恐るべきエヴァンス馬鹿なしん爺さんです。エヴァンスのアルバムだけで百数十枚を所有し、それを聴き込んでるトコロが凄い!しん爺さん
 

▼ビルエヴァンス特集
 
THE COMPLETE LIVE AT THE VILLAGE VANGUARD 1961 / (RIVERSIDE)   
BILL EVANS
Bill Evans(pf),Scott LaFaro(b),Paul Motian(ds)
[Disc1]
1.Spoken Introduction
2.Gloria`s Step(take1)
3.Alice In Wonderland(take1)
4.My Foolish Heart
5.All Of You(take1)
6.Announcement And Intermission
7.My Romance(take1)
8.Some Other Time
9.Solar

[Disc2]
1.Gloria`s Step(take2)
2.My Man`s Gone Now
3.All Of You(take2)
4.Detour Ahead(take1)
5.Disscussing Repertorie
6.Waltz For Debby(take1)
7.Alice In Wonderland(take2)
8.Porgy(I Loves You,Porgy)
9.My Romance(take2)
10.Milestones

[Disc3]
1.Detour Ahead(take2)
2.Gloria`s Step(take3)
3.Waltz For Debby(take2)
4.All Of You(take3)
5.Jade Visions(take1)
6. Jade Visions(take2)
7,,,A Few Final Bars

僕がビル・エヴァンスに出会ったのは、
高校時代に漫画家荒木飛呂彦氏の推薦で聴いたのが始まりです。
それ以来一切浮気はしてません(笑)。
初めてエヴァンス・トリオを聴いたときにビックリしたのが、
アメリカ人のエヴァンスが演奏している音楽が、
なぜか日本人以上に日本的なものを表現しているように感じたことです。
エヴァンスの音楽は繊細さの中に力強さがあり、空間的、時間的にも無駄が少なく、
まるで短歌や俳句のようなシンプルさがあるように思えます。
少し話が脱線しましたが、このアルバムは語る必要も無いくらい有名な、
ファースト・トリオのヴィレッジ・ヴァンガードにおけるライブレコーディングのコンプリート盤です。コンプリートといっても、Gloria`s Stepの未発表テイク
(しかも途中停電で演奏が途切れてる!) を追加し、
曲順をライブのとおりにしただけというぼったくりアルバムです。
そうと分かっていても買ってしまうのがエヴァンスバカの悲しき性ですが、
これが意外や意外!聴いてみるとあれほど耳にタコと思われた演奏が
凄く新鮮に聴こえてきます。
曲間が会話や騒音で自然に埋まっていて、
まるで当時のヴァンガードにタイムスリップしたような気分になります。
それにしても当時お客の入りが少なかったのか、
Jade Visionsなんて終わった直後に速攻次のテイク演奏したりして、
伝説のライヴのわりには結構気ままにやっていたんですねぇ。

 

THE SOLO SESSIONS VOLUME 1,2 / (MILESTONE)
BILL EVANS


Bill Evans(pf)
[Vol.1]
1.What Kind Of Fool Am I? [Take1] 2.Medley:My Favorite Things
  -Easy To Love
  -Baubles,Bangles And Beads
3.When I Fall In Love
4.Medley:Spartacus Love Theme
  -Nardis
5.Everything Happens To Me
6.April In Paris
[Vol.2]
1.All The Things You Are
2.Santa Claus Is Coming To Town
3.I Loves You,Porgy
4. What Kind Of Fool Am I? [Take2]
5.Love Is Here To Stay
6.Ornithology
7.Medley:Autumn In New York
  -How About You?

これは同日録音二枚バラ売りのマラソン・ソロ・レコーディングです。
スタジオで収録されたほとんどプライベートといっていいソロ・ピアノ演奏です。
ここで聴ける演奏は、時には繊細な、時には凶暴な、剥き出しのビル・エヴァンスです。
完全に自己の演奏に没頭しています。
これほど一音一音が胸を締め付ける演奏はそう聴いたことがありません。
What Kind Of Fool Am I? [Take1]の初めの一音で完全にやられてしまいます。
I Loves You,Porgyなんてソロで何回も録音されていますが、
僕はこの陰鬱なバージョンが一番好きです。
アルバム全体の雰囲気としてなんともいえない病的な空気が漂っていますが、
素のエヴァンスを覗き見したい方にはお勧めです。

 

TRIO '65 / (VERVE)     
BILL EVANS
Bill Evans(pf),Chuck Israels(b),Larry Bunker(ds)
1.Israel
2.Elsa
3.`Round Midnight
4.Our Love Is Here To Stay
5.How My Herat Sings
6.Who Can I Turn To
7.Come Rain Or Come Shine
8.If You Could See Me Now

チャック・イスラエルの音色の影響からか、このトリオのサウンドはとても暖かいです。
イスラエルってそんなに無茶はしないですが、
世間で言われるほどオーソドックスなベースとも思えません。
とても的確にエヴァンスの求めるサウンドを演奏しているように聴こえます。
この作品は選曲がいわゆる歌モノが多く爽やかです。
そんな中でも冒頭のIsraelは、エヴァンスのクールなドライブ感がうまく出ていて、
僕的には一番好きなテイクです。
作品全体を通してまさにHow My Herat Singsな演奏です。

 

SYMBIOSIS / (MPS)
BILL EVANS
Bill Evans(pf,el-p),Eddie Gomez(b),Marty Morell(ds),
Claus Ogerman(cond)

Orchestra
Marvin Stamm(tp), Jonny Frosk(tp),Bernie Glow(tp),
Marky Markowitz(tp),Victor Paz(tp),Mel Davis(tp),
Brooks Tillotson(frh),James Buffington(frh),
Earl Chapin(frh),Ray Alonge(frh),
Al Richmond(frh),Pete Gordon(frh),Urbie Green(tb),
Paul Faulise(b-tb),Tommy Mitchel(b-tb),
Don Butterfield(tuba) Phil Woods(as),Jerry Dodgion(as),
Walt Levinsky(as),Harvey Estrin(as),
Bill Slapin(fl),Don Hammond,Hubert Laws(fl),
George Marge(oboe),Phil Bodner(oboe),
Danny Bankcl,b-cl),Ron Janelly(cl,b-cl),
Wally Kane(bassoon) ,Donald MacCout(contra bassoon),
George Devens(per),Dave Carey,Doug Allen(per),
Ralph MacDonald(conga),David Nadien(concertmaster)
1st Movement
   (moderato,various temp)
1.a)
2.b)
3.c)
2nd Movement
  (largo,andante,maestoso,largo)
4.a)
5.b)

エヴァンス・トリオとクラウス・オガーマン率いるオーケストラとの共演盤です。
オーケストラ盤というと敬遠される方もおられるでしょうが、
この作品はエヴァンスの演奏がたっぷりフィーチャーされていてお勧めです。
一曲目のなんともいえない前奏の後、
トリオが猛烈にドライヴするのもたまりませんが、
なんといっても四曲目以降のバラード(?)が素晴らしいです。
エヴァンスの心に迫るソロ演奏と弦の暖かい音色が入り混じって、
なんとも切ない気持ちにさせてくれます。
それに続くトリオによる演奏もあの暴れん坊のゴメスが
感情を抑えた素晴らしいサポートを見せ、
とてもアドリブとは思えないほど調和の取れた演奏を聴かせてくれます。
あぁ、エヴァンスが映画音楽を演奏したらこんな風になるんかなぁ、、、
という感じの曲です。
聴き終わった後はしばらく感動の余韻に包まれてしまいます。


 

BLUE IN GREEN /  (MILESTONE)
BILL EVANS
Bill Evans(pf),Eddie Gomez(b),Marty Morell(ds)
1.One For Helen
2.The Two Lonely People
3.What Are You Doing
    The Rest Of Your Life
4.So What
 
5.Very Early
6.If You Could See Me Now
7.34 Skidoo
8.Blue In Green
9.T.T.T-Twelve Tone Tune

最長期間を誇るトリオの最終段階だけに意識的なのか難曲ぞろいで、
ミュージシャンの方が見たら嫌気が差すのではないのでしょうか(笑)。
しかし聴き所が多い作品です。
モントルーのライブ盤で非常に有名なOne For Helenや、
マイルス・スタンダードのSo Whatは、意外と再演がほとんど無い曲です。
久しぶりのSo Whatでは、曲が曲だけに普段のエヴァンスがやらないような
アプローチが聴けてとてもおもしろいです。
この時期のトリオは全員やりたい放題やってる中にも
まとまりがあるように思えますが、
いまだにゴメスの弓弾きはよー分かりません、、、。


 

THE KOLN CONCERT / (WEST END)
BILL EVANS
Bill Evans(pf),Eddie Gomez(b),Elliot Zigmund(ds)
1.Time Rememberd
2.In Your Own Sweet Way
3.Sareen Jurer
4.Morning Glory
 
5.34 Skidoo
6.Sugar Plum
7.Turn Out The Stars

最後までものすごく全員のテンションが高い演奏です。
冒頭のTime Rememberdが荘厳な雰囲気で始まるのですが、
ゴメスとジグモンドが入ってくると面白いほど後ろから煽っています。
Time Rememberdってこんな風になるんやって感じです。
この時期のトリオって、ジグモンドが現代風ヨーロピアンなドラム(?)を叩いているからか、
エヴァンス・トリオのキャリアを通して特異なサウンドが生まれているように思えます。
フレキシブルなドラムのおかげでゴメスのやっていることに
必然性があるように聴こえるような気がするような、、、。
とにかく三位一体で突き進んでいくかっこよさといったら!
さながらヨーロピアン・エヴァンス・トリオといったところでしょうか。


 

TOGETHER AGAIN /  (RHINO)
TONY BENNETT & BILL EVANS
Tony Bennett(vo),Bill Evans(pf)
1.The Bad And The Beautiful 2.Lucky To Be Me
3.Make Someone Happy
4.You`re Nearer
5.A Child Is Born
6.The Two Lonely People
7.You Don`t Know
         What Love Is
8.Maybe September
9.Lonely Girl
10.You Must Believe In Spring
11.Who Can I Turn To
12.Dream Dancing
 
13.The Bad And The Beautiful
                        (alt take)
14.Make Someone Happy
                        (alt take)
15.You`re Nearer(alt take)
16.A Child Is Born(alt take)
17.The Two Lonely People
                        (alt take)
18.You Don`t Know
      What Love Is(alt take)
19.Maybe September(alt take)
20.Lonely Girl(alt take)
21.You Must Believe In Spring
                       (alt take)

エヴァンスって結構録音の良いものが少ないのですが、
この音はすごい好きです。
この作品、僕の大好きなThe Two Lonely Peopleを
トニー・ベネットとデュオでやっているというだけでよく聴きます。
曲調もそうですが見事に暗い歌詞ですね(笑)。
エヴァンスでは数少ない歌詞が先行して生まれた曲です。
他にも聴き所は色々ありますが、
なんといってもワーナーでの悲しみの超有名盤(?)に先立って
You Must Believe In Springが聴けるのがうれしいです。

 

NEW CONVERSATIONS / (WARNER BROS.)
BILL EVANS
Bill Evans(pf,el-p)
1.Song For Helen
2.Nobody Else But Me
3.Maxine
4.For Nenette

 
5.I Love My Wife
6.Remembering The Rain
7.After You
8.Reflections In D

エヴァンス多重録音三部作の最後を飾る作品です。
エレピを使うことによって、前二作に見られるようなサウンドの重みが取れて
聴きやすくなっているように思えます。
ここで演奏されている自作曲は後に再演されることは無かったのですが、
どれも甲乙つけがたいほど素晴らしい曲ばかりです。
マネージャー、嫁さん、養女とほとんど誰かしらに捧げた曲なので、
キャッチーなやさしさ溢れるメロディになっています。
特にFor Nenetteなんてさすがに嫁さんへ捧げただけあって、
下手をすればやりすぎなくらい甘く美しいメロディーにもうメロメロです(笑)。
最後にソロでエリントンのReflections In Dを演奏しているのですが、
ものすごく深く幻想的な演奏で、これってジャズ?と言いたくなります。
この演奏を聴くたびに時代を超越したエリントンの偉大さを実感します。

 

TURN OUT THE STARS
   - THE FINAL VILLAGE VANGUARD RECORDINGS JUNE 1980
                                                                    / (WARNER BROS.)
BILL EVANS
Bill Evans(pf),Marc Johnson(b),Joe LaBarbera(ds)
[Disc1]
1.Bill's Hit Tune
2.Nardis
3.If You Could See Me Now
4.The Two Lonely People
5.Laurie
6.My Romance
7.Tiffany
8.Like Someone In Love
9.Letter To Evan

[Disc2]
1.Days Of Wine And Roses
2.Emily
3.My Foolish Heart
4.Nardis
5.Yet Ne`ver Broken
6.Quiet Now
7.But Not For Me
8.Spring Is Here
9.Autumn Leaves

[Disc3]
 1.Your Story
2.Re: Person I Knew
3.Polka Dots And Moonbeams
4.The Two Lonely People
5.Theme From M*A*S*H
6.Tiffany
7.Turn Out The Stars
8.Laurie
9.My Romance
10.Knit For Mary F.
11.Midnight Mood
12.Time Rememberd
[Disc4]
1.Days Of Wine And Roses
2.Up With The Lark
3.Nardis
4.Your Story
5.Yet Ne`ver Broken
6.If You Could See Me Now
7.Bill's Hit Tune
8.Tiffany
9.In Your Own Sweet Way

[Disc5] 
1.I Do It For Your Love
2.Five
3.Polka Dots And Moonbeam
4.Bill's Hit Tune
5.Turn Out The Stars
6.Days Of Wine And Roses
7.But Not For Me
8.Knit For Mary F.
9.Like Someone In Love
10.Quiet Now

[Disc6]
1.Emily
2.I Do It For Your Love
3.Nardis
4.Knit For Mary F.
5.Like Someone In Love
6.Letter To Evan
7.Minha
8.A Sleepin` Bee
9.My Romance/Five

ボックス・セットで申し訳ないですが
(ちなみにこのボックスを一枚に収めたハイライト盤も出ています)、
僕が無人島に持っていく一枚は間違いなくこれです。
上記のヴィレッジ・ヴァンガード・ライヴから約19年後の同地におけるラスト・ライヴです。
とにかく冒頭のBill's Hit Tuneです。
もう数え切れないくらい聴きましたが、いまだに僕の一番好きな曲、演奏です。
あまり有名なエヴァンス・チューンではないのですが、
なにかが僕の心をわしづかみにしました。
文章では表現できないくらい思い入れのある曲です。
二曲目に15分半越えのNardisが来るあたり、
さすがボックス・セット、アルバム構成もへったくれも無く骨太です(笑)。
晩年のNardisについては凄すぎるとしか言いようが無いです。
前奏でこれだけ曲想を拡大解釈しながらも、
常に曲の中心から離れることがありません。
それにしても、そのレベルについていくマーク・ジョンソンはまさに天才です。
晩年のエヴァンスは、マーク・ジョンソンの言葉を借りるなら
「空間的に広がっている」のですが、それはバラードの演奏にも表れています。
If You Could See Me Nowはこれを聴いて曲自体の聴き方が変わりましたし、
もうLaurieなんて溜息つきっぱなしです。
かつてこれほどまでに愛人へのいけない愛を表現した曲があったでしょうか(笑)。
かなりきわどいラブ・ソングに思えます。
愛人への愛を高らかと演奏した後、
息子へ捧げたLetter To Evanを堂々と演奏するエヴァンスの心境は
常人には計り知れません(笑)。
しかしこれがまた素晴らしいんです。
長めの前奏でソロ演奏かな?と思わせといて、
マーク・ジョンソンとの絶妙なデュオが始まります。
この二人の演奏に言葉はいりません。
二人の出会いを神に感謝するのみです。
死の直前に新しい段階に入るエヴァンスも凄いですが、
それに親子ほど歳の離れたマーク・ジョンソンとジョー・ラバーバラが
新しい力を吹き込んでこそのラスト・トリオなんですよね。
なんか音楽とは関係ないですが、人間の命や出会いの持つ力に感動してしまいます。

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