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2005.4.25改訂

ISLE OF WIGHT

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POLYDOR P33P 25010 [1986]
POLYDOR P20P 22008 [1989]

Original Release : Nov 1971 (UK)
Producer : Mike Jeffrey
Engineer : Eddie Kramer

●ワイト島ライヴ

1970年8月30日、英・ワイト島にてコンサートが行われ、5日間に渡って行われたこのフェスティヴァルの最終日のメインアクトとしてジミが登場しています。バックはビリー・コックス(ベース)とミッチ・ミッチェル(ドラムス)。
1969年2月のロイヤル・アルバート・ホール公演以来、約一年半ぶりのイギリスでのステージになります。

この時期のジミは、完成して間もないエレクトリック・レディ・スタジオでニュー・アルバムの最終段階に入っていたところでした。アルバム完成まであと少しだったのですが、ヨーロッパ・ツアーがあるため、ニューヨークに後ろ髪をひかれる思いで、ロンドンに旅立ちました。

春から夏にかけてのアメリカ・ツアーと、その間をぬってのニュー・アルバムのレコーディング、また、エレクトリック・レディ・スタジオの完成とあわただしいスケジュールで疲れていたジミは、このヨーロッパ・ツアーに対して、あまり乗る気ではありませんでした。

ラスト、"In From The Storm" の演奏後、「つきあってくれてありがとう。またいつかやろう。ほんとにどうもありがとう。ピースとハピネスを!」 という言葉を最後に、2度とイギリスのステージに立つことはありませんでした。

このときの映像を見ると、やる気がなさそうにギターを放り投げてステージを去って行くジミの姿を写した場面があって、なんだかこの日のステージを象徴しているように思います。

●発売の状況など

ジミの死後、エンジニアのエディ・クレイマーは演奏の出来の悪さにリリースを渋っていましたが、悪名高きマネジャーのマイク・ジェフリーはそんなことには耳を貸さず、無理矢理発売させたようです。
しかし、ジミの最後のパフォーマンス(実際は翌9月に入ってからも、続くヨーロッパ・ツアーで何回かステージをやっていますが)ということで記録的には貴重なものです。
同時期に RAINBOW BRIDGE がリリースされており、セールス的にもあまりふるいませんでした。1971年11月リリース。尚、アメリカではリリースされていません。

●全体の印象

ギターの音が全体的に厚ぼったく聞こえますが、PAシステムのせいなのでしょうか。
"Lover Man"と"In From The Storm"は、1991年にリリースされた改訂版 ISLE OF WIGHT '70 でも聞くことができますが、ミックスが少し異なるようで違った印象を受けます。

この時のライヴを映像で見てみると、PAシステムの調子が悪かったのか、ジミの機嫌も悪そうで笑顔もほとんど見られず、全体的に沈んだ感じがします。モンタレー・ポップ・フェスティヴァルの生き生きとしたステージとは全く違っています。モンタレーの時が外向きとしたら、この時は内向きという感じ。

この日演奏された曲のほとんどは、ヴィデオISLE OF WIGHT '70 で聴くことができますが、本アルバムでは "Midnight Lightning"と"Foxy Lady"あたりが、貴重なテイクでしょうか。


1.Midnight Lightning
メンバー紹介に続いて、ゆっくりした感じで始まるブルーズ曲。アレンジが "Hear My Train A Comin" にそっくり。
調子はそんなに良くなさそうだけど、この曲をライヴで演奏したのはバークレーでのライヴ(未発表)と、このワイト島のライヴの時だけで(多分)、とても貴重なテイクになっています。

2.Foxy Lady
いつもより長めのフィードバックをバックに、しゃべりながら曲に入るところがカッコいい。
最初のギターソロはアンプの調子が悪くて、出てくる音はノイズばかり。結局フレーズを弾くことができていません。でも、そんなに違和感を感じないのが不思議。
ヴィデオではこの曲がカットされているのでどういう状況なのか想像がつきませんが、弦でも切れたのでしょうか。
このあと、ジミが引っ込んだ様子で、ドラムとベースのみの演奏が延々と続きます。そして、ラジオか無線のようなノイズが入ってきたりしているのがけっこう面白い。

3.Lover Man
ライヴではしばしば演奏された曲。スタジオ・テイクは最近になって SOUTH SATURN DELTA で発表されました。
ギター・ソロ部分のミッチの2バス・ドラムが印象的です。

4.Freedom
1970年になってからライヴで演奏されるようになった曲。次に発売するアルバム用の新曲だったのですが、ライヴ・ヴァージョンを聞くことができるのは、最近までこのアルバムのみでした。
スタジオ・テイク(THE CRY OF LOVE, FIRST RAYS OF THE NEW RISING SUN収録)とは、間奏のアレンジが少し違っています。

5.All Along The Watchtower
ELECTRIC LADYLAND に収録されていた曲ですが、オリジナル・エクスペリエンスではライヴ演奏はほとんどされていなくて、1970年に入ってからステージで演奏するようになっています。
前曲と同じく、ライヴ・ヴァージョンを聞くことができるのは、最近までこのアルバムだけでした。

6.In From The Storm
ミッチの長〜いドラム・ソロから始まるヘヴィなリフの曲。途中、テンポが変わってからのギターソロが熱い。ステージでは最後の曲だったのか、ジミのヴォーカルが苦しそうに聞こえます。
●セット・リスト

太字はアルバム収録曲です。
*ISLE OF WIGHT '70 に収録

  1. Intro/God Save The Queen * HENDRIX IN THE WEST に収録
  2. Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band HENDRIX IN THE WEST に収録
  3. Spanish Castle Magic
  4. All Along the Watchtower
  5. Machine Gun*
  6. Lover Man *
  7. Freedom
  8. Red House *
  9. Dolly Dagger *
  10. Midnight Lightning
  11. Foxy Lady
  12. Message To Love *
  13. Hey Baby (The Land Of The New Rising Sun) *
  14. Ezy Ryder
  15. Hey Joe
  16. Purple Haze
  17. Voodoo Chile (Slight Return) *
  18. In From the Storm *
このフェスティヴァルにはジミの他にイギリスからはEL & P、テイスト、フー、ファミリー、アメリカ勢はドアーズ、スピリット、スライ&ザ・ファミリー・ストーン、シカゴなどが登場しています。
どれも歴史的に重要なバンドで、これらのバンドを一度に見ることができたなんて、今考えると気が遠くなりそうです。

●ジャケット違い

LP(1970年代)

Jacket japan
POLYDOR MP 2217
『ワイト島のジミ・ヘンドリックス(実況盤)』


日本独自のジャケット。1968年7月のウォバーン・ポップ・フェスティヴァル時の写真が使われています。裏ジャケットがCDと同じ写真になっています。他、見開きジャケットの内側には歌詞が印刷されています。


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