開催地 : 愛知県新城市 新城スカイパーク
リポート : 鈴村 恵司

■8月26日


 

『タスクセッターはその日(のコンディション)およびパイロットにふさわしいタスクをセットするよう試みるべきである。もし全員がゴールした場合、あなたはこのタスクがパイロットの技術を評価するのに有効なテストであったか問い直す必要がある(もし最速タイムおよびタスク距離が十分に長かった場合には、その答えはイエスである)。もし全員がゴールに届かず降りてしまった場合、タスクとしては適当でなかったとしてもパイロットの技術の良いテストとなりえたか?』PNL大会でのフライト得点集計フォーミュラであるGAP2003の解説の一文である。

40.2kmのタスク距離を1時間30分あまりで駆け抜けたこの日のトップ小幡選手にとって、このタスクはこの日のコンディションにふさわしいタスクと感じられたか。また、ウインドクローズ3分前に(スタート前の空中待機時間をふくめれば実質)4時間のフライトで39番目にゴールに飛び込んだ小名木選手にとっては。 「風が良すぎてこわいくらいだよ。」選手達が2日目の受け付けする中、スタッフの誰かが独り言のようになぜか大きな声で話している。朝の新城エリアは前日に好転した風予報どおりの状況である。

競技委員長のタスク提案に対してタスクコミッティはミーティングを持ったようだ。タスクコミッティの提案を受け、スタートパイロンなどを修正し、B38の山側パイロンとB44の平地のパイロンでのエリア横断を基本する40.2kmのタスクが決定した。4機が広がるテイクオフ、けっして大きくはない。獲得高度の高さが期待出来ない夏シーズン、一斉スタートの空中待機時間を長くすることは最初に出る選手にとってはつらい。かといってスタート時間に間に合わない選手が出てしまうのも困る。10時50分ウインドオープン、+50分後がスタート時刻。結局、選手全員のテイクオフに55分かかってしまった。第5プールの選手にはスタート条件は不利になったことだろう。予測よりもテイクオフの風が悪くなる時間帯が長かった、競技委員長の読み違いである。まったく時間設定というのは難しい。それでもゴール者という意味では17名の第5プールの選手から6名がゴールしている。レース前半に勝負をかけてB44パイロンに突っ込んだ選手に降りてしまった選手が多い。エリアのコンディションは時間とともに安定していったようである。ゲートクローズぎりぎりにリフライトした選手の内、2名の選手がゴールメイクしている。

「いつ」「どこで」「だれが」「なにを」「どのように」「どうする」。幼い頃、カードに5W1Hを別々に書き込んで、拾い上げて出来たおかしな文章を楽しむゲームを楽しんだことはあるだろうか。『(例年はPNL大会が開催されない)夏に=1機しか広げられないテイクオフの新城エリアで=素人集団のスタッフが=国内トップリーグのPNL大会を=少人数の参加者条件で=開催する』。

2006年の秋、いろいろな思惑からこんな文章の企画が持ち上がった。主催者はこの文章がおかしいと思われないように条件側を修正していった。テイクオフの拡張、役所、警察、電力会社との交渉、本部設備の確保、地元フライヤーへの説明会。やりたいこと、やるべきことがいっぱいあった。そうそう、愛知県が誇るPNLトップランク選手達の仲間達に向けた大会参加への勧誘努力があったことも付け加えておこう。

選手全員のテイクオフの終了後、テイクオフスタッフの全員があげた歓声はスタートパイロンに向かう選手達にはとどかなかったろう。新城エリアで初めて見る数十機のグライダーガーグルに驚いた地域の人々の驚きの声も。それでも思いは選手には伝わったのかもしれない、大会終了後、少なくない選手達から「来年も開催を」の評価の声が届いた。

この大会、おかしな文章で表現される大会にはならなかったようだ。喜びの興奮を抱えたスタッフ達は、別の意味の眠れない夜を迎えることになりそうだ。


 



 


●上位選手のコメント
総合成績 第1位
小幡洋三 選手
スタートは、いつもよりゆっくりと行こうと考えていました。しかし、ファーストパイロンを取り、B44を取りに行く時、沖を小林・伊澤の両選手が先行していきます。つられて少しスピードアップ、低めで攻めます。先頭グループのみんなも同じでしょう。しかし、これが最初の山場でした。帰りのシンクが非常にきつくしかも低くなると上がりません。先頭グループの約半分が降りてしまいました。私も含めスタックし、後続に追いつかれます。
しかし、飛びなれた新城ですので渋めの沖をやめ、山を攻めます。中盤は山と沖の中間が活発になり段々と周りの選手はスタックし始めます。そんな中、同じ地元の和田選手がやはり生き残っています。後半は地元同士の一騎打ちとなりました。いつものように低く攻める和田選手と並んだまま進みます。二回目のB44を和田選手が沖周りで取りに行くのを確認した私は、やっと沖の山裾からの上昇を確認し、ラインが出来ているのを発見。低く山に戻る和田選手とは対象的にゴルフ場のクラブハウスから出るサーマルで上げきり山裾から出る上昇ラインに乗りダイレクトにB39を取り、最終パイロンに向かいます。和田選手は遅れを取り戻すように低く追い付いて来ます。ゴールを目指すには僅かに足らないので前山で上げ最終パイロンを取り、そのままダイレクトにゴール。B44からB39までの山裾のラインをうまく使えたことが和田選手との勝敗を決しました。すごくラッキーでした。

今回は、地元の大会で色々と大会の準備を見てきて、いつもより大会の運営が大変と思うこともありましたが、テイクオフを広げるなどのすごく大変なことをあっという間にやってしまう新城エリアのパワーには驚きました。大会をお願いした私としては、これ以上ない大会を開催して頂き誠にありがとうございました。自分だけ楽しく飛んで申し訳なく思いますがそこは病気とあきらめて、今後とも楽しくお付き合いをよろしくお願いします。


 

総合成績 第2位
和田浩二 選手
新城スカイパークは、住んでる場所こそ違いますが、私の身近なホームエリアの1つなので、気分的にとてもリラックスできていました。リラックス出来た事が、良い成績に繋がった理由かもしれません。あと、地元エリアであることは小さなコンディションの変化や、地形を細かく把握している事が有利に働くものだなと感じました。今回優勝した小幡選手や、4位の山田選手も新城スカイパークで飛んでいるのを良く見かけます。
小幡選手に負けたのは悔しいですが、優勝おめでとうございます。
大会スタッフ、関係者の方々お疲れ様でした。そして、ありがとうございました。


 

総合成績 第3位
川上賢一 選手
ありがとうございます。こう見えても初のナショナル総合表彰台でした。これもひとえに温かく見守って叱咤激励してくれる皆様のおかげです。いつの間にか社会人になったけど、ボロボロだったグライダー、ハーネス、メット、GPS、クツ、心を全部新しく入れ替え、飛び続けた成果も出てきたような気がします。

 スタート時はまだTO前で、思いっきり出遅れましたが、2つ目のパイロン(B44)までの沖直線コースでスタート第4グループの意地を見せ、先頭集団に追いつけました。その直後のほぼ全員大スタック。ここがこの日一番の頑張り所。渋い中、低高度を数名で粘り上げ生き返った時の感動は、まるで炎天下の鳥取砂丘で無風の中ぶっ飛び、砂の丘を必死に歩いて登った後の冷たい生ビールのようでした。 

トランジットはできるだけ効率的に最高速で飛ぶことを心がけ、TO横のラストパイロン(B16)からのファイナルグライドを始める見切りが良かったため、ゴボウ抜きでゴールできました。7月のドイツチャンピオンシップでびびりながらもフルアクセルでPWC選手に喰らいついて飛んだタフさが、余裕のあるアクセルワークに繋がったのだと思います。

これからも積極的でアグレッシブかつ視野が広く慎重な、まるで冷静と情熱の間のような飛びで結果を出せるよう心がけ、日々精進したいです。今回チーム戦2位になった絶好調の若手&マーキュリー&エクスレイテッドという、まるで日本人と醤油と刺身のようなコラボレーション3人組が、わさびの効いた大旋風を巻き起こすことにもご期待ください。

競技委員長を始めスタッフの方々、お疲れ様でした。おかげさまで初めてのエリアでめっちゃ楽しい競技ができました。ありがとうございました。



 

女子の部 第3位
平間利栄 選手
今回の大会は、初めてのエリアでわからない事だらけでしたが途中くじけそうにながらも、、なんとかゴールにたどり着けてとても嬉しかったです。
大会スタッフ・関係者・地元の皆様、本当に有難うございました。



 

チーム戦 第1位
チーム大和
チーム戦に登録して、2年間で、初めて、優勝できたことが、嬉しいです。
去年、丹波で、3位になった時には、水島ジン君が、頑張ってくれました。今回は、成山さんの、成績のおかげです。今後も、チーム戦楽しく、参加していきます。今年の、最終成績は、出来れば3位入賞したいです。
チーム大和は、四国三郎で再び表彰台をねらうぞ!今年の最終結果が、楽しみです。




 

総合1〜6位


 

女子の部1〜3位   チーム戦1〜3位


 

 


 

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