織姫&撞鐘Boyの
メオト漫才

作:かとおおおさん


 帝都・銀座。帝劇寄席。

「こんにちは〜。撞鐘Boyで〜す!」
「ソレッタ織姫でーす。地中海の赤い風って呼んでくださーい」
「地中海の赤い風? なんですか、それは?」
「わたしは、地中海に咲き誇る大輪の紅いバラ。そのバラの香りを運ぶ風なのでーす」
「地中海に咲き誇るって……海の中にバラは咲けまへんがな」
「いちいち揚げ足取りはやめるでーす! もっと楽しくいきましょー」
「えろうすんまへん、姫様。m(__)m」
「おや、ニッポンの男にしては珍しく素直ですねー。でもその『姫様』はよくないでーす。他の呼び方に変えてくださーい」
「じゃあ、おりピー♪」
(バシーン!!)
「だーれが織ピーですか。誰が」
「あいたたた。何もハリセンで殴らなくても」
「オゥ。あなた、ワタシをイタリア人だと思って馬鹿にしてますね。漫才でツッコむのにハリセンで殴るのはニッポンの常識でーす」
「そんなん常識と違います」
「いちいち揚げ足取りはやめるでーす!」
「いやこれは揚げ足じゃなくって……」
「あーもう、話が前に進みませーん。早くネタに行きましょー」
「ネタ、ですか。うーん、何をしようかな」
「本番中なのにまだ決めてないですかー。これだからニッポンの男は……」
「わかった、わかりましたよ。では、とりあえず歌を歌います。曲はもちろん、ソレッタ・織姫のヒットナンバー、『もしも』!」
「素晴らしいでーす。それでこそ、星織姫騎士団の団長デース」
「でもあのページ最近更新してないし、何よりも肝心の団員が伸び悩んで……ブツブツ」
「なーにをブツブツ言ってますかー。早く歌うでーす」
「はい! それでは張り切って……
 ♪もしも〜ピアノがぁ〜、あぁったならぁ〜」
「それは西田敏行の歌でーす! 真面目にやってくださーい」
「あっ、間違えた。ではもう一度。
 ♪もしも〜明日が〜雨ぇ〜な〜らば〜、愛する人よそ〜ばにいて〜」
「それは『欽どこ』に出てきた、わらべの『もしも明日が』でーす!」
「ひ、姫様。詳しいですね」
「フフン。これぐらい常識デース。何しろニッポンの文化についてはかなり勉強しましたからねー」
「『欽どこ』って日本の文化だったのか!?」
「さあ、早く歌うでーす。ワタシの『もしも』はどうしましたかー?」
「では改めて、
 ♪もし〜ぃ〜も〜、わたし〜ぃ〜が〜、家を〜、建てたなぁ〜ら〜」
「それは小坂明子の『あなた』でーす。こんな古い曲を知ってるなんて、あなたどうにかしてまーす」
「そういう姫様も知ってるじゃないですか」
「あーもう、人の揚げ足取りは…」
「あっ、思い出した思い出した。これぞ、本当の『もしも』です!」
「やっと思い出しましたかー。では歌ってくださーい」
「♪もしも、しかめよかめさんよ、世界のうちでお前ほど〜」
「…………………………」
「♪歩みののろいものはない〜、どうしてそんなにのろいのか〜。
 お粗末でした〜」
「クアットロ・スタジオーニ!!」
(ドゴオオオオオン!!)
「ぐはあっ、姫様、ハリセンは……」
「あー、もう。だからニッポンの男って大嫌いでーす!!
 こうなりゃワタシが歌うでーす」
「いよっ、待ってました。大統領!!」
「変な掛け声ですねー。ではいきまーす。
 ♪もしも〜誰かを〜、好きになったら〜」
「どうしますどうします?」
「♪銀河に小舟を、こぎだすでしょう〜」
「おおっ、SFでんな」
「♪もしも〜誰かを〜、好きになったら〜」
「あ、どうしますどうします?」
「♪星にもワルツを、踊らせましょう〜」
「星くん! ワルツで勝負だ!!(謎)」
「♪もしも〜誰かを〜、好きになったら〜」
「ほら、どうしますどうします〜?」
「♪わたしの涙を、真珠にかえる〜」
「そんなんできたらミキモトパールは倒産です。(笑)」
「♪もしも〜誰かを〜、好きになったら〜」
「チョイト、どうしますぅ〜どうします?」
「♪わたしの吐息を、愛に変えよう〜」
「そんな器用なことようしまへん」
「あ――っ、もうっ!! 人が気分良く歌ってるのに横からごちゃごちゃごちゃごちゃ……」
「でも姫様、ただ歌を歌ってるだけでは漫才になりませんから」
「まったくニッポンの男って融通が利かないですねー。ちょっとぐらい漫才からそれたっていいでしょー」
「いえ、やはり話題が漫才からそれるのは……。
 あっ、なるほど! さすがは姫様、見事なオチです(^^)」
「? なんですかー?」
「いえ、織姫だけに、話題がソレッタ…(笑)」
「……おあとがよろしいようデース」

 ちゃんちゃん!!





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