・・・・ドツキ漫才ちゃうねんで!(笑)
作:かとおおおさん
帝都・銀座。帝劇寄席。 「やっほ〜、李紅蘭で〜す!」 「撞鐘Boyで〜す!」 「三波春夫でございますぅ〜」 「ばっち〜ん!!」 「よっしゃあ。ばっちり決まったでー」 「イェイ、イェ〜イ」 「アハハ。あんたなかなかおもろい人やなあ。 ほんならさっそく行きまひょか」 「はいっ。今日のお題は…」 「『少年レッド』!! ウチが主題歌を歌ってるんやで」 「は〜い。大好きで〜す」 「撞鐘Boyはん、歌えまっか?」 「まーかせーなさいっ」 「ほな、行くでー。せーのっ」 「♪赤い夕陽が〜校舎を染め〜て〜」 「ドアホ! それは舟木一夫の『高校三年生』や!!」 「あっ、そうでした?」 「しっかり頼むで、ホンマに。 歌はもうええから、本題や。 実は『少年レッド』の新作ができたんや」 「ええっ!? あっと驚くタメゴロー」 (バシーン!!)←ハリセン攻撃 「アホっ。お客さんひいとるやないか」 「えろうすんまへん。m(__)m」 「もう一度行くで。 実は『少年レッド』の新作ができたんや」 「ええっ!? それは初耳です!」 「そうそう、その調子。 ほんでな、今日はあんたを相手にそれを披露しようっちゅうわけや」 「すると本邦初公開?」 「まあ、そういうこっちゃな」 「聞きました? 今日のお客さん、えらいラッキーでっせ」 「アンタまで関西弁になってどないすんねん。 で、ウチがもちろん少年レッド。あんたがその他の役みんなや」 「なるほど。りょーかいしましたっ」 「『少年レッド・恐怖の透明人間』の巻、はじまりはじまり〜」 「ここは人里離れた深い森の中……。昼なお暗きその森の中を一人の少女が歩いています。 『あら、なんだか道に迷ってしまたようだけど、どちらへ行けばいいのかしら?』 その時、少女の後ろから不気味な笑い声が。 『ふっふっふっふっ。お嬢さん、お困りのようですね』 『だ、誰? 誰なの!?』 少女はあわてて振り向いてみますが影も形も見えません。 『ふははははは。私がわからないのかね。あなたの目の前にいるんですよ』 少女は目を凝らして見ますが、森の闇が広がるばかりです。 『くくくくく。お嬢さん、私と一緒に来ていただけますか?』 少女はいきなり目に見えない何者かに腕をつかまれます。 『きゃあああああっ!! 誰かーーーっ!!』」 「アンタ、なかなか役者やなァ……」 「恐れ入ります。m(__)m」 「ほんでこの先はどうなるねん?」 「少女が気がつけばそこは古めかしい洋館の一室。 『あっ、わたしはどうしてここに?』 ギギィー。不意に目の前のドアが開きます。 現れたのは一人の怪紳士。なぜか顔中を包帯で覆っております。 『お目覚めですか。マサエさん』 『どうしてわたしの名前を!?』 『ふっふっふ。それはあなたのお父上がよくご存知ですよ』 『あなたは誰!? その包帯を取って顔を見せなさい!』 『そんなに見たいですか? なら御覧なさい』 怪紳士は包帯に手をかけると少しずつほどいていきます。 そしてそれを見ていたマサエの顔がみるみる蒼白に。 『きゃああああっ!! いやああああっ!!』」 「うー、わくわく。早よ先を言うてんか」 「さて、誘拐されたマサエの運命やいかに。そして謎の怪紳士の正体は? 次週『少年レッド・恐怖の透明人間』第2回をお楽しみに!」 「なんや。ええとこで終わってしまうんやな。ま、続きモンのお約束やけど…。 ちょっと待てや!! ウチの出番がないやないか!!」 「あ、そうでした?」 「冗談きついで。少年レッドが出んとお客さん納得せえへんで。その場面やってんか」 「そしたら大幅に飛ばしまして……最終回『少年レッド対透明人間』の巻」 「よっしゃ、ウチの出番や!」 「『わははははは。少年レッド。今日こそ年貢の納め時だぞ!』」 「『何を言う。僕のこのコルトが目に入らないのか!?』」 「『ふふふ、いかにお前が拳銃の名人でも、見えない私は撃てまい』」 「『くそおっ。早く姿を現せ!』」 「『ふふふふふ。そうはいかぬよ』 透明人間は少年レッドの後ろに回ると彼を羽交い締めにします(ガシッ)」 「うわわわわっ!? こ、こら! どこ触ってんねん!?」 「紅蘭紅蘭。これはお芝居なんですからちゃんと演技してもらわないと…」 「あ、そうやったな。悪い悪い。 『何をするんだ。離せ!!』 「『そうはいかん。もうお前は私のものだ』 透明人間はそう言うと少年レッドを抱きしめ熱きくちづけを……」 (ボカッ! ガスッ! ベキッ! ドスッ!) 「えーかげんにせんかいっ!!!」 「お、おあとがよろしいようで……(バタッ)」 ちゃんちゃん!!