大白法

平成23年2月16日号


主な記事

<1〜4面>

<5〜8面>


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常観院日龍贈上人 遷化される

元海外部長・元庶務部長 大宣寺初代住職

 

元海外部長・元庶務部長で、大宣寺初代住職の菅野日龍御尊能化には、かねて病気療養中のところ、2月6日午前9時5分、安祥として遷化された。享年78歳。常観院日龍贈上人。

御尊能化は、昭和8年3月31日、福島県東和町に御出生。昭和22年9月4日、菅野慈俊御尊師を師範として得度、そののち昭和33年に縁あって師僧変更され、総本山第66世日達上人の徒弟となられた。昭和35年4月に千葉県・清涼寺住職として赴任、翌36年7月10日に大宣寺が建立され初代住職に就任された。法臘60余年、御生涯を宗門の興隆発展に捧げられる中、平成14年10月に能化に補任された。

特に、長年日達上人にお仕えされた功績は大きく、また昭和53年11月、宗務院海外局が海外部となり初代の海外部長という要職を務められ、初期の海外における寺院・教会の設立認可等に尽力された。大宣寺にあっては、30名乃至、多い時には70名という御師範上人の御弟子である学生の面倒を見られ、人材育成に心を砕かれたことは特筆されるところである。さらに、庶務部長、宗会議員、参議、富士学林教授、監正員、宗祖日蓮大聖人七〇〇遠忌局常任委員会委員、宗旨建立七五〇年慶祝記念局委員、立正安国論正義顕揚七五〇年記念局委員、東京第二布教区宗務副支院長等の要職を多数歴任された。


2月6日、直ちに全国へ計報が伝えられ、東京第一布教区内外の有縁の御尊師方、檀信徒らが続々と大宣寺に弔問された。午後5時過ぎ、重役・藤本日潤御尊能化の導師のもと、枕経が執り行われた。

翌7日に納棺、仮通夜は午後7時より、東京第二布教区支院長・野村淳信御尊師の導師のもと奉修された。

8日午後7時よりは本通夜が、明くる9日午前10時よりは本葬儀が、御法主日如上人猊下大導師のもと、御隠尊日顕上人猊下の御出仕を賜り、大宣寺本堂において、厳粛に執り行われた。この本通夜・本葬儀には、総監・八木日照御尊能化、藤本重役、光久日康御尊能化をはじめ、宗会議長・土居崎慈成御尊師、大石寺主任理事で寺族同心会常任理事の佐藤慈暢御尊師、宗務院の各部長・副部長、野村支院長ほか、全国より御尊師方が多数御列席。また法類・遺族・親族の方々、石毛副委員長・永井藤蔵氏・渡辺定元氏・大草一男氏の法華講各大講頭、井山光彦総本山総代をはじめ、支部・地方部・連合会及び近隣寺院の法華講代表、寺族が多数列席した。

9日は、午前9時20分に御法主上人猊下が大宣寺に御到着あそばされると、御僧侶・信徒代表・寺族・親族が御目通りを許された後、10時より本葬儀が開始された。

御法主上人猊下が本堂に御出仕。方便品・寿量品と読経が進められ、御法主上人猊下の御焼香に続いて順次、御焼香を行った。読経は「而説偈言」で磬が入り、はじめに佐藤寺族同心会常任理事、続いて野村支院長、法類代表として阿部美道御尊師、門間孝夫大宣寺総代より弔辞が述べられた。

贈上人は、昭和46年に創立一〇周年を記念し本堂の御宝前を荘厳され、日達上人大導師のもとに記念法要を奉修。昭和62年に創立25周年を記念して本堂新築・客殿入仏法要を、さらに平成5年に創立三〇周年を記念して御宝蔵新築落慶法要を日顕上人猊下大導師のもとに奉修された。

その他、所化・学衆並びに信徒の仏法研学の道場たる三学院の建立、寺域の拡張、土地の造成など節目ごとに記念事業を積み重ねられ、御一代で大宣寺を宗門有数の大寺院とされた。さらに、青梅市・慈本寺、府中市・妙観院をはじめとする寺院を建立寄進された。これら多くの御功績、慈しみ包み込むように人に接し、口数は少なくも御振る舞いで多くを教えられるお人柄、常に信徒の信心の環境作りに気を配り、「和」を大切とされ、法華講支部の信行増進にも心を砕かれた等、弔辞の中で讃えられた。

さらに弔電が披露され、再び自我偈の読経・引き題目・御回向と進められた。ここで、遺族・親族を代表して妙観院主管・菅野道渉御尊師より、御法主上人猊下をはじめ、参列者各位に対し、丁重な御礼並びに故贈上人についてが述べられ、常観院日龍贈上人の本葬儀は終了した。

御法主上人猊下御退座の後、11時半より八木総監の御導師のもと、納めの御経が執り行われた。 最後のお別れの準備が整うと、再び御法主上人猊下がお出ましあそばされ、故上人の御遺体にお別れあそばされ、続いて遺族・親族もこれに連なり最後のお別れを行った。その後、参列した僧俗がお見送り申し上げる中、午後0時15分、静かに出棺され、斎場にて御火葬申し上げた。

御遺骨が大宣寺に帰着し、午後3時過ぎ、御法主上人猊下が本堂にお出ましになられ、初七日法要が厳粛に執り行われた。これには御隠尊上人現下が御出仕され、多くの御僧侶、信徒、寺族方が参列された。読経・唱題・御回向と厳粛に進められ、最後に菅野御尊師より丁重な謝辞があり、常観院日龍贈上人の御葬儀の一切がとどこおりなく終了した。常観院日龍贈上人の御冥福を心よりお祈り申し上げます。


御法主日如上人猊下御言葉



2月度広布唱題会の砌
平成23年2月6日 於 総本山客殿


 皆さん、おはようごさいます。本日は、総本山における2月度の広布唱題会に当たりまして、皆様には多数の御参加、まことに御苦労さまでございます。

 再三申し上げていることでありますが、宗門は昨年、国内外ともに折伏の気運が高まり、大きな成果を挙げて、平成27年・33年へ向けて大きく前進することができました。これもひとえに、指導教師をはじめ御信徒各位が心を一つにして、あわゆる難関を乗り越え、戦ってきた結果であり、心から御健闘を祝すものであります。どうぞ本年「実践行動の年」もこの勢いをもってさらに精進を重ね、すべての支部が必ず誓願を達成されますよう、心からお祈りいたします。

 さて、御承知のとおり、今月は宗祖日蓮大聖人御誕生の月であります。大聖人は、貞応元(1222)年2月16日、法華経に予証せられたとおり、外用上行菩薩、内証久遠元初自受用身の御本仏として末法に御出現あそばされましたが、その目的は、法華経本門寿量品文底秘沈の大法をもって、末法・本未有善の一切衆生をしてことごとく仏道に入らしめ、即身成仏せしめるためであります。

 この御本仏大聖人の一切衆生救済の願業を今に引き継ぎ、その目的達成のために、身軽法重・死身弘法の御聖訓のままに、身を挺して御奉公に励んでいくところに、今日、本宗僧俗の最も大事な使命があると存ずるものであります。すなわち、謗法の害毒によって苦悩にあえぐ多くの人々に、一切衆生救済の秘法たる本因下種の妙法を下種し、折伏していくことが、使命にお応えする最善の方途であります。

 法華経法師品を拝しますと、滅後の弘教について「衣座室の三軌」が説かれております。すなわち、「如来の室に入り、如来の衣を著、如来の座に坐して、爾して乃(いま)し四衆の為に広く斯の経を説くべし」(法華経32ページ)とあります。

 「如来の室に入り」とは大慈悲の心を起こすことであります。「如来の衣を著」とは柔和忍辱の衣を着ることであります。「如来の座に坐す」とは、『御義口伝』には、「座とは不惜身命の修行なれば空座に居するなり」(御書1750ページ)と仰せであります。つまり、柔和忍辱の衣を着て、不自惜身命の境地に立ち、慈悲の心をもって弘通せよと仰せられているのであります。

 たしかに、現代は折伏の方法も千差万別、種々の方法がありますが、基本的にはこの「衣座室の三軌」を心得て折伏することが大事ではないかと思います。さらに、それに加えて大事なことは、一人ひとりが大聖人の弟子檀那として、「千万人と雖も吾れ往かん」との、断固たる決意をもって折伏に立ち上がることであります。

 今、宗門は折伏の気運がおおいに高まり、僧俗一致しての取り組みによって、昨年は国内外ともに大きな成果を挙げることができました。そのなかでも特筆すべきことは、インドであります。海外部からの報告によりますと、昨年、インドのムンバイ地方では約1,200人の方が御授戒をお受けになりました。その活動のもとになったのは、わずか3人からの折伏であります。

 一人は御婦人で、元マレーシア人でありますが、30年前に日本に帰化し、10年前に入信し、今はインドのムンバイにある旅行会社を経営しています。もう一人は、この方の兄に当たる方で、今はインドに帰化して、ムンバイに住んでおります。この方が一昨年、心臓病を患い緊急手術をいたしました。医者によると99%命が助からないとのことでありましたが、前々から妹さんより折伏を受けており、お題目をあげ始めたのであります。その結果、手術も無事成功し、大きな功徳をいただいたのであります。そしてその後、一念発起して、妹さんと、あと一人のインド人の方と3人で折伏に立ち上がったのであります。三人目の方はインドの方で、ムンバイ地方の一粒種的存在でありましたが、活動する同志もなく、一人信心を続けていましたが、今、申し上げたように、この御兄妹と出会い、力を合わせ、3人で折伏活動を開始したのであります。その結果、驚くことなかれ、昨年は約1,200人の方々が御授戒を受けられたのであります。まさに驚異的な数字であります。

 さらに今般、現地から海外部に電話があり、「現在、600名の方が御授戒を待っています。いつ御授戒に来てくれますか」と言ってきたということであります。わずか3人から始めた折伏も、3人が心を合わせ、身軽法重・死身弘法の御聖訓のままに、何も恐るることなく、本気で折伏を実践していけば、折伏の輪は波状的に広がり、かくの如く、1,200人もの人を入信させることができるのであります。まさに、折伏は「本気になってやればできる」という証しであります。

 「為さざるなり。能わざるに非ざるなり」という言葉があります。物事を実現できないのは、それが不可能だからではなく、やろうとしないからであるという意味であります。つまり、いくら能力があっても実行力や意思が足りなければ、物事は成就しないのであります。反対に、人はやる気になり、自信を持つと、能力以上の力を発揮するものであります。折伏も全く同じであります。

 言い換えれば、大御本尊様への絶対の確信と、やればできるという何ものにも挫けない堅忍不抜の強固なる意志と自信、飽くことなき努力をもってすれば、折伏は必ず達成成就できることを、このインドの3人の方々は証明しているのであります。したがって、もし折伏が思うようにできないという方がいらっしゃったら、自分で自分自身に限界の枠を設けず、「為せば成る」との信念を持って、このインドの方々の強盛なる信心を見習い、手本として、心機一転、折伏を行じていただきたいと思います。そうすれば折伏は必ずできます。

 さらに付言すれば、そのためにも折伏に当たっては、まずしっかりと唱題をすることであります。唱題の功徳は計り知れないものがあります。一人でも多くの人を折伏せずにはいられないという強い慈悲の一念をはじめ、折伏に必要なあらゆる力が身に具わります。また、自信もつきます。唱題の功徳と歓喜をもって折伏に打って出ることが、達成成就の秘訣であります。事実、昨年、誓願を達成した支部は僧俗一致して唱題を行い、歓喜に燃えて折伏に打って出て成果を挙げています。

 どうぞ皆様には、インドの方々に勝るとも劣らない強盛なる信心と実践行動をもって、本年、「実践行動の年」にふさわしく折伏を行じ、もって誓願を必ず達成されますよう心からお祈り申し上げ、本 日の挨拶といたします。



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