うちのHPの企画として続けている「for MY FRIENDS」のコーナーですが、
遡れば、もともと大学時代の友人のGONDHIにジャズのコンピものテープを作っては
いい加減な解説を書いてたのがその原型なのでした。
この度、GONDHIがインターネットを始めたと云うので久々のセレクションを作ってみました。
「ええジャズWeb版」と云った趣きで、ピアノ中心に最近の私の好みを集めてみました。
ちょっと小難しい系のものが多いかもしれませんがご容赦下さい。
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WAITING FOR G.M. |
ALMOST TWILIGHT / DAVID KIKOSKI (CRISS CROSS) | |
DAVID KIKOSKI(PF),JOHN PATITUCCI(B), JEFF 'TAIN' WATTS(DS) |
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デイヴキコスキの2000年発売のアルバムです。 なんでもこれを録音する直前、彼は手を骨折して しばらく演奏できなかったとの事。 その分溜まってたものを一気に噴出した感じで 勢いのあるアルバムに仕上がっております。 個人的に1994年の「DAVE KIKOSKI/(SONY)」を聴いて 彼の知的でありながらメロディアスなプレイが好きになりました。 最近は「A BITE OF THE APPLE/BEATLE JAZZ(ZEBRA ACOUSTIC)」 なんてビートルズ曲集を出したりして、ちょっと軟弱になったかなと 危惧していたのですけど、これを聴いて安心した次第です。 |
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FOR MONK'S SAKE |
LIVE AT BIRDLAND! / VARIOUS ARTISTS (RCA VICTOR) | |
D.D.JACKSON(PF,KEY),CHRISTIAN HOWES(VLN,EL-VLN), KENNY DAVIS(B),BILLY KILSON(DS),KAHLIL BELL(PERC) |
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それではDDジャクソンを聴いてガツンと来ていただきましょう(笑)。 ホントは「RHYTHM-DANCE/(JUSTIN TIME)」を挙げたかったんですが このHP内で、ことある毎に取り上げてるので今回は辞めました。 かわりにバードランドのライヴ録音のコンピレーションモノを。 トリオではなくエレクトリックヴァイオリンを加えた4TETの演奏です。 しかしまぁ、このクリスチャンホウズって人のフィドルがまたエゲツナイ。 ジャズヴァイオリンと云うとステファングラッペリに代表される様な 古臭いスイングスタイルのほのぼのとした雰囲気を想像しがちですが、 DDジャクソンの暴れ馬の如きピアノに負けないパワーです。 |
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WORK SONG |
(A DELICATE BALANCE) / KENNY WERNER (RCA VICTOR) | |
KENNY WERNER(PF),DAVE HOLLAND(B), JACK DeJOHNETTE(DS) |
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ミンガスやアーチーシェップとの共演経験を持つ人です。 それだけにかなりひねくれたスタイルのピアニスト。 タッチはあまり強力じゃなくてフレーズが小難しい。 なんだかずっと難しい事をぼやいてるおっさんみたいなのです。 この"ワークソング"の解釈にしても素直じゃないでしょ(笑)。 アルバムタイトルもなんで括弧がついてるのか不明…。 |
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LANGTANS BERG |
TRIO 84 / LARS JANSSON (DRAGON) ※このCDは「TRIO84」と「THE ETERNAL NOW」のカップリングで出されたモノ。 |
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LARS JANSSON(PF),ANDERS JORMIN(B), ANDERS KJELLBERG(DS) |
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ラーシュヤンソンと読みます。スウェーデンの人です。 確かに北欧らしい透明感のある音選びが素敵。 きっとこのヤンソンのピアノ、ゴンジーが好きだと思ったので セレクトしてみました。 ヨーロッパ系のジャズメン(特にピアニスト)は、 あきらかにアメリカとは違った方向性を持っています。 最近、特にその辺りの入手困難だったアルバムが 続々とCD化されているのでお金が幾らあっても足りません(笑)。 キースやエヴァンスの影響は確かにありますが、 彼のオリジナリティも沢山溢れ出てきてると思います。 個人的に「誰々に似てる」って話ばっかりするのは好きじゃないし…。 アルバムの殆どがオリジナル曲と云うのも彼の特徴の一つです。 彼の曲ばっかりを取り上げたビッグバンドモノのアルバムなんてのも 出てるほど、本国では人気のあるピアニストみたいです。 |
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FIVE MINUTES TO MADNESS AND JOY |
FIVE MINUTES TO MADNESS AND JOY / JIM RIDL (SYNERGY MUSIC) |
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JIM RIDL(PF) | |
このジムリドル(って読むのかな?)って人については、 この1999年のアルバムを聴くまで全然知りませんでした。 このCDにも経歴等が書かれておりませんので 過去どういう活動をしてきた人なのか、どこの国の人なのか、 幸せなのか、ええことないんか、渡瀬に先を越されたかetc…、 詳しい情報は一切わかっておりません。 (わかり次第、またHPで記事を書きますのでお楽しみにっ!) しかし、間違いなく常人を超えたジャズ感を持ってる人だと 確信しておる次第であります。 アルバムは殆どがトリオで演奏されていますが、 ここでは冒頭を飾る圧倒的なテクニック炸裂のソロを取り上げました。 |
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AUTOMNE A VARSOVIE |
WORKS FOR PIANO / GYORGY LIGETI (SONY) | |
PIERRE-LAURENT AIMARD(PF) | |
いきなりクラシックの現代音楽を取り上げます。 ジョルジーリゲティのピアノのための練習曲集第1巻の終曲 "ワルシャワの秋"と云う曲です。 「ぬぬ。クラシックか…。」と構えないでさっきのジムリドルと 同じ耳の状態で聴いてみて下さい。 曲を通して絶え間ないアルペジオが展開されていますが、 その中にテンポの違う幾つものフレーズが同時に聴こえてきます。 アフリカのポリリズムから発想したギミックな手法によって 聴き手の耳を欺いてるのだそうです。 ま、そんな難しい事を抜きにしても瞬間瞬間の音の重なりが 様々な表情を生み出し、それが実にカッコイイと思いません? そしてこの悪魔の様なエンディングを是非体感してもらいたいです。 とにかくこのピアノ練習曲、みんながイメージする練習曲とは程遠い(笑)。 第2巻では更に激しさが増し、殆どピアノのための非破壊検査状態だ! |
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ISANUSI |
SOLO PIANO / CHUCHO VALDES (BLUE NOTE) | |
CHUCHO VALDES(PF) | |
ピアノソロを続けましょう。 今度はキューバのピアニスト、チューチョヴァルデスです。 ピアニストであり、脅威のユニット・イラケレのリーダーでもあります。 この人のピアノはとにかくパーカッシヴな左手が強烈。 明らかに民族の血ですね、これは。 共産圏であるが故にアメリカ中心のジャズシーンから適度な距離を保ち 特異な音楽が進化していったのでしょう。 まさにキューバンとジャズが4×3でインブリードされた奇跡の血量です(笑)。 |
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KILLING ME SOFTLY WITH HIS SONG |
HAMPYON WAWES AT THE PIANO / (CONTEMPORARY) | |
HAMPTON HAWES(PF),RAY BROWN(B), SHELLY MANNE(DS) |
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好きなピアニストを数えたら両手でも足りませんが 愛するピアニストを数えたら片手でも余ります。 あら?どっかで聞いたフレーズだ…。ま、いっか。 私にとってハンプトンホウズは数少ない愛すべきピアニストです。 麻薬で捕まって復帰した後、彼のピアノのスタイルは大きく変わります。 音楽と別の所で物語性を加えて話すのは好きじゃないですが、 この明かな変化はその部分を無視して話す事はできない様です。 特にスローナンバーで見せる憂いを含んだ表現力が素晴らしく 朴訥としたフレーズの一音一音に胸が締め付けられる感じがします。 ここではホウズの最後のアルバムから"やさしく歌って"を。 |
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JOHN'S ABBEY |
BLUE REQUIEM / 井上祐一 | |
井上祐一(PF),佐藤恭彦(B), 井川晃(DS) |
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東京のライヴハウスを中心に活躍してはる井上さんです。 バップを完全に消化し、1950〜1960年代のバップテュ―ンに 現在のジャズの解釈を加え、今に蘇らせるプレイが熱い。 機会があれば是非、生で聴いて欲しいですね。 CDの演奏を100としたら、ライヴはぜい六寿司のサラダ巻以上だ(謎)。 |
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THEME OF 11PM |
ティーヴィー・ジャズ / TV JAZZ (SUBCONSCIOUS LABEL) | |
古川初穂(PF),岡田治郎(B), 大坂昌彦(DS) |
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ちょっとコネタモノを(笑)。 まあ着せ替え遊びではありますが、軽く仕上げないところが 「ジャズピアノで聴くユーミン」などとは違うところ(笑)。 |
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OLEO DE MUJER CON SOMBRERO |
WAR ORPHANS / BOBO STENSON (ECM) | |
BOBO STENSON(PF),ANDERS JORMIN(B), JON CHRISTENSEN(DS) |
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先に挙げたラーシュヤンソンと同じくスウェーデンのピアニスト。 但しこちらのボボステンソンの方が先輩にあたります。 やはりヨーロッパ系ジャズの香りが溢れていますね。 透明で澄み切った美しさに一滴の墨を垂らした様な濁りを感じます。 また彼の演奏は、ピアノとベースとドラムが対等な関係にあります。 テーマ〜ソロ廻し〜テーマと云う定石の中では緩みがちな糸が 高いテンションを保って張り詰められているのを感じます。 |
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OUVERTURE ECLAIR |
OUVERTURE ECLAIR / MICHEL HERR (ORYX) | |
MICHEL HERR(PF),FREDDIE DERONDE(B), FELIX SIMTAINE(DS) |
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最近、大阪の澤野工房ってところが、ピアノトリオを中心に 埋もれたアルバムをCDで発売してくれています。 知らなかったプレイヤーを紹介してくれるので嬉しいです。 ま、その全てが全て素晴らしいとは云えませんが(笑)、 このミッシェルハーは間違いなく「澤野さんありがとー!」でした。 この人、ベルギーの人なのだそうです。 鞭の様にしなやかで強靭なタッチが素晴らしく、 モーダルなフレーズに躍動感を与えていると思います。 |
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'ROUND ABOUT MIDNIGHT |
BLUESINE / MARTIAL SOLAL (SOUL NOTE) | |
MARTIAL SOLAL(PF) | |
ヨーロッパ系ピアニストの大御所マーシャルソラールは、 かなり変わりモンだと思う。 タッチが極めて硬質で感情の入り込む隙間がないかの様。 スタンダードを良く演奏するのですが、どれも結構変な解釈。 今回取り上げた"ROUND MIDNGHT"なんてまだまともな方です。 時には、演奏が終わるまでなんの曲だったわからない事さえあります。 こんだけとっつき難そうな特徴を兼ね合わせているソラールですが、 決して彼の音楽は聴きにくくないと思います。 それはきっと全ての音が明確に鳴り、リズムに対してはカッチリと乗るから。 |
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C-SRI |
SNOOZE / JOANNE BRACKEEN (CHOICE) | |
JOANNE BRAKEEN(PF),CECIL McBEE(B), BILLY HART(DS) |
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ここから女性ピアニストを4人紹介致します。 まずはじめはベテランのジョアンブラッキーンから。 この人のピアノをブラインドで聴かされたら 殆どの人が女性だと思わないでしょう。 かのドシャメシャ系ピアニスト、セシルテイラーが 彼女のことをDEMONと渾名したと云う話すらあります。 とにかくブラッキーンの演奏には怖いくらいの凄みがある。 余りの凄さに泣き出しても絶対に許してくれないと思う(笑)。 このアルバムは彼女の初リーダー作なんですが、 既に完成されたブラッキーンの世界が構築されています。 |
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BOUND UNBOUND |
THE SAME RIVER TWICE / MYRA MELFORD (GRAMAVISION) | |
DAVE DOUGLAS(TP),ERIK FRIEDLANDER(CELLO), MYRA MELFORD(PF),MICHAEL SARIN(DS), CHRIS SPEED(TS) |
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マイラメルフォードってかなりヒステリックなピアノを弾きます。 しかもこの作曲のセンス…。かなり変です。 写真で見ると大人しそうな文系の姉ちゃんって感じなんですが…。 友達にしたくないジャズピアニストってアンケートで10位に入りました(嘘)。 でもお聴きの通り、ただのドシャメシャなのではなくて、 構成が実にがっちりしていて、その中での前衛性に必然を感じます。 各プレイヤー間の対話に重きを置いているのも特徴でしょう。 ピアニストとしてではなくてフィクサーとしての資質が高いと思いましたので ここでは5TETの演奏を紹介してみました。 |
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OCCASION TO RISE |
OCCASION TO RISE / MICHELE ROSEWOMAN (EVIDENCE) | |
MICHELE ROSEWOMAN(PF),RUFUS REID(B), RALPH PETERSON(DS) |
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なんか似た様な曲が続きます。私の好みなので許してください。 ミッシェルローズウーマンもかなり壊れたフレーズを弾く人です。 でもこの人の場合は、トリオ演奏の方が生き生きとしています。 割と演奏フォーム自体はオーソドックスで4ビートへのノリ方も結構古風。 またアルバムの構成もオリジナルと他の人の曲が半分半分です。 きっと自由奔放に好きな曲を弾きまくるのが好きなタイプみたいです。 ちょっと友達にしてもいいジャズピアニストってアンケートで8位に…、 もうええっちゅうねん。 |
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PRINTMAKERS |
THE PRINTMAKERS / GERI ALLEN (MINOR MUSIC) | |
GERI ALLEN(PF),ANTHONY COX(B), ANDREW CYRILLE(DS) |
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最後を飾るのは、天才ジェリアレンの1984年のアルバム。 どういう音楽教育を受けてきたらこんなセンスが身につくのでしょう。 コンポーズにしろプレイにしろ誰かの影響って云うモノをあまり感じません。 私が知っている限り、最初から彼女は今と変わらないレベルにありました。 初めて聴いた時、あまりのテンションの高さに胃が痛くなって 暫く敬遠していた時期がありました。 そうなってもらっても困るので(笑)、彼女の演奏の中でも 聴きやすいモノを選んで見ました。「え?これで?」(笑) 完全に前半と後半の二部構成になっていて、 どう云う意図があるのかは良くわかりませんが、タイトルはフルで書くと "ALTOSAXOPHONIC POETIC TYPE PRINTMAKERS"なんだそうです。 自由なイマジネーションと聴き手に媚びない彼女の演奏を聴くたび、 ジャズと云う音楽があって良かったなぁと思います。 |