あんなざぁけぇす             

      ゴジラVSエヴァンゲリオン

2 仰
 
 

 
第一発令所
 葛城さんと僕と青葉はねるふ丸からの資料に目を通していた
「不味いわね」
「そうですか 普通の缶コーヒーですよ」
「そうじゃないわ ゴジラは原潜の核を喰った後まっすぐこちらに向かってきているわ」
 葛城さんの前のディスプレイには正距方位図法で書かれた地図上にゴジラの進行方向が描かれていた その進行方向上にここが ネルフがあった
「でも その方がいいんじゃないですか 水中では迂闊に手が出せませんから」
「あたしが言っているのは書かされる始末書の数よ 前回の襲来時に何枚始末書を書いたことか・・・」
「その様子では 何か策がありそうね ミサト」
 葛城さんの背後から赤木博士がデータディスクを持って現れた あマヤちゃんも一緒だ
「はいミサト ゴジラの最新データ」
「サンキュー リツコ さあ始めるわよ 二人とも」
「「はい」」
 
夕刻 ネルフ内某休憩室
「渚ぁ シンジ見なかった?」
 惣流さん おっとアスカって呼ばないと怒られるな に声を掛けられ振り返る
「シンジ君なら 今 良治さんとフライトシミュレーターで訓練してるよ ・・・ところで綾波さんは? 一緒じゃないのかい?」
「レイなら赤木博士に会いに行ったけど そうだ あんたも行かない?赤来研究室」
「え 僕はいいよ」
 あ 惣流さん あいや アスカさん腕をつかんで引っ張らなくても
「あんたがコンタクトして裸眼視力を計らなかったのは知ってるんだから シンジから聞いたわよ」
「シンジくぅーーーーん それはないよぉーーーーーー」
 ああ 僕の情けない声が廊下に広がって行く・・・
 
赤木研究室
「博士 データをそちらに送りますね」
「いいわよ カホル」
 私はレイの今回の検査のデータを赤木博士に送った 私の後ろのカーテンの向こうでは 検査が終わったレイちゃんが服を着ている
「レイ 最近変わったことはない?」
「博士 人間って難しいですね」
 思わず絶句する赤木博士 私も返す言葉すら思いつかなかった 頭が真っ白に漂白されたような感じだったから 少ししてレイの言葉が続く
「愛する事って まだよく分からないんです」
 なぁーんだ そんなことだったのか あ博士も笑ってる
「レイちゃん安心して そう言うことは人間でも分からないものよ」
「そうねカホル 私もそろそろいい人見つけないとなぁ」
「そう言うものなんですか?」
「そう言うものなのよ レイちゃん それから博士 加持さんとはどうなんですか?」
「そうねぇ 加持君も悪くはないんだけど ミサトがうるさいからねぇ」
「そう言えば ミサトさんもまだ独身でしたね」
「そうなのよ いいわよねぇカホルはいい人が見つかって」
「はい」
 そう私が答えたところで 来訪者を告げるチャイムである猫の鳴き声が聞こえた
「カホル頼むわ」
「はい どなたですか あカヲル君」
「カヲル? ああ渚カヲルね 入ってもらっていいわよ」
「はい」
 私は戸を開けた アスカちゃんとカヲル君が入ってくる
「カヲルの視力検査してもらえますか? 彼コンタクトなんです」
 アスカの言葉に赤木博士は笑みを浮かべながら
「カホルからいろいろ聞いているわ でも何でコンタクトのこと言わなかったの?」
「いろいろですか でも検査の時は言わなかったじゃないですか」
「そうだったかしら?」
「はい 言っていただければこんな事には」
「それもそうね じゃコンタクトはずしてくれる」
 カヲル君がコンタクトだって言うのは知ってたけど 赤木博士が言い忘れるなんて何かあったのかなぁ
 ああ こうなってしまったか・・・ そんなことを考えながら僕はコンタクトを外し 赤木博士の方を向いた
「あら あなた・・・」
 あんまり気分いいものではないな
「どうしたの あ 目赤いんだ レイと一緒ね」
「え?」
「渚君 あなたも目が赤いの?」
 僕はコンタクトを外したまま綾波さんの方へ振り返った 彼女は今右目のコンタクトを外し 顔を上げた
「君もエヴァから?」
「そうよ」
 しばらく静寂が辺りを支配したように思えた
「渚君 あなたのコンタクトは度が入っていないの? そうなら特に検査することはないけれど」
 赤木博士の言葉に僕は少し考え
「せっかくですから 計っていきますよ」
「そう じゃあそこに立って 器具はカホルからもらって」
「はい」

第2ハンガー内
「どうだいシンジ君 少しは慣れたかい?」
 シミュレータから出てきた僕はそう良治さんに声を掛けられ コップに入った麦茶を渡され一口飲んだ
「ええ でもなかなか思ったようには操縦できませんけど」
「そうだな俺もあまりヘリの操縦は上手い方じゃないんだが」
「そうなんですか? あんなに上手く動けるのに」
「はははっ 本当の専門はハリアーだからね」
「ハリアーって あの垂直離着陸機の?」
「そうだよ 最もネルフ用に改造してはあるけど まあネルフが所有しているのはエヴァのような特殊兵器ばかりではないからね」
 それからしばらく僕と良治さんはシミュレーターのことも含めて話をしていたが 一段落付いたところでシミュレート中に思ったことを良治さんにうち明けてみることにした
「ところで その言いにくいこと何ですけと」
「なんだいシンジ君」
「SuperX2って武装が豊富ですよね」
「ああ バルカンから各種ミサイル果てはビームまで付いているしその他のエヴァのサポートもできるからな」
 ビームというのは通称でエヴァ用に開発したポジトロンライフルを流用した物だ
「その もう一人サポートする人が欲しいんですが」
「シンジ君もそう思うかい?」
「え 良治さんもそう思っていたんですか?」
「伊達に名パイロットとは呼ばれてないぜ」
「えっ そうだったんですか」
 一瞬の沈黙
「後で葛城一尉にでも聞いてみるといいよ 嘘じゃないから 名パイロットって言うのは」
「はあ」
「じゃあ今日はここまでにしよう」
「はい ありがとうございました」
「じゃあ俺は葛城一尉にさっきの件報告しておくから」
「お疲れさまでした」
 僕は離れて行く良治さんに手を振って 一度時計を見る7時ちょっと前 いつもみんなで集まる場所 食堂へと 急いだ

食堂
 あれ? みんなまだ来ていないのかな 父さんしかいないし
「シンジ 今日は一人なのか?」
「あ 父さん・・・ でいいんだよね」
「ああ もう今日の仕事は終わったからな」
「みんなは?」
「いや まだだが ・・・ シンジ 何か飲むか?」
「うーん でももうすぐ来ると思うんだ」
「そうか では待つとしよう」
 僕は父さんの側から食堂の入り口へ歩く 父さんは結構変な人だと僕は思う でも母さんは「かわいい人」なんて言って惚気てるけど・・・ いい年して・・・ はあ・・・
「やあ 待たせたねシンジ君 でも僕がコンタクトなのは秘密だって言ったのに」
「ごめん でも・・・」
「まあシンジ君がそんなに落ち込む必要はないよ だから気にしなくて良いよ シンジ君」
 渚君に続いてみんなが通路の角から僕の方に歩いてくる
「さあシンジ おじさまを呼んできて」
「分かった」
 
駐車場入り口
 私は一つ気になることを訪ねてみた 些細なことなのだが
「シンジ」
「何?父さん」
「全員乗せるのか?」
 私が運転するとしてシンジ・レイ・アスカ君に渚カヲル 4人か 後ろの三人は・・・
「え? あ何とかなるよ」
「そうか(シンジは後ろに座るのだろうな あの二人の間で ユイが見たら喜ぶな 色々な意味で・・・)」
 その通りになった
 車は助手席にカヲルをのせ後部座席にシンジを挟み込むようにしてレイとアスカ君がシンジを静かに奪い合っているように見える
「司令」
 私は渚君の方を一瞥し
「渚君 ここはネルフではない 役職で呼ぶのはやめなさい」
「分かりました ・・・ ゲンドウさん でよろしいですか?」
「かまわんよ」
 しかし 渚君はいつもこのような笑みを浮かべているな なにか世の全てに対して嘲るようにも見える しかしあのデータを見る限りでは これが彼の処世術だったのかもしれんな いや そうだった事にしなくてはな
「ゲンドウさん 今日は私の保護者が二人とも夜勤なんです」
「そうか では夕飯を食べに来るといいユイが喜ぶ シンジ電話を入れておけ渚君が家に夕飯を食べに来る」
「あ うん 分かったよ父さん」
 シンジも最近は私に理解を示してくれてうれしい 中学の時は まるで目の敵だったからな・・・ 土下座したかいがあったというものだ あまり思い出したくはないが・・・

翌日 高校にて
「ねえ シンジそろそろ期末試験だけど 大丈夫なの?」
「あ そうだったんだ ここの所あっちの方にばかり気を取られていたから でも一応ノートは取っているし何とかなると思うよ」
「分かったわ テストのことで聞きたいことがあったら 遠慮なく聞いてね もちろんレイも頼りになることも忘れないで」
「うん ありがとうアスカ」
「お礼は テストでいい点を取ってからにしなさい」
「分かったよ」
 シンジ君 君は幸せだね 思ってくれる人がいるそれは幸せなことだから 僕はカホルさんが 良治さんが本当に親切にしてくれる 僕も幸せなんだろうな・・・ そして仲間もいる から
「渚ぁー」
「なんだい 相田君」
「いや 渚はどこか部活に入らないのか?」
「そうだね まだ考えてないんだ」
「そうかぁ」
「すまないね」
「いや 気にしなくていいよ」
 学校が終わってすぐに僕ら5人 僕にトウジ・レイ・アスカ・渚君はネルフに向かう
 ゴジラが日本に近づいているからだ 第二警戒態勢とか言うらしいけど とにかくそうなった場合予備役のトウジまでがネルフでシンクロテスト受ける
 赤木博士が言うには「エヴァは二号機しかないけど パイロットは複数欲しいわね」との事だ
 僕らはジオフロント行きの電車に乗った 昨晩はあまり眠れなかったせいか すごく眠い

 あれ? ああ僕は夢を見ているのか
 目の前に懐かしい記憶がよみがえる そう中学の頃のレイとアスカだ
 たしか二人と知り合ったのは中学二年の時だ 僕は母さんに頼まれて父さんにお弁当を持って行ったときに 手違いでそのままシンクロテストを受けてしまって・・・ その後で父さんに頼まれて いや せがまれて エヴァのパイロットになったんだ その時綾波に初めて会ったんだ
 それから数ヶ月してアスカに会ったんだ 今思い出しても恥ずかしいだけだけど・・・
 綾波はエヴァ零号機の製造過程時の事故で生まれた人だった ショックだった 綾波の出生の秘密も 父さんが母さんの遺伝子を使ってエヴァを造った事にも
 僕はその時初めて父さんを殴った 同時に父さんがひどく弱く見えた
 その数日後 綾波はアスカの家に住むことが決まったんだ そう言えば父さんが母さんに離婚届を突きつけられて ひどく狼狽していたのもこのころだったな
 アスカは制式タイプのエヴァ二号機のパイロットだ 最も今の二号機は適格者なら誰でも乗れるように改装し てある
 そして僕らは同じ高校に受験し合格したんだ
 僕の夢はジオフロントの駅に着くときの揺れに醒まされた
「ふふっ」
 懐かしいな

ネルフの作戦司令室の近くにあるチルドレン専用のオフィス
 と言ってもデスクなんかの備品以外は僕らの私物がおいてある部屋なんだけど 僕は予備としておいてあるチェロがあることを確認して 宿題に取りかかった 僕らはそれぞれの事の合間にとりとめのない話をしながら ミサトさんが来るのを待つ トウジはパンを食べながら 渚君は話を聞いているようだ アスカとレイは女性誌を広げている 今年の流行の水着について話しているみたい
「みんな元気ぃーー」
 そんないつもの挨拶をして ミサトさんが入ってきた
「昨日 シンジ君に指摘されたんだけど SuperX2の副操縦士をこの中から選ぶわ アスカは二号機の方がいい?」
「あったりまえよミサト」
「じゃあ っと渚君は今回の選定から除外するわね まだ十分なデータがそろっていないから」
「分かりました」
「トウジ君は どうする」
 トウジの視線がレイを一瞥し
「わいは 二号機の予備パイロットで 綾波よりは格闘に自身がありますから」
「そう じゃレイお願いね」
 そう言ってミサトさんはレイにSuperX2のデータを渡す
「はい」
「じゃあ今日から模擬訓練してみようかぁ」
「「「「ええーーーーっ」」」」
「大丈夫よシミュレーターでするんだから SuperX2のほうは着替えなくてもいいわよ」
 子供達のため息が聞こえるのであった
 エヴァのケージとSuperX2のある第二ハンガーの間にシミュレーター室が設けられていた まるで引率の先生のようにチルドレンを連れてくる
「まってたわよ でミサト シンジ君のサポートは誰?」
「レイよ」
「分かったわ アスカとトウジ君はそっちのエヴァのシミュレーター レイとシンジ君はこっちのSuperX2のシミュレーターよ 渚君は少し待ってて」
 てきぱきとした赤木博士の言葉にそれぞれが自分のやるべき事を始めた
「赤木博士 僕はどうするんですか?」
「いらっしゃい あなたにしか出来ないことがあるわ」
 二人はエヴァのシミュレーターと向かい合うように設置されているシミュレーターに
「どうするんですか?」
「ゴジラと戦った経験を見込んであなたにゴジラを演じて欲しいのよ」
「しかし・・・」
「大丈夫よあなたの入力が処理されてコンピューターに蓄積されるだけだから」
「分かりました やってみます」
「お願いね」
 カヲルがシミュレーターの中に入った

数時間後ネルフ内休憩室
 カホルは休憩室に設けられてる自動販売機に小銭を入れた
「何にしようかな?」
「カホル」
「あ 良治さん なににします?」
「そうだなぁ」
と 良治か考える間もなく さっきカホルが入れた小銭が返却される
「「あ」」
「戻って来ちゃいましたね」
「カホル 俺麦茶でいいよ」
「はい」
 もう一度小銭を入れ直すカホル 今度は迷わず某社の麦茶のボタンを押す もう一度
 二人はそれぞれにプルタブを開け
「ねえ良治さん カヲル君のことなんですけど」
「カヲル君がどうかしたのか?」
「いえ もし カヲル君さえ良ければ 養子にもらえないかなぁーって」
「そうだね カヲル君が良ければそうしたらいいと思うよ」
 カヲルによかれと思って そう答える良治だが 次のカホルの一言に・・・
「だって その あたし達まだ子供いませんし・・・」
「カ カホルさん 今からそれじゃぁー困るよぉー」
 ちなみにこの二人は新婚2ヶ月目であり 両者共にいたって健康であり 性的不能などないことを告げておく
「はぁ・・・ ところで良治さん 今日は一緒に帰宅できます? あたしはもう上がりなんですが」
「ああ 今日はシンジ君達にもう少し訓練してから 帰るつもりだけど」
「一緒に行ってもいいですか?」
「いいよ でも赤木博士がいるけど・・・」
「大丈夫ですよ」

 良治さんが来るまで僕と綾波はシミュレーターを出てSuperX2のマニュアルを再度確認していた
「やあシンジ君に綾波さん」
 何となく聞いたことのある声に僕は首を回した
「あ時田さん」
「SuperX2に対して何か要望があればと思ってきたんだが 何かないかい?」
「そうですね・・・ ファイアミラーが没になった理由を聞かせていただけませんか?」
 僕の質問に いつも通りの調子で答える時田さん
「ああ その話かそれは MAGIによるシミュレーションの結果が思わしくなかったんだよ バウの部分をほとんど使ってしまう割にはあまり強力ではないからね 通常兵器に切り替えたんだ」
「そうなんですか」
「だが それはエヴァの対G装備に回ったよ」
 時田の説明が終わるのを待っていたかのように綾波が
「質問 いいですか?」
「いいですよ」
「内蔵ケーブルの長さ もっと長くなりませんか?」
「すまない それ以上長くなると強度に問題が発生してしまうんだ だからこれ以上長くするなら新しい素材を一から作らなければならくなるんだ」
「そう ありがとう」
 さすがに時田さんも綾波のペースは苦手なようだ
「時田さん 何かまた気が付いたことがあれば お教えしますから」
「ん ああ 頼むよ シンジ君 じゃあ ・・・ おっと忘れてたSuperX2の愛称が決まったよ」
「なんて言うんですか?」
「いや それが・・・ 当選したのが赤木博士なんだ」
「あ・・・ 猫関連ですか」
「ああ 今ペイントしている」
 涙ながらに語る時田氏
 ちなみにそのペイントの様子を司令室で見ていた二人のコメント
「わたしの万能輸送艦が・・・」
「諦めることだな 碇 それにあれはシンジ君の物だ」
 違うぞ冬月
 
その日の帰り
「結局ミーアだった訳ね」
「そうなんだ でもSuperX2ミーアって ちょっと・・・」
「そう? 私はいいと思う」
「違うんだ綾波 あの赤木博士だから兵装もそう言うふうになりそうで・・・」
「・・・ 確かにそれは嫌ね」
 アスカの言葉に頷くレイ 隣で運転している父さんも頷いていた
 ちなみにカヲル君は山猫夫妻の車に乗っている

ねるふ丸ブリッジ
 現在ねるふ丸はミッドウェー環礁南約60キロの海域付近を航行していた
 ゴジラはその後方約14キロの位置を東京へと蛇行しながらほぼまっすぐに進んでいる
「船長 アメリカ海軍より通信が入りました」
「で なんと言ってきた」
「ご忠告感謝する 以上です」
「MAGI Dash うちの賢者はなんと言っている?」
「静観するべき と」
「分かった 本部に詳しく打電しておけ」
「了解」
「馬鹿が本気でゴジラに勝つつもりか?」


翌日チルドレンのオフィスにて

「そう言えば なんでエヴァは2号機しかないんだい シンジ君」
 カヲルがそんなことを言ったからか 私は頭を上げ宿題をする手を止めた
「渚は知らんかったんやな?」
「お金がないのよ」
「そうなのかい? 惣っと アスカ」
 私はカヲルに説明を始める いつもの癖で立ち上がり
「(そうねどうせだからネルフの歴史も話しておきますかぁ)・・・まず ネルフの母胎になったのは人工進化研究所と自衛隊対超生物作戦室なの これが前々回のゴジラ出現の後すぐに共同研究を始めたの まぁ私たちが生まれる前ね」
「アスカ そんなに詳しく説明しなくても」
 シンジったら 私の心遣いが分からないなんて はぁ しょうがない説明してやるか馬鹿シンジに・・・
「ふふーん 馬鹿シンジ これはサービスなのよ 話のついでに渚にネルフの歴史を知ってもらうためのね」
「では アスカ先生続きをお願いします」
 カヲル君ノリがいいわね そうこなくっちゃ
「うむ よろしい渚君 では続きを話すとしよう
 共同研究を始めて数年して対超生物用の兵器の開発に取りかかったの でもそこで問題が発生したの 自衛隊とは事実上別組織だから その手の施設が使えなかったのよ
 そこで現在あたし達がいるジオフロントの開発に乗り出したの 東京の大深度に空洞があることはかなり前から分かっていたらしいわね で民間企業を一つ設立してジオフロントに対超生物用の研究実験施設を建設し始めたわけ
 ちなみに位置的には丁度皇居の真下600Mぐらいからジオフロントは広がってるわ それから600Mの岩盤に加えてさらに二十余層に及ぶ特殊装甲の防御力は水爆の直撃をも防ぎきるわ・・・ さて昔の話はこのくらいにするけど何か質問はない?」
「続きを」
「OKカヲル E計画 まあエヴァを作るその計画は 現所長碇ゲンドウが 所長に就任したことにより始まるわ その時は国家から予算が十分に回ってきていたからエヴァを3体も製造できたの
 まず始めに開発計画第一号のEVA00通称エヴァ零号機 エヴァとして動作しかつ最低限度の戦闘能力を持つ機体でレイの愛機がロールアウト・・・ ん?この言い方は間違いね そうね 生まれたのよ
 次に生まれたのがEVA01通称エヴァ初号機 シンジの愛機ね それは零号機をふまえた上での様々な改良や試用がなされた機体 言ってみればテストヘッドって奴ね
 そして最後に生まれたのが私の愛機EVA02通称弐号機 零号機初号機にて得られた数々のデータを有効に利用した制式ヴァージョンの機体なの
 でエヴァが3機まで作られたんだけど 碇所長の先見の明ってヤツで予算が削られることを見越して零号機と初号機を解体し処分したの 処分と言ってもコアを始めとする制作にお金がかかる部分はどちらとも残っているはずよ さらにそれでも予算が足りなくなることを事を見越した所長は 新たな収入源のためにエヴァによって得たテクノロジーを持って民間会社をいくつか設立しネルフグループと呼ばれる一大グループを築き上げたの ちなみにネルフグループの建物の内いくつかはここに来るための設備を備えてるわ
 まあ そんな事もあって残ったエヴァ弐号機が改良を受けることになったの 実際には根本的な改装が行われたわ で現在では私たちチルドレン全員が搭乗可能な機体に仕上がっているわけ
 国の組織でもあるにもかかわらず予算的には完全に独立した組織になっているのよ まあゴジラが出現したら国から補助金でも出るでしょうけど
 それから 組織的には私たちの所属するネルフはネルフグループ内の一組織であってグループ企業に資金援助を受けている形式なの 国の組織としては自衛隊外部の自衛隊特殊戦略作戦室となっているわ法律上の地位は自衛隊と同等よ 以上で説明を終わるわ」
 私が言い終え席に着くと いつの間にか部屋に入ってきていたミサトが手をたたいている
「さすがアスカね でも初号機のコアはSuperX2に搭載されているのよ」
 ミサトの言葉の後 シンジか顔を青くしているのが目に入った シンクロ率等では相性がいいのだが それ以外ではあまり相性が良くないからなぁ シンジと初号機 暴走はするし取り込まれるし・・・ かわいそうなシンジ・・・
「あらぁ シンちゃん大丈夫?」
「ミサトぉ」
「はは ごめんごめん 今日は昨日の続きだからねぇ」
 そう言ってミサトは行ってしまった
 
司令室
 二人はアスカの講釈を聞いていたわけで・・・
「六分儀君はこんなやくざな組織のトップより 社長の方が向いているのではないのか?」
「冬月先生こそ そろそろ引退されてはいかがですか?」
「ふっ 六分儀君も言うようになったな」
「冬月先生こそ」
 二人は目も合わせずにそう言った 部屋の空気が意地という名のフィールドよって震えるようだ
「司令 加持様が到着なされました」
「分かった 通せ」
「はい ただ今」
 すぐに扉が開き 無精ひげの男が部屋に入ってくる 男のうしろで扉が閉まる
「で どうだったね?」
 冬月は加持と呼ばれた男に尋ねた
「ええ 例の会社ですがやはり副司令の仰ったとおりでした」
「ではあったのだな?」
「はい メカゴジラです」
 言いながら加持は数枚の写真を撮りだした そこには某三○重工のハンガー内にそびえる白銀に輝くメカゴジラの姿があった
「詳細はこちらに」
「うむ ご苦労」
「いえいえ で次は何を」
「今しばらくは何もない 休暇でも取りたまえ」
「では失礼します」
 まるで道化師のような礼をし 加持は部屋を出て行った
 彼の提出したデータにはメカゴジラは 純粋にゴジラを倒すための兵器であり ゴジラが歩く水爆だと言うことが認識されていないこと さらにネルフの技術がかなり使用されていること そしてダミーシステムにより動くことが書かれていた
「碇 少しまずくないか?」
「ああ 我がグループの登録商標だな ならば細工もしやすいというものだ」
「ダミーシステムか」
 冬月はそうつぶやいた 人間の暗黒面を強く意識しながら・・・ 現在でこそダミーシステムを利用したロボットなどが一般に出回っているが 開発当初のダミーシステムは酷いものだったからだ・・・
 
シミュレータールーム
 プラグスーツを着たアスカとトウジは二つ並んだシミュレート用プラグ内で仮想のゴジラと戦っていた その様子をモニタしている赤木リツコと渚カヲル
「赤木博士」
「なに?」
「ゴジラはなぜ 何の理由で東京にやってくると思いますか?」
「そうね 前回も前々回も理由は不明ね そして今回も」
 カヲルは周りに誰もいないことを確認して
「ゼーレではゴジラの襲撃を受け EVA関連の施設は完全に破壊されました そしてヤツはEVAを赤子のようにたやすく破壊したのです 製造中や調整中のものも含めて全て」
「カヲル・・・」
「ゴジラに対して ATフィールドはほぼ効果がありません 遠距離でかろうじてヤツのブレスを受け流す程度にしか」
「カヲル君 ならこのデータを見てもらえる?」
 リツコはEVAと以前のゴジラと最新のゴジラの三つの生体パターンのデータを出した
「ゼーレには超生物を兵器として使用する計画がありました しかしこれではまるで」
「そう そう言うことなのね」
 
小一時間後 第一発令所
「みんな集まったわね」
 私はこの場に召集した人物を確認しながら言った
「赤木君 始めたまえ」
 司令の声に目の前のリツコはマヤに指示を出した
「ここに作戦時の主要メンバーに集まって貰ったのは ゴジラに対するレクチャーを行う為よ 今回のゴジラは今までのものとは違うのがその理由です
 まず今回のゴジラは ゼーレにより何らかの実験を受けていた可能性が非常に強いこと
 次にEVAの弱点を知っていること ATフィールドを無効化すること
 あと これは未確認だけど ゴジラに何かが寄生している可能性があるわ」
 リツコの言葉の後には 沈黙だけが在った 彼女は一呼吸置いて 細かく説明を始めるのだった
 彼女の説明をかいつまんで言えばこうだ
 カヲルのもたらした情報とゴジラの表皮に人工物らしき金属反応が検出され それがゴジラに何らかの影響を与えておりその人工物の製造にゼーレが絡んでいること
 カヲルのもたらした情報によるとゴジラはATフィールドを展開したゼーレエヴァとまともに格闘戦をした事
 そしてコアが弱点であることを知っていること
 最後にゴジラの生体パターンにぶれが見えることだった
 その内容はカヲルに確認と許可を取りながらすすめられた チルドレン達はゴジラの変貌とカヲルの過去に ただ驚くばかりであった

翌朝
 一つの報がネルフにもたらされた「アメリカ第七艦隊 壊滅」の報が寄せられたのである ねるふ丸からの情報によれば出撃艦艇の内6割が沈没または自沈 2割が大破及び航行不能 航空母艦を含む残り2割は戦域外におり無傷であった また攻撃型原潜も作戦に参加しており3隻が沈没したとの事であった
 これらの報は休日出勤するゲンドウの目にも朝刊のトップとして届いた
 
碇家
「おろかな」
 ゲンドウはそう言って新聞を起き朝食を取り始めた
「あなた」
 彼は食事の手を止め
「どうした?ユイ」
「今日も遅くなるんですか?」
「ああ そのはずだ」
「事が終わったらどこかへ旅行に行きたいんですけど・・・ ゴールデンウィークにもどこにも行きませんでしたし」
「っ ユイ!」
 今はそんな余裕はないと心に思いながら振り返り 思わず妻の ユイの目を見る 長年のパートナーである彼女の目を見て それまでの硬直した表情から心なしか穏和な表情になった彼は その良き理解者の目を見たまま
「そうだな そうしよう」
「はい」
 見る者その全てを魅了するような笑顔で彼女はそう答えた その笑顔に安堵と同時に感謝しゲンドウは再び朝食に向かうのだった
 それから 少しして玄関のホーンが鳴る 碇家の朝の風物詩の始まりだった

ネルフ内ミサトのオフィス

 彼女はねるふ丸のもたらした情報に目を通していた その中の原潜を攻撃するも放射能を吸収したのは一隻のみと言う報が彼女の頭にメモリーされる そのまま残りの全ての情報を確認し ふと時計を見るとお昼前を指していた
「ちょーち早いけど腹ごしらえと行きますか」
 そう言って 一度鏡でチェックしてから部屋を出て行った
 
第一発令所付近の通路
「あらミサト 今日はシミュレーションには顔を出さなかったわね」
「へっ? リツコ今日何曜日?」
「今日は土曜日 シンジ君達の学校は今日は休みよ」
 あっちゃー とでも言わんばかりの顔になるミサト しかしすぐに
「シンちゃん達は?」
「今は着替え中だと思うけど」
「サンキューリツコ」
 そう言ってミサトは走っていってしまった
「せっかくゴジラの最新情報持ってきたのに まあ日向君辺りに渡しておけば良いわね」
 自己完結し 発令所に向かうリツコであった
 
ねるふ丸ブリッジ
「ゴジラの位置は」
「本船後方約22キロ」
「東京までこのままの速度では後4日と言うところか・・・」
 
 
 

おまけ「もしも報告書が・・・」 副題 マイクロソフトと呼ばないでっ!
昼近く ネルフの司令室
「碇 この話は4話構成ではなかったのか?」
「ああ ここに報告書がある」 ペラペラ 「4話構成だが どうした冬月」
「この報告書では第5話目が検討されているぞ」
「新しい報告書か?」
「第3期報告書だが?」
「こちらもだ」
「ん? なんだこの細かい文字は」 ちょっと離して見つめる冬月 「β3? 何のことだ?」
「こっちのは β2 と書いてあるな」
『司令 加持様がお着きになりました』
「通せ」
「ただ今到着しました 作者より第3期報告書リリース版をもらってきました って どうされたんですか?」
「冬月 後を頼む」
「分かった(しかし どこへ行こうというのだ?)」 

数分後 碇家リビング
「あら キャッチ入ったみたい ちょっと変わるわね
 もしもし ・・・
 良かったじゃないのあなた ・・・
 あっ そうそう私の出番も増やしてもらって下さいね ・・・
 そう そう言えばシンジが言ってたんですけど 赤木博士があなたのこと見る目つきが違うって ・・・
 (小悪魔のようにくすくすと笑うユイ)わたしはぁ あなたの事信じてますけどぉ でもぉ ・・・
 じゃ お願いね
 (再びもとの話し相手に切り替えるユイ)もしもし リツコさん ・・・ さっきの?間違い電話だったのよ」・・・
ほぼ同時刻 某阪神地区神○市東○区森○町二丁目○-24-507(仮)
「へぇっ くしょおん・・・ 風邪かなぁ 今日は早く寝るか っと その前に報告書のサービスパックを加持さんに送っとかないと」ピコパコ


もどる

ここから下はHolyBeast掲載当時のモノを残してあります

中昭のコメント(感想として・・・)

  しまぷ(う)さまからの投稿作品です。

  >まず今回のゴジラは ゼーレにより何らかの実験を受けていた可能性が非常に強いこと
  >次にEVAの弱点を知っていること ATフィールドを無効化すること
  うみゅみゅみゅ。
  まさに鬼に金棒状態。
  ATフィールドを無効化・・・ゴジラもATフィールドが張れるんかな。

  メカゴジラまで登場して先行きが非常に楽しみ。

きゃらこめ
天然少女  「がおーがおー」
美少女M  「ユイカ・・・なんのつもり?」
天然少女  「ゴジラなの」
美少女M  「この話のゴジラって悪役じゃないの?」
天然少女  「目的不明なんだもん。きっと正義の味方なんだよぉ」
美少女M  「じゃ誰が悪党なのよ」
天然少女  「んと・・・・ネルフ」
    ぽかぽか
天然少女  「・・・・痛いの」
美少女M  「なんであたしまで」
ミセスA  「愛の鞭よ。親を悪党の手先呼ばわりする娘には当然のお仕置きだわ」
天然少女  「がぉーがぉー」
美少女M  「よっしあたしはメカゴジラね」
ミセスA  「ふふん。小娘ども、アタシに逆らうのは500万年早いわ。
       返り討ちにしてくれる!」

永遠の少年S「・・・・・・まるで悪役の台詞だね」
ミセスR  「はまり役」

ミセスA  「シンジもレイも手伝いなさい」
美少女M  「パパ、レイママ。悪党の誘いに乗っちゃダメだからね」

永遠の少年S「・・・・・・レイ」
ミセスR  「ん」
永遠の少年S「僕たちもやろっか」
ミセスR  「こくん」

ミセスA  「きゃー」
美少女M  「パパ!後ろから攻撃なんて卑怯よ」
ミセスA  「ミライ同盟してぶったおすわよ」

少年S   「・・・」
少年Sjr 「・・・家が壊れそうだね」
少年S   「・・・ジュニアはゴジラを止めて。俺はメカゴジラを止めるから」
少年Sjr 「ネルフとSuperX2ミーアはどうするんだい」
少年S   「・・・・・ゴジラに加勢した方がいいかな」
少年Sjr 「残っている役は、アメリカ第七艦隊かぁ」
少年S   「・・・壊滅するかな」
 
 
 

  みなさんも、是非しまぷ(う)さんに感想を書いて下さい。
  メールアドレスをお持ちでない方は、掲示板に書いて下さい。