御法主上人猊下御言葉 法華講地涌六万大総会の砌


日顕上人猊下

 6万人結集の法華講大総会が、かくも見事に開催されました。皆様、本当におめでとうございます。このすばらしい大総会が、本日、この総本山で行われることは、仏祖三宝の御加護を元として、日蓮正宗の僧俗一致・異体同心の賜物であり、特に法華講員皆様のいかなる魔障にも屈せざる強盛な信心と団結によるものであり、また、地涌の菩薩としての大法興隆・広宣流布への熱誠に基づくものと思います。さらに、本日、制限によって参加できなかった方々も、地涌の眷属としてその信心は、はるかな距離を越えてことごとく、ここに集まっておられることを確信いたします。皆様、本当におめでとうございました。


 さて、本年は実質的に前代未曽有とも言うべき仏法の興隆と功徳倍増の年であります。すなわち、本年の初頭より開始された100力日間の、累計600億遍以上の唱題行は、本仏大聖人の御指南の実践であり、各自の宿業転換と破邪顕正、そして広布への大前進の原動力として、その意義は広大無辺であると信ずるものであります。

 その尊い功徳を積聚して平成の六万塔が建立され、去る4月28日、僧俗6千人の結集をもって、その奉告法要ならびに開眼法要が行われたことは、既に御承知のとおりであります。この六万塔は、我が日蓮正宗僧俗が、自行化他の題目を誓願の如く唱えて即身成仏の大功徳を確信し、その心をもって広宣流布・民衆救済に向かう大直道を、法界に向かって堂々と標示する妙塔であります。すなわち、皆様の唱題行ならびに六万塔建立は、本年度仏法興隆の第一の実証であると確信するものであります。

 また、この六万塔建立に当たって全国の法華講員ならびに信徒の方々より、真心あふれる多大の御供養を頂き、厚く御礼申し上げます。皆様、まことに有り難うございました。

新六万塔

 次に、本年度仏法興隆の第二の実証は、広布坊の建設であります。宗門の現在より将来に向かう大発展に伴い、その必要性の上から、2階には1千畳の広さに周囲の回廊を加えて約6千人が悠々と収容できる広間を持つ広布坊が完成し、昨7月23日、その落成法要を執り行いました。

 この広布坊の建設費用は、当初の計画では一般の本宗僧俗からの寄付・供養を一切募集せず、総本山において支出する予定でありました。しかるに、先般の六万塔建立に対する僧俗の、特に法華講皆様の心からの御供養金によって、この広布坊の建設費用に至るまで、そのほとんどを充当することができました。ということは、この広布坊は総本山の発意により、そして全国法華講の皆様の広布への熱誠によって建設されたのであり、その功徳と意義はこの六万総登山と相まって、万代に輝く地涌法華講衆の護法の金字塔であると信ずるものであります。

広布坊

 次に、本年度第三の仏法興隆の実証として、新たに、より正確な御書の発行が挙げられます。「行学の二道をはげみ候べし。行学た(絶)へなば仏法はあるべからず。我もいたし人をも教化候へ」(新編668頁)との御金言の如く、地涌六万の揺るぎない広布への前進は、行学の研鎖によって確立するのであります。

 その研鐙すべき根幹である大聖人の御書を、全編書き下しにより、本年7月16日、『立正安国論』提出の日に、めでたく発刊いたしました。この御書は、系年や真偽、さらに各文の校訂に他の御書の種々の誤りが訂正されており、従来発刊のあらゆる御書に対し、最も信頼すべき内容を持っております。従来の『御書全集』等に替わる行学の指針として、法華講の皆様、大いに活用していただきたいと思います。これも実に不可思議な時の巡り合わせであると感ずるものであります。

広布の広場

 そして、最後の仏法興隆の実証とは、まさに本日の6万人の大集会であります。この僧俗一致の六万集会は、いかなる因縁のもと、誰人の命により、ここに集合したのでありましょうか。

 かの釈尊の法華経において地涌の菩薩が出現した理由は、4つあるといわれております。すなわち、釈尊の命により出現し、衆生の迷いを破すために出現し、釈尊および衆生の本地を顕すために出現し、未来に法を弘めるために出現したのであります。このことはすべて、大聖人様の下種仏法の意義、すなわち、我々日蓮正宗僧俗の今日の大集会の実相にぴったり当てはまっております。

 釈尊は、「止(や)みなん、善男子」との語をもって迹化・他方の菩薩を制止され、地涌の菩薩に出現を命じられたのであります。末法の今日、池田創価学会の謗法は仏法の中心根本から全く外れた大邪教と化し、もはや正法広布の資格なしとして大聖人様が厳然と止(とど)められました。それが平成2年、すなわち、総本山開創700年の不思議な年に、池田学会より起こった宗門への恫喝と悪口誹謗と、それに対する御仏智による宗門の護法のための処置でありました。

 したがって、この地涌六万の集会こそ仏法の不思議の大因縁によるものであり、それは去る4月28日に建立された、あの六万塔の標示に明らかであります。すなわち、地涌の上首たる上行・無辺行・浄行・安立行の四大菩薩を一身に現し給う『下種本仏・日蓮大聖人の厳たる御命令により』、その清浄なる弟子・檀那としての因縁によって、我等僧俗6万が今日、ここに集まったのであります。皆様、まさに最高の意義に基づく、歓喜踊躍(ゆやく)の大集合ではありませんか。

 次に、『衆生の迷いを破るため』の集まりとは、一切民衆の低劣な人生観・宗教観への執着を破折し、特に大聖人様の三大秘法の正義を歪め、池田教に洗脳された多くの学会員が抱く本末顛倒の執着を破し、晃々(こうこう)たる仏法の正義を見聞・信解せしめることが地涌の菩薩の使命であります。故に、平成の世に堂々たる破執・破邪の折伏大前進を実行するために、本日、我等はここに集まったのであります。

 次の、『顕本のため』の集まりとは、宗祖大聖人様が竜口の発迹顕本にて内証・久遠元初の本仏として顕れ、文永・建治より弘安に至って本門の本尊を究竟(くきよう)あそばされ、その最極(さいごく)の戒壇の大御本尊を顕示されたその仏徳をどこまでも正しく拝し奉り、また、さらに我等僧俗は、大聖人様の、「日蓮は日本国の諸人に主師父母なり」(新編577ページ)、「日蓮が慈悲曠大ならば南無妙法蓮華経は万年の外(ほか)未来までもながるべし」(新編1036ページ)、「今日蓮等(乃至)妙法蓮華経を修行するに、難来たるを以て安楽と意得べきなり」(新編1762ページ)等の御金言と、御本仏のお徳を深く拝することにより、その御魂たる御本尊に境智冥合する唱題をもって、我等凡夫に具わる本仏の真徳を体験・実証するところにあります。

 すなわち、我等が地涌の菩薩であることを含む真実の顕本とは、本門寿量品の文底に秘沈された久遠元初の本仏日蓮大聖人と同体の眷属であるとの大確信こそ、それであり、そこに即身成仏の大直道が存するのであります。その人はすなわち、人々に自己の確信による題目の功徳を堂々と語り合う心を持つ人であります。仏法の破邪顕正の大事を確信し、人を救う命となる。ここに我等の生命の本来の意義を顕す、顕本の当体があると申し上げるものであります。

 最後の『弘法のため』の集まりとは、この大集会は本門三大秘法の正法を弘め、折伏を行ずる広宣流布のため、すなわち、尊い使命のために集まったということであります。これについて宗教の五義の上から考えるならば、

一に、あらゆる宗教の浅さ、深さに対し、嬰児(えいじ)の如く無知な衆生が充満する現代、この教法の勝劣・浅深のけじめを明確に教えていくことが地涌の使命であります。【教】

二に、衆生の迷いと不幸の根本原因がいずこにあるかを知らず、本心を忘れた人々に妙法の尊厳を知らしめることが地涌の使命であります。【機】

三に、末法という長夜の闇黒を一貫する濁乱の世に、一切の神仏・宗教の効験、全く消え失せる時、妙法の大正法のみが末長く真の光明を顕す時代であることを確信し、時に合った修行、振る舞いをなすことが地涌の使命であります。【時】

四に、妙法三大秘法が一切の教法を包含し、天地宇宙法界を一貫する大法理である故、すべての国々の衆生を救済するという御聖訓のもと、日本ないし世界広布に邁進することが地涌の使命であります。【国】

五に、時の変遷とともに過去の教法が衆生を救う力を消滅している実相を見抜き、力強く正法流布の正当性を示していくことが地涌の使命であります。【序】

以上、要するに、この大集会は既に大聖人の御命でありますから、久遠の古(いにしえ)より定まった大因縁によるものであり、僧俗一致広布への前進の時が、今、まさに来ていると確信するものであります。

三門

 その例証として、最近、ある支部に、一生のうちに1人で100世帯の折伏を果たしたいという誓願を立てた3人の法華講員がいるということを聞きました。これは、その方々の命のなかに、まさに御仏の魂が入られたものと信じます。また、今回、法華講連合会で作られた2つの歌曲中、『僧俗一致広布に生きる』という歌詞がありますが、これこそ最も現状に適した、僧俗の団結による広布大前進のための歓喜踊躍の歌であると思います。

 その他あらゆる意義において法華講連合会は、柳沢委員長・石毛副委員長以下関係役員一同、さらに本日お集まりの6万名の皆様が文字どおり打って一丸となり、この大総会に至るまでの本年の広布態勢の確立と整備に重大な役割を果たされました。皆様、本当に御苦労さまでございました。

 そして、これからの広布に向かっての法華講の使命こそ、まさに重大であります。道理・文証・現証と、いずれも最高の仏法を戴く大確信のもと、異体同心の団結をもって、さらに精進していただきたいと思います。皆様、準備はすべて調(ととの)いました。これからは、一年に最低一人が一人の折伏を敢行することを目標に、しっかり前進してまいりましょう。

揮毫

 最後に申し上げたいことは、大法広布は御仏意を拝しつつ、一歩一歩、確実に進展することが大切と思います。その一つの目標として、宗門は今より8年ののち、すなわち、平成14年の4月に宗旨建立750年の佳節を迎えます。その時、今日の集会の6万人の5倍、ないしそれ以上の信心篤き地涌の友が輩出すれば、1日1万人の参詣として、1カ月以上にもわたるであろう大法要を修することが可能であります。もって、広布の確実な進展とともに法界を浄化し、清気・清風を世に送り、国家社会の自他倶安同帰寂光の礎を建設することにより、広大な仏恩に報い奉るとともに、その実現に向かい、法華講の皆様の広布に対する偉大な実証を、本日よりの折伏大前進をもって顕していただきたいと思いますが、皆さん、いかがでありましょうか。

 本日のこの大総会の成功を皆様と共に心よりお祝いいたし、法華講連合会と各寺院所属法華講支部のいよいよの充実発展を祈り、私の言葉といたします。