・第一章
揺らめき


僕はいつも通りの時間に会社に向かい、いつもの時間に帰りの途についた。
突然、激しい雨が地面をたたきつけるように空から突き刺してきた。
僕はすぐさま近くのビルの入り口のひさしがある部分に駆け込んだ。
雨はしばらく止まなかった。
ふと気がついて隣を見ると、僕と同じように突然の雨を凌ぐために一人の小柄な色白の長い黒髪の女性が立っていることに気がついた。
僕は目を奪われた。特に美しいわけでもなかったが、運命のようなものをその時感じた。
これが「恋というものなのか・・・」。


目次へ