フェンダーやギブソン以外にジミが使用してきたギターについて、リスト・アップしてみました。
●スプロ製オザーク(Ozark)・モデル1560s
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SUPRO OZARK 1560S |
スプロとはアメリカの「ナショナル・ドブロ社(後のヴァルコ)」のブランド名で、主に廉価モデルに付けられていました。
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1960年2月20日シアトルにて Hendrix Family Archives |
1959年、父のアルから買ってもらった最初のギターで、白いボディに黒のピックガードのもの。
写真はジミがシアトルで活動をしていた「ロッキン・キングス」のコンサートでのショットからのものです。
●ダン・エレクトロ
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DANELECTRO STANDARD GUITAR ブロンズ・フィニッシュ・タイプ |
ジミー・ペイジの使用や、リップ・スティック・タイプのピックアップがマウントされていることで有名なダンエレクトロ・ギター。
このピックアップですが、その名のとおり、実際にホンモノの口紅のキャップを使っているそうです。
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James Hendrix with "Betty Gene" 1960年7月ころ |
父に買ってもらった”スプロ・オザーク”が盗まれたため、おばさんに買ってもらったギターだそうです。
盗まれたことを父に黙っていたため、新しいギターを父に見つかった時、
「そのギター、誰に買ってもらったんだ?返して来い!おまえのギターはワシがかってやる」
と叱られたそうです。でも結局このギターを使うようになりました。
最初は白だったものを、トップ部分だけを赤に塗り替えています。当時の恋人の名前にちなんで、”ベティ・ジーン”と名付けていました。
●ダン・エレクトロ
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DANELECTRO U-3 1956年モデル |
このUシリーズは1956年に発表され、1959年にはダブル・カッタウェイ(上のダンエレクトロの形)へとモデルチェンジされています。
1ピックアップの"U-1"、2ピックアップの"U-2"、3ピックアップの"U-3"(1957年に追加)がラインナップされていました。
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1968年頃か? Guitar Magazine 1999年7月号より |
写真のジミが使用しているものは、"U-3"モデルと思いますが、カタログのギター(1956年)とはピックガードの形が少し違うように見えます。もしかすると、年代によって異なる仕様だったのかもしれません。
"Little Wing" の2ndギターで使われたと言われているそうです。
●グヤトーン LG-70
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Guyatone LG-70 |
日本のギター・メイカー、グヤトーンのギター。
当時のカタログを見るとLGシリーズは、LG-55から始まり、LG-100まであって、これはその中間のグレードだったようです。
余談ですが、LG-55は「中級品」、LG-70は「専門家用」、LG-85は「高級専門家用」、LG-100は「最高級専門家用」と書いてありました。なんだか笑ってしまいますね。価格ですが、LG-70は\12,800となってました。
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1960年2月ころの軍隊時代のショットより Hendrix Family Archives |
ジミが弾いているものはブランドが違うかもしれません。輸出用ブランドには「ケント」「ケイ」「スター」「アイバニーズ」などがあったので、そのうちのどれかと思われます。
●エピフォン製ウィルシャイアー・モデルSB432
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EPIPHONE WILSHIRE |
ジョン・レノン使用のカジノなどで有名なエピフォン社のギター。ギブソン社に買収された後、日本製のギターとして名前が残りました。
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1963年3月19日、ナッシュビルの 「デル・モロッコ」でのショットより Hendrix Family Archives |
軍隊に入った後、故郷に置いてきたダンエレクトロ(”ベティ・ジーン”)を父に送ってもらい、下取り交換したのが、このギターだそうです。
右写真のジミが弾いているものはウィルシャイアー・モデルと違うような気がします。もしかすると別のモデルかもしれません。
追加情報
"T.M"様から情報をいただきました。(2002.3.4追加)
白黒写真でJIMIが弾いているのは、1962年型です。
左にある赤いモデルは1963ー>1965年型です。
Wilshireは1959年の発売以来、毎年の様にスペックチェンジが行われており、59、60、61、62、63ー70、と少しずつ違います。(70で終了)
日本での製産は1975からで、2、3年間位です。
●エピフォン製アコースティックFT-79
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EPIPHONE FT-79 サンバースト・タイプ |
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1967年9月ロンドンにて Ben Valkhoff Collection |
ロンドンの家で1967から1970まで、主に作曲用に使用していました。
サンバーストボディにべっ甲ピックガード。ネックはマホガニーで、ローズウッド指板に平行四辺形のポジションマーク。ボディ材はスプルース・トップにサイドとバックはメイプルという仕様になっています。
このギターは、ジミのガールフレンドの1人、キャシー・イーチンガム(Kathy Etchingham)が所有していたそうで、去年(2001年)イギリスのオークションで、落札されたらしいです。
ちなみに落札金額は、77,000ドル(約一千万円)。落札者はわかりません。
情報提供:T.M様
●ゴヤ製レンジマスター・モデル
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GOYA RANGEMASTER サンバースト・タイプ |
ゴヤとはニューヨークの楽器屋の名前で、そこのブランド名として売られていました。この「レンジマスター」はイタリア製でホロウ・タイプのボディです。
日本で有名な「グレコ」はもともとこの楽器屋のブランド名だったそうです。
ピックアップはスプリット・タイプ(1〜3弦用、4〜6弦用と分かれている。フェンダー・プレシジョン・ベースもそのタイプになります)
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1968年3月ころのショット Tony Brown Collection |
写真の、ジミが弾いているサイケなペイントがなされているものは、アームが付いていないタイプです。(ブリッジの形状が違う)
カラーで見てみたいところです。
●ハグストローム製8弦ベース
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HAGSTROM F-800 |
ノエル・レディングも同時期に使用していた、ハグストローム製の8弦ベース。
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1967年7月、PPXスタジオのレコーディング・セッションからのショット |
このショットは1967年7月末、カーティス・ナイトとのセッション時のもので、このときの様子は最近リリースされた6枚組ボックスCD『THE COMPLETE OF PPX RECORDINGS』で聞くことが出来ます。
●ギルド製スター・ファイア・デラックス
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GUILD SF-V STARFIRE DELUXE Bluce Pates Collection |
アコースティック・ギターで有名なギルドのギター。レフティ仕様の1966年製。ビグスビー製のヴィブラートが付いていますが、良く見るとロゴが"Bigsby"ではなく、"Guild"になっています。(写真では分かりにくいですが)
これは、ビグスビー社がギルドのギター用にブランドネームを入れたもの。他にフェンダー、グレッチ、ギブソンのロゴ入りのものもあります。
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1968年5月20日、マイアミにて Bruce Pates Collection |
1968年5月20日、マイアミのキャスタウェイ・ホテルのレック・バーのセッション中にファンからプレゼントされたもの。ボディに何か絵が見えますが、これはファンが描いたものらしい。ボディの色は赤のようです。
●ゼマティス製12弦(借り物)
これは、プロモ映画 『EXPERIENCE』 用に撮影されたときに使用していたもので、映画監督のピーター・ニールが撮影用に借りてきたものだそうです。
左用に弦を張り替えて "Hear My Train A Comin'" を弾いていました。→『:BLUES』
●アコースティック製ブラック・ウィドウ
アコースティックといえば、アンプ・メーカーとして有名ですが、一時期ギターも作っていたようです。
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1968年10月、TTGスタジオにて Chuck Boyd |
このショットは1968年10月、ハリウッドのTTGスタジオでのものです。
『ELECTRIC LADYLAND』がリリースされ、次のアルバムに向けて、レコーディングを開始した時期になります。
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