大阪を拠点に活動してはる女性ピアニスト。エンリコピエラヌンツイを心から愛し、自らの演奏にも彼の難曲を取り入れています。ひとみさん
 

▼エンリコピエラヌンツイ特集
 
DEEP DOWN / (SOUL NOTE)  1987    
ENRICO PIERANUNZI
Enrico piearanunzi(pf)
Marc Johnson(b)
Joey Baron(ds)
1. DON'T FORGET THE POET
2.EV'RYTHING T LOVE
3.WE'LL BE TOGETHER AGAIN
4.SOMEDAY MY PRINCE
                    WILL COME
5.DEE SONG
6.OUR ROMANCE
7.TTT
8.ANTIGNY
9.EVANS REMEMBERED
私が始めてエンリコと出会ったアルバムです。
事の発端は、知り合いのベーシストから「エンリコ・ピエラヌンツィって良いで」と
教えてもらい 、何気なく聞いてたんですが、特にメモするわけでもなく、
半分聞き流していました。
数週間後、タワーレコードに行った時に不可思議な綴りを発見。
「あ、これが言ってたピアニストねぇ」と思って、手に取ったアルバムです。
聴いてビックリ、粒の揃った奥行きのある、しなやかなピアニストだなぁという印象でした。
このアルバムは、最初に買ったのもあり、一生モノのアルバムです。

特に銘打ってないですが、紛れも無いエバンストリビュート作品です。
「エバンスの意志を継承した」とか表現されることが多いのですが、
まさしく真の意味でエバンスの意志を継承している、と私は思っています。
ベースのマーク・ジョンソンは、エバンスが亡くなってから全くピアニストと演奏し
ない時期があったそうですが、その彼がエンリコは良いと言ってるのですから…

アルバムとしての構成も、ストーリー性があってとても良いです。
Evans Rememberdというオリジナル曲は、エバンスの音楽に対する尊敬が伝わってきます。
 
余談*これが、最初に「Moon Pie /yvp」を買ったら、エンリコって何これ〜!?と思ってたでしょう。

 

SPACE JAZZ TRIO VOL.2 / (YVP) 1988      
ENRICO PIERANUNZI
Enrico Pieranunzi(pf)
Enzo Pietropaoli(b)
Alfred Kramer(ds)
1.BLUES FOR US
2.HINDSIGHT
3.ALBA PRIMA
4.BLUE BALLAD
5.OPEN EVENT 3
6.QUI SAIT?
7.CHIARA
8.SONG FOR MY BROTHER
9.CHET
10.AOUTOBAHN
11.OPEN EVENT 4

エンリコのyvp作品は、レーベルカラーがちょっとフリー系のため(?)
全体的にインプロビゼーション主体の作品が多いです。
が、一連のyvp作品の中では一番まとまりが良く感じます。
バンドとして少し粗い部分はあるものの、トリオの意欲と疾走感が大変よく伝わってきます。
Alba Primaはyvpレーベルから生まれた名曲ですね。
ちなみに、上のジャケット写真は再発後(「trio vol.2」)のジャケットです。

 

FIRST SONG / (SOUL NOTE) 1990   
CHARLIE HADEN (ENRICO PIERANUNZI)
Enrico Pieranunzi(pf)
Charlie Haden(b)
Billy Higgins(ds)
1. FIRST SONG
2.JE NE SAIS QUOI
3.POLKA DOTS AND MOONBEAMS
4.LENNIE'S PENNIES
5.NEWSBREAK
6.ALL THE WAY
7.SI SI
8.FOR TURIYA
9.IN THE MOMENT
チャーリー・ヘイデンの、ベタっとしたソロが苦手な方は多いかもしれません。
私も最初のうちは苦手だったのですが、でも、だんだんと「これこれ!」とハマってきました。
トリスターノの「Lennie's Pennies」などはよく(ヘイデンの)自作で取り上げていて、
カルテット・ウェストなどでも演奏していますが、
エンリコの演奏するトリスターノ、混沌としていて妙にハマっています。
Si Siのドラムソロ中の変な笑い声(?)は誰の声なんでしょう?

私の大好きなJe ne sais quoiも演奏してます。

 

THE DREAM BEFORE US / (IDA) 1990      
ENRICO PIERANUNZI
Enrico Pieranunzi(pf)
Marc Johnson(b)
1. SOMETHING THERE
2.NIGHT AND DAY
3.EIN LI MILIN
4.INPROMPTU No4
5.SI PEU DE TEMPS
6.SILKWORM
7. ALL THE THINGS YOU ARE
8.IMPROMPTU No1
9.ON GREEN DOLPHIN STREET
10.IMPROMPTU No3
11.SUBCONSCIOUS-LEE
マーク・ジョンソンとエンリコのデュオです。
私は勝手に、デュオ作品の金字塔だと思っています。
この空気感はたまりません。
6曲目の「Silkworm」という曲なんて、もう溜息が出ます。
1対1の緊迫感溢れる対話は、もう文章で表現できません。
エンリコもマークジョンソンも天才です。
いつ聴いても、溜息が出ます。

 

THE KINGDOM / (STUNT RECORDS) 1997
MADS VINDING (ENRICO PIERANUNZI)
Enrico Pieranunzi(pf)
Mads Vinding(b)
Alex Riel(ds)
1.ALBA PRIMA
2.LOVER
3.THE KINGDOM
4.SOMEDAY MY PRINCE
                   WILL COME
5.MY FOOLISH HEART
6.SOMEWHERE
7.NEW LANDS
8.AUTUMN SONG
9.SEPTEMBER WALTZ
10.INTERLUDE No.948
11.I REMEMBER CLIFFORD
ちょっとベースのレベルがデカくないっすか??(笑)と
思わず突っ込んでしまう作品ですが、非常に良いです。
マッズ・ヴィンディングが、本人が好きなエンリコのオリジナルを
一緒に演奏してみたかっただけ、というアルバムのような気もしますが、
これでもか、これでもか!というほどの超エンリコチューンの集まったアルバムで、
ファンにとっては非常に美味しいアルバムです。
エンリコの代表的なオリジナル以外に、スタンダードも聴けるのが嬉しい。
Loverのピアノのキレのよいこと!
でも、やっぱりベースのレベルが大きい気がするんですけど…

 

THE LIVE IN SWITZERLAND / (YVP ) 2000
ENRICO PIERANUNZI
Enerico Pieranunzi(pf)
1.IMPROLOGUE 1
2.DON'T FORGET THE POET
3.ADJAPI
4.CON INFINITE VOCI
5.IMPROLOGUE 2
      /GET STARTED
6.LIGHEA
7.LOVE'S LANGUAGE
8.JE NE SAIS QUOI
9.SI PEU DE TEMPS
スイスでのコンサート録音です。
ジャケットの主張があまりにも強いので、出たときすぐには買いませんでした。
が、素晴らしいピアノソロです。ピアノソロというと眠たげなものが大半ですが、
最後の最後まで緊張して聴いてしまうアルバムです。鬼気迫るピアノソロです。
説明しようがないほど、素晴らしいアルバムです。
こんなポテンシャルの高いソロライブができればなぁ…

素晴らしい内容の作品なのに、ジャケットがこれなので、あまり世に知られてないかも。

 

RACCONTI MEDITERRANEI / (EGEA) 2000
ENRICO PIERANUNZI
Enrico Pieranunzi(pf)
Marc Johnson(b)
Gabriele Mirabassi(cl)
1.THE KINGDOM
2.LES AMANTS
3.CANTO NASCOSTO
4.IL CANTO DELLE DIFFERENZE
5.UNA PICCOLA CHIAVE DORATA
6.O TOI DESIR
7.LIGHEA
8.CORALIE
9.UN'ALBA DIPINTA SUI MURI
10.STEFI'S SONG
11.CANZONE DI NAUSICAA

この作品をジャズだと感じる方は少ないかもしれません。
クラリネットとのトリオでドラムレスなので、余計にクラシック的なサウンドになっています。
このクラリネット、ガブリエル・ミラバッシが本当に上手いです。
洗練されていて、甘美なまでの美しさです。
音色が美しく、無駄が無く、これがアドリブなんて想像できません。

私は、これこそ”ヨーロッパ・ジャズ”と呼ぶにふさわしい作品だと思いました。
ヨーロッパジャズといえば、アクの強くない、ハーモニーが美しくて聴きやすいもの、
というイメージで捉えられがちですよね。
ヨーロッパでは、長い歴史のなかでクラシック音楽が変遷を遂げ、
何百年とかけて音楽が発展してきました。
そんなクラシックの土壌で育ったからプレイヤーが、黒人音楽であるジャズを
黒人のグルーヴ感で演奏しようと思っても
はっきり言って限界があると思います。(日本人もまた然り…)

「ジャズを演奏する」ということは、アメリカ音楽を真似するのも
一つの「ジャズを演奏する」ことなのですが、
「自分の培ってきた素養を活かして、”私の中に今あるもの”を即興演奏する」ことなのかも、と、この作品を聴いて思いました。

私の中では、音楽観を変えさせられた1枚です
イタリアでは、このアルバムが2001年のベストCDに選ばれたらしいですよ。

 

CANTO NASCOSTO / (EGEA) 2001
ENRICO PIEANUNZI
Enrico Pieranunzi(pf)
1.CANTO DI IERI
2.CANZONE DEL MERIGGIO
3.A SECOND THOUGHT
4.UNA PICCOLA CHIAVE DORATA
5.IMPROVVISAZIONE 2
6.IMPROVVISAZIONE 1
7.A SECOND THOUGHT
8.CANTO NASCOSTO
9.PER DUE
10.IO NON SAPRO MAI PERCHE
11.A SECOND THOUGHT
T12.ODAS LAS TARDES
Steinway、Fazioli、Kawai など、いろんなメーカーのピアノを使用しています。
なかでも、「A Second Thought」という曲はアルバムの中で3テイクも入っていて、
それぞれ違うピアノで弾いてるんですね。

ピアニストとしては楽器の鳴り方など注目して聴いてしまいますが、
ペダルの音までよ〜く聴こえてきて、ピアノとの対話も楽しめる作品です。
1曲目のCanto di ieriなんて、実際音を取ってみると本当にシンプルな曲なんですけど、
どうしてこんなに心に響いてくるんでしょう。
部屋を真っ暗にして聴きたいアルバムです。
 

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