ライヴ盤などで、ストラトより太い音がしていて、アームを使ったフレーズが聞かれない時などは、ギブソン系のギターを使っている可能性有です。
ギブソン系のギターは主にブルーズ曲( "Red House" 、"Hear My Train A Comin' "など)のときに使っていました。
ブラック・フィニッシュで、初期のシングル・コイル・ピックアップが付いているタイプです。
この写真は1968年5月31日、チューリヒ(スイス)のハレンスタディオンでのライヴ時のものです。by Stuart K. Richman
使用したライヴなどについて
- 1968. 5.10 ニューヨークのフィルモア・イースト
- この時のサポート・バンドはスライ&ザ・ファミリー・ストーン。ちょうどセカンド・アルバムからの "Dance To The Music" がヒットしていた頃です。
- 1968. 5.31 チューリヒのハレンスタディオン
- この時の共演はトラフィック、スモール・フェイセズ、アニマルズ、ジョン・メイオールズ・ブルースブレイカーズなど。
|
|
これは1969年1月、スウェーデン でのショットだと思います。 |
|
バディ・ガイ 『I WAS WALKING THROUGH THE WOODS』 のジャケットより |
ホワイト・フィニッシュの3ピック・アップ・タイプ。
バディ・ガイが同じSGカスタムのホワイト・フィニッシュ(1960年代初期タイプ)を使っていたので、それを意識していたのかもしれません。
その他、使用したライヴなどについて
- 1968.11.28 ニューヨークのフィルハーモニック・ホール
- このクラシック・ホールにおいて、初めてのロック・バンドとしてエクスペリエンスが演奏しました。バンドが演奏した後に、ミッチ・ミッチェルが「ニューヨーク・ブラス・クインテット」と共演しています。
- 1969. 7 ABCテレビ
- 「ディック・キャベット・ショー」というテレビ番組に出演した時に使用していました。 "Izabella" を演奏する様子を見ることが出来ます。
→『LIVE AT THE FILLMORE EAST』(ヴィデオ)
- 1969. 1. 9.ストックホルムの「コンサート・ヒューゼ」
- "Red House" "Sunshine Of Your Love" で使用。
余談ですが、この日のステージが終わった後、ジミのファンだったエヴァ・サンキストと一年振りに出会い、彼女はジミのホテルに泊まっています。そして、この時にできた子供がジミが認知した唯一の息子ということらしいです。
- 1969. 1.11 ハンブルグのミュージックホール
- 18日までの西ドイツでの公演の初日。このツアーのときに、モニカ・ダネマン(ジミが亡くなる直前まで一緒だったガール・フレンド)と出会っています。
|
写真などで確認できたものとして、3本ほどあります。最初に使ったのは、サイケデリック模様にペイントされたタイプ。次はブラウン・サンバースト・タイプ。3番目はブラック・フィニッシュのレフティです。
当時、フライングVを使っているギタリストはほとんどいなくて、同じサウスポーのアルバート・キングに影響を受けて、これを使い始めているみたいです。でも、アルバート・キングは右用を弦を張り替えずにそのまま左で弾くスタイルでしたが。
1.サイケ・ペイント・タイプ
|
この写真は1967年8月15日、ミシガン州、 フィフス・ディメンション・クラブでのライヴで、 初めてフライングVを使用したライヴ と云われています。 |
|
写真情報提供:T.M.様 |
1967年7月頃に購入。ペイントは自分でやったらしいです。1969年始め頃まで使用していました。ユーライア・ヒープのギタリストであるミック・ボックス(なつかしい)が最後の所有者ということだそうですが、現在も持っているのでしょうか。
使用したライヴなどについて
- 1967. 9. スウェーデン・ツアー
- この時のツアーのライヴは『STAGES』で聴くことができます(9月5日ストックホルム、ラジオ放送用スタジオ・ライヴ)。時期的に言うと、モンタレー・ポップ・フェスティヴァルのアメリカ・ツアーからロンドンに戻ってきて、セカンド・アルバムの 『AXIS : BOLD AS LOVE』 をレコーディングしていた頃になります。
- 1967.11.10 オランダ、ロッテルダム
- この日はオランダのテレビ撮りで "Catfish Blues"(『:BLUES』に収録) "Foxy Lady" "Purple Haze" の3曲を演奏しています。
一応、フライングVを弾いている写真があるのですが、ブートレグで聞くと、3曲ともストラトキャスターの音がしています。写真はリハーサルかジャム・セッションの時のものかもしれません。
3曲目、 "Purple Haze" のエンディング部分のソロでは、かなりキレた演奏をしていて、チューニングもベロベロで大荒れです。
- 1967.12.22 ロンドンのオリンピア劇場
- この時は "Sgt.Pepper's Lonely Hearts Club Band"、"Wild Thing"、"Foxy Lady" の3曲を演奏しています。モンタレーのヴィデオにおまけとして収録されていたので、見た人もおられると思います。
この日のショットでフライングVを弾いているものがあるのですが、ヴィデオを見ると、ステージでは3曲ともストラトキャスターを使っています。マーシャルのアンプに、フライングVが立てかけてあったけど、ステージでは使わなかったのかもしれません。
- 1968.2.1 サン・フランシスコのフィルモア・ウェスト
- 2ヶ月間に渡る2回目のアメリカ・ツアー(1回目はモンタレー・ポップ・フェスティヴァルから始まったツアー)の初日。この時のサポートはアルバート・キング、ジョン・メイオールズ・ブルースブレイカーズ、ソフト・マシーンなど。
|
2.1969年型フライングV
|
"Flying V '69" |
1997年にリリースされたアルバム、『FIRST RAYS OF THE NEW RISING SUN』のブックレットに、エンジニアのエディ・クレイマーが写したショットがあります。ギターの一部しか見えていないのでよく分からないけど、たぶんこのフライングVではないかと思います。
ステージ写真等ではほとんど見かけないので、スタジオのみで使っていたのかもしれません。
3.カスタム・フライングV (Flying Angel)
|
"Flying Angel" |
ニューヨークの楽器屋である「マニーズ」がギブソンにオーダーしたカスタム・メイドのフライングVです。ジミが使用した数少ない左用ギターのうちの一本です。
1970年に入ってからライヴで見かけるようになり、最後まで使っていました。1960年代仕様のヘッドが少し尖ったタイプですが、ノーマルとの主な違いは…
|
ポジション・マークと "Gibson"のロゴ位置に注目 |
- ポジション・マークが三角形を二つ組み合わせた形になっている
- ブラック・フィニッシュ
- パーツがゴールド
- ギブソンのロゴがヘッドの先端部にパール・インレイで入っている。通常はトラス・ロッド・カヴァーに書いて(型押し)あります。
- トラス・ロッド・カヴァーはレス・ポール等と同じ形状のものを使っている。そして、カヴァーには "CUSTOM" の文字が縦書きで入っている。
などです。1990年頃、ギブソン社からレプリカが発売されていました。
このフライングVは現在、テキサス州ダラスのハード・ロック・カフェの壁にかかっているそうです。
使用したライヴなどについて
- 1970. 7.30 ハワイマウイ島にて
- レインボウ・ブリッジの映画、最後の方で見られる、セカンド・ショウでのライヴ・シーンで "VIllaniva Junction" や "Hey Baby" で使っていました。
- 1970. 8.30 ワイト島フェスティヴァル
- "Red House" "Dolly Dagger" "Freedom" 等の曲で使っていました。
|
|
『SOUTH SATURN DELTA』 のブックレットより |
ライムド・マホガニー(TVイエロー)のスペシャルをスタジオで弾いている姿が、アルバム 『SOUTH SATURN DELTA』 のブックレットの写真にありました。(写真左)
一部しか見えないのですが、シングル・カッタウェイであることや、「ソープ・バー」タイプのP−90ピック・アップがフロント側に見えるので、1950年代中期のスペシャルと思われます。
|
レス・ポール・スペシャル 1956 |
ホーン・セクションと一緒に写っているので、おそらく "South Saturn Delta" (1968年)のレコーディング時のショットではないかと思われます。
このギターはレスポール・スタンダードとレスポール・ジュニアの中間に位置するグレードのギターです。レスポール・ジュニアはP−90のピックアップが1つ、レスポール・スペシャルは2つ付いている点が主な違いです。
同じP−90でも”ジュニア”に付いているのは「ドッグ・イヤー」と言われるタイプで、ピックアップの両側にボディ・マウント用のネジ穴が付いた”耳”のある形をしています。 ”スペシャル”に付いているものは「ソープ・バー」と呼ばれる、マウント用の”耳”がないタイプで、マウント用の穴はピックアップ本体に付いています。
|