銀座、大帝国劇場。 連続シリーズ『デモンハザード』もすでに第三作目『デモンハザード・ラストサバイバー』が千秋楽を迎えたばかりである。 「ふぅ、やっと終わったか…。」 ファンに対するサービスを終え、玄冬が自室で横になっている。 コンコン 「ん?誰だ、開いてるから勝手に入ってくれ。」 「それじゃそうするでーす!」 と、織姫が衣装のまま入ってきた。 「なんだよ…その特殊部隊の格好、まだしてたのか?」 「ワタシが着れば何を着てもすばらしい衣装になるでーす!」 「まぁ、そうかもしれないが……」 確かにおうど色のジャケットとズボン、さらに特殊部隊が着るようなベストを着ている彼女はかなり様になっている。 「で、用件はなんだ?」 「忘れるところだったでーす!じつはこれから映画を見に行くつもりだったのでーす!」 「じゃあ行けばいいじゃないか?」 「もらったチケットがペアチケットだったのでーす!」 「じゃあ隊長でも誘えば?」 「中尉サンはさくらさんと遊園地行ってるでーす!」 「だったら北斗は?」 「紅蘭と一緒に秋葉原ってところに行ったでーす!」 「……で、俺のところに来たと?」 「その通りでーす!」 「大体、映画なんて一人でもいけるじゃないか。」 「………………」 「なに目ぇうるませてるんだ?」 「………でーす。」 「へ?」 「…………なんでーす。」 「へぇ?」 「ホラー映画だから怖くて一人じゃ見られないと言ったのが聞こえないのでぇすかー!」 「そんな大声ださんでも聞こえるって−の!」 「あんたが言わせたでーす!!」 「ま、暇だったし、いいぜ。」 「最初から素直にそう言うでーす!」 (まったく…こいつは……) しかし惚れた弱みで言い出せない。 「そうと決まれば善は急げでーす!着替えてきまーす!!ロビーで待ってるでーす!」 「早くしろよ……」 数十分後… 「おまたせでーす!」 ロビーに現れた織姫は黒のタンクトップにジーンズと、少し刺激的な服装だった。 (おお、へそ見えてるよ〜!谷間も見えるし、生きてて良かった〜!) 「なにしてるですか〜?」 「い、いや、なんでもない……さ、いこうか…。」 「で、なんてタイトルなんだ?」 「確か…『イルブリード』ってタイトルだったでーす。」 「まさか…監督はなんて名前だ?」 「マイケル・レイノルズって名前だった様な…」 「…………覚悟したほうがいいぞ?」 「なんでですかー?」 「確か雑誌に載ってたが『イルブリード』はマイケル・レイノルズ監督の作品で最高の怖さだって話だ…」 「…あらすじはどんなですかー?」 「ああ…アメリカ北部に出来た移動型お化け屋敷『イルブリード』から脱出するって話だ。どうやらレイノルズの作品に出てきたモンスターが総出演してるって話だ…」 「……聞きたくありませんけど…どんなやつが出てくるですかー?」 「材木人間、キラーマン、女王ミミズのレイチェル、ブラッディ−マリー、ダミーマンと、あとは…」 「もういいでーす!」 「………帰るなら今のうちだぜ?」 「絶対いやでーす!チケットがムダになりまーす!」 「そうか…後悔するなよ?」 二時間後… 涙で目が真っ赤になった織姫と納得の表情の玄冬が出てきた。 「いやー、すげぇ血しぶきだったなぁ!さすがは世界一発禁処分を受けた作品が多い監督の作品だ!作りこみが半端じゃない!…ん?なんだよ、まだ泣いてるのか?」 「ひっく……ひっく……」 「上映中もめちゃくちゃ泣き叫んでたもんなぁ…どうりで観客が俺達しかいないと思った…。」 「なんで…ひっく…そんなに…冷静…ひっく…なんですかー?」 「いや、あんなの他人事なんだしさ…ところでさ、そのチケット、誰からもらったんだ?」 「北斗から…あ!」 「ん?どうした?」 「あいつ、なんだか目をそらして渡してたでーす!後でホラーって分かった時はあまり怖くないと思ってたんですけど…絶対許さないでーす!!!」 (やれやれ…泣いたり怒ったり忙しいやつだな…) 「ああ〜、怒ったらお腹空いたでーす!レストラン行くでーす!!」 「お、おい待てよ!」 『ふぉっふぉっふぉっふぉっふぉ……』 「な、なんだ?」 「この声は…」 「久しいのぅ、帝国華激団。そしてその子孫よ…。」 「な、なんだ?あのしょぼくれたじじいは!」 「木喰でーす!小細工しか使わないじじいでーす!!」 「ふぉっふぉっふぉ…ずいぶんと元気じゃのぅ…」 「けっ!後悔すんなよ!」 「サンダ−モール、カモ−ン!!」 数秒後 「う、うぬぅ!」 「どうだ、サンダ−モールは俺達の声に反応してどこでも来れるんだよ!」 「ふぉっふぉっふぉ、いい気になれるのもここまでじゃ。」 「なんだと!?」 「これを見よ!」 「な…お前ら!」 「す、すんまへん……」 「ちきしょう、油断しちまった!」 「北斗!」 「紅蘭!」 「ふぉっふぉっふぉっふぉ、どうじゃ、わしの計算にぬかりはない!貴様らに仲間が縛られたこの機体を攻撃できるかのぉ?」 「ちっ、卑怯だぞ!」 その時! 「な、なんじゃと!」 「ナイフ!?どこから?」 「ここだ!」 「な…誰じゃ貴様は!」 「特殊工作部隊『ミストムーン』の隊長、加山雄二!」 「な…加山!」 「さぁ、これで思う存分暴れられるぞ!」 「ありがとよ!」 「ぬぅ…計算外じゃった…じゃが、これしきで勝った気でいるでないぞ…」 「どうかな!」 「俺達の名前、冥土の土産に持っていきな!!」 「緑の力が唸りをあげりゃ、大地に嵐が吹き荒れる!」 「キングオブクラブ!」 「そして!大地の門番、ルーク!」 「「我ら、ランドエメラルド!!」」 「うちらもいくで!」 「「帝国華激団、参上!!」」 「ふぉっふぉっ、ずいぶんと大きくでおったの、じゃがそれもここまでじゃ!」 「な…あれは『円空』やないの!」 「なんだそりゃ?」 「木喰から出る移動砲台でーす!」 「まだまだ行くぞ!」 「皓矢念臨演舞!」 「なんだと!?円空が…パワーアップしやがった!!」 「ふぉっふぉっふぉ、覚悟するんじゃな!」 「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」 「前より強いでーす!」 「どうじゃ、これぞゴッド様の力じゃ!」 「馬鹿言ってんじゃねーぜ!」 「なんじゃと!?」 「ま、あんたの戦略がすげぇことは分かったし、この円空とかいうやつもなかなかに厄介な代物だ…」 「だがな、そんな計算だけで勝ったつもりになるなんざ、なめるのもいいかげんにしてほしいぜ!」 「ふぉっふぉっふぉ…はったりなどわしには効かぬぞ!」 「はったりじゃねーよ!紅蘭!」 「ほい来た!」 「聖獣ロボ・改!!」 「な…円空が!」 「まだまだ!織姫!」 「オッケーでーす!」 「ウィアッジョ・ローズ!!!」 「ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」 「すごいでーす!前よりパワーアップしてるでーす!」 「未来の科学力をなめてもらっちゃ困るぜ!!」 「おのれぇ…貴様らごときに負けはせん!!!」 「とどめだ!!」 「玄武…………」 「ダイヤモンド………」 「雷塵波どぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉう!!!!!!!!!!!!」 「デストロぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉイ!!!!!!!!!!!!」 「な………わしの計算が…やぶれるとは……」 「こんなことは……計算外じゃ……………」 「勝ったな。」 「ああ…まったく厄介なやつだったな。」 「だが、戦略なんかに頼りすぎるとそれが仇になる…」 「策士策に溺れる、ってやつだな。」 「ああ…そうだな。」 「北斗ぉ?」 「ん?なん…ぐえっ!」 「よぉくもあんなもの見せてくれたですねー!」 「いや、あれは…その…。」 「地獄を見せてやるでーす!覚悟するでーす!!」 「織姫はん、もうそのへんで…」 「絶対許さないでーす!!」 「…………」 「織姫、もう北斗のやつ、もう息してないぞ?」 「まったく、だらしないでーす!!」 「さて、織姫。レストランに行くか。」 「すっかり忘れてたでーす!レッツゴーでーす!」 「よっしゃ!」 「その前に…」 「あれか!」 「「「「勝利のポーズ、決め!!」」」」 「玄冬、お礼をしてあげるでーす。目を閉じて…」 「ん?ああ………」 チュッ 「…………はうっ」 「ああっ!玄冬!口づけだけで気絶するなんて…しっかりするでーす!!」 『………もはや金剛だけになったか…』 『まぁよい…勝てば問題は無い…』 『期待しておるぞ……』 続く |