'bout JAZZ? in SUMMER 2002

夏なんですけど、今年の春から北の方に引越ししまして、
非常に涼しく、なかなか夏の実感が湧きません(笑)。
って事であまりテンションが上がらないのですが、恒例と云う事で、今年もやります。
殆どがブラジリアンミュージックですので、もはやジャズのコーナーではないかもしれませんが
気軽に楽しいアルバムを紹介していきたいと思います。
まいどの事ながら7月〜8月の限定企画であります。

↓このコーナーは下に行くほど新しくなっています。ややこしい事ですみません。↓


JANELAS ABERTAS
INTERPRETAM CANCOES DE ANTONIO CARLOS JOBIM
                                   / CAROL SABOYA & NELSON FARIA (LUMIAR DISCOS)
CAROL SABOYA(VO),NELSON FARIA(G)
アントニオアドルフォの娘なんだそうです。ってアドルフォを知らない(恥)。
調べてみたらお父さんは70年代に活躍したピアニスト&アレンジャー。
このジョビン曲集は彼女の2枚目のアルバムになります。
一枚目の「DANCA DA VOZ/(LUMIAR DISCOS)」も良かったんですが、
デビューアルバムらしく「あれもやりたい、これもやりたい。」って感じで
盛り沢山の幕の内弁当的アルバムでした。
二枚目はジョビンの名曲を全曲ギター一本で唄う渋い仕上り。
正に王道を正面突破ですね。
若さゆえのしなやかさと年齢以上の落ち着きを持った魅力的なヴォーカル。
 

 

BARACUMBARA
TARDES CARIOCAS / JOYCE (FEMININA→FLAVOUR)
JOYCE(VO,G),EGBERTO GISMONTI(PF,12 STRINGS GUITAR),
FERMANDO LEPORACE(B),TUTI MORENO(DS,PERC)
 
1983年、EMIとの契約を終え、初めてセルフプロデュースしたアルバム。
ジョイス本人もお気に入りの一枚なのだとか。
ジスモンチも参加していて、軽やかなサウンドながらも
実に音楽的刺激の溢れた作品に仕上っています。
この曲は、最初ゆったりと流れ、途中からテンポアップします。
ジョイスの声がオーヴァーダビング処理されていて、
スキャットによるハーモニーが美しい。

 

COISA DA ANTIGA
COM VIDA / CLARA NUNES (EMI)
CLARA NUNES(VO),ROBERTO RIBEIRO(VO),etc.…
上記のジョイスのアルバムがリリースされた年に、
サンバ歌手のクララヌネスは40歳の若さで亡くなりました。
このアルバムは全編デュエットで、しかも全て相手が変わっています。
そう云う企画のアルバムだったのか、コンピレーションなのか、
ポルトガル語が読めないのでわかりません。
それにしてもこの声の素晴らしさはなんなのでしょうか?
豊かな表情を持った力強くも優しいクララヌネスの唄声。
知り合いのブラジル音楽に造詣の深い方が
「ジャズからボサノヴァへの垣根が低いけど、
そこから一歩踏み出た瞬間、ブラジルに嵌るんだ。」
と云った意味の事を云ってたのを思い出しました。
私はまだまだブラジリアンミュージックの浅いファンですが、
クララヌネスを聴いて何となく分かる様な気がします。

 

THE TELPHONE SONG
BLUE BOSSA / ANA CARAM (CHESKY RECORDS)
ANA KARAM(VO),PAILO LEVI(AS),
NELSON FARIA(G),CLIFF KORMAN(PF),
DAVID FINCK(B),PAULO BRAGA(DS)
モノの本によると、60年代に世界的ブームを起こしたボサノヴァも
ブラジル本国ではMPBへの流れの中で、本流から外れていったのだそうで。
だからボサノヴァはアメリカや日本への輸出仕様的色合いが強いらしい。
アナカランは云わばボサノヴァと云う輸出品を継承する第二世代。
2001年になっても、こう云うアルバムが作られるのは
既に懐メロの域に突入したと云う事でしょうか(笑)。
下敷きになっているのはアストラッドであり、ナラレオンであり。
ジョビンの曲の合間に"BLUE BOSSA"や"FLY ME TO THE MOON"が
選曲されているのは、ちょっとあざとい…(笑)。
スタッフに絶対に日本人がいるに違いないと探しましたが
見当たりませんでした(笑)。
いろいろ捻くれた事を書きましたが、ボサノヴァはこれで良いのかも。

 

VOCE ABUSOU
SIVUCA / SIVUCA (VANGUARD RECORDS)
SIVUCA(VO,KEY,G,SANFONA,PERC),
MORRIS GOLDBERG(AS),CHARLES CHAPPELEAR(B),
SADIQ SHABAZZ(DS),ANGEL ALLENDE(PERC),
CINDY KIMBALL(VO),SUE CUMMINS(VO)
思いっきりインパクトのあるジャケットだなぁ(笑)。
上でも触れたように、60年代のボサノヴァブームで、
多くのブラジルのミュージシャンが活動の拠点をアメリカに移しました。
シヴーカもその一人で、50年代はヨーロッパで活動し、
その後のボサノヴァブームで63年にニューヨークに移住しました。
デビュー以来、殆どを異国で活動していた為、
ブラジル本国で評価されたのは90年代に入ってからだとか。
このアルバムはアメリカのフォークレーベルから73年に発表されたモノ。
多くの楽器をマルチに演奏しながら、歌も唄う彼の世界が展開されてます。
日本盤CDのライナーにRYOHEY MATSUNAGA氏が書いている事が
実に的を得ていると思いますので抜粋します。
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(前略)
ブラジル音楽の場合は、"サウダージ(saudade)"と言う。
「郷愁」、「遠く離れて故郷を想う」という意味だ。
陽気で華やかな伝統的なサンバ・サウンドでも、
知的でナイーヴなボサ・ノヴァでも、その底流を打つものは
どこかやるせない。
(中略)
しかし、このアルバムの主人公シヴーカの匂わせるものは
、「郷愁」と言うのとはちょっと違う。
むしろ「漂泊」と言った方がいいような、浮遊感が漂っているのだ。
人なつっこいノスタルジアでは無く、「さすらい」にも似た感覚だ。
帰る故郷も無く、誰かに迎えいれられるのでもない、孤独な浮遊感なのだ。
(後略)
-----------------------8<-----------------------
素晴らしい文章だなぁ…。

▼2002/07/14更新しました。

AS PRAIAS DESERTAS
CASA / MORELENBAUM2 & SAKAMOTO (WEA)
PAULA MORELENBAUM(VO),
JAQUES MORELENBAUM(CELLO),
RYUICHI SAKAMOTO(PF)
坂本龍一とモレレンバウン夫妻によるジョビン曲集。
ボサノヴァには珍しいギターのない構成ですが、
室内楽的構成でなんの違和感もなくジョビンの世界を描いています。
本当に美しい作品だと思います。
坂本龍一のピアノにも何となくジョビンの面影が漂います。

 

SUITE PRA PULAR DA CAMA (E VER O BRASIL)
ORQUESTRA POPULAR DE CAMARA / (BOMBA RECORDS)
RONEM ALTMAN(ARR?),PAULO FREIRE(PANDEIRO?),
TECO CARDOSO(AEROPHONES?),CAITO MARCONDES(?),
TONINHO FERRAQUTTI(SANFONA?),BENJAMIM TAUBKIN(ARR?),
PAULO FEREIRE(G),NANA VASCONCELOS(PERC?),
ZEZINHO PITOCO(PERC?),MANE SILVEIRA(SAXES),
SYLVIO MAZZUCCA(B),LUI CAIMBRA(CELLO),
MANICA SALMASO(VO),DIMOS GOUDROULIS(B?)
※パーソネルがはっきり書かれておらず、ジャケットの写真と
 持ってる楽器で判断してテキトーに書きました(笑)。
オルケストラポプラールジカマラのデビューアルバム。
非常に民族的なカラーを持った、それでいて革新的なユニットですね。
ショーロがベースになる演奏が多く、一曲一曲の構成が変化に富んでます。
ここで取り上げた"ベッドから飛び降りてブラジルを見るための組曲"は
16分半にも及ぶ大曲。
序章の緩やかな部分は静かな朝のブラジルの光景の描写か?
そこに明るい人の賑わいが加わってくる…、って私の勝手な解釈。
とてもイメージの膨らむ豊かな演奏です。素晴らしい。

 

DORALICE
ROSA PASSOS CANTA CAYMMI / (LUMIAR DISCOS)
ROSA PASSOS(VO),LULA GALVAO(G),
FABIO TORRES(PF),RODRIGO URSAIA(FL),
PAULO PAULELLI(B),ERIVELTON SILVA(DS),
JAGUARA(PERC)
ホーザパッソスのコンポーザーシリーズの3作目にあたる
ドリヴァルカイミ作品集であります。
彼女の魅力については毎年書いてますので、耳タコでしょうが、
ハスキーで、優しくて、かわいくて、艶やかで、それでいてさりげなくて…、
要はベタ惚れなのです(笑)。
また、パッソスのアルバムのクォリティの高さを支えているのは、
ギターリスト兼アレンジャーのルーラガルヴォアンですね。
この"DORALICE"にしても、曲の良さを素直に引き出しながらも
かなり刺激的なアレンジが施されています。これは見事です。

▼2002/07/28更新しました。

ARAURUM KIM KIM
SOURCES / BIA (SARAVAH)
SILVANO MICHELINO(BERIMBAU,SHAKER,TAMTAM,SURDO,GRAINES),
TOM DIAKITE(KORA),BIA(VO)
このアルバム全体に漂っているのは不思議な民族色。
それは、彼女がブラジルに生まれ、チリ、ペルー、ポルトガルと移り住み、
更には、後の夫とヨットで世界を廻っていたと云う経歴に因るものでしょう。
様々な言語で様々なスタイルの音楽を唄っていますが、
不思議と全体としてのまとまりが感じられます。
このアラウルンって曲でも、ブラジルやアフリカの民族楽器が
一つの演奏をしていると云うボーダーレスの面白さがあります。

 

0 BODE
VIVA BRASIL / VIVA BRASIL (7 BRIDGES RECORDS)
KENT MIDDLETON(CONGAS,BONGOS,CUICA,PANDEIRO,FL),
RUBENS MOURA Jr.(VO,DS,PERC),
CLAUDIO AMARAL(VO,G,CAVAQUINHO,B,PERC),
JAY WAGNER(VO,PF,ORG,SYNTH,ACCORDION,MELODICA,PERC),
EDWARD SOLETA Y SALMAN(B,CONTRA-SURDO,VOODOO CHIKEN)
今の耳で聴くと、逆に古さが新鮮なブラジリアンフュージョンです。
恐らく冒頭の"SKINDO-LE-LE"は、知ってる方が多いと思います。
フュージョンの苦手な私でさえ知ってました。
かつて阿川泰子がカヴァーしていたとか…。知らんかった。
とにかく、このユニット、とっても面白いんですよ。
バンド全体が音楽を楽しみ、遊んでる様な感じ。
それでいて音楽的刺激もあるので、手応えあります。
1曲でジョーヘンが参加してたりもします。




 

 


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