HOME > DISCOGRAPHY > AXIS : BOLD AS LOVE
2005.11.9改訂

AXIS : BOLD AS LOVE

アルバム一覧のページへ[60's]

MCA MVCE-24028 [1997]
MCA UICY-9008 [2000] (Paper Sleeve)
MCA UICY-2451 [2003]
MCA UICY-90047 [2005]
MCA UICY-95033 [2005] (packaged in an LP sleeve)

Original Release : Dec 1967 (UK) / Jan 1968 (USA) / July 1968 (JAPAN)
Producer : Chas Chandler
Engineer : Eddie Kramer
(Remaster: Eddie Kramer / George Marino)

発売時の状況

1966年12月、英国でシングル "Hey Joe / Stone Free" でデビューし、年が明けてからは、イギリスやヨーロッパでのツアーやテレビ出演をこなし、5月にはデビュー・アルバム ARE YOU EXPERIENCED が発売されたりと、エクスペリエンスは世の中に衝撃を与えていました。
そして、翌6月にはモンタレー・ポップ・フェスティヴァルでアメリカ凱旋ライヴを行なっています。

レコーディングは1967年5月と10月に全てロンドンのオリンピック・スタジオで行われています。

苦労して完成されたミックス・ダウン済みのテープ(A面1.〜7.)が、リリース前にジミの不注意のために行方不明になってしまい、あわてて再ミックスされたものが、アルバムで発表されているもの、ということになっています。幻のオリジナル・ミックスを聞いてみたいところ。

全体の印象

ジャケットにイメージされるようなサイケデリック色はそれほど強くなく、前作に比べると力が抜けた感じがして、全体にリラックスした曲が多くなっています。
ライヴでの歪んだ音とは対照的な、クリーンなギター・サウンドを全面に聞くことができます。

このアルバムはスタジオ・レコーディングとして割り切って制作されたような感があり、ここに収録されている曲は、ステージでほとんど演奏されていません。

見ただけでクラクラする、印象的なジャケットですが、これはアート・ディレクターのデヴィッド・キングがロンドンのインド・ショップで手に入れた宗教絵に、写真家のロジャー・ロウとディヴィッド・キングがメンバーの絵を書き加えることによって作られたそうです。

その他

このセカンド・アルバムに関しては、他のオリジナル・アルバムとは違い、リリースされた国によっての内容・曲順違いは無いようです。しかし、1991年以降に発売されたものと、それ以前のものでは、ミックスが異なっていて、ヴォーカルやギターの定位などが微妙に違っています。
ここらあたりについて、さらに詳しいことを知りたい方は、「GOLD WAX」誌(No.55 1999 Feb. / Mar.) で曲ごとに詳しい解説がされていましたので、興味のある方はどうぞ。

初回CDのジャケット(ブックレット)はLPと同じように、縦に開くようになっていて、縦につながった絵柄全体を見ることができましたが、現在発売中CDは横に開くようになっていて、せっかくの絵柄が切断されています。
現在発売中のCDから、邦題の曲名が全部カタカナ読みになっています。


1.EXP
曲というより、サウンド・コラージュです。しょっぱなに "Stone Free" のイントロがちょろっと出てきたかと思うと、いきなり「グッド・イーヴニング、レディース・エン・ジェントゥルメン…」というしゃべりが入ってきます。声のトーンが異様に高くて気持ち悪いですが、これは、ドラムのミッチ・ミッチェルがしゃべっているらしいです。
そして、「ポール・カルーソ」という名前で紹介されたジミが、ノイジーなフィードバック・ギターとともに登場します。
「ポール・カルーソ」とは、ジミのグリニッジ・ヴィレッジ(ニュー・ヨーク)時代の友人で、アルバム THE CRY OF LOVE 収録の "My Friend" にハーモニカで参加しています。

2.Up From The Skies
ミッチのブラシを使ったドラミングが珍しい。ワウ・ワウを使ったジャジーなリズム・ギターやソロ、力の抜けたヴォーカルなど、アルバム中でも異色な曲。ワウを使った曲がアルバム中これだけだというのも、意外です。リマスター盤では、ベースの音がよりはっきり聞こえるようになりました。

3.Spanish Castle Magic
このアルバムの中では最もハードな曲。ジミの生まれ故郷のシアトルにある「スパニッシュ・キャッスル・クラブ」のことを歌っているそうです。後半あたり、よく聞くとピアノの音が聞こえますが、これはジミが弾いているらしい。ノエル・レディングはハグストロームの8弦ベースを弾いているということなのですが、よく分かりません。
ステージではミッチ・ミッチェルのドラム・ソロが披露される曲でした。

= LIVE AND UNRELEASED / LIFELINES

4.Wait Until Tomorrow
バッキング・ギターでのストラトキャスターのハーフ・トーンが実にいい音をしています。ステージではフィードバックやアーミング・バーでギンギンにプレイしていても、こういうソウルフルなバッキング・ギターもしっかりできるところなんか、見逃せません。それも、歌いながらという…。
二人で駆け落ちしようとするけど、恋人に「明日まで待ってちょうだい」と言われ、最後は親父に撃たれてしまうという、ちょっと悲しいストーリー。

= THE ULTIMATE EXPERIENCE

5.Ain't No Telling
タイトルは「(今度いつお前に会えるか)誰にもわからない」という意味ですが、邦題はなぜか「みんな、おしゃべり」となっていました。ノエル、ミッチとのヴォーカルの掛け合いを聞くことができます。このアルバムでは一番短くて、2分にも満たない曲で、あっと言う間に曲が終わり、次の曲に移ります。

6.Little Wing
この曲、もう何回聞いたか分からないけど、イントロの”チャッ、チャーン”だけで、もうドキドキします。曲が2分半と短いので、あっという間に終わりますが、この短さが良いのかも。グロッケン(キーン・コーンという音)はジミがたたいています。
エリック・クラプトン(デレク・アンド・ザ・ドミノス)、スティングもカヴァーして歌っていました。

= LIVE AND UNRELEASED / LIFELINES / THE ULTIMATE EXPERIENCE / EXPERIENCE HENDRIX / VOODOO CHILD

7.If 6 Was 9
タイトルの意味は「6が9になったとしても、俺は自分の生き方で行くのだ」という今の自分の気持ちを歌っています。
「死ぬときが来たら死ぬだけだから、自分の好きなやり方で生きて行かせてくれ」
まさにジミはその通りにしてきたように思います。
曲途中のジミのしゃべりのところで急に声が大きくなって、ヘッドフォンで聞いている時などドキッとさせられます。そして、フルートの音と走り去るような足音でエンディングです。
映画「イージー・ライダー」の挿入歌としても使われていました。

= EXPERIENCE HENDRIX

8.You Got Me Floatin'
ノエル・レティングが8弦ベースを弾いています。ベース・ソロや逆回しの音が入っていて、このアルバムの中では唯一サイケデリックな感じがする曲。バッキング・コーラスにはザ・ムーヴのロイ・ウッドが参加しています。

9.Castles Made Of Sand
イントロのコードを分解して弾くギターが素晴らしい。そして、ストラトのヴォリュームを絞った時に出る少し歪んだ感じのサウンドが最高。ジミの早口ヴォーカルがラップ風で面白い。
歌詞の内容は物語風で、三つのストーリーが歌われています。失恋した男や、殺されたインディアン、自殺をしようとした少女等の話を挙げて、運命のはかなさを伝えています。
僕は隠れた名曲だと思っています。

= KISS THE SKY / THE ULTIMATE EXPERIENCE / EXPERIENCE HENDRIX

10.She's So Fine
アルバム中、この曲だけがノエル・レディングの作詞・曲で、リード・ヴォーカルもとっています。イントロはドラムからスタートし、次にベース、そして最後にギターという順に入ってきます。ファルセットで歌われるコーラスやサビの部分が、いかにも当時のブリティッシュ・サイケという雰囲気で、少し古くささも感じます。でも、曲はポップでいい感じです。

11.One Rainy Wish
ジミのヴォーカルがいい味を出していて、"Gold And Rose"("Golden Rose"とも聞こえる)のリフレインが頭に残ります。「金と薔薇、僕が想っていた夢の色だった」と歌っていますが、夢を見たことからこの曲ができたのでしょうか。ギター・ソロではオクタヴィアの音がしています。

→(Alternate mix) LIVE AND UNRELEASED / LIFELINES

12.Little Miss Lover
イントロのドラム・フレーズがレッド・ツェッペリンの「移民の歌」を思い出させます。ここのギター・ソロでもオクタヴィアを使っています。ヘヴィなリズム隊とフェイザーをかけたようなヴォーカルが全体の雰囲気を決めています。

13.Bold As Love
アルバムのタイトル曲。この曲のバッキング・ギターがまた素晴らしい。ジミの早口ヴォーカルのかすれる所がセクシー。後半、曲調が変わってからの「シュワーッ」という、ジェット・マシーン効果が今でも新鮮。モノラル・ミックスで聞いても、ちゃんと音が飛び回っているのがスゴイです。

= LIVE AND UNRELEASED / LIFELINES / EXPERIENCE HENDRIX


曲別チェック表
   Black度 サイケ度 ライヴ頻度
1.EXP ★★★★★
2.Up From The Skies ★★★★★★★
3.Spanish Castle Magic ★★★★★★★★★★★
4.Wait Until Tomorrow ★★★★★★
5.Ain't No Telling ★★★★★★-
6.Little Wing ★★★★★★★★★
7.If 6 Was 9 ★★★★★★★★★-
8.You Got Me Floatin' ★★★★★★★★-
9.Castles Made Of Sand ★★★★★★★-
10.She's So Fine ★★★★★★-
11.One Rainy Wish ★★★★★★★-
12.Little Miss Lover ★★★★★★★★
13.Bold As Love ★★★★★★★-

ライヴ頻度の「−」印は一度も演奏されなかったという意味です。


ジャケット違い

  1.初回日本盤LP

クリックすると拡大画像表示になります JAPAN
SLPM-1398 1968

日本では1968年7月に発売され、最初は独自のジャケットで出ていました。その後の再発盤(MP-2193→MPA-7005)からオリジナルと同じジャケットになっているようです。(資料提供:マッキー様)

Side A Side B
  1. EXP(放送局EXP)
  2. Up From The Skies(空より高く)
  3. Spanish Castle Magic(スパニッシュ・キャッスル・マジック)
  4. Wait Until Tomorrow(明日まで待って)
  5. Ain't No Telling(みんなおしゃべり)
  6. Little Wing(小さな羽根)
  7. If Six Was Nine(もしももしも)
  1. You've Got Me Floating(フローティング)
  2. Castles Made Of Sand(砂のお城)
  3. She's So Fine(彼女は美人)
  4. One Rainy Wish(雨を望めば)
  5. Little Miss Lover(可愛い恋人)
  6. Bold As Love(ボールド・アズ・ラヴ)

2.初回リリースCD

P33P 25023 JAPAN
P33P 25023 1986

ジャケット(ブックレット)の向きはアナログ盤と同じように横向きになっていて、下の画像のように、広げると一枚の絵になります。
現在発売中のものとはジャケット(ブックレット)の向きが90度異なり、こうはなりません。

広げた図(クリックで拡大画像表示)
 1.  EXP  (1:54)
 2.  Up From The Skies  (2:57)
 3.  Spanish Castle Magic  (3:04)
 4.  Wait Until Tomorrow  (3:00)
 5.  Ain't No Telling  (1:48)
 6.  Little Wing  (2:26)
 7.  If Six Was Nine  (5:34)
 8.  You've Got Me Floating  (2:41)
 9.  Castles Made Of Sand  (2:46)
 10.  She's So Fine  (2:40)
 11.  One Rainy Wish  (3:40)
 12.  Little Miss Lover  (2:21)
 13.  Bold As Love  (4:09)
※各曲の演奏時間はパッケージに表示がなかったので、プレイヤー表示のトラック時間を書いています。

3.1993年MCAリマスター盤CD

MCA Remaster 1993 USA
MCAD-10894 1993

CD(クリックで拡大画像表示)
ピクチャーディスク
切手シート(クリックで拡大画像表示)
ブックレットに付いている
切手シート風ステッカー
アラン・ダグラスの下でリマスターを施され、ジャケットも新装になってリリースされたもの。日本では未発売。収録曲は現行盤(エクスペリエンス・ヘンドリクス・リリース)と同じです。
8曲目の表記が "You've Got Me Floating" から "You Got Me Floatin'" に変わっています。(現行盤もこの表記になっています)

 1.  EXP  (1:55)
 2.  Up From The Skies  (2:55)
 3.  Spanish Castle Magic  (3:00)
 4.  Wait Until Tomorrow  (3:00)
 5.  Ain't No Telling  (1:46)
 6.  Little Wing  (2:24)
 7.  If 6 Was 9  (5:32)
 8.  You Got Me Floatin'  (2:45)
 9.  Castles Made Of Sand  (2:46)
 10.  She's So Fine  (2:37)
 11.  One Rainy Wish  (3:40)
 12.  Little Miss Lover  (2:20)
 13.  Bold As Love  (4:09)


HOME > DISCOGRAPHY > AXIS : BOLD AS LOVE
2005.11.9改訂