前にお薦めしたセレクトの中で、フィルウッズがお気に入りとの事でしたので
今度は、フィルウッズに焦点を当てて選んでみたいと思います。
彼は、キャリアも長くスタイルも様々に変化してきているので、
その辺りを聴き比べてきたら面白いのではないでしょうか。
年代順にならべてありますので、彼の履歴も併せて書いてみます。
![]() |
SLOW BOAT TO CHINA |
WOODLORE / (PRESTIGE) | |
PHIL WOODS(AS),JOHN WILLIAMS(PF), TEDDY KOTICK(B),NICK STABULAS(DS) |
|
1955年に録音されたウッズの原点とも云うべきアルバムです。 パーカーライクなスタイルで「白いパーカー」とも云われてました。 バードの死後、その未亡人と結婚した程の崇拝ぶりです。 でもこの頃からウッズのフレージングの中には、 既に彼独特の節回しの輪郭が見え隠れしてます。 艶と伸びのある気持ち良い音色を楽しめる名盤。 |
![]() |
CREME DE FUNK |
PHIL AND QUILL WITH PRESTIGE / (PRESTIGE) | |
PHIL WOODS(AS),GENE QUILL(AS), GOERGE SYRAN(PF),TEDDY KOTICK(B),NICK STABULAS(DS) |
|
同じく白人のアルトサックス奏者ジーンクイルとのユニットも有名。 2人とも無茶苦茶男前でやんのー(笑)。 ウッドロアの時よりもハスキーで哀愁のある音色ですね。 2人とも良く似てるのでわかりにくいですが、 最初のソロがウッズ。で、チェイスのパートでも先発がウッズ。 |
![]() |
FREEDOM JAZZ DANCE |
ALIVE AND WELL IN PARIS / (ODEON) | |
PHIL WOODS AND HIS EUROPIAN RHYTHM
MACHINE PHIL WOODS(AS),GEORGE GRUNTZ(PF), HENRI TEXIER(B),DANIEL HUMAIR(DS) |
|
一気に1968年まで飛びます。 私がレコードを持ってないって事もあるのですが、実際、 この10年位の間、ウッズは、かなり不遇の日々を送ってました。 リーダー作も殆どなく、サイドマンとしてのアルバムがあるくらい? そこで彼は、新規一転ヨーロッパに渡ります。 バピッシュなスタイルを捨て、力強い自分を表現するユニットとして ヨーロピアンリズムマシンを結成します。これがその一作目。 スリリングで密度の濃い演奏が繰り広げられています。 |
![]() |
THE DAY WHEN THE WORLD... |
PHIL WOODS AND HIS EUROPIAN RHYTHM MACHINE / (INNER CITY) | |
PHIL WOODS AND HIS EUROPIAN RHYTHM MACHINE PHIL WOODS(AS),GORDON BECK(EL-PF), HENRI TEXIER(B),DANIEL HUMAIR(DS) |
|
アフィニティからも「クロマティックバナナ」ってタイトルで出てます。 個人的には、ヨーロピアンリズムマシンでは一番好きな作品。 ピアノがグルンツからゴードンベックに変わっています。 これまた収められている全ての曲が素晴らしく甲乙つけがたいです。 ゴリゴリとダーティートーンで吹きまくるウッズがたまりません。 テクシューの唸りながら弾くベースもカッコイイ! |
![]() |
THE SUMMER KNOWS |
MUSIQUE DU BOIS / (MUSE) | |
PHIL WOODS(AS),JAKI BYARD(PF), RICHARD DAVIS(B),ALAN DAWSON(DS) |
|
ヨーロピアンリズムマシンで成功を収めたウッズは、 再び故郷のアメリカに戻ります。1973年の事です。 そうして帰国第一作として発表されたのがこのアルバム。 間違いなくヨーロッパでの5年の活動がウッズを大きく変えました。 A面一曲目の"SAMBA DU BOIS"も凄いのですが、 ここは、哀愁に満ちたバラードを一曲聴いていただきましょう。 ヨーロッパで演奏を共にしたミッシェルルグランの名曲を。 |
![]() |
HIGH CLOUDS |
LIVE FROM THE SHOWBOAT / (RCA) | |
PHIL WOODS(AS),MIKE MELILLO(PF), HARRY LEAHEY(G),STEVE GILMORE(B), BILL GOODWIN(DS),ALYRIO LIMA(PERC) |
|
帰国後の代表作として「ミュージックデュボア」を挙げる人も多いですが、 この二枚組のライヴアルバムも忘れてはなりませぬ(笑)。 この頃からビルグッドウィンとスティーヴギルモアと云う 不動のレギュラーメンバーを得てウッズの活動は一段と活発になります。 こんな演奏をライヴで眼前に展開されたら興奮のあまり ウヰスキーをロックでガバガバ呑んでしまいそうです(笑)。 アドリブ後のギターとユニゾンのリフが猛烈にカッコイイ! |
![]() |
REETS NEET |
THREE FOR ALL / (ENJA) | |
PHIL WOODS(AS),TOMMY FLANAGAN(PF), RED MITCHELL(B) |
|
うまねこさんお気に入りのアルバムからもう一曲。 ピアノのトミーフラナガンのオリジナルです。 どうしてこのアルバムのウッズは、こんなに粘っこいんでしょう。 他のアルバムを色々聴いてもこれほどの演奏は見当たりません。 ウッズの隠れた名盤です。 |
![]() |
STAR EYES |
BIRDS OF FEATHER / (ANTILLES) | |
PHIL WOODS(AS),HAL GALPER(PF), STEVE GILMORE(B),BILL GOODWIN(DS) |
|
最も品のないウッズが聴けます(笑)。 スターアイズと云えば、パーカーの愛奏曲。 それをかつて「白いパーカー」と謳われた男が、 これほどまで下世話な演奏していいのー(爆笑)。 きっと人は、これを駄盤と云うでしょうが、スカーッとしたい時、 思わず針を降ろしたくなる私の愛聴盤なんです。 趣味の押しつけで申し訳ありません。 |
![]() |
111-44 |
GRATITUDE / (DENON) | |
PHIL WOODS(AS),TOM HARRELL(TP), HAL GALPER(PF),STEVE GILMORE(B), BILL GOODWIN(DS) |
|
1986年の日本企画盤。55歳でどうしてこんなにパワーがあるのー(笑)。 40歳で脂ののってるトムハレルを土俵際に追いきってます(笑)。 バースチェンジ後のソリが気持ち良いですね。 |
![]() |
BLUE MONK |
OUR MONK / (PHILOLOGY) | |
PHIL WOODS(AS),FRANCO D'ANDREA(PF) | |
ウッズとフランコダンドレアによるモンク集。 「合わないだろー?」って顔合わせなんですが、 案外(あくまで案外ね(^^;)しっくりきています。 このレーベル、他にもエンリコピエラヌンツィとのデュオなんて 無茶な企画もしてるんですが、これまたそれなりにいい(笑)。 そっちの方は、また別の企画で取り上げます。 |
![]() |
HOW'S YOUR MAMA? |
CELEBRATION! / (CONCORD) | |
PHIL WOODS(AS),BRIAN LYNCH(TP), BILL CHARLAP(PF),STEVE GILMORE(B), BILL GOODWIN(DS) with THE FESTIVAL ORCHESTRA |
|
ウッズのユニットのクロージングテーマを、 派手にオーケストラバックで聴いていただいて最後をしめましょう。 色んなバップチューンがパッチワークの様に散りばめられた ご機嫌で楽しいアレンジです。 このアルバム(1997年)の後もまだ活発な演奏を続けるウッズ。 昨年もヴィーナスやブルーノートからアルバムが発売されました。 今年で68歳になるウッズですが、まだまだ目が離せません。 |