昭和54年5月3日
第40回本部幹部会における特別講演
創価学会第40回本部総会を盛大に開催されましたことを、心よりお祝い申し上げます。おめでとうございます。このたびは、新しく第四代会長に北條浩氏が就任されまして、まことに意義の深い総会であると思います。
私は初代会長以来、今日までの歴代会長を皆よく存じ上げております。初代会長牧口常三郎会長は謹厳実直なお人柄で、まことに信心の筋目をきちんとせられた方でありました。次の二代会長戸田城聖会長は豪放磊落、物事にこだわらない率直な方で、私は大正8〜9年ごろ、学校で共々机を並べたこともありました。この方は、我が正宗を守護し、総本山を護持する信念のたいそう強い方でありました。三代の池田大作会長は、皆様の御存じの通りスケールの大きな英傑とも申せる方で、しかも求道心の強い信仰者で広宣流布への大発展の指揮をとられました。今後も名誉会長として皆様を見守り、社会に大いに活躍し貢献せられることと期待しております。この三代にわたる会長の強い信心と会員の皆様の弘法によって、日蓮正宗は今日の発展をみることができました。その功労に対しここに改めて深く敬意を表し、謹んで御礼申し上げます。今、ここに新しい四代会長を迎えられて、輝かしい歴史と伝統を踏まえて、一層の御活躍を期待いたします。
この数年間、まことに残念な出来事が続き、混乱を招きましたことは、悲しいことでありました。幸いにして前会長の英断と、心ある人々の努力により、再び秩序の回復に向かい、晴ればれと今日の天気のごとく明るい出発ができることは、まことに喜ばしいことであります。「雨降って地固まる」との格言があります通り、何の障害もなく順調に事が運ばれるよりも、幾度か危機に直面しつつ、これを信心と賢明な衆智の結集で乗り越えながら貴重な体験を積みつつ前進することのほうが、まことの広宣流布の道程のように思われます。生きている人間はだれしも完全無欠ではあり得ません。誤りは避けることができません。要は自己の誤りに気付き改めることのできる聡明さと謙虚さを持つことが大切であります。また、お互いに気付いたことを素直に話し合い、戒め合うことのできる信頼感に基づいた付き合いが大切であり必要であります。
このたび、宗門と学会の間で、最高教導会議、並びに地方協議会等の充分な話し合いの制度が制定されたことは、まことに意義深いことと思われます。それ以外にも若い僧侶と学会の若手の幹部、住職教師と地域の会員の間などで忌憚のない話し合いができる風潮が生まれてきたことは、まことによいことと思います。これからは僧侶も、積極的に行動し発言しなくてはならないし、これまでのように、あなたまかせではなく、共に話し合い、手を携えて広宣流布へと永遠に和合して進むという心構えが必要であると思います。そのさい、よく理解していただきたいことは、我々僧侶はどこまでも信徒の皆様が正しい信心をして、幸せになられることが最大の喜びであり、いつもこれを念願しているということであります。
私自身、大御本尊様に丑寅勤行において乃至常に信者の皆様方の幸福を御祈念申し上げております。その立場のうえで敢えて色々申し上げる場合もあるかということであります。それが仮に厳しいことのようであっても、決して悪意ではないことをよく御理解していただきたいのであります。世間やマスコミの方々には、ただの諍いに見えるかも知れないことも、信心のうえで受け止めていただけるならば、それはただの諍いではなかったということがわかっていただけると思います。
仏教において、出家ということは、重要な意義があります。また寺院というのは、やはり重大な意義と働きを持っているのであります。寺院も僧侶も、その檀徒、信者によって守られなければ存立ができません。我が宗の僧侶には、若い人が多いのです。が、真剣に努力するよう、よく指導していきますから、どうか信徒の皆様は温かく、譲り、育てていただきたいのであります。気が付いたことがありましたら遠慮なく私に言ってください。
私は日淳上人のもとで創価学会の宗教法人設立に立ち会った一人であります。宗門の外護団体としての創価学会の理解者の一人であったし、今後もそうありたいと念願しております。どうか今後は信徒団体としての基本は忠実に守り、宗門を外護していただきたいのであります。そのうえで自主的な指導と運営で伸びのびと御活躍を願いたいのであります。
なお、我が日蓮正宗には、創価学会の他にも法華講および檀徒会に属する信者がおることは御承知の通りであります。同じ信者として仲良くしていただきたいのです。これまでの経緯は水に流して、大同団結して宗門の発展ひいては広宣流布に協力していただきたいのであります。
最後に、池田名誉会長には永い間、本当にありがとうございました。皆様方の御健康と御繁栄を心よりお祈り申し上げます。どうも今日はありがとうございました。