BACK TO THE 帝劇
〜サクラ大戦4〜
(7)



銀座、大帝国劇場。
既に暗くなった劇場を大神と龍が見回りをしていた。
「まったく、どうしてじっちゃんなんかと見回りしなくちゃなんないんだよ。」
「文句を言うな。これも立派な職務のひとつだ。」
「はいはい、ったく、じっちゃんは真面目すぎるぜ…。」
「………ん?舞台のほうから何か聞こえないか?」
「え?……本当だ、なんだろう。」
「ギターと…トランペット?!」
「なんでこんな時間に…。」
「とにかく、行ってみよう!」


「あ、いたぞ!…って、あれは!?」
「「加山!」」
「いやぁ、未来はいいなぁ〜!いよぉ、大神ぃ!」
「お、お前、なんでここに!?」
「まぁまぁ、そんなこと、どうだっていいじゃぁないか!」
「よくない!……雄二、お前の仕業だな?」
「なんだ龍、もう分かったのか?つまらないなぁ〜!」
「じゃかぁしい!そんなことより、なんで加山なんか連れてきたんだ!」
「なぁに言ってるんだ!お前のご先祖様を連れてきて、俺のご先祖様を連れてこないのは失礼ってやつじゃないか!」
「お前なぁ…で、ここでなにをやってたんだ?」
「決まってるじゃないか、セッションだよ!ねぇ、おじいちゃん?」
「そう、時代をこえて響くハーモニー…俺は幸せだなぁ〜!」
「お前らは良くても、こっちは困るんだよ!」
「とにかくもう遅いんだ、いいかげん切り上げて帰ってくれないか?」
「親友の頼みだ、仕方ないな…帰るぞ、雄二!」
「はい!」
「それじゃあ二人とも、また会おう!アディオ〜ス!」
しゅっ……
「消えた…?」
どんがらがっしゃ〜ん!
「……なんだか、すごい音がしたが…。」
「気にしないほうがいい…行こう…。」



翌日。
舞台稽古も佳境に入り、ますます忙しさを増していった。
「あ〜あ、なんで俺モギリなんだろ…。」
サロンで龍がいじけている。
「花組の隊長は代々モギリだったなんてなぁ…。」
「あ、龍!ちょっといい?」
「ん?なんだ、春子。」
「アイリスを見なかった?」
「え?いや、見てないが…。」
「困ったわね…確認しておきたいシーンがあったのに…。」
「散歩にでも行ったんじゃないか?」
「そうね…そんな遠くへは行ってないはずだわ。ちょっと行ってくるわね!」
「気をつけろ、また妙な敵が攻めてくるからな!」



浅草。
長い年月が経った今でも浅草は活気で溢れていた。
「わ〜、人がいっぱいいるね…。」
「そうだね。」
「ねぇねぇ、花やしき、まだあるかなぁ?」
「多分…シュトロハイムの話ではまだ遊園地としての機能は果たしているらしい。」
「わ〜い、遊園地だ遊園地だ〜!」
ドゴ〜ン!
「ええっ!?」
「爆発!?」
「けけけ…またあったねェ、帝国華檄団!」
「お、お前は…土蜘蛛!」
「なんでぇ?アイリス達がやっつけたのに!」
「ゴッド様は偉大なんだよ!さぁ、狩りの始まりだよ!」
「くっ…このままじゃ…。」
「そこまでよ!」
ドグワァ〜ン!
「な…なに!?」
「サンダーモール…シアン達だ、シアン達が来てくれたんだ!」
「このサンダーモールは先端にドリルがついてるからどんなところでも突入できるのよ!」
「さぁ、アイリス、レニ!早くトルーパーに!」
「こしゃくな!お前らから殺してやるよ!」
「甘いわね!悪いけど、名乗らせてもらうわよ!」
「ふん、死に行くやつらの名前かえ?まぁいい、聞かせてもらおうかい。」


「氷の力で鍔鳴りさせて、守って見せます青い地球!」
「ジャックインダイヤ!」
「そして!水の殺し屋、ビショップ!」
「「我ら、アクアサファイア!」」


「いいねぇ…久しぶりに歯ごたえのありそうな奴らだよ!」
「ごたくはいいから、とっととかかってきたらどうなの?」
「くらいなぁぁぁぁぁ!」
「九印曼荼羅!」
「うわぁぁぁぁぁ!」
「な…強くなってる!」
「けけけ…ゴッド様より頂いた力さ…そう簡単にくたばりはしないわ!」
「…………」
「…………」
「おやおや、恐怖のあまり声も出ないのかい?」
「安心したわ。」
「なんだと!」
「この程度で私達を倒そうなんて、笑わせてくれるわね!」
「なにぃ!」
「確かに、あんたは強いかもしれないわ。そのスピードとパワーのバランスの良さ、なかなかのものよ。」
「けど…あんたには足りないものがあるわ…心よ!」
「心など…戦いにはいらない!」
「どうかしら?アイリス!」
「うん!」
「イリス・グラン・ジャンポール!」
「な、なんだと!」
「これでプラマイゼロね…。」
「今度はこっちの番よ!レニ!」
「了解…。」
「ジークフリード!!!」
「な…なに…。」
「威力が…かなり増加している…。」
「どう?これがトルーパーの力よ!」
「こ、こうなったら…貴様ら全員道づれだぁぁぁぁ!」
「そうかしら?」
「その前に倒させてもらうわよ!」
「青龍…」
「ジェルぅぅ…」
「氷結斬けぇぇぇぇぇぇぇぇぇん!!!!!!」
「カッタぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「こんな…人間ごときに…ゴッド様ぁぁぁぁぁ!!!!」




「やったわね…。」
「ええ…強敵だったけどね。」
「諦めて破壊しかしないやつに負けるわけにはいかないのよ。」
「そうね、心のない攻撃は痛くない…参考になったわ。」
「………ねぇ、シアン?」
「ん、どうしたの?」
「どうしてアイリスがここにいるってわかったの?」
「あなたのことだから、稽古さぼって遊ぶことぐらい目に見えてたから…。」
「うぇ〜ん、ひどいよぉ〜!」
「春子…あんた、けっこうひどいわね。」
「心配しなくてもいいわよ、うそ泣きだから。」
「ぶぅ…なんで分かっちゃったの?」
「血のつながりをなめないことね。」
「……ま、いいわ。今日は私達も付き合おうかしら?」
「ほんと!?」
「ええ…そうよね、シュトロハイム?」
「どうせ付き合わせるつもりなんでしょ?いいわよ…。」
「わ〜い、みんなで遊園地だ〜!」
「ちょっと待って…。」
「どうしたの、レニ?」
「アレを忘れてる…。」
「あ、そういえば…。」
「行くよ…」
「オッケー!」
「「「「勝利のポーズ、決め!」」」」




『ぬぅ…土蜘蛛までも…』
『火車よ、次は貴様だ!』
『これ以上予を失望させぬよう…。』


          続く




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