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2005.4.25改訂

BAND OF GYPSYS

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POLYDOR P33P 25022 [1986]
POLYDOR P20P 22006 [1989]
POLYDOR POCP-2022 [1991]
MCA MVCE-24030 [1997]
MCA UICY-2453 [2003]
MCA UICY-9757 [2004]
MCA UICY-3827 [2005]

Original Release : June 1970 (UK) / Apr 1970 (USA) / July 1970 (JAPAN)
Producer : Heaven Reserch Unlimited
Mixing : Jimi Hendrix / Eddie Kramer
Live Recording : Wally Heider
(Remaster : Eddie Kramer / George Marino)

ジミ生前にリリースされた唯一のライヴ・アルバム。また、バンド・オヴ・ジプシーズ名義での唯一のアルバムでもあります。

●発売時の状況

1969年は、6月のエクスペリエンスの活動停止、8月のウッドストックでのジプシー・サンズ・アンド・レインボウズを経て、10月にバンド・オヴ・ジプシーズ結成、とジミを取り巻く環境はめまぐるしく変化しました。

そして、この年の12月31日と翌1月1日の2日間、ニューヨークのフィルモア・イーストで”ニュー・イヤーズ・コンサート”が行われ、バンド・オヴ・ジプシーズがデビューしました。このアルバムはそのコンサートから収録されたものです。

両日とも2ステージが行われていますが、アルバムに収録されているのは、すべて1月1日からになっています。エクスペリエンス時代の曲も演奏されていましたが、アルバムに収録された曲はいずれも、未発表曲が選ばれています。

●バンド・オヴ・ジプシーズとは

ドラムスにエレクトリック・フラッグのバディ・マイルス、ベースに軍隊時代の友人であったビリー・コックスを迎えてのトリオで、全員アフリカン・アメリカ人となっています。
バンド・オヴ・ジプシーズはフィルモア・イーストでデビューしていますが、その約1ヶ月後、ニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンでライヴを行いました。
しかし、このライヴでは2曲を演奏し終わったところでジミは突然演奏を止め、コンサートは中止。アシッドとアルコールでラリラリになっていた(陰謀説もある)ジミはとても演奏できる状態ではなかったそうです。
この時点でバンド・オヴ・ジプシーズは消滅してしまいました。結局、活動期間はデビューして1ヶ月ほどの超短命ユニットに終わっています。

●全体の印象

バックを固めるメンバーが総入れ替えになり、よりファンク、ブラック色が強くなっています。手数の多いミッチ・ミッチェルとは違うバディ・マイルスのシンプルな重量級のドラミングも印象的。リード・ヴォーカルも取っていたりするので、存在感があります。スライ&ザ・ファミリー・ストーンに通じるものを感じるときがあります。
ジミはユニ・ヴァイブやオクタヴィアを使ったりして、演奏面の変化を感じます。

この時のライヴの未発表音源は、気合いの入ったものがまだたくさんあるはずだし、そのうち満足のゆく形でリリースされるのではないでしょうか。できれば完全版で出して欲しいものです。そして映像も。

●その他

プロデューサーにクレジットされている "Heaven Reserch Unlimited" とは、ジミが考え出した名前で、ヘンドリクス自身と、アーサー、アルバートのアレン兄弟(ゲットー・ファイターズ)、ユマ・サルタン(パーカッション)のことです。
1.Who Knows
January 1, 1970 (1st show)
リード・ヴォーカルが2人になったこともあり、ヴォーカルの掛け合いも聞かれます。エクスペリエンス時代とは雰囲気がかなり違っています。途中で聞かれるバディ・マイルスのちょっと危ない感じのファルセット・スキャットが好みの分かれるところ。後半からのオクタヴィアを使ったヒステリックなギター・ソロはジミの気持ちを表しているようにも感じられます。

2.Machine Gun
January 1, 1970 (1st show)
曲紹介のおしゃべりのところで、ジミは「この曲をシカゴやミルウォーキー、ニューヨークでがんばっている兵士に捧げる」とかなんとか言っています。(たぶんこれはジョークでしょうけど)そして、ベトナムの兵士に捧げられています。全面的にユニ・ヴァイブが使われていて、曲がふわふわしている感じ。後半になるとフィードバック音が常にヒュルヒュルと出てきて、幽霊みたいな感じ。飛行機の爆撃音をイメージさせるギターの音でいきなりエンディング。

3.Changes
January 1, 1970 (2nd show)
ジミによる曲紹介に続いて、バディ・マイルスがリード・ヴォーカルをとります。ちょっとフラット気味なのがご愛敬。歌いながらのドラム・プレイだけど、きっちりとしたエイト・ビートで刻むハイハット・シンバルが僕は好きです。曲の途中、バディがオーディエンスを煽って手拍子を要求するところも、エクスペリエンスのライヴでは見られなかったところ。

4.Power To Love
January 1, 1970 (2nd show)
ビリー・コックスのベースがヘヴィにうねりまくっていて、このノリもエクスペリエンスでは聞かれなかったものです。ジミの曲としては珍しく変拍子が取り入れられています。最後にギターで「サンキュー」と言ったりしているところがおもしろい。
曲名表記ですが、初回リリースCD(人形ジャケット)では"Power Of Soul"、1991年のリマスター盤(+3)では "Power Of Love"、 そしてこのエクスペリエンス・ヘンドリクス・リリース盤では"Power To Love"になっています。また、CRASH LANDING に収録のスタジオ・テイクでは "With The Power"となっていたりして、ややこしいです。

5.Message To Love
January 1, 1970 (2nd show)
この曲は 1991年にリリースされた LIVE ISLE OF WIGHT '70 でも聞くことができますが、僕はバンド・オヴ・ジプシーズの方が気に入っています。コーラスも決まっているし、ジミのギターも気合いの入り方が違います。
 
6.We Gotta Live Together
January 1, 1970 (1st show)
バディ・マイルスの曲。イントロではバディが「手を叩いて一緒に歌ってくれ」と、ここでもオーディエンスを煽っています。スライ&ザ・ファミリー・ストーンの "Sing A Simple Song" みたいなフレーズが出てきたりして、ニヤリ。その後、すぐにバディのリード・ヴォーカルで曲が始まります。オクタヴィアを使っていると思われるギター・ソロに鬼気迫るものを感じます。
●ジャケット・内容違い

  1.初回リリースCD

Jacket (Doll) japan
POLYDOR P33P 25022 1986
POLYDOR P20P 22006 1989


このジャケットは 'Puppet Cover'(ドール・ジャケット)とも言われていて、英国オリジナルLPのジャケットはこれでした。CDにおいては日本盤のみこの仕様になっていました。ちなみにジミの他の人形はボブ・ディラン、ブライアン・ジョーンズ、ジョン・ピール( Radio OneのDJ)です。

  1. Who Knows
  2. Machine Gun
  3. Changes
  4. Power Of Soul
  5. Message To Love
  6. We Gotta Live Together

 
2.1991年リマスター盤 (+3)

Jacket (1991) japan
POLYDOR POCP-2022 1991

今までの6曲に加え、新たに3曲が追加されています。追加された3曲は1986年に発表された BAND OF GYPSYS 2 のA面3曲と同じものです。また、ジャケットのロゴが現在発売中のものと異なっています。

1.Who Knows
2.Machine Gun
3.Them Changes
4.Power Of Love
曲名表記が "Power Of Soul" から "Power Of Love" になっています。確かに、バディ・マイルスが曲を紹介するところでは "Power Of Love" と言っているようにも聞こえるけど。
5.Message To Love
6.We Gotta Live Together
7.Hear My Train
December 31, 1969 (1st show)
このアルバム収録曲中、唯一12月31日の曲。曲紹介でジミが 「スロー・ブルーズをやります。"Lonsome Train"という曲です」と言って、曲が始まります。
曲名は他に "Getting My Heart Back Together Again" とも呼ばれています。ちなみに、ジャケットには "Hear My Train" と書かれています。
ストラトのハーフトーンを使ってプレイされていますが、実にいい音をしています。ビリー・コックスのベースの音がかなりソリッドな音になっていて、僕好みの音です。ひたすら我慢のベース。

8.Foxy Lady
January 1, 1970 (1st show)
ほかのトラックに比べて音質が格段に悪く、それにモノラルになっています。まるでブートレグを聞いているみたいな感じ。それと、バディ・マイルスのドラムがなんかもっちゃりしていて、ミッチのようにジミと一緒にイッてしまうこともなく、マイペースでプレイしています。また、リズムの取り方もなんか違和感あります。

9.Stop
January 1, 1970 (1st show)
バディ・マイルスの曲。この曲も同じように音質が良くありません。初期のジェフ・ベック・グループやB.B.A.がこんな感じの曲をやっていたのを思い出します。まだ歌が続いているのにフェイドアウトされてしまいます。CD収録時間はまだあるのだから最後まで聞きたかった。

●フィルモア・イーストでのセット・リスト

太字はアルバム収録曲、( )内の数字はアルバム収録の曲順です。


December 31 (1st show) December 31 (2nd show) …実際の演奏時は、日付が変わっていたと思われるので、厳密には1月1日になります。 January 1 (1st show) January 1 (2nd show)


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