「レニと織姫の休日」

作:ふるさん
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 平和な帝都のやわらかな日差しが、帝劇をつつみだした、あたたかな午後の中庭。  そこに、一人の小麦色の肌がまぶしく輝く一人の少女がベンチに腰掛けていた。  後ろで結んであるカールのかかった黒い髪が、静かにゆれている。  そこへ、見ただけでは男のこと見間違える、銀の髪が印象的な少女がやってきた。  「レニ。こんなところでなにしてるんですか〜?」  「別に・・・、ただフントに会いに来ただけだよ。」  「レニ、あなた本当に変わりました〜。前までは犬のことなんか全然気にしなかっ たのに〜。いったいなぜそんなにかわったですか〜?」  織姫がそう言うと、レニは少し頬を赤らめた。織姫は何かにかんずいたような顔を して、レニの様子をにこにこしながらみつめた。  「あら〜?レニ、顔が赤いですよ〜?もしかして、あの人のことを考えていたです か〜?」  織姫が意地悪そうに言うと、レニはいっそう顔を赤らめ、いつのまにか足元ではね ていたフントをそっと抱いた。  「そうだ、レニ、あなたにいいこと教えてあげま〜す。ついてきてくださ〜い。」  「えっ・・・。」  織姫はレニの腕をつかむと、レニを楽屋に連れていった。  「レニ、私が合図するまで目を閉じていてくださ〜い。」  レニは少し戸惑いながらも目を閉じた。  何時間経っただろう。レニはいつのまにか眠っていた。  すると織姫がレニの肩をたたいた。  「レニ、めをあけてみてくださ〜い。」  その織姫の言葉に、おそるおそるレニは目を開けてみた。  鏡の前の自分を見たレニはしばらく何も言えなかった。  鏡には自分とは思えないかわいらしい女の子が立っていた。  「う〜ん、あとは洋服ですね〜、アイリスの服借りてきますか〜?」  それを聞くとレニは首を大きく横に振ったが、織姫がそれを見てるわけもなく、レ ニは結局、アイリスのフリルの沢山ついた水色のワンピースを着せられることになっ た。  織姫は満足げな笑みを浮かべると、レニをある部屋の前に立たせた。  すると織姫はれににそっと耳打ちした。  (いいですか、私が少尉さんを呼びますから、レニはここにいて、その姿を少尉さ んに見せてあげるんですよ〜、いいですか〜?)  レニは首を横に振り、逃げ出そうとしたが、織姫に腕をしっかり捕まれているので 逃げられなかった  (大丈夫で〜す、まぁ、とりあえず少尉さんを呼んでみま〜す。)  織姫は楽しそうに笑っていたが、レニは恥ずかしいやら嬉しいやらで、顔が真っ赤 になっていた。  「少尉さ〜ん!!ちょっとここまできてくださ〜い!!」  織姫が大声で呼ぶ。レニはもう冷静を失っていた。  「なんだい?織姫君・・・。」  ドアの前に立っている少女を見て、大神は我目を疑った。  ドアの前に立っていたのはかわいらしい女の子、しかしよく見ると、それはまぎれ もなくレニだった。  「レニ・・・これは・・・。」  「た、隊長・・・。」  動揺している2人に織姫はうれしそうに話しかけた。  「少尉さ〜ん、どうですかぁ?レニ、かわいくなったでしょ〜?」  「あ、ああ・・・とてもかわいいよ、レニ。」  レニは顔が火照り、その場を逃げ出したくなったが、足が動かない。  「じゃぁ、レニ、そのままサロンへいって、みんなにもみせてあげましょ〜!!」  そうして、その日一日、レニは帝劇中を歩き回り、すっかり疲れてしまった。    ーその夜ー    「僕は、女の子に、近づけたのかな・・・。」  空に向かってレニがそう言うと、そのときたまたま近くにいたアイリスが言った。  「大丈夫だよレニ、今日のレニは、すっごくかわいかったよ!」  「うん・・・ありがとう・・・アイリス・・。」  (そして、織姫・・・、今日は、ありがとう・・・。)    おわり☆     


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