屋根より高い…

鯉のぼりと格闘する隣家の夫地方によって慣習は異なると思うが、私が住んでいるあたりでは、初節句のひな人形や鯉のぼりは母方の祖父母から贈られるのが一般的である。じじばばは孫に甘いという弱みにつけこんだ鯉のぼり屋の陰謀かも知れない。

ウチの家は両親ともそういった「習わし」には関心を払わない人間で、私の妹はひな人形を渇望したがだれからも買い与えられず、かなり恨みに思っていたらしい。娘が生まれたとたん、ひな人形を買ったのは、おそらく自分のためだったというのが我が家における一致した見解である。

ちなみに、彼女の最初の子供は男の子だったが、鯉のぼりが実家から贈られなかったので業を煮やした姑が買ったそうだ。

さて、写真は隣家である。市街地にあげるには大き過ぎる鯉のぼりが電線にからまってしまい、ほどこうと四苦八苦しているところを悪趣味にもカメラにおさめたものだ。

「大きいのを揚げましたねえ」と言ったら、赤ちゃんを抱いたお母さんは「主人の田舎からおくってきたので…」と笑っていた。

やっぱり、鯉のぼり屋の陰謀だと私は思う。


1999年5月3日

HOME