銀座、大帝国劇場。 地下でネメシスとセトが落語と腹話術の練習をしていた。 「え〜、毎度馬鹿馬鹿しいお話を一席…」 「コンニチワ、ボクタローデス!」 「……なぁ、ネメシス。」 「なんだ?」 「なんで我々がこのようなことをせねばならんのだ?」 「仕方なかろう…来週の宴会で我々も含め全員が芸を一つせねばならないんだ。」 「まったく、人間どもの考えることは分からんな……」 「文句を言ってもしょうがなかろう…なに、たまにはこういうのもいいではないか。」 「そうだろうか……」 事の起こりは三十分前である。 『デモンハザード』の打ち上げで一人一つの芸を披露することになった。 帝国歌劇団の面々はレストランで打ち上げをすることとなり、結局エレメンタルフォースのみで行われることとなった。 場所は楽屋、明日の五時に行われることになった。 「やれやれ、明日までに完成できるだろうか…。」 「そう力まないほうがいい。リラックスして望めばいいんだ。失敗してどうなるわけでもあるまい。」 「そうだな…じゃ、練習を再開するか…」 「そうだな…え〜昔から……」 「ニンギョウニモシュウキュウフツカセイヲテキヨウサセロヨ!」 「馬鹿言うな、働いてもいなくせに!」 「オマエダッテハタライテナイダロ!」 そして、打ち上げ当日。 楽屋にはメンバー達が勢ぞろいしていた。 「うまいな、このボルシチ!」 「どうだ、マリア直伝のロシア料理だぜ!」 「甘いな。俺の飲茶の味には勝てまい!」 「そんな口を聞くのはこのビスケットを食べてからになさい!」 すでに料理対決に突入している。 「さて、ここらで芸の披露といくか!」 「よ、待ってました!」 「まずはネメシスからだな。」 「では、落語を…」 「「「「「「「「「「え?」」」」」」」」」」 意外過ぎる演目だったが、なかなか面白い。 「お後がよろしいようで…。」 「よ、大統領!」 「日本一!」 「いや〜、それほどでも…」 「さ、次はセトだな。」 「私は腹話術をやろう。」 「「「「「「「「「「腹話術!?」」」」」」」」」」 これまた意外な芸だったが人形のタローとの掛け合いが絶妙だ。 「すてきー!」 「サイコ−!」 「苦労した甲斐があった…。」 その後も朱夏と炎の夫婦漫才、春子とシュトロハイムの社交ダンス、忠義と白秋のどじょうすくい、玄冬と北斗のパントマイムと楽しい時間を過ごした。 特筆すべきは龍ともみじのミュージカル漫才である。 ネタはもちろんのこと、龍の弾くギターともみじのダンスには楽屋が笑いの渦に巻き込まれた。 と、すべての演目が終了したとき、 『非常召集、非常召集。直ちに作戦司令室に集合せよ。繰り返す、直ちに作戦司令室に集合せよ。』 「支配人だわ。一体どうしたのかしら?」 「とにかく、急いだほうがよさそうだな。」 「ようやく集まったか。」 「司令、一体どうしたんですか?」 「うむ…さきほどゴッドから通信が入った…」 「なんですって!?」 「まぁ、これを見てくれ…。」 『我はゴッド。イレイザーの首領である。』 『さて、さっそくだが用件に移ろう。』 『帝国華撃団は我が捕らえた。黄昏の三騎士、そして黒ノ巣会の手によってな!』 『返してほしくば宇宙まで来い!待っておるぞ。ハッハッハッハッハ……』 「……と、ここで通信が切れた。」 「うかつだったわ…」 「すんだことを嘆いても仕方ない。問題はこれからどうするかだ。そうだろう、卓哉!」 「その通り。すでに手は打ってある。」 「「「「「「「「「「えっ!?」」」」」」」」」」 「我々が極秘裏に開発した巨大兵器、その名も『スペースフェニックス』!」 「「「「「「「「「「スペースフェニックス!?」」」」」」」」」」 「そうだ。この日のために着々と準備が行われた。そして今日、最終決戦のために作られたのだ!」 「そうと決まれば、早速出撃だ!」 「よし!スペースフェニックス、発進!」 この日、東京銀座を中心とし、半径二キロメートルに及ぶ巨大な穴が開いた。 そして、その中心から発進したスペースフェニックスは宇宙にいるゴッドを倒すべく出撃したのだった…。 「さて、ゴッドのいるのはどの辺りか……」 「司令!レーダーに反応が!場所はここから二十キロほどです!」 「よし、全速前進!」 「「「了解!」」」 「あれがゴッドのアジトか…」 「待てよ?じゃあ俺達がいたところは…」 「おそらくは…カモフラージュであろう。」 「キング様!」 「本体はあの小惑星の中にいる。私には分かる、本能で分かるのだ。」 「よし!主砲、発射準備!」 「了解!装填開始…完了!」 「ターゲットロック…完了!」 「発射まであと五秒…四…三…二…一…発射!」 「すごい…大穴が開いちまった…」 「よし、全速前進!このままあの穴に突っ込むぞ!」 「え?ちょっとま…」 「いけぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」 「む…無茶だ……無茶にもほどがある…」 「よっしゃ、成功だ!」 「へへっ、さすがは俺の子孫だ!」 「このままサンダ−モールを打ち出す!早く乗り込め!」 「「「「「「「「「「了解!」」」」」」」」」」 「マリアさん…今行きます!」 「レニ…死ぬんじゃないわよ!」 「すみれ…あんたは俺が!」 「織姫…絶対に守る!」 「さくらさん…待っていて下さい!」 「カンナ…きっと助けてみせる!」 「紅蘭…死なせない、絶対に!」 「アイリス…私達を信じて!」 「じっちゃん…」 「大神さん…」 「「今行くから待っていてくれ(下さい)!」」 「エレメンタルフォース、出撃!」 「「「「「「「「「「了解!」」」」」」」」」」 「ここが…敵の本拠地か。」 「まったく、ゴッドの奴も手が込んだまねを…」 「みんな、ここからは敵がいつ襲ってくるかも分からない。」 「ええ、なるべく離れないほうがいいわ。少なくとも二人以上になって行動して。」 「「「「「「「「了解!」」」」」」」」 『ぐははははは…』 『ケケケケケケ…』 『ホホホホホホ…』 「な…誰だ!」 「猪!」 「鹿!」 「蝶!」 「「「我等、黄昏の三騎士!」」」 「誰かと思えば…華撃団に一度、いや二度も負けた雑魚じゃないか。」 「おのれー、よくも侮辱してくれたなぁ!俺様の炎に焼かれて死ねぇぇぇ!!!」 「あら、あんたも炎使い?だったら私達の炎と比べてみない?」 「おいおい、こんな雑魚と比べる必要なんざないんじゃないのか?」 「かも、ね…」 「き、貴様らぁぁぁぁぁ…焼け死ねぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」 「朱夏!」 が、猪の炎を受けても二人には何のダメージも無い。 「なに、これで終わり?シケてるわねぇ。」 「まったくだぜ、こんなんだったらガキでも我慢できるぜ?」 「な…俺様の炎が効かないだと!?」 「今度はこっちの番よ!」 「おうっ!」 「朱雀…」 「バーニングぅ…」 「獄炎乱舞ぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!」 「クラッシャぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」 「おわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…ゴッド様…お許しを…」 「馬鹿な…猪が!」 「さ、次はあんた達の番よ!」 「おのれぇ…我が吹雪の前で凍てつけぇぇぇ!」 「あら、今度は氷?私の十八番をパクるなんざ、いい度胸ね?」 「パクりじゃないでしょうけど…あんたのが数倍上であることは間違いないわね。」 「おだてたってなにも出さないわよ?」 「いい気になるのも今のうちだ!最強の降魔の妖力、受けてみよ!」 が、同じくなんのダメージも無い。 「この程度?最強が聞いてあきれるわ!」 「氷ってのはね…こういうのをいうのよ!」 「青龍…」 「ポセイドン…」 「虚氷(きょひょう)斬けぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇん!!!!!!!」 「カッタぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」 「な…俺様は…最強…の…降魔…な…の……」 「鹿までも…おのれぇ…」 「ほんっと、あんた達って弱いわねぇ…それでも降魔?」 「だまれ!私は二人のようにはいかん!」 「うるせぇぞこのチビ!」 「いきがるのもいい加減にしろ…死を早めるだけだ。」 「ふっ…わが雷を受けてあの世で後悔するがよい!」 が、今度もなんの効果も無い。 「おいおい…静電気でももう少ししびれるぜ?」 「な…なんだと!?」 「今度はこちらからいくぞ!」 「白虎…」 「ペガサスぅ…」 「風撃旋とぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉつ!!!!!!!!」 「ラぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁンス!!!!!!!!」 「いや…いや…ゴッドさまぁぁぁぁぁぁぁ!!!」 「ふぅ…雑魚にこんな技はもったいなかったかもね。」 「時間の浪費は出来ない。さあ、先を急ぐぞ!」 「「「「「「「「了解!」」」」」」」」 『黄昏の三騎士がこうも簡単に敗れるとは…』 『これでは黒ノ巣会も信用できぬな…』 『まぁよい…我にはまだ切り札がある』 『エレメンタルフォースよ…絶望の果てに落ちるがよい…』 『ふふふふ…ははははははははははーはっはっはっはっはっは!!』 続く |