなぐと自動認識して、回線をつなぐとかそういうハイテクを使っているのでしょうか。でも、英語で交渉するよりも、電話機の方のコンセントにモデムをつないで解決してしまう赤兵衛でありました(^_^;。今度は、つながりましたね。オー、私のホームページがちゃんと表示できまーす。ベリグッドね。当たり前だけど、ちょっと感激でありました。これが、インターネットでありますな。

かくして、アメリカからの無意味なBBSへの書き込みとか、もちろん同僚への連絡メールなどで、海外からのモバイル接続を活用できました。よかったよかった。あそこまで持っていって、なーんもできないで戻ってきたら笑いものだった。ところで、帰りの空港のセキュリティ・チェックでは、パソコンを鞄から出して、鞄とは別にベルトコンベアに置いてみました。今度は、なんのおとがめもありませんでしたね。きっと、NECさんはmobio NXを持って飛行機に乗るとは思わなかったのでしょう。つぎに作るときは、X線で見ると、バッテリーにNECのロゴが表示されるとか、これは凶器に有らずと英語で見えるとか工夫してください(^_^)。少なくとも、チェック対象となる長さを越えないようにしてね。

1998.12.18
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