私が25,6歳の頃だったと思いますが、
先代の住職(父)から託されたモノがあります。
それは真宗寺19世住職、林教證(はやし きょうしょう)の
残した帳面です。帳面というより、ノートです。
たいそう真宗教学に精通した方だったようで、
書籍などを書写したであろう帳面を譲り受けました。
その中に紛れ込んでいたものを、ちょっと紹介したいと思います。

まずは、教證の伯父で、一代前の
18世住職であった、林了傳(はやし りょうでん)のモノです。

「当流声明道為初門聚
伝授真宗寺衆徒了傳給也
明治16年5月24日
魚山声明業大阿闍梨覺秀」

明治16年に天台声明のルーツである
魚山声明(ぎょざんしょうみょう)を習いに
行っていたようです。
浄土真宗本願寺派の声明は天台宗の
流れを汲むと聞いています。
天台の大阿闍梨覺秀師から
手ほどきを受けていたとは、驚きです。
真宗寺の先人はたいそう勉強家であったようです。
ちなみに、このときは「伽陀」を伝授されているようです。
あと「三十二相」という声明譜も残っています。

今も変わらずですが、ちゃんと「宮・商・角・徴・羽」の五音が
記されています。