('') さんからのリクエストで男性ヴォーカルを集めて見ました。
私は男性でありますゆえ、どちらかと云うと女性ヴォーカルを好みます。
ですから男性ヴォーカルについてはかなり偏った聴き方しかできてないと思うのですが
('') さんはそれでも良いと云いはります。
って事で極めて私的なセレクションになりますが、私の好きなヴォーカルを中心に
「えー?こんな人が唄っちゃってんの〜??」って意外な人のヴォーカルなんかも集めて見ました。
LISTEN TO MONK (RHYTHM-A-NING) | |
FREDDIE FREELOADER / JON HENDRICKS (DENON) | |
GEORGE BENSON(VO),AL JARREAU(VO), JON HENDRICKS(VO),TOMMY FLANAGAN(PF), GEORGE MRAZ(B),JIMMY COBB(DS) |
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ジャズヴォーカルの方向性には、器楽的に声を使うモノが一つにあります。 手法としては、ルイアームストロングが始めたと云われているスキャットとか ジョンヘンドリックスが得意とするヴォーカリーズなんかが挙げられます。 ヴォーカリーズとは、もともと歌詞がついていない演奏向きの曲に 歌詞をつけて無理から唄うと云うモノなんですが(笑)、 英語の持つリズムが加味されて面白いスピード感と 早口言葉的大慌て感(今命名)を楽しむ事ができます。 ヘンドリックスは、ヘンドリックス・ランバート&ロスと云うユニットを率いて、 この路線の可能性を切り開き、人気を博しました。 マンハッタントランスファーなんかもこれを下敷きにしております。 さてこのアルバムはヘンドリックス70歳間近の録音で 彼の影響を受けたミュージシャンが一堂に介する豪華な内容です。 ここではセロニアスモンクの名曲"リズマニング"を ヘンドリックス、ジョージベンソン、アルジャロウの3人でバトってます。 三者三様のスキャットを聴き比べてみると面白いですね。 順番はジョージベンソン、アルジャロウ、ジョンヘンドリックスの順です。 |
THINGS ARE GETTING BETTER | |
LETTER FROM HOME / EDDIE JEFFERSON (RIVERSIDE) | |
EDDIE JEFFERSON(VO),CLARK TERRY(TP), ERNIE ROYAL(TP),JIMMY CLEVELAND(TB), JAMES MOODY(AS,FL),JOHNNY GRIFFIN(TS), ARTHUR CLARKE(BS),JOE ZAWINUL(PF), BARRY GALBRAITH(G),SAM JONES(B), OSIE JOHNSON(DS) |
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でもって、モノの本によるとジャズヴォーカリーズを始めたのは ジョンヘンドリックスではなくて、エディジェファーソンなのだそうです。 彼の残したアルバムは少ないのですが、このリヴァーサイド盤は、 楽しさの極みです。 ジェファーソンだけでなく、メンバー、アレンジとも頗る良好で 「こーやってジャズは楽しむモンだよ。」って雰囲気に溢れています。 この曲はキャノンボールアダレイ(弟のナットだったかもしれない)の曲ですが ジェファーソンによってファンキーにヴォーカリーズされてます。 |
MAY I COME IN? | |
MY ROMANCE / KEVIN MAHOGANY (WARNER BROS.) | |
KEVIN MAHOGANY(VO),BOB JAMES(PF), CHARLES FAMBROUGH(B),BILLY KILSON(DS), MICHAEL BRECKER(TS) |
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派手な曲が続いたので少し甘くバラッドなんかを取り上げて見ます。 普通ならジョニーハートマン辺りを持ってくるのですが、 ちょっと新し目の人を紹介致します。 ケヴィンマホガニー。黒人らしいエエ声であります。 バックにボブジェームス、マイケルブレッカーを従え、 堂々と唄う様は正統派大物男性ヴォーカルと云った風格があります。 |
I'D RATHER DRINK MUDDY WATER | |
LOU RAWLS LIVE! / LOU RAWLS (CAPITOL) | |
LOU RAWLS(VO),??(PF),??(B),??(DS),HERB ELLIS(G) | |
個人的に最も大好きな黒人ヴォーカリストの一人です。 アメリカではかなりの名声を得た人なのですが日本での人気は今一つ。 きっと彼が純粋なジャズシンガーの枠に収まらず いかにもアメリカ的なエンターテイナーとして活動をしてきたせいでしょう。 どうも日本人が求めるジャズシンガーのイメージとは遠いみたい。 確かにアルバムによっては今聴くと古臭いポップスって感じです。 しかし彼の初期の作品はホントに素晴らしいと思います。 ジャズと云うよりブルースなんですけど、声の渋さとノリの良さ。 案外黒人的な粘っこさが薄くて、その分洗練された感じがします。 |
NEW YORK STATE OF MIND | |
A NEW ALBUM / MEL TORME (PADDLE WHEEL) | |
PHIL WOODS(AS),BARRY MILES or GORDON
BECK(PF), VIC JURIS(G),??(B),??(DS) |
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シナトラと並び評される白人ジャズヴォーカリストがメルトーメです。 ヴェルヴェットヴォイスと云われるシルキーな声質と抜群のスイング感。 実にスマートなジャズヴォーカルの形だと思います。 1950年代〜60年代のアルバムに高い評価が集まっていますが、 70年代以降の彼も円熟期に入ってもますます素敵なのです。 このアルバムでは「A NEW ALBUM」と云うタイトルだけの事あって ジャズスタンダード以外の新しいレパートリー中心に唄っています。 中でもこのビリージョエルの"ニューヨークの想い"は、 決して重くならずそれでいて深い味わいを感じさせる見事な歌唱です。 友人フィルウッズのアルトのもいつもながらで(笑)実に良い。 |
BUT BEAUTIFUL | |
THE TONY BENNETT BILL EVANS ALBUM (FANTASY) | |
TONY BENNETT(VO),BILL EVANS(PF) | |
メルトーメを取り上げたらトニーベネットも取り上げないと…。 ビルエヴァンスとのデュオアルバムです。 エヴァンスはあまり歌伴をしなかったので、 そう云った意味でもこの作品は貴重です。 ピアノソロとしてずっと聴いていたい程の美しいイントロに 溶けこむように唄い出される"BUT BEAUTIFUL"。 英語の歌詞が実感として理解できない事が悔しいです。 |
WALTZ FOR DEBBY | |
DON'T LOOK BACK / DAVID ALLYN (XANADU) | |
DAVID ALLYN(VO),BARRY HARRIS(PF) | |
ピアノとヴォーカルのデュオをもう一組紹介します。 知る人ぞ知るデヴィッドアリンと燻し銀バリーハリスで、 先ほどのエヴァンスの名曲"ワルツフォーデビー"を甘〜く…。 ミュージシャンズミュージシャンと云われるタイプの 玄人受けするヴォーカリスト。 これまた雰囲気でしかわからないのが残念…。 |
SMILE | |
MOOD INDIGO / JIMMY SCOTT (MILESTONE) | |
JIMMY SCOTT(VO),HANK CRAWFORD(AS), CYRUS CHESTNUT(PF),GEORGE MRAZ(B), GRADY TATE(DS) |
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伝説系、知る人ぞ知る系をもう一人。 2000年、75歳にして録音されたジミースコットのアルバムです。 それほど多く語られる事のなかった彼がスポットライトを浴びたのは 彼の波瀾に富んだ半生を描いたドキュメンタリー番組の影響の様です。 そうなると音楽以外のところで物語が付随してきてしまうのですが 決してブームになる程一般受けする歌手ではないと思います。 まずはその声質。 ホルモン異常で成長が止まり、声変わりしていないらしく ちょっと聴くとおばあちゃんの声かと思う程のしゃがれ方です。 そして最近は殆どバラッドしか唄わないと云う偏った選曲。 そこらあたりの癖の強さを味と感じられる人にはタマラナイ人になる筈。 ここではチャップリンの名曲"スマイル"を選んで見ました。 しかしこのハンククロフォードってのは人選ミスだと思うなぁ…(笑)。 |
I GOT RYTHM | |
KISSES IN THE RAIN / JOHN PIZZARELLI (TELARC) | |
JOHN PIZZARELLI(VO,G),MARTIN PIZZARELLI(B), RAY KENNEDY(PF) |
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ちょっとしんみりとした曲が続きましたので雰囲気をガラッと変えます。 ギターとヴォーカルの二足のワラジを履くジョンピザレリです。 ギターの弾き語りになる訳ですがアドリブパートが凄い。 ギターのフレーズにユニゾってスキャットを聴かせます。 一人じゃないと絶対出来ない芸当ですね。 ま、これってもともとベースのスリムスチュアートのお家芸なんですが, アドリブラインの軽やかさから行くとギターでやった方が面白いですね。 テンポに変化をつけた後半の展開も楽しいですね。 |
YOU DON'T KNOW WHAT LOVE IS | |
CHET BAKER VOCAL COLLECTION / (DISKPORT) ※このアルバムはパシフィック音源のヴォーカルを集めた企画BOXモノです。 |
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CHET BAKER(TP,VO),RUSS FREEMAN(PF), CARSON SMITH(B),BOB NEEL(DS) |
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ピザレリもカッコイイルックスですけど、同じ二足のワラジで ヴォーカリストとしてもトランペッターとしても高い評価を得た 元祖アイドル系ジャズマン――それがチェットベイカーであります。 まー、とにかく甘い甘い、母性本能をくすぐる(であろう)唄い方。 往年はダウンビート誌のトランペット部門でマイルスをおさえ 堂々の1位を飾るほどの人気がありました。 しかしこの歌声は私男性の耳で聴いても確かに魅力を感じます。 |
I'LL NEVER BE THE SAME | |
THE PEACOCKS / JIMMY RAWLES (SONY) | |
JIMMY RAWLES(VO,PF)STAN GETZ(TS) | |
ピアニストとして渋いプレイを聴かせてくれるジミーロウルズは 歌もやっぱり渋いのです。 音程はやや不安定ですがこれも味のうちでしょう。 どちらかと云うとあまり陽のあたる場所に出ないロウルズを 旧友のゲッツがプロデュースしたと云う心温まるアルバムで ゲッツが引き立て役にまわり控えめにソロを取っているのが印象的。 |
BE CAREFUL,IT'S MY HEART | |
LOOK WHO'S HERE / RUSSELL MALONE (IMPULSE!) | |
RUSSEL MALONE(G,VO) | |
ちょっと渋めの曲が続きますが…。 ラッセルマローンが唄うのを聴くのはこれが初めてです。 今までハリーコニックJr.やダイアナクラールの歌伴をつとめてきて、 「俺も唄いたいなぁ〜。」ってずっと思ってたのでしょう(笑)。 味のある良いヴォーカルですね。上手くはないですが…。 |
RESTORATION RUIN | |
RESTORATION RUIN / KEITH JARRETT (VORTEX) | |
KEITH JARRETT(RECORDER,VO,G,BONGOS), & STRINGS QUARTET |
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って事でキースも唄っちゃいました(笑)。 若気の至りと云うヤツですか…。 |
SAINT CLAUS IS COMING TO TOWN | |
WALTZ FOR DEBBY / MONICA ZETTERLUND & BILL EVANS (PHILIPS) |
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BILL EVANS(VO,PF),CHUCK ISRAELS(B), LARRY BUNKER(DS) |
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キースが唄えばビルエヴァンスも唄います(笑)。 モニカセッテルンドの歌伴として参加したアルバムの 空き時間か何かでふざけて録ったテイクなのでしょう。 もともとのLPには収録されておらずCD化の際、追加されました。 エヴァンスはかなりご機嫌で軽く一回弾き語りした後、 「じゃテイク2いくよー。」って笑いながら云ってます。 エヴァンスのイメージからかけ離れたコミカルな唄い方で どことなくボブドローを彷彿とさせます。 他のアルバムでもこの"サンタが街にやってきた"を録音してるので よっぽどこの曲が好きなのでしょうね。 だってこのレコーディング、8月29日に行われてるんですから(笑)。 |
I'VE GOT JUST ABOUT EVERYTHING | |
JUST ABOUT EVERYTHING | |
BOB DOROUGH(VO,PF),AL SCHACKMAN(G), BEN TUCKER(B),PERCY BRICE(DS) |
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男性ジャズヴォーカリストの中で私が一番好きなのがボブドローです。 この飄々とした味わいがとっても気持ち良いです。 1923年生まれで、4歳には歌手デビューしていたと云う超ベテラン。 歳を取るとエラソーな唄い方になっていく人が多い中で 近所のおっちゃんの立ち話の様な気楽なスタイルで唄い続けてます。 これは1966年に発表された2枚目のアルバムなのですが、 2000年に発売されたアルバムもほぼ同じ感じ。嬉しいです。 |
FRIDAY THE THIRTEENTH | |
THAT'S THE WAY I FEEL NOW. / VARIOUS ARTISTS (AM RECORDS) |
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BOBBY McFERRIN(VO),BOB DOROUGH(VO), DAVE SAMUELS(VIB,PERC) |
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変なジャズでも紹介したセロニアスモンク・トリビュートのコンピもの。 ここでジャズヴォーカルの最後の改革者(?)ボビーマクファーリンと ボブドローが競演しております。 ベースやコーラスを全て自分のヴォイスで重ねていく作りこみは、 マクファーリンのお家芸なので、そこにドローが参加した感じです。 |
BEAUTY AND THE BEAST | |
BEAUTY AND THE BEAST / MARK MURPHY (MUSE) | |
MARK MURPHY(VO),BILL MAYS(KEY), JOEY BARON(DS),BRIAN LYNCH(TP), LOU LAUSCHE(VLN),STEVE LaSPINA(B) |
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音程もいい加減でムラッ気がある人ですがマークマーフィーは、 私の中で3本の指に入るフェイヴァリットシンガーなのです。 卓越したテクニックを持っていると評してる人もいますが、 テクニカルな事をやろうとして結構外したりしてるんですね(笑)。 だけど十八番のスタンダードソングを唄うだけの歌手じゃなく、 常にいろんなところに素材を求めようとする姿勢が良いのです。 ここで取り上げたのもウェインショーターがアルバム 「NATIVE DANCER/(CBS)」の中で演奏していたインストの曲で、 あの妖しい曲が、まるでもともとヴォーカル曲だったのではないかと 勘違いしてしまうほど彼の色に染め上げられています。 |
DRINK AND BLATHER | |
HEADS AND TALES / RAY ANDERSON ALLIGATORY BAND (ENJA) |
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RAY ANDERSON(VO,TB),TOMMY CAMPBELL(DS), LEW SOLOFF(TP),JEROME HARRIS(G), GREGORY JONES(B),FRANK COLON(PERC) |
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ヴォーカルの味と云う意味では、この人も取り上げておきましょう。 トロンボーン奏者のレイアンダーソンであります。 楽器をやる人が歌を唄う場合、「渋い唄を聴かせる」系の人が多い中、 この人の場合、トロンボーンのわやくちゃさと全く同じテイストで かなりイッちゃったヴォーカルを炸裂してくれます。 他にもイッちゃってる系の人は、ジョンチカイ、ジョンゾーン、坂田明etc.…、 フリー系に沢山いらいっしゃいますが、今回は見送ります。 |
BETTER GET IT IN YOUR SOUL | |
GET HIT IN YOUR SOUL / JACK WALRATH & MIKES GRIFFITH (ACT) |
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MILES GRIFFITH(VO),JACK WALRATH(TP), BILL BICKFORD(G),DENNIS MACKREL(DS), & WDR BIG BAND |
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最後を飾るのがこんな演奏でエエんかいな、と云う気がしないでもない(笑)。 このマイルスグリフィスって人については不勉強で全然しらないのですが、 この妙ちくりんなアレンジメントは間違いなくジャックウォラスのカラー。 そこにぴったりと嵌るグリフィスって、やっぱり変な人なんでしょうねー。 どことなくジェイホーキンスみたいな感じがしないでもない。ぐぇへへっへ。 この曲はウォラスがお世話になったミンガスのオリジナル曲。 もともと煽りたてまくる曲調なのをややテンポを落として、コーラスを加え、 よりソウルフルにビックバンドアレンジしております。 |