・第四章
悲しみ


突然、いつもの電車の中で彼女の姿が消えていた。
いつも通り、僕は時間通りに会社に向かい、いつもの時間に帰りの途についた。
ふと出会った場所を訪れてみると、初老の女性が彼岸花を抱え歩いていた。
ふと辺りを見ると菊の花と線香の匂いがあふれていた。
そこには彼女が愛らしく微笑んでいる写真と綺麗なドレスが飾られていた。
純白のドレス。
ウェディングドレスだ。
僕は頭の中が真っ白になった。


目次へ