よって このデータが本編である「黙示録 エヴァンゲリオン」に合致しなくとも
当方は一切の責任を負わないものとする
それによって受けるショックなどにも当方は一切の責任を負わないものとする
今回はしまぷ(う)が2015年における 第三新東京の真実の姿を語るべく・・・
ま こまかいことはこの辺りにして・・・
行ってみよぉーっ!
第三新東京の日常 或いは平穏な日々
だがその実体は 短編集
その一 忘れた頃にやってくるもの
ここは 第三新東京市西区山辺田中町2丁目・・・
早い話がここは山辺中学である
その中の一クラス
「父と子と精霊との御名によって これは・・・」
今は授業中らしい
カタカタカタ・・・
花瓶が音を立てている
「・・・」
グラグラッ
突然の地震に騒然となる教室
「机の下に 入りなさい」
そんな 担任の声 慌てて机の下に入る生徒達
「くだらんな・・・」
無関心にそんな事を言いつつ 既に収まった地震に対して呟く人物が独り
「朝霧君 どうして机の下に入らないの?」
他にも 机の下に入らなかった物はいるのだが・・・
「貴女が いや 先生が命を下したときには 既に地震は収まりつつあったから ですよ それに小さな数秒間の揺れの後に大きな横揺れが来ました 地震の特性から言って普通はさらに揺れが来ると言う事はありませんからね」
「そう・・・ でもこれから地震があったときは ちゃんと机の下に入りなさい 訓練だと思って」
「分かりました」
「あなた達も 訓練だと思ってしっかり行動しなさい じゃあ 授業の続きを始めるわよ」
インパクトがあっても 所詮日本は火山国・・・
温泉等の恩恵もあり 地震などの災害もあり
ある意味使徒よりもネルフにとって最大の敵となりうるだろう だってあれからまだ大きな地震は来ていないんだから
その二 常夏なんですよねぇ
ここは 第三新東京市の芦ノ湖の畔
竿を操り 餌を付け再び投じる 麦藁帽子姿の少年
と 少し離れた場所で 腰まで浸かってルアー釣りをする少年
ルアーを手元に引き戻したところで 麦わら帽子の少年の方に視線を向け
「なあ 朝霧 そんなので釣れるのかぁ?」
「どうかな だが私にはこっちの方が合っているからね」
麦わら帽子の少年の視線の先にある浮きは 穏やかな波に翻弄されることもなく 静かにそこにあった
この辺りは 公園の中で比較的護岸が整備されずに 岩場のまま姿をとどめていた
見渡すと他にも何人か釣りをしている人がいる
見上げるとどこまでも晴れ渡った空 静かな物である
しばらく 釣りに興じる二人・・・
フッ・・・
まるで漫画のごとく急に日が遮られる
強力な水の匂いが広がる
思わず二人が振り向くと
ザーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
それは 辺りが真っ白になるようなスコールばりの集中豪雨・・・
「「おわぁーーー・・・」」
二人の悲鳴も空しく雨にかき消されるだけだった・・・
ピチョン・・・
枝にかけられた麦わら帽子から水滴が落ちる
先ほどまで降っていた雨が嘘のように 強い日差しが照りつける
釣り道具を片づけた二人は
竿を物干し代わりにして木にかけている ぶら下がっている二人の服
「海パンはいてきて正解だったな」
「まったくだ」
お後に・・・
しまぷ(う)の頭の中の気象背景
インパクトによって 北極の氷までが溶けだし北半球南半球共に非常に海水温が高い状態になった そのおかげで"千年の夏"等という言葉に代表される異常気象が世界中で起こっていた
簡単に説明すると地球表面の熱エネルギーが多すぎるのである
インパクトから近年 南極に氷が観測され始めたが 観測の結果以前のようになるには数十年かかるとのこと またスーパーコンピューターによるシュミレーション結果も同じような結果が出ていた
そんな事もあり ここ第三新東京がいくら標高が高いとは言え夏は暑い物 近年ようやくグラフ的には夏と冬が見分けられるようになってきたのだった
その三 はくいのふたり
ここは市内某コインランドリー 隣に青い看板のコンビニがある
「それにしても ランドリーが使えないなんて」
呟きながら白衣を着て髪を金髪に染めた女性は目の前の機械 洗濯機を操作する
ネルフ内部の洗濯機が耐用年数が過ぎガタが来ていたため一斉取り替えを実行しているのだ その為ジオフロントで洗濯できなくなり わざわざ地上にまで上がってこなければならないのだった
洗濯が済むまで時間があるので隣のコンビニへと足を進めたときだった
目の前のコンビニの駐車場に背の高い青い軽自動車が止まった それだけなら彼女の視線を釘付けにすることもなかっただろう
その軽自動車から降りてきた人物は 足もとまである緑みを帯びた白い髪の毛を なにか刺繍の入っているリボンで一纏めにしており デザインの異なった白衣を着た華奢な女性だった サングラスで顔の表情まではよく見えないが北欧系の人物だろう
思わず自分の服装に目をやる 白衣を着たままだと言うことに今更ながら気付き 何とも言えない違和感に襲われた
ともかくもランドリーを出たところでほーっと立っているわけにも行かず 彼女もコンビニへと足を進めるのだった
「いらっしゃいませ」
特に気にとめるでもなく中をぶらつく
(しばらく 来ていなかったわねコンビニも 最近忙しかったから)
そんなことを考えていると
「赤木さん?」
ずいぶんと若い子供の声で呼ばれ 慌てて振り返る そこには黒髪碧眼という特徴ある子供がたたずんでいる
「浅葱君・・・ ? どうしたの 学校は?」
思わず 間抜けなことを聞いてしまう 彼はしょうがない人だなとでも言いたげにため息を付き
「今日は祝日です 少し休みを取られてはいかがですか? その方が後々効率もいいですし アイディアを出そうというのなら夢を見ることも大切ですからね」
「そうね(こんな子供に 言われたら私もおしまいね)」
自分の思考に苦笑する
「知り合いなのかい? 浅葱君」
中性的な声 この子の知り合い? そんな疑問のままに視線をあげた
無意識に瞬きを繰り返す
「あの 私の顔になにか」
「いえ ごめんなさい」
そう言いながらも視線は向けられる
(髪は染めた訳じゃないのね 瞳の色も産毛まで緑みがかっているのね・・・ アルビノ? いえそれに近い遺伝子情報の突然変異かしら)
等と考えを巡らせてしまう やはり疲れているのだろう
「まいったな」
「すみません」
思わず謝る朝霧はそのまま
「赤木さん 初対面の人に失礼ではありませんか?」
冷たい朝霧の言葉
「え? そうね ごめんなさい・・・」
「ユウロスです」
「ユウロスさん」
二人の間で やれやれとでも言いたそうな朝霧
「失礼ですが ご職業は?」
「主夫をしていますが・・・」
「そうですか」
「では 私はこれで」
そう言ってユウロスと名乗った人物は レジの方へ
「986円になります ・・・ カードお預かりします・・・」
レジでカードを提示するユウロスを見て
「ねえ浅葱君 あの人カードを使うのね」
「ええ 何でも財布を分けるためにカードを使っているそうです」
「へぇ そう言う考え方もある訳ね」
視線の先のその人物は 買い物を終えこちらに会釈をして コンビニから出ていった
「あの人の旦那さんって どんな人なの? 浅葱君」
赤木博士のその言葉に朝霧はしばらく絶句していたが
「あの人が旦那さんなんですけどぉ・・・」
その言葉を聞いた 赤木博士の表情は彼の脳裏に深く焼き付くのだった
その四 朝霧が関西弁を喋る日
「ふう・・・」
麦わら帽子をかぶり 大きな真円のレンズの縁なしのOA機器用の眼鏡をかけている事を忘れたまま彼は地上に出てきた ポロシャツにジーンズ姿 中学一年の彼だが 小柄な分どこから見ても小学生にしか見えない
これで虫かごと虫取り網をそろえたら完璧だな おっと
「日差しが強い・・・」
ホワイトバランスを失っていた瞳には この照りつける日差しは眩しすぎた 目が開けられない・・・
仕方なく 彼はアーケードの下の影 つまり商店街の方へ入って行く
商店街の中をしばらく歩いていると
「あ 朝霧」
「やっほー 朝霧君」
記憶にある声が耳に入る
声の方を向くと 惣流と帆足がこちらに手を振っている姿が見える 高校生らしき二人の人物を挟んで であるが・・・
朝霧が返事を返すより早く
「なんだお前?」
「ガキはあっち行ってな」
やはり高校生ぐらいだろうか 朝霧はその物言いと物腰を観察し なにか思いついたのか 左手でOA機器用の眼鏡をかけ直し 相手を見据えて
「なんや えらい邪険な 物言いやな」
そう 両親直伝の神戸弁のアクセントで言い返した
とは言え 見た目がほとんど田舎の小学生なのですごみなんか全くない・・・
「あ 朝霧君?」
「こないな事 私が関わることもないやろう? 惣流」
鈴原のアクセントとは違うのだが それ以前に朝霧が関西弁を喋っている事自体に驚く彼女たちだった
「な 何言ってんのよ か弱い乙女を助けるのは 男のつとめでしょ!」
「下らへんな・・・」
視線を外さず 愚か者が と言わんばかりにそう言いそのまま
「そないな事 当事者だけでかた付けぇや」
と言って 立ち去ろうとする朝霧に
「まて こらぁ!」
罵声が掛けられる
「無視すんなよ!」
朝霧は静かに振り返り 二人の高校生らしき人物を一瞥し
「私は部外者ではなかったかな?」
その言葉に一人がキレた
殴りかかってきたその男に 一度身を引いた朝霧は 男の拳が静止する直前に逆に懐に入り込み 全体重を乗せた抜き手を鳩尾深く沈め突き飛ばした
白目をむいてアスファルトの上に転がる肢体を見て
「朝霧 あんた・・・」
見上げた惣流の視線には
ナイフを取り出した先ほどの男の相方と 朝霧がいた
「バカか・・・」
感情が一切欠落した声をはっした朝霧の瞳は既に虚ろになっている
間合いを取ったまま 彼は被っている麦わら帽子を右手に取る
男はナイフの切っ先を朝霧に向けたまま 威嚇行為を繰り返す
その中帆足は倒れている男の様子を見ていた
「マリエ?」
「大丈夫 生きてるわ」
「殺してたら 話にならないわよ」
「でも 朝霧君訓練の時より動きがいいね 訓練の時は こう 何か迷っているような感じがするんだけど」
「気のせいじゃない?」
視線を下に向けていた二人の耳に鈍い音が入る
二人ほぼ同時に見上げると 麦わら帽子を拾い上げる朝霧と ナイフを持ったままの肩を押さえてアスファルトの上に蹲っている男が視界に入った
平然と麦わら帽子を被り直し眼鏡を直す朝霧 既にその瞳には色が戻っている
「あれしきの事 二人でも対処できよう ・・・ほなな」
神戸弁のアクセントでさらりとそう言って 朝霧は歩いてきた方とは反対側の方へと歩き出す
後には 朝霧が関西弁を喋った方がインパクトが強かったのか 惣流と帆足が取り残されるように立っていた
「ねえ マリエ」
「なに アスカ」
「今の鈴原じゃないわよね」
「ええ・・・」
商店街を歩く朝霧は
「やれやれ 我ながら下らない な」
そう言って 先ほどのことに思考を巡らせるが
それは 端から見る限り小学生がお小遣いの使い道について悩んでいるようにしか見受けられなかった・・・
碇編・・・
じっとしたまま階数表示を視界の端に引っかけたまま朝霧は
「碇 君はネットに入ったことは?」
「え? ああ インターネットのことだよね あるけど」
「そうか」
そのまま沈黙する朝霧 彼は聞きたいことを聞いてしまったので話す必要性自体を感じずに 階数表示を視界の端に引っかけたまま 何のリアクションも起こさない
対して 碇は話が途切れたと認識し 必死に会話をつなごうと ネタを考えていた
(な 何か喋らなきゃ 間が持たない)
間など既に崩壊しているというのに 必死に考える碇
(な 何か喋らないと 学校のこととか・・・
あれ 朝霧って学校じゃ影が薄い方だよな
なにか 共通の話題とか・・・
って 朝霧に会う話題なんて 分からないよ)
そんな中 エレベーターは目的の階に着いた
出がけに朝霧は
「でわ また明日」
そう一方的に告げて行ってしまった
「・・・ ははは」疲れた・・・
碇 本編主人公 いろんな物事に首を突っ込むが対処能力が低く振り回されてばかりいる傾向が目立つ
二坂&ミサト編・・・
扉が閉まる直前 その間に拳が割り組み 扉が開く
「失礼 驚かせたようだな」
そう言って平然と乗り込む朝霧
会話もなくエレベーターは少し昇ったところで止まった
ネルフ職員が一人入って来た葛城ミサトである
再び動き出すエレベーター
沈黙と言うよりは 氷結そんな時間が過ぎる ゆっくりと
葛城は何も喋らない二人に視線を交互に向ける
(な なんなのこの子達は・・・)
リアクションの無い二坂と
なにか見てはいけないような物が見えている ような視線の動きをする朝霧 はっきり言って怖い
(・・・ 見なかったことに)
ガタン
そんな音を立てた揺れの後エレベーターは止まった まるで何かに引っかかったように
そんな事を気にかけないのか二人は相変わらずだった その様子を見た葛城は
(・・・ もうだめなのね)
そう思ったらしい
二坂 小畑の取り巻き三人組の内の一人 懐刀的な存在で 無口 身振り手振りでの指示はさすがにしないようだ
葛城 戦略にはあまり向かない現場指揮官 戦術には長けていると思われる
綾波編・・・
エレベータが止まり 彼女は 目を閉じたままの朝霧がいることを視認し乗り込む
目的の階を設定し エレベーターが動き出す
もちろん終始無言の二人
朝霧はふと異質な気配を感じ 目を開け 綾波が乗っていることと彼女の目的階数が後に到達する事を視認し再び目を閉じた
やっぱり終始無言な二人
少ししてエレベーターが止まる
無言で出て行く朝霧
エレベーターの扉が閉まった後
「今の誰?」
以下 ひらめき次第続くかもしれない・・・