1998 H10
公演第15弾『かれきも森のにぎわかし』
8/26(水)〜8/30(日) 場所/ザ・スズナリ(下北沢)
作・演出/滑羅ユミ子
キャスト/森さとみ、俵山栄子、楠大典、長畑由美、上田雄太、志村知幸、川田紳司、
尾崎歌子、阿部栞、田中浩補、伊地知康夫 / 池田真一
『黄色いチューリップ』では、
動物に心があったならを、描いてみました。
これは、心があったなら、第二弾。
「かれき」の「き」は「木」ではなく、
「機」もしくは「器」の「き」です。
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このお話の主役は、電化製品!
新製品には脇目も振らず、
「まだ、使える」をモットーにする青年の部屋。
大切に扱ってもらった家電たちには、それぞれ、精霊が宿っていた。
ご恩返しにと、青年の憧れアイドルの出演番組に勝手にチャンネルを合わせるテレビ。
アイドルのビデオテープを再生するビデオ、ミュージックテープを流すラジカセ。
なかでも、ビデオの精霊は、テープの画像を使って、普段からアイドルの姿に。
ところが、青年の結婚が決まり、フィアンセのビデオデッキがやってくる。
家電たちは、お払い箱の危機だと思い込む。
願いごとを叶える呪文の本を手に入れたビデオの精霊が、
アイドルの姿のまま人間になり、青年に交渉することに。
しかし、アイドルの姿になったのは、ビデオの精霊ではなく、
自分の存在に不満を持つテープの画像のアイドルだったから、さあ、大変。
人間として青年の部屋にいすわろうとする画像のアイドル。
交渉どころか、家電の始末を青年に勧める。
そんな偽物アイドルと青年の仲を疑い出すフィアンセ。
真実を伝えようと、精霊たちも、ビデオテープの画像を使って人間になり、
青年やフィアンセに話そうとするが、使った画像が元で、ますます、こじれていくばかり。
家電たちは、お払い箱になってしまうのか。青年とフィアンセの愛の行方は。
見ている人もそうだけど、演じる役者も、大パニックの、この作品。
本物の人物と、精霊が姿を借りた人物の演じ分け。
自分の役だけ理解していたのでは、演じられない。
借りる側の精霊の気持ちも理解できていないと。
その上、精霊とそっくりな人物の役もあって、一人二役、三役なんてことも。
「フェイス/オフ」も「仮面の男」も、まっつ青になりそうな、お話です。