このデータは私ことしまぷ(う)がBLEAD氏に提出した朝霧健夫のデータに基づき作成されている
 

 はず・・・

 
 よって このデータが本編である「黙示録 エヴァンゲリオン」に合致しなくとも
 当方は一切の責任を負わないものとする
 

 たぶん・・・
 

 あ 合致しないときは消去されるだけかぁ・・・
 

 あははははは(乾笑)



 
 

  朝霧君の日常 或いは平和な日々
 
 
 

 片田舎の一軒の家の中に少年がいた
 畳の上で正座をした碧眼の少年がいた
 その少年の前には プラスチック製のざるに入っている三匹の子猫の死体
 その少年の目には涙の後もなかった
 その猫の死因に少年が関わっていた事は少年にも分かっていた
 幼心にも幼き命を死に追いやった罪悪感 そしてその意味も知っていた
 少年は 蠅のたかる 子猫の死体の前で 両親に呼ばれてもなお正座をし じっと何かを考えていた
 死と生 傷つけることと 傷つけられること
 背反することを同時に考えていた 夜か開けるまで
 
 

 目が覚めた 何か夢を見ていたようだが覚えていない
 今の時間はと時計を確認する
「5時半? は 早すぎ・・・」
 目が覚めてしまった事を諦め 下がタンスや机で占領されているハイベッドから下り まるで脊髄反射のように机の上のパソコンに電源を入れる
 立ち上がったのを確認して いくつかのソフトを立ち上げ 浴室へ

 しばらくしてさっぱりした彼が戻ってきて机につき ディスプレイの光を彼の特長でもあるその碧眼を覆い隠すような眼鏡に映しキーボードを打ち始めた 彼は目が悪いわけではない ただ長時間ディスプレイに向かっていることが多いので紫外線などを押さえるために眼鏡をしている 学校でもそれは同じことだった 今彼がやっている作業は蔵書(紙の本も含む)の整理である 題名・作者・ジャンルで分けさらにどんな内容なのかを簡単に記してある
 現在では本と言えば出版される物のおよそ7割はディスクに収まっているデジタルブックのデータを指す 彼はその中から読み物として出版される物と趣味で集めている武器や兵装にふれる物を購入している 財布までが別に存在する
 彼の金の流れはこうである まず収入の5%が貯蓄に回る さらに趣味以外に大した物欲がわかない彼の必要経費は自然に切りつめられる そして大量に残った先月の繰越金が全て本の購入に回されるのである また足りない場合は貯蓄から引き出されるのである
 彼の部屋はネルフ内ジオイド上にある寮の建物の端にあり通常の部屋より一部屋ほど広い ただし他の部屋にあるような押し入れなどは存在せず 彼の自室であるベッドもある部屋約四畳半と 隣の書庫になっている六畳間 そして4畳前後のダイニングキッチン 風呂とトイレは別々にあり何故か全自動乾燥機付きの洗濯機まである
 彼がこのような条件のいい部屋に住んでいるのは若干の理由がある 彼は候補生の中では古巣の部類に入り ここに住み始めたのは彼が初めてだからであった

 彼の寝室の隣にある書庫には 紙のメディアで出版されるものは本棚に デジタルブックで出版される物は本棚に光磁気ディスクでのバックアップがあり 普段使用されるデータは昔技術部の人に頼んでつくってもらった稼働3年目のサーバー機に入っている ネットからのアクセスで欲しいデータを取り出すことが出来るがそれには サーバーと同じで技術部作成の専用のソフトが必要なので一部の人間にしか利用されていない その横には端末機が一つありデジタルブックをプリントアウトできるようになっている プリンタは古いカラーレーザーを譲ってもらった物だ 古いと言っても十二分に綺麗な表示が出来るのだが

 ふと時計を見て彼は制服に着替え 鞄の中に学校で使用するノート型パソコンを入れ データの入ったメディアをいくつか一緒に入れ 部屋を出た
 

 ネルフ内の食堂にて朝食を済ませて 学校へ 上履きに履き替え教室へ入る 既に何人かが教室内にいるが いつものごとく朝霧に挨拶をする者はいない 彼も黙って廊下側最後尾の自分の席に着き 一時の惰眠をむさぼるのであった

 担任が教室に近づくのをその感で察知してか むくりと起きあがり ズボンのポケットから愛用の鉄道時計を取り出す カバーの着いていない大きめの懐中時計と言えば分かるだろうか 動力は電池である それを手に取り時間を再び確認しただ一言 少し大きめの音量で言葉を発した
「(時間だな)先生が来るぞ」
 その言葉によりざわついていた教室内が静まって行く そして前の扉が開き担任が入ってくる 先生の役で それが偽の姿がどうかはともかく 学校という名の時間の始まりである

 授業中の彼はそのパソコンに授業で使うソフトとデジタルブックを読むためのソフトが立ち上がっている 画面領域の3分の1を読書領域に使用して 授業の進行状況を把握しながらかなりのハイペースで読みすすめて行く 今読んでいるのはネット上のデータからダウンしたファンフィクションで「魔装機神演義」なんでもセカンドインパクト前のものらしい
 途中 メールが寄せられた 一段落するまで読みすすめ メールを開く 内容は購入希望書籍の依頼 本の題名出版社等を確認し手元のデータと照らし合わせる 既に購入済みのものだったので その旨返信をし 授業の進み具合を確認した後再び続きを読み始めた
 

 この日の授業も程なく終わり クラスの面々は例の電車にてネルフへ
 彼は器用に頬杖を着いて電車の外を眺めている 基本的にジオフロント以外は所々にある信号機などが見える程度なので 非常に殺風景な風景を眺めていることになる しかし彼の目には何か別なモノが見えているようにも思える
 まあ 彼が「暗闇は思案を巡らせるのに最適の環境」と言ったことを告げておく

 一度自分の部屋に戻り 荷物を置いて 制服を着替え 再び部屋を出て行く 行き先はいつもの場所
 今日彼の班は戦闘訓練を行う 彼自身は人間相手に人間の常識内の戦闘をしてもあまり効果が上がらないと考えている と言っても彼は戦闘訓練の勝敗成績では下から数えた方が早いほうであるのだが
 元来彼の戦い方は 普通のそれとは違っていた 強力な一撃で相手の戦闘能力を奪うような戦い方はせず 相手の感覚器官や相手の動作に応じて発生する負荷のかかる部分をねらって行く 結果相手に脱臼や骨折等を追わせた回数が多いので教官からその戦い方を禁止された 既に2年前の話である
 今では通常の戦い方にも少しは慣れたものの 昔の戦い方を知っている連中からは敬遠されている
 ちなみに最短KO記録を持つ 6秒 ただし朝霧は敗者側で 相手は鈴原 この後朝霧は5日ほど入院した
 

 普段は物静か・・・ というかあまり喋らない彼だが 長いこと共同生活をしているとキレる事もある 一度クラスメイト(女性)に一方的に罵詈雑言をたたきつけられた事があった むろん彼も反論をするが 相手のまるで楽しむかのような物腰にキレた
 その時の彼は相手の両目を真っ先にねらい 続いて両耳を潰し 相手が隙を見せたのをいいことに相手の首を射るような蹴りで突き上げ そのまま全治3ヶ月の重傷を負わせたのだ その場に居合わせたクラスメイトはその出来事よりも 涼しい目つきで平然と相手を狩ってのけた朝霧という人物に恐怖したのだった
 当然ながら彼は罰を受けたわけだが その時の言葉が「手加減はした 駒を失うわけにも行きませんから」である 彼の言うとおりにその相手は完治したのだが・・・
 人間と言うより獣じみた攻撃の手段に 葛城一尉曰く「あれが同じ人間にする事? ぞっとするわね」である
 これに対する朝霧君のコメント「有効な戦法を取ったまでです」なんかこっちがぞっとしてきた・・・
 ちなみに この後彼は一部の男子による仕返しを受け1週間入院するのだが 多人数相手に同等以上の被害を与えたことを付け加えておく その時のコメントは「身に危険が迫っているのに手加減をするほど 私は強くない」である なんともはや・・・

 訓練が終了すると彼は自室に戻らずにネルフ内のプールに行き ひと泳ぎする 格闘訓練の日以外ではプールで泳がないようだ
 30分ほど連続で足を着かずに泳ぐ 始めの方は比較的激しく泳いでいるが最後の方になると水と戯れるように泳いでいた
 ネルフに来る前に水泳教室に通っていたらしく泳ぎは達者な方である 惰性というかそこにプールがあるから泳いでいる様なもので訓練のない日は泳いでいることは少ない

 水泳の後シャワーを浴びた彼は 空腹を満たすために食堂にて夕食をとる たいていのクラスメイトは訓練が終了し次第夕食を取るので 今の食堂にはクラスメイトの姿は少ない

 食事を終えた彼は寮の自室に戻る 玄関に掲げてある札を「開館中」にして
 開館時間は決まっていないが閉館は10時前後だそうだ
 自室に荷物一式を片づけてから ダイニングに戻りお茶を用意して宿題に取りかかる 別にまじめなわけではなく 嫌なことは早く終わらせようとしているだけだったりする
 部屋に広がるのは本の匂いとお茶の匂い そしてキーを打つ音
 しばらくすると 宿題を終えたのかキーを打つ音がとまり お茶を飲む音が聞こえる ちなみに今日のはほうじ茶である

 基本的に彼はあまり喋らない クラスメイトに心を許せる友人がいないこともその一因である もちろん何事にも例外がある 彼の場合は趣味である本や私設図書館・武器兵装のたぐい そしてネルフの対使徒戦略がそれに当たる また最近ファンフィクションを書き始めた彼だがその事は黙っているようだ
 

 宿題をしていたパソコンで学校での続きを読みながら 時折お茶をすすりながら 時間が静かに過ぎて行く
 

 ふと時計を見る 9時54分 を指していた
 ゆっくりとお茶を飲み 一服してから席を立ち玄関へ そして戸を開け掲げてある札を「開館中」から「今日はおしまい」に裏返す
 すぐに戸を閉めようとするが 寝付けないと思ったのか靴に履き替え 部屋を後にした

 ネルフ内のジオイドにある湖の畔を彼は歩いていた 寮からは比較的近く月に二・三度の彼の散歩コースになっていた
 湖畔にあるベンチが汚れていないか確認し腰を下ろす 湖の波の音を静かに聞きながらふと上を見上げた 彼の視界にはジオフロントの天井が広がる
「星空を 見たいな」
 つぶやくようにそう言って立ち上がり寮へと戻るのだった
 

 その夜 彼は夢を見た
 満天の空に銀をばらまいたようなまばゆい夜空の下 小さなお墓に線香を供えた少年は その前で静かにその碧眼を閉じた
 夜が明けるまで 少年はそこにいた
「さようなら」
 そう言って少年は小さな墓の前を立ち去った

 彼は夢の中思い出していた「ああ これはネルフに行く当日の事だったな」と
  

  


お後に
 彼 朝霧健夫のキャラクターは私が考えたのですが どうも氏は私自身を当てはめたようで 氏が私に対して持っているイメージがそのまま書かれる事になるんですねぇ
 もともとのイメージは喜怒哀楽を後天的な理由であまり外に出さないものかきな人でした で氏が私を当てはめる事になってから 修正が入ったわけです 今のところ 傍目には根暗であまり目立たず しかし変な点で美味しいところ?をもって行くキャラになっています まあ あながち間違いではないのだが・・・

 


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